【いすゞ】が挑む「AIトラック」2030年物流危機を救う戦略と現場の葛藤 :ガイアの夜明け

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9月4日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜 夜10時)のテーマは「いすゞ自動運転の野望~AIトラックが物流を変える~」。

【動画】いすゞが挑む「AIトラック」2030年物流危機を救う戦略と現場の葛藤

2030年度、日本の輸送力が最大約25%足りなくなるとの予測がある。ドライバー不足などでスーパーやコンビニの棚に商品がそろわず、ネットで注文した荷物も予定どおり届かない…こうした「物流危機」が現実味を帯び始めている。

この状況を乗り越えるため、国内シェアトップの商用自動車メーカー「いすゞ自動車(ISUZU)」が開発を進めるのが自動運転だ。
自動運転は、グーグル、アマゾン、エヌビディアなど世界の巨大テック企業が開発競争を繰り広げる成長市場で、その規模は、2029年には世界で約18兆円に達するという試算もある(総務省 令和8年版情報通信白書より)。

いすゞが目指すのは、特定の条件下で無人運転が可能な「自動運転レベル4」の2027年度中の社会実装。その開発現場に独占密着した。

世界で拡大する自動運転の開発競争


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1月、アメリカ・ラスベガス。最先端のテクノロジーが集まる世界最大級の見本市「CES」が開催された。人々を驚かせたのが、エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアンCEOによる発表だ。

「世界初の自律的に思考する自動運転向けAI『アルパマヨ』を発表する」。

周囲の状況を自ら判断し、自律走行する自動運転向けのAI「アルパマヨ」。このAIは、無人運転の安全性と精度を飛躍的に高めるという。

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見本市CESの会場では、いすゞ自動車(神奈川・横浜市)が商談に臨んでいた。「自動運転レベル4を目指していて、長距離を感知できるセンサーを探している」(「いすゞ自動車」ASシステム開発部 矢澤康宏さん)。

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日本の先を行くアメリカでは、2025年春、無人トラックの商用運行を開始。運転手のいないトラックが荷物を運び、規模を拡大している。
一方、日本は2024年、商用車メーカー4社などによる共同実験が行われた段階。国もようやく、自動運転の開発の後押しを始めた。
いすゞは、走行車線への合流や障害物があった時の車線変更など、自動運転の実験を重ね、高速道路での完全無人運転を目指している。

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プロジェクトの陣頭指揮を執るのは、入社39年目、叩き上げのエンジニア・佐藤浩至さん(62)。佐藤さんには、開発にかける強い思いがある。

「人流・物流の社会課題として、ドライバー不足がある。その部分を自動運転化することで、物流を効率よくできるのではないか。
我々の生活や日本という国が生き残っていくために、物流を維持する、確保するのは必要。『今やらないとまずい』という気持ちで急いでいる」(佐藤さん)。

どん底で見えた“生き残る道”


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いすゞは、小型トラック「エルフ」や大型トラック「ギガ」が主力商品。売上高は約3兆4000億円(2026年3月連結)、従業員は世界21カ国で4万人を超える。
創業は1916年(大正5年)。昭和に入ってトラックの国産化に成功し、以来、日本の物流を支えてきた。

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昭和30年代からは乗用車に本格参入。人気小型車「ジェミニ」やイタリア人デザイナーを起用した「ピアッツァ」を発売。しかし平成に入ると、過剰投資から経営危機に陥り、乗用車事業からの撤退を余儀なくされた。

いすゞはなぜ、復活したのか。愛車に命と人生を預けるドライバーたちは、いすゞをこぞってこう評する。「大きい故障で車を止めたことがない」「いすゞは重量を積んでも強い。重たいものを積んでも、ちゃんと走る・止まる・曲がる」。

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質実剛健なトラック造りで、いすゞの国内シェアは1位の42%(2025年 出典:日本自動車会議所)。世界36の国や地域でもシェア1位。そして今、社を挙げて自動運転に挑んでいる。

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いすゞの自動運転トラックは、レーザー光線やカメラなどの31の機器で、360度全方位を絶え間なく把握。集めた情報をAIが統合、判断することで自律走行が可能になる、いわば“AIトラック”だ。
「大型トラックは幹線輸送で使う。ラストマイルで荷物を集め、高速道路で運ぶが、その幹線輸送の部分を自動運転化する」(佐藤さん)。

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いすゞは、このAIトラックを使って高速道路での無人輸送を計画している。
物流拠点から高速道路まではドライバーが運転。そこでドライバーは車を降り、高速道路を無人で走る。そして、高速出口から目的地まで、また別のドライバーが運転するのだ。
これまでの長距離輸送は、一人のドライバーが日をまたいで運ぶこともざらだった。
自動運転が実現すれば、負担は大幅に減る。さらに、24時間休みなく稼働できるので、物流危機の歯止めにもなると期待されている。

予測困難な道を走る…これが“AIトラック”


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1月、カリフォルニア州 マウンテンビュー。佐藤さんはAI開発競争の舞台、世界的IT企業がひしめくシリコンバレーを訪れた。
向かったのは「アプライド・インテュィション」。自動運転用のAIを手がけ、急成長しているユニコーン企業だ。「グーグル」の出身者が立ち上げた。
2024年、いすゞはこの企業と戦略的パートナーシップを締結。ここに自社のエンジニアを常駐させ、最新の自動運転システムを共同開発している。

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アプライド社にあったのは、いすゞの大型トラック「ギガ」に最新システムを搭載したAIトラック。最大の特徴は、AIが自ら周囲の状況を判断し、自律的に走行することだ。

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いすゞの自動運転トラックは、これまで人間がプログラムして走行していた。2026年、ついにAIを搭載。今後はAIが学習するための走行データを収集する。
「2027年度中に事業化するので、その範囲内で量産したい。時間がない」(佐藤さん)。
アプライド社は、AIの自律走行に欠かせない路上でのデータ収集をアメリカで繰り返していた。必要なデータ量は600万km分、地球150周分に及ぶという。

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収集したデータをもとに、いすゞとアプライド社の会議が始まった。議論になったのは、パーキングエリアで起きがちな事象。低速走行の自動運転車にしびれを切らした別の一般トラックが、進路を遮って通行したのだ。
事故につながりかねないこうした事例を集め、AIに学ばせることで安全性が高まっていく。

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帰国後、実用化に向け、国内でのデータ収集の準備を進めていた佐藤さん。ところが、AIトラックを公道で走らせるための安全検査が遅れているという。
「少しの遅れが全体に影響する度合いがどんどん高くなってくる。切迫感、緊張感が増している」。

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4月、東京・大田区。いすゞの自動運転開発の拠点に片山正則会長(72)が現れた。
AIトラックの開発は、片山会長肝入りのプロジェクト。車体の隅々に目を光らせ、「データ取りは間に合う?」と佐藤さんに問う。
本来、ひと月前に開始するはずだった日本での走行データ収集。AIトラックの自律走行に最も重要な工程だが、検査の遅れからいまだ始められていない。今年度中にAIトラックを20台以上を走らせ、データ収集を急ぐ計画だ。
「商用車メーカーとしての今の位置づけと自動運転の関係をどう捉えるかを考えている。これは競争」(片山会長)。

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開発を急ぐ自動運転――。佐藤さん、遅れは取り戻せるのか? そこにさらなる試練が訪れる。

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