『世界の給与明細』丸山Dが明かす【街頭インタビュー】の舞台裏「皆、語りたいことが“何か一つ”はある」

5月24日(日)夜6時30分からは「世界の給与明細~日本と比べてどうなの?~」(MC:藤本美貴)を放送。

【動画】14歳が1日8万円稼ぐ衝撃㊙バイト「世界の給与明細~日本と比べてどうなの?~」

誰もが気になる“他人の給与明細”を世界中で調査! 日本と世界のお金事情を比べることで、その国独自の文化や今が見えてくる新感覚のお金バラエティーだ。

「テレ東プラス」は、さまざまな国で果敢にロケに挑む「給料調査員」の丸山憲司ディレクターを取材。ロケでは、圧倒的な明るさでオーラを放つ丸山Dだが、いったいどんな人なのか――。

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“好きなことがしたいな”と思い、入社式には出ずに会社を辞めました


――丸山さんは「世界の給与明細」や「ありえへん∞世界」などの番組で取材ディレクターを担当しています。「世界の給与明細」では、“給料調査員(取材ディレクター)”としてのご活躍がとても印象的ですが、まずは経歴から教えてください。

「50代なので、寝ないで仕事をやっていた最後の世代なんですよ。この業界に入った瞬間…というか、制作会社の面接に行ったその日から2週間家に帰れなかったことをよく覚えています(笑)。面接で採用されて、最初に付いた番組はスポーツ系バラエティーでした。もちろん昔々のお話で、令和ではそういう働き方は絶対無理なんですけど」

――最初からディレクター志望で、制作会社の面接を受けたと。

「いやそれが、実は大学卒業、3年くらいフラフラしていたんですよ。古いオートバイを修理するのが好きで、いずれはバイク屋さんか、古い物を集めるのも好きだったので、骨董屋さん(古物商)とか“あまり人と関わらない仕事がしたい”と思っていました」

――今のお仕事とは真逆ですね(笑)。

「そうですね。大学4年で就活して商社の内定をもらったんですけど、今考えると、あの頃の自分は超ダメ人間で…。お恥ずかしい話ではありますが、“人生これでいいのか?”と思ってしまったんです。
商社に受かって親は喜びましたが、入社式の日、会社の最寄り駅に着くと、スーツ姿の新入社員数人が『あー今日から自由がなくなるな。人生つまんないな』と話しているのを実際に聞くと、なんだかモヤモヤしてきて…。“あーやっぱり、俺は好きなことがしたいな”と思い、入社式には出ずに会社を辞めました」

――なんと、入社式に出ないで! 駅から引き返したってことですか?

「さすがにそれは(笑)。そのまま入社式には出ず、人事部に行って『いろいろ考えたんですけど…』とお話をしました。今考えると、超迷惑な話ですよね。
そこからは、古いものを集めて、何か商売にできたらいいなと思って動いていましたが、3年も経つと、友人に『しっかり仕事しろ! テレビのプロデューサーの知り合いがいるから、そこに行ってこい!』と発破を掛けられまして。実は大して興味もないのに面接に行きました。

ADからスタートして4年くらいやりましたが、超ダメADで全く向いていなくて、しかも全くスポーツに興味がない。
その後は深夜番組を担当しましたが、そこで初めて“この仕事、面白いな”と思いました。とにかくアホみたいにあちこちでいろいろなものを撮りまくっていたら、ある大御所の作家さんが『あの子、なんか面白いね』と褒めていたというのを風の噂で聞きまして…」

――最初は“褒められた”という単純なことだった?

「そうかもしれない。認められたというか『なんか面白いね』と言われたのがうれしかったんです。それから“この業界でやろう!”とやる気になったように思います」

記事画像▲20代の丸山D。イケメンです!

それぞれ違う人生…皆、語りたいことが何か一つはあるのかもしれない


――丸山さんは明るく朗らかなキャラクターで、イチ視聴者としては「こんな人にマイクを向けられたら、何でも話してしまいそう…」と思ってしまいます。丸山流“相手の心を開くコツ”みたいなものはあるのでしょうか。

「そんなたいそうなものはないんですけど、多分“この人を取材したい”と思う人物に出会ったとき、先に自分のことをさらけ出しちゃった方が早いというのはあると思います。
街頭ロケでもそうですが、自分のことを隠して取材だけさせろと言ったところで、相手は“なに? この人! 図々しい”となるじゃないですか。でも、取材する側が“何も分からないので教えてください”“あなたにすごく興味があります”という姿勢を見せると、相手も“俺に興味あるの?”となる。

オンエア上で見ると、“いきなりそんな質問するの? 失礼だな!”と思われるかもしれませんが、あれはあくまで短尺に編集したものなので、僕の場合、街頭ロケは、かなり時間をかけて丁寧に取材しているんですよ」

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――なるほど! たしかに最初から「あなたの給料を教えてください」と言われたら「えっ?」となりますよね(笑)。街頭ロケにおいてもアイスブレイクが必要なんですね。
私も今日丸山さんにご挨拶したとき、「記者さんのあの記事読みましたよ!」と言っていただいて、一気に心を鷲づかみにされました(笑)。


丸山さんは、ドキュメント番組「ソロモン流」(2005~2014年 テレ東)で数々の著名人の密着取材もしていたそうですが、そういう方の懐に入るには、一般人とはまた違った難しさがありそうです。

「ドキュメント番組は長期にわたる密着取材なので、その場の空気に徹する時間も長いんですけど、やはり数カ月も密着していれば有名人とは言え人の子なので、機嫌が悪い時もあります。誰だって密着されたら、オフの時間は取りたいじゃないですか。でも取材する側としては、その『ここは回さないでほしい』が一番面白かったりする。

そこを撮らせてもらうためには、街頭ロケと同じで、相手へのリスペクトというか“私はあなたのことが大好きで何でも知りたいです”というこちらの気持ちを分かってもらうことが一番大事なのかなと思います。“全く興味がないのに来ちゃいました”みたいな態度は、絶対に相手側にも伝わってしまう。“なんかわからんけど俺を知りたがるな、こいつ”と思ってもらえることが大切かもしれません」

――ドキュメント取材で印象に残っている取材対象者は?

「多くの方に密着しましたが、中でも強い記憶として残っているのは、2021年に亡くなった人間国宝の噺家、十代目・柳家小三治師匠です。
10カ月間ぐらい密着させていただきましたが、とにかく取材がお嫌いで質問を投げると、必ず『愚問だな』とおっしゃる(笑)。
とは言え、カメラを持って行ったからには、何かを撮って帰らなければならない。先ほどの質問に通じるとは思いますが、師匠がいらっしゃるその場所に、とにかくそこに居続けることが大事なのかもしれないですね。そこで起こることを撮らなかったら、番組的にはなかったことになってしまう。実際、師匠の『愚問だな』もその人を表す言葉なわけで…。

序盤は『愚問だな』の日々から始まりましたが、最後は師匠から『ありがとう、一番よかった』と、とても温かい言葉をいただけたので、それはとてもうれしかったですね。
思わず泣きました(笑)」

記事画像▲テレビ北海道開局30周年特別番組「人間国宝 柳家小三治 噺家人生悪くねえ」(2019年)より

「タレントのヒロミさんにも密着させていただきましたが、当時ヒロミさんがトライアスロンにハマっていて、グアムのテニアン島で行われるレースを『取材するか?』と言っていただいたのでついていったんです。でもテニアン島って、風が強いとすぐに飛行機が止まってしまうんですよね。

実は僕、レースの翌日が自分の結婚式で、それを知ったヒロミさんも『お前、相当ヤバいやつだな(笑)』と。レースの直後、ヒロミさんが『俺の感想なんていい、カメラ回せ!』と妻にステキなメッセージをくださったんですよ。
結果、無事に飛行機も飛んで式に間に合いましたが、飛行機が飛ばなかったら完全にアウトでした(笑)。ヒロミさんがおっしゃる通り、今考えたらヤバいことなんですけど、“数カ月密着していたし、これは絶対自分で撮りに行った方がいい!”と思ったんですよね」

――めちゃくちゃステキなエピソードですね。ディレクターとしての手腕はもちろんですが、こうしてお話していると、丸山さんの持っていらっしゃるオーラというか親近感というか、何かこちらが話したくなる天性のものもあるような。

「そんなたいそうなものはないと思いますが(笑)、思い返すと、亡くなった母親の取材力がすごかったんですよ。知りたい欲が強すぎて、病院に入院していた際も、大部屋の人たちの家族構成や相関図をしっかり聞き込み、把握していて『あそこの息子さんは○○で離婚したらしいよ!』とか(笑)。

そういうところが自然と受け継がれているのか、先日一緒に仕事をしたADさんにも『丸山さんって、ずーっと喋っていますよね』と言われました。街頭ロケでも、楽しいから、知らないおばちゃんとずっと話しているんですよ。『この辺で一番おいしいご飯屋さん、どこですか?』とか…。それが全く苦じゃないので、学生時代は気づかなかったんですけど、元々人が好きなのかもしれないです」

――長きにわたり、タフな現場を続けていらっしゃいますが、この仕事の面白さややりがいをどこに感じていますか。

「僕、街頭インタビューが大好きなんです。タレントさんもいないし一見地味に見える仕事ですが、偶然出会った人からいろいろな話を聞く仕事なんて、なかなかないですよね。
10年以上前に街頭インタビューした方と今でもたまに飲みに行きますし、インタビューした方のお連れ合い様から、『夫が亡くなりました。番組でインタビューを受けてうれしかったといつも言っていました』と連絡があり、お葬式に出たこともあります。

僕らはカメラを向けて話を聞くのが仕事ですが、取材された方にとっては、一生忘れないいい思い出になる事もあるかもしれません。『俺、テレ東にインタビューされたんだよ!』と、10年前のことを楽しそうに話す方もいますから(笑)。それぞれ違う人生…皆、語りたいことが何か一つはあるのかもしれません」

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街頭インタビューで『幸せですか?』と聞かれて『幸せです』と言える人たちはすごいと思う


――「世界の給与明細」では、丸山さんを始め、さまざまなキャラクターの“給料調査員”が登場します。今後はもっとキャラクターも立っていくでしょうし、それも見どころの一つかなと。最初に番組の企画を聞いたときのご感想は?

「普段、他人の給料なんて絶対に聞かないので(笑)。かなり興味深い番組だな~と思いました」

――レギュラー放送#1では、デンマークの自治領「グリーンランド(日本から片道24時間以上)」を取材した丸山さん。予期せぬ展開が多く、一つの「幸せ」が描かれたステキなエピソードでした。
トランプ大統領の「グリーンランド買収発言」により一躍有名になったグリーンランドのロケパートは、また別の回でも登場します。


「#1の最後は本当に奇跡的な展開で…。次回のグリーンランド編(放送日未定)では、50歳の大学生を追っています。そちらも驚く展開が待っていますので、ぜひ楽しみにしていてください」

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――今後、番組ではどんな国に行きますか?

「グリーンランドもそうですけど、今後も番組ではなかなか旅行では行かない、日本人がほとんど知らないエッジが効いた国に行くと思います。でも、知らないからこそ面白いんですよね。
ネットで調べても、自分の目で見ないと分からない国…どんな人がどんな暮らしをしているのかは、僕自身が知りたいし、とても気になります。

海外のロケは本当にハプニングの連続。ロケの当日、取材相手に全く話が通っていないとか、周りにまったく店がなくて、カメラマンも僕も超腹ペコで頼んだ宅配ピザが6時間も来ないとか…(笑)。でも、そういうハプニングは決して忘れませんし、こうして話の種にもなるので、最近は楽しむようにしています」

――丸山さんが取材したVTRだけでも、アンゴラやグリーンランド…個人的には知らないことだらけでした。MCの藤本美貴さんも話していましたが、日曜の夜、家族や親子で見たら「こういう仕事でこの国で働くと、お給料はこれくらいなんだ!」と、いいコミュニケーションツールになりそうです。

「たしかに、家族の会話のきっかけになりそうな番組ですよね。実は最近、パスポート持たない若者が多いらしいんですよ。取得率が低いと。今は円安なのでしかたがないし、“日本大好き!”も全然いいとは思うんですけど、ゆくゆくはこの番組が何かのヒントになったり、自分の目で見てみよう、この国に留学してみようとか、そういうことにつながっていけばすごく幸せですよね。この国は学費が無料なんだ、学生でも生活費をもらえる国があるんだとか。番組を見て、もう1回学び直してみたいと思う人も現れるかもしれない。

あとはそれぞれの国のシステムというか、僕らが知らない法律、社会保障とか、そのまま日本に持ってこられるかどうかは分からないけど、日本人の未来のヒントにはなると思います。
“幸せ”を感じている人が多くいる国はたしかにあって、それは改めてすごいことだなと。
街頭インタビューで『人生幸せですか?』と聞かれて『幸せです!』と言える人たちはすごいと思うし、そういう人たちがたくさん出てくる番組でもあるので、ぜひ皆さんに見てほしいです」

【5月24日(日)放送】
「世界の給与明細~日本と比べてどうなの?~ 少子化対策がスゴい国SP!」

「フランス」
▼愛の国で生まれた謎の結婚制度を徹底取材!財産分与・慰謝料…驚きのフランス式離婚事情に…経験者の陣内・井戸田・小倉優子が唸る
▼寿司でもラーメンでもない…㊙日本グルメブームで大行列!
▼パリ㊙給料事情…モデル・画家・フランスパン店

「ハンガリー」
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【「ありえへん∞世界」放送作家・西田哲也さんから見た丸山D】
「『ありえへん∞世界』の街録『人には言えない私だけの小さな秘密』で、なぜ丸山DのVTRが圧倒的に面白いのか。インタビューを読んでその謎が解けました。彼は自分をさらけ出す『ディスクロージャー理論』を極限まで実践している。今すぐスタッフ全員に共有すべき、撮れ高の教科書です。
そんな彼に期待するのは、既存の『街録ch』を超えるYouTubeチャンネル制作。
『街録ch』が特殊な人生に光を当てるとするならば、丸山Dの強みは“普通に暮らす人々の皮を一枚剥いだら出てくる、ありえへん生々しさ”をえぐり出す力です。
いや……やっぱりYouTubeではなく、テレ東で『丸山Dが毎週テーマを変えて直撃する、パイロット街録バラエティー』はどうでしょう? 和製マイケル・ムーア的バラエティー! テレ東さん、いかがでしょうか!(笑)」

(取材・文/蓮池由美子)
※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
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