【直撃】ニッポンの寺を中国人が買収…切実な裏事情:ガイアの夜明け

7月24日(金)に放送した「ガイアの夜明け」のテーマは、「寺クライシス!~後継者がいない、その時~」。
古くから日本人の暮らしと結びつき、生活や文化を形作ってきた「寺」。
しかし今、全国に約7万7000ある寺院のうち、約1万7000が住職不在とされ、廃寺は増え続けている。
背景にあるのは檀家の減少による経営難や後継者不足など。寺がなくなれば、先祖代々の墓が管理されなくなる懸念が生じるほか、葬儀や法事を行う場所が失われる恐れもある。
さらに、地域の景観悪化やコミュニティー自体が失われる事態にもつながる。
かつて私たちの身近にあった「寺」で、今何が起きているのか? 窮地に陥る寺の現状と新たな挑戦を追った。
【動画】《直撃》ニッポンの寺を中国人が買収…切実な裏事情
ニッポンの寺がピンチ!廃寺が続出…売買も!?

新潟・妙高市 。集落の外れに忘れられたようにたたずむ「長泉寺」(浄土真宗本願寺派)。
清算人になっている本願寺国府別院の住職・杉田 了さんは、「ここの寺は廃寺になっている。宗教法人として解散しているという状況」と話す。
長泉寺は2020年に住職が亡くなり、跡を継ぐ人が見つからなかった。そこで、同じ宗派の杉田さんが解散の手続きを申請。2月に認められた。

文化庁によると、日本の寺院はこの10年で1000近く減。約1万7000の寺に専任の住職がいない状態だという(一般社団法人 良いお寺研究会)。
長泉寺の建物は取り壊され、土地は売却される予定。しかし、こうした寺が今、新たな問題を生んでいる。それは、宗教目的ではない不可解な取引――。不正に利用されるケースがあるという。

実態に詳しい宗教法人ブローカーの山本隆雄さんは、7年前から寺などの売買の仲介をしている。
昨日山本さんのもとに届いた依頼書には、「(寺の)譲渡先を探してほしい。4000万円ほどを希望する」と書かれていたが、こうした依頼が後を絶たないという。
「脱法とかよく言われる。違法ではないけれど脱法。宗教を継ぐ目的ではない売買は脱法」。
山本さんが運営するサイトを見ると、3億8000万円、8億円など、寺が150ほど売りに出されていた。山本さんは契約が成立すると手数料として5%を受け取っているが、買う側にはどんな狙いがあるのか。
「まず脱税、節税というか。税金は8000万円まで申告書は出さなくていい」。
宗教法人は、お布施や賽銭などは非課税。物品の販売など収益事業にかかる税率も優遇されている。
山本さんいわく、最近目立つのが中国人の買主。3割ぐらいいるそうで、契約成立には至らないものの、中国人との交渉が増えているという。
「在留資格が取りやすくなるといううわさもある。永住権が取れるから欲しいとか。あとはビジネスで儲けようとか、納骨堂建ててとか、そんなものもあった」。
中国のSNSを見てみると、そこには、日本の寺院の売買情報が多数掲載されている。
ガイアはその中の一つの寺を訪ねたが、呼びかけても応答無し。
「中国の人で大阪で建設会社をしていて。買うけれども自治会には加入しない。別荘的な感じで時々来るだけだと」(自治会長)。

この寺は高齢だった住職が10年ほど前に亡くなり、3年前に中国人が住職の遺族から土地と建物を別荘として買ったという。
ガイアは寺を購入した人物に接触。今、中国のSNSに掲載されているのは、転売のためなのか――。日本の伝統や文化に深く根差してきた寺が、大きな転機を迎えている。
廃寺の危機を救え…後継者を探すプロジェクト!

富山市。山の麓にある「醫王山東薬寺」(高野山真言宗)。住職の人見照道さん(84)は足が悪く、座るのも一苦労。寺の仕事をこなすのが、年々つらくなっていた。
「右目はほとんど失明状態。緑内障の悪化によって、(読経の)行が狂う時がある」。
それでも現役を続けるのは、後継ぎがいないからだ。

東薬寺は701年(大宝元年)に創建された由緒ある寺。本尊の「不動明王像」は、鎌倉時代初期の作と言われ、富山県の文化財にも指定されている。
本堂の隣には、30年ほど前に建てられた観音堂があり、その中には1600体もの観音像が。全て信者と呼ばれる人たちが祈願を込めて奉納したもので、1口10万円だ。
「信者さん、世話してくれる人たちのおかげで(観音堂を)建立できた」。
東薬寺は、墓の管理や法要を営むのではなく、信者の寄付が中心で成り立っている。
20年ほど前までは祈願のため、信者が月に60人ほど来ていた東薬寺。しかし、高齢化や過疎化が進み、最近では月4、5人に。それに伴い、お布施も激減した。
人見さんは、なんとか後継ぎを見つけようと富山県内の同じ真言宗の寺に声をかけたが、地元では見つからなかった。そこで頼ったのが、一般社団法人「サンガ」(大阪市)の代表で真言宗の僧侶・眞田伸之さんだ。

眞田さんは高野山で修行を積んだ後、ある寺に勤めていたが、コロナ禍で寺の経営が逼迫し、辞めざるを得なくなった。そこで3年前、寺の悩みごとを解決する事業を立ち上げた。
最初に始めたのは、つぶれてしまった寺から仏像などを引き取り、必要とする寺に譲るビジネス。その中で、寺の後継ぎが見つからないという悩みが深刻なのを知り、仲介を始めた。

登録は寺も僧侶も無料。これまで4つの寺の後継ぎ探しに成功している。サンガは成功報酬として、後継ぎとなる人の年収の20%を得る仕組みだ。

この日、東薬寺に眞田さんから、後継ぎ候補の履歴書が届いた。高野山の寺で働く若い僧侶、米田裕貴さん(24)の履歴書だ。実は人見さん、これまで眞田さんから3人の候補者を紹介され、面談したものの成立しなかった。
6月下旬。人見さんは、後継ぎ候補の米田さんと面談することに。米田さんは母子家庭で育ち、母親が病に倒れると、高校を中退して寺の宿坊で働き始める。そのことが縁で、僧侶の道に入った。
「(寺の子でないと)跡取りは縁がないと回ってこない。せっかくお坊さんになったなら、住職として寺を任されて、人が幸せになれることのために頑張れたら」。
眞田さんと米田さんは東薬寺へ。運命の面談、その行方は――。
「3つの寺」の住職を掛け持ち…次の世代へ寺をつなげる!

長野・上田市。700年以上続く「西光寺」(真言宗智山派)。副住職の西川秀純さん(42)はこの寺で生まれ、今は住職である父親の仕事を引き継いでいる。
西川さんは檀家と家族のような付き合いをしており、こうした檀家が約400軒あるが、近年、思った以上に減っているという。
檀家が減ると、葬儀や法要などの際に受け取るお布施も減少、寺はまさに死活問題だ。
お布施には課税されないが、ほとんどが寺の維持費や修繕費などに消えていく。さらに西川さんは固定給で、そこには所得税が課税される。
午前10時、西川さんは同じ上田市にある「観音寺」(真言宗智山派)へ。前の住職が病気になったため、約1年前から西川さんが住職を兼務している。約200ある檀家の希望を受けてのことだ。
「代々皆さんが何百年と守ってきているので、いつかなくなる時が来るかもしれないが、今はつなげることができるなら、つなげなければならない」。

午後1時、西川さんが次に向かったのは、千曲市にある「智識寺」(真言宗智山派)。
西川さんはこの寺も兼務しており、1日に3つの寺を回るのが日課になっている。
智識寺は、740年(天平12年)に創建された歴史ある寺。茅葺き屋根の大御堂、その中に鎮座する十一面観音は、ともに国の重要文化財に指定されている。
しかし、この寺も今、廃寺の危機を迎えていた。その深刻な課題とは――。
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