【下町ボブスレー】イタリア代表とタッグ!「ミラノ五輪」“氷上のF1”に挑む町工場の執念:ガイアの夜明け


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3月6日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「不屈の町工場!下町ボブスレーのDNA」。

【動画】「下町ボブスレー」イタリア代表とタッグ!「ミラノ五輪」“氷上のF1”に挑む町工場の執念

高い技術力で“ものづくり大国”として世界をリードしてきた日本。その縁の下の力持ちとして裏で支えてきたのが、中小の部品メーカーや加工業者だ。
しかし近年は、人手不足や高齢化などさまざまな課題に直面し、苦境に立たされている。
その状況に一石を投じようと、東京・大田区の中小企業・数十社が結集し、2011年から始めたのが、「下町ボブスレープロジェクト」だ。

100分の1秒を争うボブスレーの開発に、これまでBMWやフェラーリなど名だたる企業が参入する中、国産ボブスレーでオリンピックの舞台に立つことで、「町工場のものづくりの力を世界に示したい」という想いが、彼らを突き動かしてきた。
しかしその道のりは険しく、この15年間で未だチャンスは掴めていない。そんな下町ボブスレーに興味を示したのが、2026年「ミラノ・コルティナ冬季オリンピック」の開催国・イタリアだ。
開催国の意地と大田区町工場のプライドを賭けた闘い…そして、不屈の町工場の“新たなる挑戦”を追った。

開催国イタリアとタッグ!“下町ボブスレー”新プロジェクトに密着!


2月に開催された「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」。日本は過去最多、24個のメダルを獲得。選手たちの活躍に日本中が熱狂する中、下町の職人たちが燃えた“もう一つの闘い”があった。

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2025年9月。東京・大田区で開かれた記者会見に登場したのは、イタリア・ボブスレーチームのマニュエル・マカタ監督と町工場の経営者たち。両者がタッグを組み、ボブスレーでオリンピックを目指すことを表明した。
ボブスレーは、曲りくねったコースを最高時速150kmでソリが駆け抜ける「氷上のF1」とも呼ばれる競技。100分の1秒を争うため、ソリの性能が重要だ。
その闘いに2011年から挑んでいるのが、大田区の町工場で生まれた「下町ボブスレープロジェクト」。

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発起人の一人「マテリアル」細貝淳一社長は、「オリンピックに自分たちが造ったソリが出場してアピールすることで、町工場の強みになっていく」と話す。
しかし、過去3度のオリンピックでは、知名度不足もあって選手に採用されず、レースに出ることすらできなかった。プロジェクトの協力企業は今や4分の1ほどになり、存続を危ぶむ声も。

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そんな中、共同開発に手を挙げたのが、ボブスレー強豪国・ドイツ出身の技術者、ペーター・ヒンツさんだ。

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ペーターさんの紹介で、下町のソリを採用したイタリアチームのマッティア・バリオラ選手は、国際大会で好成績を収めるように。バリオラ選手の活躍次第で、下町ボブスレーは、初めてオリンピックのレースで滑ることができる。
「私たちが成長と改善を続けてきた成果が、2026年のミラノ・コルティナオリンピックで輝きを放つことを願っている」(バリオラ選手)。

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東京・大田区は、日本有数の「ものづくりの街」として知られている。
自動車部品から医療機器まで金属加工業を中心に、1983年のピーク時には9000ほどの工場があったが、今は3500ほどに。

その一角にあるのが「マテリアル」。社長の細貝さんが34年前に金属材料の販売会社として設立し、一代で社員29人、年商12億円の精密加工会社に育て上げた。
航空機や防衛機器などアルミ部品の加工が専門だが、大田区の町工場で作る部品は、守秘義務があるものが多い。
「我々が作っているのは、最先端の部品が多いので見せられない。だからボブスレーをつくる。見せられるものをつくっていく」。

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2025年7月。オリンピックを目指し、新たなソリを造るプロジェクトが動き出した。
細貝さんたちとイタリアチームをサポートするペーターさんは、「平昌オリンピック」の後からソリの改良を進めてきた。日本から部品を送り、ペーターさんが自分の工房で組み上げる。

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イタリア代表は3選手で、下町のソリを使っているのは2番手のバリオラ選手。
細貝さんたちは彼のために最新のソリを造るが、期限はオリンピックの選考レースが始まる11月まで。早速、部品作りが始まった。

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ボブスレーは200点以上の部品で造られている。金属切削が得意な精密金属加工「エース」(従業員9人)では、サスペンションを担当。ソリの刃の振動を抑えるバネのような役割を担っている。
求められる削りの精度は1000分の1ミリ単位。それぞれの町工場が強みを発揮し、リレーしていく「仲間まわし」で製作する。

部品の取りまとめ役は、「東蒲機器製作所」の髙橋俊樹社長。しかし高橋さんは、急ピッチでの製作に頭を抱えていた。「なかなか手が挙がらない。無償でやってもらうのは、なかなかハードル高い」。

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金属切削加工「三陽機械製作所」(従業員15人)は、複雑な形状の加工を得意としている。腕利きの職人・野川 聡さんが担当するのは、「リアブロック」と呼ばれるソリの骨格をつなぐパーツ。複雑な形状を金属の塊から削り出して作る。

「“ものづくりは日本が一番だ”と見せるためにも、(納期に)間に合わせることが目標。肩に大田区が乗っている感じ」。

数十の工程に分けて、鉄の塊を少しずつ削っていく難作業。削り出しに使う刃物は40種類以上もあり、野川さんは、工程に合わせて長さや刃の形を変えて仕上げていく。

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通常3週間かかる加工…。仕事の合間を縫って3日間で完成させなければならないが、野川さんは見事、3日目の夕方に割り振られた作業を仕上げた。

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2025年9月、ボブスレーの技術者・ペーターさんとイタリアチームのマカタ監督が、最終調整するために来日した。「一緒に最終確認すれば、氷を滑る時の想定外を防げる。みんなでチャンスをつかみたい」(マカタ監督)。

細貝さんとともにソリの組み上げを担当するのは「関鉄工所」の関 英一社長。ペーターさんは普段から図面を描かないため、下町チームが要望を聞いて部品を調整する。
細かい修正点が次々と出てくるため、町工場の対応力が試される。

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しかし、ソリが形になってきたところで、ペーターさんが「ソリの骨組みとなるフレームの取り付け角度が違う」と指摘する事態に。
「私の設計を踏襲しているなら、傾斜は3度になるはず。ここが、このソリで一番大事なところ。滑り方が全く違う」。

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ペーターさんの改良では、フレームをつなぐ真ん中のブロックに対し、パイプをそれぞれ3度傾斜をつけて取り付けていた。こうすると、ソリの刃に対してブロックが3度傾き、急カーブでもなめらかに走れるという。
「0~3度まで全て実際にテストした。選手からのフィードバックが一番良かったのが3度だった」(ペーターさん)。
下町チームはこの大事な改良点について、ペーターさんと意思の疎通が取れていなかったのだ。

「自分のソリにしかない強みがあることは、選手にとって大きな意味を持つ。それは、選手がソリの性能を最大限に引き出そうとチャレンジすることにつながる」(ペーターさん)。

しかしこのピンチが、下町の職人魂に一層火を付けた。細貝さんたちは早速角度の修正に取り掛かるが、ゼロから造り直すと、オリンピックの選考レースに間に合わない。
果たしてペーターさんのオーダー通り、3度の傾斜をつけたフレームは完成するのか。
4度目の挑戦、オリンピック出場の夢はかなうのか――。

“下町ボブスレー”のDNA…130社が結集し新ビジネスへ


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15年にわたる、下町ボブスレーの挑戦。そのDNAをつなぐのが、「東亜電機工業」(石川・小松市)の國廣愛彦さんだ。國廣さんは「下町ボブスレープロジェクト」の立ち上げ当初から携わっている。

実は國廣さん、2024年に大田区にあった自らの工場を東亜電機工業に売却。その後は東亜電機工業の社員となったが、もう一つの顔を持っている。
それが、國廣さんが2018年に立ち上げた「I-OTA」だ。I-OTAは、さまざまな技術を持つ町工場、約130社が参加する共同体。客の依頼や相談に応じて最適な会社がチームを組み、一つの製品を作り上げる。
國廣さんは、下町ボブスレーで培った「仲間まわし」で、新たな取り組みを始めたのだ。

「1社ではなかなか解決しきれないものもあり、今まではそういう大きな仕事が来ると、お断りしていた」。

國廣さんが、町工場の衰退に歯止めをかけたいと始めたI-OTAは、これまでに110件受注。着実に実績を積み上げてきた。

そんな中、I-OTAに、半導体の製造に関わる世界的なメーカーから、かつてない“ビッグビジネス”が舞い込む――。

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