【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け


9月25日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「“脱・串カツ田中”で勝つ!~成功体験を捨て、大改装に大幅値下げ~」。

2026年上半期の飲食業の倒産は、初めて500件以上に。なかでも居酒屋の倒産は、前年同期比で30%以上も急増している。物価高騰に若者の酒離れなど、いま居酒屋業界には、厳しい逆風が吹いている。さらに飲食料品の消費税減税が実現すれば、客離れを加速させるのではないかという懸念も。

その渦中で新たな挑戦に打って出たのが、居酒屋業界で店舗数4位、全国350店舗以上に拡大している「串カツ田中」だ。売り上げは過去最高と好調にみえるその裏で、運営するユニシアホールディングスは「脱・串カツ田中」を掲げ、自らの成功体験に依存しない経営に舵を切った。
創業者で会長兼社長の貫啓二さんは、近年、とんかつや天ぷらなどの新業態を次々と立ち上げ、イタリア料理チェーンを大型M&A。海外市場への進出も加速させている。

ガイアは、「串カツ田中」創業以来初のリブランディングや商品開発、さらに物価高に逆行する値下げ戦略など、大改革の舞台裏に密着。貫さんと「串カツ田中」の挑戦を追った。

【動画】<串カツ田中>が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由

なぜ“脱・串カツ田中”…創業者を突き動かす「不安経営」とは


【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
物価高の日本で、大衆店は生き残っていけるのか――。大手居酒屋チェーン「串カツ田中」は、いままさにその渦中にいる。
大阪の庶民の味を全国に広めてきた「串カツ田中」。人気の串カツに使用するのは、きめの細かいパン粉。企業秘密の油で揚げると、ビールやサワーにもってこいのサクサクの口当たりに。このご時世に、1本100円台が中心という安さも売りの一つだ。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
さらに2025年、年間2000万本も売り上げる人気シリーズが誕生。
「無限ニンニクホルモン串」は1本50円(税抜き)で、特製ダレと牛ホルモンが絡み合う新たな串カツに注文が殺到。瞬く間に、客を呼び込む看板商品になった。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
「串カツ田中」の売上高は175億円(2025年11月期)と過去最高を記録。現在、全国に350店舗以上を展開し、店舗数では居酒屋業界で4位を誇る。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
「串カツ田中」を運営するのが「ユニシアホールディングス」(東京・品川区 従業員:約560人)。2008年に1号店を出店してから、わずか8年で上場を果たした。
人気チェーンを一代で築き上げたのが、会長兼社長の貫啓二さん(55)だ。

「そもそも僕の根本の考えが、本社にはお金かけない。現場の方にお金を使った方がいい。どっちに振るかといったら、現場に振ると決めている。創業当時から」。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
3月。貫さんは、絶好調とも言える業績にも関わらず、大きな決断を下す。
「串カツ田中一本足で、串カツ田中だけを広げて、串カツ田中で間違えない接客をすればいいと思っていた。そこはもう、ある意味捨てないといけない」。

「脱・串カツ田中」宣言。今も続く成功体験を捨てるというのだ。
その背景にあるのが、外食業界を取り巻く厳しい現状。物価高や人手不足、さらに酒離れもあり、居酒屋の倒産件数は過去最多に。貫さんは「串カツ田中」の将来に大きな不安を感じていた。
「僕らは、マーケットがない中で戦ってきた奇跡のブランド。それは強みであり、弱み。成長の頭打ちが早い。焼き鳥業態より確実に早い」。

貫さんは慣れ親しんだ看板に別れを告げ、大改革に乗り出した。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
2008年、東京・世田谷区の住宅街で「串カツ田中」1号店が誕生。当時、巨額の借金を抱えていた貫さんは、背水の陣で出店した。
高校卒業後、物流関連企業に入社した貫さんは27歳で脱サラし、未経験で飲食の世界に飛び込んだ。しかし、開業した懐石料理店やレストランはうまくいかず、借金は7000万円にまで膨れ上がる。37歳、最後の勝負と始めたのが「串カツ田中」だった。

東京では馴染みの薄かった“気軽に入れる串カツ店”という新鮮さが大当たり。
さらに貫さんは、斬新なサービスを次々と開始。小学生以下には、ソフトクリームやたこ焼きを無料で提供し始めた。
「家族で楽しめる居酒屋」という狙いが当たり、業績は右肩上がり。
さらに2018年、居酒屋としてはリスクを伴う全席禁煙を導入。社内の反対を押し切った貫さんの大きな決断だった。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
成功に安住せず、次々に新たな手を打つ貫さん。その裏には、将来への不安を原動力にする“不安経営”という考え方がある。
「調子がいいから今のまま行けばいいとは思えない。新しいチャレンジを続けないと。ひとときも油断できない」。

脱・大衆酒場「串カツ田中」の大改革 その舞台裏に密着


【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
東京・港区。「串カツ田中」創業以来最大となるプロジェクトが動き出していた。
そのリーダーを任されたのが、営業本部長の峯卓也さん(37)。1号店のアルバイトから入社した叩き上げだ。
峯さんがやって来たのは、売り上げが伸び悩んでいる「串カツ田中 赤坂店」。この店を皮切りに、初めて「串カツ田中」全店舗を刷新するという。
一番の狙いは女性客。「来たことがない女性からは、入りにくいという意見がある。実際に女性客は割合として比較的少ない。リブランディングで女性ももっと来てくれるようになれば」(峯さん)。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
5月中旬。ユニシアホールディングスの本社で、新たな店のデザインを決めるコンペが行われた。すでにロゴのデザインは決定しており、慣れ親しんだあの筆字のロゴも捨てる。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
コンペに参加した9社が、それぞれ女性客を意識したプランを提案。採用されたのがこのデザインだ。軒先の赤提灯は外し、シンプルな店構えに。店内にはボックス席を新設し、丸椅子は背もたれ付きの物に換える。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
6月下旬。テストキッチンでは、新メニューの開発が進んでいた。料理長の濵田大地さんは、揚げ物開発のエキスパート。濵田さんには、貫さんから直々に「焼きとんみたいな串カツをつくって」と新商品開発の指示が飛んでいた。
大ヒットした「無限ニンニクホルモン串」も、貫さんのアイデアを濵田さんが形にした商品。
「無限ニンニクホルモン一本頼りじゃなくて、ずっとこうやって繰り返している。常に『良いのができた』と思ったら、『そう長くは続かない』と思いながら、次を考えている」(貫さん)。

「現状維持は衰退の始まり」それが貫さんの経営哲学だ。

今回濵田さんが使うのは、低コストで満足感も出せる豚ホルモン。狙うのは、安くてうまくて斬新な商品…果たして、「焼きとんみたいな串カツ」はできるのか――。

消費税改定の逆風に勝つ!「串カツ田中」が断行する決死の大幅値下げ


【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
7月30日。高市総理が、2027年4月から飲食料品の消費税率を1%に引き下げる意向を表明した。一方、店内での飲食は税率10%のまま。割高となる外食業界の客離れが懸念されている。

「来店人数を増やす。お客も使いやすいようにすることがすごく重要。自社を磨くしかない。自社を磨いて上がっていく。ちゃんと認めてもらうしかない。それしか手が思いつかない」(貫さん)。

修正を重ね、「串カツ田中」新店舗のデザインが完成に近づく一方、営業本部長の峯さんは、貫さんからの難題に取り組んでいた。物価高に逆らい、ドリンクの大幅な値下げを断行する計画。これまで税抜き420円だったハイボールを、50円にできないか検討していた。

「客数に振り切っている。単純に値下げして、売り上げ・利益が下がる選択だとやばい。
大丈夫なのかという不安はもちろんある」(峯さん)。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
客を呼び込む目玉になり、なおかつ店の収益を落とさない――。
峯さんがさまざまな価格設定のシミュレーションを重ね、客単価を1円単位まで、原価率を0.01%単位まで吟味して、ギリギリの価格を導き出した。50円は諦めたものの、420円だったハイボールを100円(税抜き)に大幅値下げして販売することが決まった。

8月下旬、いよいよ「串カツ田中 赤坂店」の看板が外された。一体どんな店に生まれ変わるのか――。

【串カツ田中】が物価高に逆行する“限界値下げ”とリブランディングに挑む理由:ガイアの夜明け
そして“脱・串カツ田中”を掲げる貫さんが、近年、急ピッチで進めているのが、新業態の立ち上げだ。訪日外国人向けの和食店など、次々とオープンさせている。
さらに2025年12月には、約70店舗展開するイタリア料理「ピソラ」を95億円で買収。
貫さんのもう一つの狙いは、海外出店だ。ガイアは、新業態でビッグマーケットに挑む貫さんの野望を追った。

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