「このままの人生でいいの?」30代を襲う<クォーターライフクライシス>専門家が解説
学校を卒業して社会に出て数年が経つ20代後半から30代前半は、仕事や結婚など人生の大きな選択に向き合う時期です。理想と現実のギャップから、漠然とした不安や焦燥感、憂うつ感を抱え、「このままの人生でいいのだろうか」と生き方に迷いを感じる人も少なくありません。
こうした心理的な葛藤は、「クォーターライフクライシス」と呼ばれています。病気ではありませんが、そのまま悩みを抱え込み続けると、心身の不調につながるケースもあるとされています。
「テレ東プラス」は、自身もクォーターライフクライシスを経験し、、現在は企業や大学などで若者の相談に向き合う心理カウンセラー・中山拓人先生に、その実態や乗り越え方について伺いました。
【動画】階段を上がるか、エスカレーターを使うかで人生が変わる!?乱れやすい「自律神経」の秘密に迫る
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――近年耳にすることが増えた「クォーターライフクライシス」。具体的にはどのような状態を指すのでしょうか。
「主に20代後半から30代前半に生じる、人生の方向性への迷いや不安、自己像の揺らぎを指す言葉です。人生の4分の1ほどの年齢で起こりやすいことから名付けられましたが、心理学や精神医学の正式な診断名ではありません。2001年にアメリカで出版された書籍をきっかけに広まった概念で、大人としての役割や責任を担い始める時期に生じる葛藤を表しています。
私は、クォーターライフクライシスはうつ病や適応障害とは異なり、人生の節目に起こる自然な心の変化だと考えています。将来への不安は誰もが抱く感情ですが、クォーターライフクライシスでは、本当にこの生き方でいいのか、自分は何を大切にしたいのかと、自分の価値観や人生そのものを問い直す気持ちが強くなるのが特徴です。
価値観が多様化し、AIの普及などで情報があふれる現代は、周囲と比べやすく、迷いも大きくなりがちです。その状態で悩みを一人で抱え込み続けると、強い自己否定や慢性的なストレス、意欲の低下、不眠などにつながり、結果としてメンタル不調を招く可能性もあります」
――どのような人がクォーターライフクライシスに陥りやすいのでしょうか。
「真面目で誠実、責任感が強く、周囲への配慮ができる人ほど経験しやすい傾向があります。本当はどう生きたいのか、この選択は自分らしいのかと人生を深く考える人ほど悩みやすいですね。
また、正解を探し続ける、周囲を優先する、納得できるまで考え込む、失敗を避けようとするといった傾向も見られます。本音よりも正解を優先して生きてきた人ほど、自分の人生を問い直すタイミングが訪れやすいのです」
――仕事や結婚などのライフイベントとも関係しているのでしょうか。
「非常に深く関係しています。20代前半までは、進学や就職など、ある程度は誰かが敷いたレールの上を歩いている感覚を持つ人も少なくありません。しかし20代後半から30代前半になると、仕事を続けるのか、転職するのか、結婚するのかなど、自分で決断しなければならない場面が増えます。誰かが決める人生から、自分で決める人生へ切り替わる時期だからこそ、本当にこれでいいのだろうかという問いが生まれやすくなるのです」
――実際に相談に来られる方は、どのような悩みを抱えていますか?
「将来への漠然とした不安や違和感、仕事へのモチベーション低下、やりたいことが分からない、決断できない、周囲と比べて焦る、自己否定が強くなるといった悩みが多く見られます。差し迫った大きな問題があるわけではありませんが、何となく満たされず、自分の本音が分からなくなっている方が少なくありません。
転職や退職を考えて相談に来られる方も多いですが、仕事が嫌だから辞めたいというより、本当にやりたいことは何か、どんな人生を送りたいのかという問いが背景にあります。
どこへ行ってもここじゃないと感じて転職を繰り返す人もいますが、大切なのは転職することではなく、なぜ今その選択をしたいのかを丁寧に見つめることです。その問いに向き合った先に、転職という選択があるのなら、それは自然な流れだと思います」
こうした心理的な葛藤は、「クォーターライフクライシス」と呼ばれています。病気ではありませんが、そのまま悩みを抱え込み続けると、心身の不調につながるケースもあるとされています。
「テレ東プラス」は、自身もクォーターライフクライシスを経験し、、現在は企業や大学などで若者の相談に向き合う心理カウンセラー・中山拓人先生に、その実態や乗り越え方について伺いました。
【動画】階段を上がるか、エスカレーターを使うかで人生が変わる!?乱れやすい「自律神経」の秘密に迫る
「このままでいいのだろうか…」本音と現実のズレが引き起こす人生への問い直し

――近年耳にすることが増えた「クォーターライフクライシス」。具体的にはどのような状態を指すのでしょうか。
「主に20代後半から30代前半に生じる、人生の方向性への迷いや不安、自己像の揺らぎを指す言葉です。人生の4分の1ほどの年齢で起こりやすいことから名付けられましたが、心理学や精神医学の正式な診断名ではありません。2001年にアメリカで出版された書籍をきっかけに広まった概念で、大人としての役割や責任を担い始める時期に生じる葛藤を表しています。
私は、クォーターライフクライシスはうつ病や適応障害とは異なり、人生の節目に起こる自然な心の変化だと考えています。将来への不安は誰もが抱く感情ですが、クォーターライフクライシスでは、本当にこの生き方でいいのか、自分は何を大切にしたいのかと、自分の価値観や人生そのものを問い直す気持ちが強くなるのが特徴です。
価値観が多様化し、AIの普及などで情報があふれる現代は、周囲と比べやすく、迷いも大きくなりがちです。その状態で悩みを一人で抱え込み続けると、強い自己否定や慢性的なストレス、意欲の低下、不眠などにつながり、結果としてメンタル不調を招く可能性もあります」
――どのような人がクォーターライフクライシスに陥りやすいのでしょうか。
「真面目で誠実、責任感が強く、周囲への配慮ができる人ほど経験しやすい傾向があります。本当はどう生きたいのか、この選択は自分らしいのかと人生を深く考える人ほど悩みやすいですね。
また、正解を探し続ける、周囲を優先する、納得できるまで考え込む、失敗を避けようとするといった傾向も見られます。本音よりも正解を優先して生きてきた人ほど、自分の人生を問い直すタイミングが訪れやすいのです」
――仕事や結婚などのライフイベントとも関係しているのでしょうか。
「非常に深く関係しています。20代前半までは、進学や就職など、ある程度は誰かが敷いたレールの上を歩いている感覚を持つ人も少なくありません。しかし20代後半から30代前半になると、仕事を続けるのか、転職するのか、結婚するのかなど、自分で決断しなければならない場面が増えます。誰かが決める人生から、自分で決める人生へ切り替わる時期だからこそ、本当にこれでいいのだろうかという問いが生まれやすくなるのです」
――実際に相談に来られる方は、どのような悩みを抱えていますか?
「将来への漠然とした不安や違和感、仕事へのモチベーション低下、やりたいことが分からない、決断できない、周囲と比べて焦る、自己否定が強くなるといった悩みが多く見られます。差し迫った大きな問題があるわけではありませんが、何となく満たされず、自分の本音が分からなくなっている方が少なくありません。
転職や退職を考えて相談に来られる方も多いですが、仕事が嫌だから辞めたいというより、本当にやりたいことは何か、どんな人生を送りたいのかという問いが背景にあります。
どこへ行ってもここじゃないと感じて転職を繰り返す人もいますが、大切なのは転職することではなく、なぜ今その選択をしたいのかを丁寧に見つめることです。その問いに向き合った先に、転職という選択があるのなら、それは自然な流れだと思います」
快の感情は2割だけ?人生の不快と向き合い、自分なりの生きる道を決める

――クォーターライフクライシスを乗り越えるために、大切にすべきことは何でしょうか。
「人間の生き方は大きく分けると、挑戦して生きるか、諦めて生きるかの二通り。多くの人はリスクを避け、諦めながら生きているのが現実です。
もちろん、諦めること自体が悪いわけではありません。ただ、クォーターライフクライシスを乗り越えられる人は、勇気を持って壁に向き合い、乗り越えようとする人です。
また、人間の基本感情を心理学的に見ると、快の感情はわずか20パーセント程度で、残りの80パーセントは不快の感情でできていると言われています。
人間は辛いことや苦しいことを避けたいと思うものですが、不快を味わうことは決して特別なことではありません。大切なのは、そこから逃げるのではなく、どう向き合い、どう乗り越えていくかを考え続けること。それが本質的な解決につながります」
――焦って抜け出そうとするのではなく、じっくり向き合う必要があるんですね。
「大切なのは、正解を探すことではなく、自分なりの生きる道を決めること。
人生は数学の問題ではありません。どの仕事を選べば正解なのか、誰と結婚すれば幸せなのかといった問いに、決まった答えはないのです。
早く答えを出さなければと焦るほど苦しくなります。本当の自分はどうしたいのか、どんな人生なら納得できるのか…その問いに向き合い続けることが、自分の軸を見つけることにつながります」
――自分の感情と向き合い続けるのは、とても苦しい作業だと思います。一人で悩むことで悪化するリスクはありますか?
「クォーターライフクライシスに陥りやすい真面目な人ほど、一人で日記を書いたり、一人反省会をしたりして、悩みを深掘りしてしまう傾向があります。
しかし、自分の中だけで対話を続けていると、同じ考え方の中を行き来してしまい、新しい気づきは生まれにくいものです。誰かと意見を共有し、一人で抱え込まないことが何より大切です」
――周囲にクォーターライフクライシスで悩んでいる人がいる場合、どのように接するのが望ましいのでしょうか。
「まずは、話をしっかり聴くことです。
無理にアドバイスをしたり、自分の価値観や哲学を押し付けたりすると、かえって本人を混乱させてしまうことがあります。
『こうするべき』と伝えるのではなく、『そっか、そう感じているんだね』とありのままを受け止め、安心して悩める環境をつくることが、周囲にできる大切なサポートだと思います。
また、悩んでいる本人も、一人で抱え込まずに、自分が安心して話せる人や、否定せずに受け止めてくれる人に相談することが大切です。
もし、眠れない、食欲が落ちている、仕事や学校に行くことがつらい、『消えてしまいたい』と考えることがあるといった状態まで追い詰められている場合は、限界を待たずに、早めに専門家へ相談してほしいと思います。
そこまで深刻な状態でなくても、同じことを何か月も考え続けている、自分一人では整理できないと感じた時点で相談することには、とても大きな意味があります」
――中山先生ご自身も、過去にクォーターライフクライシスを経験されたそうですね。
「私も20代の頃に、どん底を経験しています。
当時は、警察官から苦労して消防士に転職したものの、仕事にやりがいを見出せませんでした。その一方で、周囲からの期待や、これまで積み重ねてきた時間を考えると辞めることもできず、もがき苦しんでいました。
本心では別の道に進みたいと思っていたのに踏み出せずにいた時、難病が発覚。
病気が分かったことで、すべてをリセットしようと思えました。付き合う友人も見直し、心理学を猛勉強する大きなきっかけにもなりました。
今振り返ると、病気という大きな出来事が、自分の本当の気持ちに気づかせてくれたのだと思います。
あの経験があったからこそ、同じように苦しんでいる人を救うきっかけになりたいと思い、現在のカウンセラーという天職に出会うことができました」
――最後に、今まさにクォーターライフクライシスに悩んでいる方々へ、メッセージをお願いします。
「私は、クォーターライフクライシスに悩んでいる人へ、あえて『おめでとうございます』と伝えたいと思っています。
なぜなら、悩むことは成長しようとしている証拠であり、『このままでいいのだろうか』という心の葛藤は、自分自身からの大切なサインだからです。
クォーターライフクライシスは、単なる危機でも人生の終わりでもありません。本当の自分の人生を生き始めるための入り口です。
一人で抱え込まず、時には専門家や信頼できる人の力も借りながら、自分なりの生き方を見つけていってほしいと心から願っています」

【中山拓人 プロフィール】
「心理援助アートナビ」代表カウンセラー。警察官、消防士を経てカウンセラーへ転身。20代で難病を経験したことをきっかけに心理学を学び始め、自分自身と向き合う中で心のケアの重要性を実感。自身の経験を生かし、クォーターライフクライシスを専門に、カウンセリングやコーチング、コンサルティングを通じて人生やキャリアに悩む人の問題解決を支援している。産業カウンセラー、メンタルアナリスト(TA理論)などの資格を持つ。
(取材・文/みやざわあさみ)
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