コロナで危機に陥った「佰食屋」のいま…パンサブスク起業家の新たな挑戦:ガイアの夜明け


ガイアの夜明け
8月21日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「あの主人公はいま…SP 幸せを生む!パンとおにぎり~成長より持続、食の新戦略」。

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京都で100食限定の食堂を営み、「売り上げを減らそう」と訴えた女性経営者。地方のベーカリーのパンを全国へ届ける仕組みを生み出した若き起業家。ガイアが追った2人の主人公は、コロナ禍を経てどんな道を歩んだのか。

原材料価格や人件費の高騰・人手不足・食品ロス。私たちの暮らしに身近な食堂や街のパン店は、いま厳しい経営を迫られている。売り上げを増やし、規模を拡大することだけが、生き残る道なのか。

京都で「佰食屋」を経営する中村朱美さんは、店舗での販売数をあえて減らす一方、常温で100日間保存できる新たな商品「佰にぎり」を開発。パンのサブスクを運営する「パンフォーユー」の矢野健太さんは、登録する全国のパン店の品を取りそろえる常設店を開始。さらに、AIを活用して食品ロスや長時間労働の解決に挑んでいた。
2人が追い求めるのは、規模の拡大ではなく、無理なく働き、商売を続けられる仕組み。小さな会社から始まった挑戦は、いま社会のさまざまな場所へ広がり始めていた――。

パンの売れ残りをゼロへ…サブスク起業家の挑戦!


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栃木・鹿沼市にある「福田屋 鹿沼店」。1階の食品売り場の一角に最近誕生したのが、食パンやベーグルなど50種類以上をそろえるベーカリーだ。
ここでは、岡山の店の食パンや和歌山のカレーパンなど、全国各地の街のパン屋さんの売れ筋をそろえている。

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なぜ、あまり日持ちしないパンを全国から集められるのか――。
店を運営する「パンフォーユー」代表の矢野健太さん(37)はストッカーを見せ、「パンを冷凍で保管している」と教えてくれた。
各地のベーカリーが、冷凍状態のパンを配送。その秘密は、解凍しても味の劣化が少ない、特殊なビニール袋にあるという。
店では、必要な分だけ冷蔵庫でゆっくり解凍。パンを常温にして店頭に並べている。

2021年、ガイアはそんな矢野さんに密着。矢野さんは、コロナ禍で苦しむ地方のベーカリーを救うため、パンを冷凍して消費者にサブスクで届けるサービスを展開していた。

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このベーカリーは、そんな矢野さんが初めてつくった実店舗で、新たな課題に立ち向かっていた。実はいま、全国のベーカリーなどの78%が人手不足に悩んでいるという(2025年 グローアップ調べ)。作り置きのできる冷凍パンは、その解決策の一つだった。
「パンフォーユーのおかげで、店舗の運営やおいしいパンを提供できる……そういう存在になりたい」。矢野さんは、“地方の店を幸せにする挑戦”を続けていた。

2021年4月放送

地方のパンを都会の食卓に届ける「パンフォーユー」(2017年設立)。2021年当時、従業員は約30人で、東京・中央区京橋のシェアオフィスを借りていた。
広告会社で勤務していた時、地方創生に興味を持った矢野さんは、地方のパンを全国に流通させたいと特殊なビニール袋を開発。

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「通常の袋に比べて、水分と香りを高く保ってくれる。でんぷんの劣化を抑えるのが特徴」(矢野さん)。
ビニール袋の内側にある「ガスバリア層」という特殊な層がパンの水分や香りを逃さず、焼き立てをキープしてくれるという。
「パンフォーユー」の調べでは、高いほどおいしいとされるでんぷんの糊化度や水分量が、常温で保存するより、この袋で冷凍した方が高くなることが分かった。

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「パンフォーユー」は、厳選した約30の地方の名店と提携。そのパンを特殊なビニール袋に入れて冷凍し、首都圏の家庭に届ける「パンスク」というサービスを始めた。
「パンスク」を利用している人は、東京を中心に約6000人(2021年)。送料込みで1回3990円(2021年)、一箱に6~10個のパンが入っている。
加盟店の一つで、モチモチふわふわのベーグルが自慢の「ブーランジェリー Sai」(群馬・高崎市)は、2020年5月「パンスク」に登録。売り上げの約5割を「パンスク」が支えていた。

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あれから5年――。「キリンホールディングス」(東京・中野区)に矢野さんの姿が。
「パンフォーユー」は、2022年からキリンと業務提携。この日は、キリンの飲料と矢野さんのパンをセットでホテルや飲食店に売り込むための試食会が開かれた。
提携するベーカリーは、5年前の約30店から約200店に拡大し、売り上げも2倍以上に。
「パンフォーユー」は、大企業も注目する存在になっていた。

さらに矢野さん、ベーカリー向けにAIを使った「需要予測アプリ」を開発しようとしていた。その全貌とは――。

京都の人気ステーキ丼店が開発!働く人を支える「おにぎり」


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一方、阪神電車・甲子園駅(兵庫・西宮市)。駅の事務所には設置型の社食があり、この日、駅員が選んだのが、社食で一番人気の「イシイの佰にぎり」(1個100円 ※阪神電鉄の社食の場合)。このおにぎりはタンパク質が多く摂取できる他、常温で100日間保存できるのが特徴。作っているのは「石井食品」(千葉・船橋市)で、ステーキ丼味など5種類の味がそろう。

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開発したのは、「石井食品」社外取締役を務める中村朱美さん(42)。
「電力に頼らず、常温でも運べて日持ちがするというのは、これからの世界にとっては必要な条件だと思う」。

飲食店を経営する中村さんは、2021年、「石井食品」に「佰にぎり」の開発を持ちかけた。味を落とさず、常温で長期間保存できるおにぎりを約1年かけて共同開発。
「阪神電鉄」の他、救急病院や工場など約700社の社食に置かれ、累計販売数約46万食の大ヒット商品になった。

ガイアは6年前、中村さんに密着していた。

2020年6月放送

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2020年3月。中村さんが経営する「佰食屋」(京都市)には、開店前から行列ができていた。看板メニューは「ステーキ丼」(1100円 ※2020年)。昼の12時前、普通はここからがかき入れ時だが、店の前には早くも完売のプレートが。
実はこの店、100食売れたら営業終了。午後は翌日の準備や雑務にあてている。
長時間労働になりがちな飲食業界にあって、残業はゼロだ。

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そんな働き方を広めようとしているのが、オーナーの中村さん。
「世間で『ブラック』と言われたり、働き方が大変だったりというのを見て、食べるのが好きなのに、そこで働いている人がしんどいって嫌だなと」。
中村さんは、注目の女性起業家として「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」など、数々の賞を受賞。時代の寵児として大きな注目を集めていた。

レストランに勤務する両親のもとに生まれた中村さん、父親はいつも残業続きだった。
一般企業に就職し、不動産会社に勤める剛之さんと結婚したが、お互い残業続き。
「もっと家族の時間を作りたい」と、2012年に「佰食屋」をオープンさせた。

中村さんが目指すのは、家庭を大切にできる働き方。そのビジネスモデルは、徹底的に無駄を省いたものだった。
使用する国産牛は塊で仕入れ、店でカットすることでコストを抑える。さらに、ステーキに使えない部分はひき肉にしてハンバーグに。100食限定にすればロスがなくなり、利益が上がるというのだ。
この取り組みを広げようと考えた中村さんは、2015年に「佰食屋 すき焼き専科」、2017年に「佰食屋 肉寿司専科」と、立て続けにオープンさせた。

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2019年には、4店舗目となる「佰食屋1/2」をオープン。この店では、1食1000円、50食限定にし、1カ月の売り上げを125万円と見込んでいた。
家賃と材料費を75万円で運営できれば、月収は50万円になる。夫婦2人で営むと、年収600万円になるという算段だ。中村さんは「佰食屋1/2」を成功させて、フランチャイズ展開したいと考えていた。
しかし、その1年後、コロナが日本を襲う。「佰食屋」4店舗の売り上げは通常の半分以下になり、存亡の危機に。この時、中村さんが下した苦渋の決断とは――。

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あれから6年、「佰食屋」はどうなったのか。

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