【60歳定年】はもう古い?「USJ」や「カルビー」が“アクティブシニア”を採用する切実な理由:ガイアの夜明け


【60歳定年】はもう古い?「USJ」や「カルビー」が“アクティブシニア”を採用する切実な理由:ガイアの夜明け
5月22日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「定年は必要ですか?」。

【動画】60歳定年はもう古い?「USJ」や「カルビー」が“アクティブシニア”を採用する切実な理由

日本企業の9割以上が定年制を定めているが、少子高齢化で深刻な人手不足に直面する中、年齢で一律に退職させる「定年制」を見直す動きが出ている。
ポテトチップスで知られる「カルビー」は、スキルを持つシニア社員が年齢制限なく定年後も同じ給与水準で働ける「シニアマイスター」を新設。その役割とは?
一方、ものづくりの街・東大阪市では、60歳以上のシニアだけが入社可能な会社が誕生。ベテランの知恵を結集させて新商品開発と市場開拓に挑戦する。
“定年後のシニア”は成長のカギを握るのか!? 変貌する「定年制度」の現場を取材した。

新・金の卵?USJがシニア人材の獲得に動く!


世界中から観光客が訪れる「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」(大阪市)。
クルーと呼ばれるスタッフは若者が務めているイメージがあるが、よく見ると、年配の人があちこちに。実はUSJで働く60代は、800人に上る。

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得意の英語を生かして接客するクルーの椎野俊一さん(63)は、定年退職後、ツアーガイドとして採用された。前職は産業機器メーカーの技術者で、8年間、アメリカに駐在。
椎野さんは「60歳超えて体力的な面もあるが、毎日歩くことも多くて、すごく健康になったのが一番のメリット」と話す。

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4月、USJの運営会社が就職説明会を開催した。この日も、熱心に話を聞くシニアの姿が。
USJでは60代を“アクティブシニア”と呼び、2年前から採用に力を入れている。
年々、来場者の年齢層が広がっていることへの対応でもあるが、理由はそれだけではない。
「学生クルーは卒業のタイミングで入れ替わりが発生する。勤務が土日メインになってしまう。(シニアは)長期的に安定して働いてくれるし、高いゲストサービスレベルを維持できる。そういったところが非常に魅力」(人事部課長 大河原貴信さん)。

日本企業の9割以上に定年制があり、そのうち約7割が60歳定年だ(出典:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査の概況」より)。
そんな中、少子高齢化による人手不足や健康寿命の伸びを背景に、「ダイキン工業」や「カインズ」といった大手企業が定年を65歳に延長した。

定年後のシニアが現場を変える?! カルビーの新制度


東京・丸の内に本社を構える「カルビー」(売上高:約3400億円、従業員数:約5100人)。「かっぱえびせん」や「ポテトチップス」など、国内スナック菓子市場でトップシェアを誇るメーカーだ。

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マーケティング本部GIFT課で働く住谷みどりさん(60)は、北海道土産で知られる「じゃがポックル」のブランド戦略を担当している。
住谷さんは、かつてシリアルの「フルグラ」を担当。朝食用にマーケティング戦略を立案し、トップシェアへと押し上げた立役者だ。

2026年3月に定年退職を迎えたが、4月から「シニアマイスター」に任命。2024年、カルビーが高い専門性を後継者に伝え、育成するために新設したポストだ。
「59歳も60歳も61歳も、自分の中ではそんなに大きく変わらない。同じ条件で同じ内容の仕事ができるのは、すごくありがたい」(住谷さん)。

通常の再雇用と違い年齢の上限がなく、現役並みの報酬が続くのが特徴だが、なぜ、新たなポストをつくったのか――。そこには、会社が抱える課題が。

「『後継者の育成をしていますか?』『計画的にしていますか?』と聞くと、あまりやっていないというのが実態として分かった。そういう状態はまずい。高い専門性を持っていて、計画的に後継者育成に取り組んでいる人。これをしっかり処遇することを狙いとして制度改定し、新しくつくった」(人事・総務本部 人見泰正本部長)。

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鹿児島市で、カルビーのシニアマイスター第1号として働いているのが、鮫島純昭さん(68)。鮫島さんは仕事の多くを、在宅でこなしている。

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2月中旬、鮫島さんがやって来たのは「カルビー 鹿児島工場」。全国に7カ所あるポテトチップスを作る工場の一つで、1975年に設立され、九州を中心に出荷。この工場は、鮫島さんの古巣でもある。
鮫島さんは現場の後輩たちに声をかけ、安全な作業ができているか、生産ラインを見て回る。

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翌日は月に1度、製造ラインを止め、点検と清掃をする休機日。機械が止まるこの日こそ、鮫島さんがマイスターとしての本領を発揮する。
鮫島さんの役割は工場の安全を守ることで、この日は起こりうる事故を想定し、対策を確認する「危険予知活動」に参加。
「いま発言があったのは、3人か4人。自分の作業のところで、一つずつでもいいから『私はこれを気を付けます』『ちゃんと保護具を付けます』と、みんなで話し合う。これをしたらどうなるかなと、一歩先を考えた行動に移してほしい」(鮫島さん)。

鮫島さんがカルビーに入社したのは、1976年。鹿児島工場で始まったばかりのポテトチップス製造に携わった。
その後は品質管理の業務を長く務め、定年後は1年契約の社員として働いていた。
しかし、2024年に制度が始まると、シニアマイスターに真っ先に任命された。これまでの知識や経験をもとに、危険の芽を摘むのが鮫島さんの役割だ。

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この日は、じゃがいもを選別する工程を視察。装置を点検する作業を見ていた鮫島さんは、工具を落とした従業員に「いま工具を落としたけれど、ここに落ちたらどうなる?(下のベルトに)落ちてしまうので、作業性が悪くないかな」と注意を促す。

ポテトチップスを選別する工程では、選別機のメンテナンスが行われていた。作業を見届けた鮫島さんは、「いまちょっと気が付いた。オーバーグリース(潤滑剤)だね。どうすればいいと思う?」と、担当者に気づいた点を次々と指摘。
「鮫島さんは知識量がすごいので、どんどん意見を言ってくれるのでとても参考になる」(ポテトチップス製造課 鳥越大夢さん)。

どんな小さな危険も見逃さない鮫島さんのパトロール。その徹底ぶりは、過去の苦い経験からきていた――。

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“ものづくりの街”に誕生!60歳以上限定のマーケティング会社


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日本有数の“ものづくりの街”として知られている、大阪・東大阪市。
そこに2年前に誕生したのが「M&Mネクストソリューション」(従業員数13人)だ。
60歳以上しか入社できない会社で、その多くを大企業を定年退職した人たちが占めている。

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社長の宮永良一さん(67)は、家電大手「シャープ」の元役員。やり手の営業マンとして知られた人物だ。
入社条件を60歳以上にした狙いについて、宮永さんは「“Old” boys, be ambitious!『シニアよ、大志をもって』というイメージ。普通の会社は60歳が一応定年。賃金的にも安い。自分が求めている職種に就けるか分からない。まだまだ仕事をしたいとか、やり残したことがある。そういう会社を提供する」と話す。

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M&Mはシニアの経験や知識を生かし、中小企業の企画開発や営業をサポートしているが、今回初めて自社製品の開発に取り組もうとしていた。
宮永さんが目をつけたのは、エアコンの取り替え工事。重さ25キロの室外機をロープ1本で吊り上げる作業だが、そこには3人の人手がかかっている。
エアコンの設置工事は、高齢化と重労働で年々人手不足に。さらに、2027年4月からは国のエアコン省エネ基準が引き上げられ、室外機が今より重たくなると言われている。
「社会の問題に対して、M&Mは一助になる商品を開発する」(宮永さん)。

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その開発を任されたのが、開発部長の山田秀樹さん(69)。キャリア50年のベテラン技術者だ。「高齢になって第一線で働けるということは、感謝しかない。給料以外のものがそこにはいっぱいある」。
山田さんは29歳で金属加工会社に入社し、定年退職したのは65歳の時。その後も同じ会社で働いていたが、去年、M&Mに転職した。

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山田さんは、室外機を吊り上げるための装置「ホイスト」を開発しようと動き出すが、そこに大きな課題が立ちはだかる。果たして、製品を市場に投入することができるのか――。

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