【医師が足りない!】崩壊する地域医療…“医学生への教育改革”と“NPの最前線”:ガイアの夜明け

4月17日(金)に放送した「ガイアの夜明け」のテーマは「医師が足りない!~地域医療の新たな担い手~」。

【動画】医師が足りない!崩壊する地域医療…“医学生への教育改革”と“NPの最前線”

医師の数自体は増えている。その一方で、地域医療の医師不足は深刻だ。
全国で診療所の閉院や診療科の縮小が相次ぎ、住民にとって当たり前の医療が静かに失われつつある。
背景にあるのは、都市と地方の医師偏在、若手医師の都市集中、そして働き方改革による労働時間制限など、複雑に絡み合う構造的な問題。いま問われているのは、単純な医師の数ではない。
医師をどう育てるのか、医療を支える人材をどう広げるのか、地域医療をどう持続させるのか――日本の医療の仕組みそのものが転換期を迎えている。

医師の教育改革の現場、地域医療を志す若者たち、そして新たな役割を担い始めた医療人材やその取り組みに密着。未来の日本の医療をどう守っていくのか――最前線を取材した。

医師の卵…“魅力ある実習”で県外流出を防ぐ!


記事画像
兵庫・三木市 口吉川町(人口:約1500人)。
3月17日、26年間続けてきた地域で唯一の病院「口吉川診療所」が閉院した。患者は増える一方で、村谷明久院長(79)は4年前から後任の医師を探してきたが、ついに見つけることができなかった。今後住民は一番近い病院でも、バスで30分かけて行くことになる。

2025年、医療機関の倒産・休廃業は過去最多の889件を記録(帝国データバンク)。
大きな要因は後継者不足だ。
「『へき地に行け』と言われても無理。お金を増やしたから行けるものではない。やはり気持ち。好きにならないとできない。私は好きだからここに来ている」(村谷院長)。

記事画像
一方、佐賀県では、地元に根付く医師を育てようと画期的な取り組みを始めていた。
この日、高齢者が入居するグループホーム「ゆうあいビレッジ」(佐賀・鹿島市)では、週に1度の診察が行われていた。施設の入居者の多くに認知症の症状がある。
担当するのは佐賀大学医学部の山下 駿医師(41)で、診察に立ち会っていたのは、佐賀大学医学部5年生の大澤ひかるさん。山下さんは見学だけではなく、診察も大澤さんに任せるが、積極的に学生に診察の機会を与えるのには訳がある。

記事画像
山下さんの本拠地は、県内一の高度な医療が受けられる「佐賀大学医学部附属病院」。
山下さんは教育専門の医師で「臨床実習コーディネーター」と呼ばれている。2023年に大学が新設した専門職だ。

「医学生が国家試験を受けて医者になる前の現地トレーニングを統括するのが、臨床実習コーディネーターの仕事」。

医学部では、実際の患者を相手にした実習は5年生から始まるが、命と向き合う医療の現場は、実習と言っても見学がほとんど。そのことに学生の不満が募っていた。
佐賀大学医学部には、1学年約100人(2022年度)の学生がいるが、2022年度卒業生のうち、大学病院に研修医として残ったのはわずか14人。多くの研修医が県外に流出していた。
野口 満病院長は「過疎地域もあり、都会で活躍している同じ世代の医療人たちを見ると、憧れもある。都会の病院で勤務したいと。大学病院から地域の病院に派遣して仕事をすることになるので、(医師が)足りない」と課題を話す。

記事画像
大学の医学部付属病院は県内の小規模病院に医師を派遣する役割があるため、研修医が少なくなると、派遣が困難になる。そこで、大学の魅力を高めようと設置したのが臨床実習コーディネーターだ。
「どういう風に教えたらいいか、何を教育したらいいか、各診療科が分からない状態だった。それを一括で我々が管理することで、より良く経験できる。その結果、学生たちが“ここだったら成長できる”“ここでもっと修練を積みたい”と思うようになって、佐賀に残る人が増えてくれたらいい」(山下さん)。

記事画像
この日は、5年生2人が初めて総合診療科で患者を相手にした実習に臨む。
指導に慣れていない現場の医師と学生の間の潤滑油になるのも臨床実習コーディネーターの役割。山下さんは現場に負荷がかからないようにするため、学生に自信を持って患者と向き合ってもらうため、診察の前に念入りにレクチャーする。
「全部を監督することはしないが、安全性は絶対に担保しなければいけない」。

記事画像
1月中旬。そんな山下さんが学生たちにむけて“新たな取り組み”を始めていた。
果たして佐賀大学は、教育改革を医師偏在の解消につなげることができるのか――。

都市部に偏在…地域医療の新たな担い手は!?


記事画像
徳島県。人口に対する医師の数は全国トップだが、その8割近くが徳島市などの都市部に偏っており、県南部の病院は深刻な医師不足に陥っていた。

記事画像
徳島市内から車で2時間、海陽町(人口:約8000人)にある「海陽町立海南病院」。
常勤医は院長1人、非常勤で入る医師や看護師でなんとか地域の医療を支えている。

記事画像
週に1度、この病院で勤務する谷口宜子さん(51)は、普段は自宅のある徳島市内の病院で働いている。
この日は、自転車で転んだ高齢の女性を診察するが、実は谷口さんは医師ではなく、「NP(ナース プラクティショナー・診療看護師)」と呼ばれる特別な資格を持っている。
NPは医師に相談しながら必要な検査や薬を判断し、外傷がある患者には外科的な処置も行う。現在NPは全国に1118人(4月現在)いるが、首都圏など大都市が中心。徳島県には谷口さん1人しかいない。

「山奥とか高齢者で病院に来られないとか、(医療が)届かない人たちもいる。医者が足りないから、必要だった医療が提供できないということを回避したい」。

徳島市内でも好条件を提示してきた病院は多かったそうだが、それでも谷口さんは「医師の足りない地域を支えられないか」と、県南部に足を運んでいる。

記事画像
2025年11月29日、谷口さんは県を挙げての式典に出席した。
登場したのは「医療MaaS(移動診療車)」。車内には診察台のほかモニターやカメラが搭載され、リモートで病院とつなぐことができる。遠く離れた場所でも、看護師が赴くだけで、患者はモニター越しに医師の診察が受けられるのだ。
徳島県で初となる医療MaaS。県南部にとっては、悲願の導入だった。

記事画像
この日初めて、谷口さんが医療MaaSに乗り込む。車は山間部へと入っていき、山道を走ること30分…海陽町 神野地区に到着した。これまで月に1回、医師が往復半日を費やし、訪問診療をしていた集会所だ。
医療MaaSと谷口さんの活躍で、その負担を軽減することができるのか――。

この番組が見たい方は「テレ東BIZ」へ!
※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
x
x