【60代転職市場の実態】自分らしいシニアライフを送る“4つのL”とは?

60代
今年4月、在職老齢年金の支給停止基準が「月65万円」へと大幅に緩和された。
「働くと年金が減る」という心理的なブレーキが外れ、シニア世代のフルタイム回帰や就業意欲は一段と高まりを見せている。
人生100年時代が現実となる中、10月6日(火)に東京都主催のシニア向け就業支援イベント「シニアしごとEXPO2026」が開催。
「テレ東プラス」は登壇イベントを取材。シニア転職市場のリアルな実態と、今すぐ知っておきたい“セカンドキャリアのノウハウ”を伝える。

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シニア就業の新潮流 多様化する働く目的と新たな転職のチャンス


【輝くシニアのライフキャリア ~「正解」のない定年後~:金澤美冬(プロティアン株式会社代表取締役)】

物流営業を経てキャリアコンサルタントとして活動し、「ライフキャリアコンサルタント金澤美冬が見てきた 自分らしい定年後を切り拓く20人のリアルな事例」(合同会社全力舎)を出版した金澤氏。セカンドキャリア支援に長年携わってきた金澤氏が語る、時代の変化と「自分らしい働き方」を見つけ出すための実践的なアプローチとは——。

60代
10年前から、じわじわと上昇してきたシニア層の就業率。フルタイムの正社員にとらわれず、多様なスタイルや目的で働く人が増えている。
働く理由は、単なる収入確保にとどまらない。「仕事の面白さ」「仲間づくり」「特技や経験の活用」のほか、老後の3大不安(健康・お金・孤独)をまとめて解消する手段としても選ばれている。

60代
シニア転職市場の実態について、「60代になると正社員比率が下がり、求人の倍率は非常に高い」と金澤氏。
一方で、これまでの主流だったハイクラス求人だけでなく、現場に近いポジションも増加。AI活用が進む中で、AIが出したアウトプットを正しく判断できる50~60代の力が求められるなど、新たなチャンスも広がっているという。

サニー・ハンセン「4つのL」で紐解くセカンドキャリアの過ごし方


60代
金澤氏は、セカンドキャリアの大切な考え方として、サニー・ハンセンが提唱する「4つのL(ライフキャリア)」を紹介。
「定年後は仕事(LABOR)単体で捉えるのではなく、4つのLをパッチワークのように組み合わせて、自分の人生全体をどう生きるかが大切」だと語る。

60代
セカンドキャリアの選択肢は、大きく「転職・再就職」「再雇用」「独立・ハイブリッド」の3つに分かれる。

①転職・再就職

60代
これまでの経験を生かして新しい職場へ移るアプローチで、理系(エンジニア)と文系で動き方が異なる。

・理系の転職スタイル
求人サイトや転職エージェント経由で決まるケースが多い。企業側も「この技術・スキルが欲しい」という要件が明確なため、スキルマッチングが成立しやすい。
事例:自動車メーカーで総務職へ異動となった男性は、「生涯エンジニアであり続けたい」という強い思いから、大企業での定年を望む家族を説得。中小企業の現場エンジニアへ転職を果たした。

・文系の転職スタイル
エージェント以上に、「人とのつながり」や「自分の足」が開拓の大きな軸となる。
事例:定年後は悠々自適に過ごす予定だった元人事職の男性が、友人の誘いを受けて公益財団法人の事務局長に就任。現在は図書館で子どもへの読み聞かせも始めるなど、新たなやりがいを見出している。

「友人からの紹介は本当に多い。ちょっと恥ずかしいかもしれないけれど、『いい仕事があったら教えて』と周りに発信しておく。ハローワークなど公的なサポート窓口にもいい求人はある」(金澤氏)。

②再雇用

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現在、最も多くのシニアが選択しているルート。定年後に突然会社を辞めてしまうと、収入が完全にストップし、焦って不本意な選択をしてしまいがち。だからこそ、収入が保たれている再雇用期間を「次への準備期間」として戦略的に活用するのがポイントだという。

例えば金融システムエンジニアの男性は「65歳以降も開発現場に立ち続けるのは体力的に厳しい」と考え、再雇用期間中にシステム監査関連の資格を取得して転職。
化学品メーカーでコンプライアンスを担当する女性は、再雇用期間中に社外で副業を開始した。

このような取り組みについて、金澤氏は「会社への裏切りでは? と思う人もいるがそうではない。多業種の案件に触れて知見や対応の引き出しが増えることで、自分の会社にも還元できる」と説明する。
また、週末に興味のある職種のアルバイトを経験したり、社外コミュニティーに参加したりすることで向き・不向きを確認でき、自社の良さに改めて気づくこともあるそう。
「ただなんとなく過ごすのではなく、定年後の働き方をソフトランディング(試走)するための準備期間として、再雇用を上手に活用するのがおすすめ」(金澤氏)。

③独立・ハイブリッド
大掛かりな起業だけでなく、自分のライフスタイルに合わせた“小さな起業”や、複数の働き方を組み合わせるハイブリッドワークも注目の選択肢。アルバイトをしつつ、得意分野で個人事業などを行うケースも増えている。

また金澤氏は、仕事のための資格取得について「『この資格さえ取れば稼げる』と言いたいが(笑)、万能な資格はない。資格に“すがる”のではなく、上手に付き合っていく。自分の経験という軸に“アドオン”することが大切」と話した。

セカンドキャリアの選択に正解はなく、大事なのは自分に合った答えを探し続けること。
最後に金澤氏は、「型にあてはめればいいという正解があれば楽だが、それぞれ経験も価値観も違うからこそ模索するしかない。試行錯誤することが定年後の醍醐味。試してみて、『自分はこれが得意』『社会から必要とされている』ということに気づいていく。その模索の過程を、楽しんでいってほしい」と呼びかけた。

【薬丸裕英トークショー「エイジレスに輝く!薬丸流、生涯現役時代の働き方。」】

60代
イベントでは、2月に60歳を迎え「なないろ日和!」や「出没!アド街ック天国」に出演している薬丸のトークショーも開催。

薬丸が若々しさを保つ秘訣として明かしたのは「サウナ」と「30分のウォーキング」だ。継続のコツを聞かれた薬丸は「仕事もセルフケアも、ルーティン化してしまえばストレスがなく楽になる」とコメント。

また、年齢を重ねる楽しさについても触れ、「妻と映画館に行ったら60歳割引(シニア割引)があった。おトクな情報を取りに行って『次はこれをしよう!』と楽しみを先に作っておけば、アクティブに頑張れる」とも。

目標とする先輩に笑福亭鶴瓶と所ジョージの名前を挙げ、「肩肘張らずにお仕事している東西の横綱。僕はまだ前頭17枚目くらいですけど(笑)、いつかそんな存在になれたら」とリスペクトを口にした。

最後に薬丸は「人生100年時代。僕も100年生きられると思っているので、60~70代と、その時代にあった自分らしさを維持するためにはなにをすべきか、逆算したほうがいいのかなと。自分に合った逆算方法を見出して、素晴らしいシニアライフを送ってほしい」とエールを送った。

第2回:「シニアしごとEXPO2026」八王子会場
日時:令和8年10月14日(水曜日)10:30~16:00
会場:東京たま未来メッセ 1階展示室

(取材・文/勝浦阿津希)
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