【とくし丸】買い物弱者を救う移動販売の舞台裏…1日18万円売り上げる“凄腕ドライバー”に密着:ガイアの夜明け

9月18日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜 夜10時)のテーマは「買い物をあきらめない!~弱者を守る、小売り新戦略~」。
【動画】<とくし丸>買い物弱者を救う移動販売の舞台裏…1日18万円売り上げる“凄腕ドライバー”に密着
過疎化が進み店舗の閉鎖・撤退が続く地方都市。高齢者や車の運転ができない人たちは日々の買い物にも困る、いわゆる「買い物弱者」となってしまう。
実はこうした人たちは全国に900万人以上に上るという。65歳以上の高齢者の約25%にあたり、ネット通販の利用も難しいのだという。
こうした人たちを救おうと立ち上がった企業が「とくし丸」と「ローソン」だ。
キーワードは「自分で見て選ぶ楽しみ」、そして「持続可能性」。人口が減少する中でも収益を上げるビジネスモデルを、新たに構築しようと動き出していた。
果たして、すべての人に楽しい買い物を提供することはできるのか――。その挑戦を追った。
過疎地の高齢者に”買い物の楽しみ”を!移動スーパー「とくし丸」

約700人が暮らす山形・高畠町 二井宿地区。この地域に住む今野さん(90)。膝を悪くし、歩くのも困難だ。
近くに数軒あった店は閉店し、最寄りのスーパーまでは片道8km。二井宿地区は、車がないと買い物が難しい地域になっていた。
そんな今野さんが心待ちにしているのが、毎週やって来る移動スーパー「とくし丸」。軽トラックいっぱいに商品が積まれ、野菜や日用品、冷蔵庫には肉や魚などの生鮮食品、クーラーボックスにはアイスまで…この1台で約400品目1200点そろう。
手数料は1点につき20円。8km先のスーパーの商品を積んで売りにきてくれる。
「買ったものを持って帰るのも大変。助かっている」(今野さん)。

ドライバー歴6年の山田洋貴さん(40)は、契約しているスーパーで、高齢者でも食べやすい加工品など顔馴染みのお客の好みを考えながら、一つ一つ選んでいく。毎朝4時間かけて商品を選び、軽トラックがいっぱいになるまで詰め込む。

とくし丸の仕組みは、本部が各地のスーパーと契約し、契約金や利用料を受け取る。
そして、とくし丸が育成したドライバー兼販売員がスーパーからの委託を受け、商品を積み1軒1軒を回り販売する。
利用客は登録さえすれば、基本的に週に2回、決められた時間、決められた曜日にとくし丸がやってくる。ネットや電話での予約も必要なく、高齢者には優しい仕組み。

午前10時30分、商品の積み込みを終えた山田さんはスーパーを出発。15分ほど走り、最初の客の元へ。
とくし丸は、家の軒先の前に車を止め販売するため、雨の日などは特に便利。
山田さんは高畠町で3つのルートを受け持っており、合わせて180人ほどの客がいる。
「とくし丸のビジネスモデルは、衝撃的で魅力的だった。とくし丸だからこそ、ここでこういう販売ができた」(山田さん)。
山田さんの売り上げは、全国で走っているとくし丸の中でもトップクラス。
商品を選ぶ楽しさを提供するのはもちろんだが、山田さんは客を下の名前で呼び、会話も大切にしている。
「人間そのものがいい人だし、品物もいっぱいある」「母の生きがいの一つになっている」と話す客も。
この日、山田さんは9時間かけて28カ所に立ち寄り、合計42キロ移動した。

ドライバーの平均的な売り上げは、1日約10万円。この日の山田さんの売り上げは、約18万円だった。売り上げ(税抜き)の17%がドライバーの収入になる。
さらに、ガソリン代など車の維持費として、販売した商品1点につき7円受け取れる仕組み。移動販売に使うのは山田さんの車で、ドライバーの多くは個人事業主だ。
「お客がすべてなので、積み重ねが売り上げにつながってくる。物売りだけでなく、しっかり気持ちがつながる販売をしたい」(山田さん)。
都市部に潜む…“隠れ買い物弱者”を救え!元看護師の挑戦

とくし丸の従業員は50人で、移動スーパーの年間販売額は311億円(2025年)。
その歴史は2012年、徳島県で2台の軽トラから始まった。
2016年、食品通販大手「オイシックス」の傘下に入ったことで急拡大。今や47都道府県全てで約1200台が走っている。率いるのは、オイシックス出身の新宮歩さんだ。
「私たちが日頃活動している中で、移動販売車両は3000~4000台ぐらい走る必要がある。(それくらい台数があれば)きっと『買い物難民』という言葉がなくなる」。
実は周辺にスーパーがいくつもある都市部でも、とくし丸に客が集まっていた。「足と腰が悪いから、一人ではスーパーにいけない」という客も。
こうした“隠れ”買い物弱者の人たちの半数近くが三大都市圏に集中、増え続けているという。

そこで、都市部に潜む買い物弱者を救うべく、とくし丸が次のターゲットに選んだのが、人口約14万人の埼玉・深谷市。75歳以上の人口分布図を見ると赤が多く、高齢者がいることを示している。
「便利に見えて車がなくなると、すごく大変になってしまう。実はその店から2~3km圏内の所が交通手段を失うと、すごく不便になる」(事業推進本部・内野輝さん)。

7月。新車を買い、深谷市で販売ドライバーを始めようとしていたのが元看護師の新井裕子さん(47)だ。新井さんが1軒1軒挨拶回りをすると、すぐに100人以上から「利用したい」との声が上がる。
8月。新井さんは、深谷市の小島進市長とも面会。市が期待を寄せているのは、買い物だけではないというが、そこにどんな狙いがあるのか――。
さらに番組は、新井さんのとくし丸デビューにも密着する。
過疎地でも‟もうかる”新コンビニ!?ローソンが狙う市場とは

人口約1900人の宮城・石巻市 北上町。この地で、大手コンビニチェーン「ローソン」(東京・品川区)が動き出していた。
一般的なコンビニの商圏人口は約3000人(出所:国土交通省)だが、その数に全く足りない北上町で何を仕掛けるのか。
「儲からないからやらないのではなく、売り上げが低くても成り立つモデルをつくる取り組み。そういった場所でのチャレンジになる」(ローソン 開発本部 法人ビジネス部・新沼秀樹部長)。

新沼さんは、東北などで100店舗以上の新規出店を手がけてきた開発のスペシャリスト。
そんな新沼さんが向かったのは、この周辺地域で唯一の店「にっこり商店」だ。
店のオーナー・佐藤慶浩さん(50)は、地元で40年近く続く水産加工会社「カネキ水産」の2代目社長。三陸の海産物などを加工し、全国のホテルや飲食店に販売している。
実は北上町、東日本大震災で津波の被害を受け、多くの店がなくなった。佐藤さんはふる里を盛り上げ、子供たちが歩いて行ける店をつくろうと、2021年ににっこり商店をオープンさせた。
棚に並ぶのは、佐藤さんが自ら車を走らせ、近隣のスーパーで買い付けたもの。しかし、個人で仕入れるのには限界があり、店も妻・有沙さんが本業の合間に一人で切り盛りする苦しい運営が続いていた。そんな中、新沼さんの提案を受けた佐藤さんは、にっこり商店をコンビニとしてリニューアルすることに決めた。

「出店コストは10分の1くらいに抑えたい。外観を含めて全くいじらないのは、コンビニ業界でも初めてだと思う」(新沼さん)。
店にあるものをなるべく活用し、初期投資を極力減らしてリニューアル。営業時間も朝7時~夜7時までにし、余分なものを一切省く引き算の経営。小さな売り上げでも利益が出るビジネスモデルを目指す。ローソンは、にっこり商店をその1号店に位置付けていた。
ローソンはこうした方式を全国の過疎地へ広げる計画だが、竹増貞信社長が語る戦略とは――。
番組では、「にっこり商店 with LAWSON」のため、新沼さんが目をつけた高齢者のための有償ボランティア制度、リニューアルオープン当日の様子も紹介する。
この番組が見たい方は「テレ東BIZ」へ!
※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。