「チョコクロ」を守る!小麦高騰で「サンマルク」が仕掛ける新戦略:ガイアの夜明け


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7月3日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「国産小麦でチョコクロを!〜サンマルク 農業に挑む〜」。

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2025年9月11日。大手外食チェーン「サンマルクホールディングス」(京都市)の藤川祐樹社長は、農事業への参入を発表。700ヘクタール以上の国営農地を整備している熊本・宇城市と協定を結んだ。きっかけは、ウクライナでの戦火の影響を受けた小麦価格の急騰だった。
強い危機感を抱いた藤川社長は、農業法人「株式会社サンマルクファーム」を設立。子会社で小麦を生産し、それをサンマルクHDが消費するやり方で、食材調達の安定と農事業経営の安定という二兎を追う。
果たしてサンマルクファームの挑戦は、企業の参入による持続可能な農業のモデルとなり得るのか。初めての小麦生産プロジェクト――その300日に独占密着した。

「サンマルクファーム」2人の社員の挑戦


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1999年に誕生した「サンマルクカフェ」は、全国に290店舗を展開するベーカリーカフェ。
看板商品の「チョコクロ」(250円 ※一部店舗を除く)は、とろけるチョコとサクッとしたクロワッサンの食感が売り。全国で1日約3万個売れているが、食材価格の高騰などを背景に値上げが続き、今年4月にも20円値上げをした。

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2025年9月11日。熊本県庁(熊本市)で記者会見が行われ、サンマルクカフェを運営する「サンマルクホールディングス」の藤川祐樹社長(37)は、農業への参入を発表。
「熊本・宇城市で農事業を始める」と宣言した。

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世界的な小麦の生産地であるロシアとウクライナの衝突により、小麦の国際価格が急騰。小麦の自給率が16%(重量ベース)にとどまる日本の飲食業界を直撃した。
サンマルクHDは、他にも「鎌倉パスタ」「牛カツ京都勝牛」など45の飲食店ブランドを
傘下に持ち、グループ全体で小麦を年間約3000トン消費している。

小麦価格の高騰に強い危機感を抱いた藤川社長は、2025年7月31日に「サンマルクファーム」(熊本・宇城市)を設立。自治体と連携し、安定供給と価格維持のため、自ら小麦の生産を始めることにした。
「今の体制のまま外食業が10年、20年いけるのか。自分たちで小麦を作ることが、商売を持続させるためには必要不可欠」(藤川社長)。

サンマルクを誘致した熊本・宇城市の末松直洋市長(63)は兼業農家で、農業の持続性に危機感を抱いていた。「生産者は高齢化していて、どんどん減っていく中で、到底この農地を今の生産者では維持できない。サンマルクHDに入ってもらい、耕作放棄地を少しでも減らしていく」と期待を寄せる。

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宇城市は熊本県内でも有数の農業地帯だ。2024年時点の耕地面積は5370ヘクタール。東京ドーム約1100個分の農地が広がり、その半分以上を水田が占めている。
しかし、農業の担い手の数は、10年前から約3割減少。耕作放棄地なども目立つようになっていた。

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サンマルクファームは、浅川地区の6.5ヘクタール(東京ドーム約1.4個分)の田んぼを借りて、コメを育てていない11~6月の期間に小麦を裏作。
藤川社長が農場長として採用したのが、農業歴16年の原田悠士さん(47)だ。原田さんは、農業法人勤務や個人農園の運営を経験。企業が参入する形での新しい農業を模索してきた。

本来は10ヘクタールを借りる計画だったが、思うように農地が集まらないのが現状。しかも、借りられた農地は飛び飛びで、作業効率がよくない。
「顔も知らないような私たちに、『貸してくれ』とお願いされた。地域の人の心境を考えると、難しいところはあったと思う」(原田さん)。

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サンマルクファームで働くのは、農場長の原田さんと、前職は、農業高校で教師をしていた佐藤駿樹さん(31)のたった2人。
より効率よく農地を集約したいところだが、企業による農地の取得は「農地法」により厳しく規制されている。そのためサンマルクファームは、一軒一軒の農家と農地を借りる交渉を続けてきた。
コメを収穫した後の2025年11月1日から農地を借りて小麦を作り、次の田植えが始まる2026年6月までに返すという約束を、一軒一軒の農家と個別に結んできたのだ。

「転換点だと思っている。ここ10年の農業。これからの時代は世代交代も含めて、企業がやる必要性は高まっている」(原田さん)。

実は原田さん、小麦の本格的な生産は初めてで、気がかりなことがあった。
不知火海に面した宇城市は温暖で雨が多く、水がたまりやすいため、稲作に適している一方で、乾燥を好む麦の生産には向いていないのだ。
それでもサンマルクが宇城市を選んだ理由の一つが、この地で国が農地の基盤整備を進めていたこと。

「元々この地域は水捌けが悪くて、麦ができなかった。この国営事業で排水性を向上させる工事をしているので、麦が作れるようになる」(原田さん)。
宇城市は、全国23カ所で実施している「国営緊急農地再編整備事業」の対象地域。
2020年から国や自治体などの予算で、農地の改良が進められている。

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その一つが、穴のあいた管などを田んぼの中に埋め込むことで、地中の余分な水を排出する暗渠排水の工事。水捌けを改善し、コメを作らない期間は、畑として作物を生産しやすくする。稼げる農地に改良することで、農業の担い手を増やすことが目的だ。

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2025年11月。サンマルクが借りた農地で、いよいよ小麦の種まきが行われた。
初年度は3種類の小麦(はる風ふわり、ミナミノカオリ、シロガネコムギ)をまき、この土地に合う品種を検証する。「はる風ふわり」はパンに適した新しい品種の小麦。従来の品種よりも育てやすいのが特徴で、原田さんはこの品種をメインにすることを考えていた。

AIが作物の生育状況を分析 小麦は無事に育つのか――


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2025年12月10日。浅川公民館に地元の農家や地権者が集まり、原田さんは改めて、サンマルクファームの事業を説明した。2026年秋からも小麦の裏作を続けていくためだ。
「これから地域の方々にご理解いただいて、貸してもらえたら規模を拡大していく」。

当初の目標である、10ヘクタールの農地を集めるために協力を仰ぐが、地域の農家の一番の懸念は稲作に影響が出ること。また、小麦の生産にも懐疑的だ。
「5年間は絶対失敗する。佐藤くんが10年間、途中で逃げないように。やるからには最低10年間やって、少しでもサンマルクの足跡を残さないと。浅川地区が最初なら、2人の顔を覚えてもらわないと」。

信頼を得るための活動が一番大事――。原田さんと佐藤さんは、地域の人々の声を真摯に受け止めていた。

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2026年1月下旬。サンマルクの畑の小麦は、20センチほどに育っていた。
飛び飛びの6.5ヘクタールの農地を管理する原田さんたちには、頼りにしている武器がある。衛星写真の情報から、AIが作物の生育状況を分析するシステムだ。
色の濃淡で違いを示し、濃い緑はよく育っている場所。事務所にいながら広大な農地の状態を確認することができる。
小麦の生育が悪くなると、色がオレンジ、さらに赤へと変わるが、原田さんがオレンジ色の面積が拡大している畑の様子を見に行くと、深刻な“ある異変”が起きていた。
果たして小麦は無事に育つのか――。

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