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テレ東
江上剛の経済小説を原作に、ある企業の再生を目指すビジネスマンの過酷な戦いをスリリングかつエネルギッシュに描く、ドラマBiz「ラストチャンス 再生請負人」が、7月16日(月)(毎週夜10時)からスタート!
大手都市銀行に勤める樫村(仲村トオル)は、財閥系銀行との合併を機に銀行を辞め、飲食フランチャイズ企業のCFO(最高財務責任者)に就任する。しかし、この会社の実情は倒産寸前。樫村は次々とトラブルに見舞われ、絶体絶命のピンチに...。会社再建に向けて奔走する樫村を取り巻くのは、新参者の樫村に不信感を抱く社員、保身に走る社長、協力する元同僚、海千山千の企業家たち。誰が味方で誰が敵かもわからない中、樫村はギリギリの決断を迫られます。果たして彼は、会社を立て直すことができるのでしょうか!?
そこで今回「テレ東プラス」編集部が、主人公・樫村を演じる仲村トオルさんを独占取材! 本作への熱い思いを語ってもらいました。
【名誉ではなく、自分以外の誰かのために頑張る方が、より力が出る】
――まずは江上剛さんの原作と、脚本を読んだ時の印象をお聞かせください。
「とても面白いと思いました。樫村にとって、人が傾けたものを立て直すという仕事は、元々自分が作った借金ではないわけだし、立て直すことができれば自分の手柄になるという名誉欲のようなものがモチベーションになるのではないかと考えました。後に、それは僕の勘違いだったということが分かるんですけど...。実は撮影現場で、原作のモデルになった方とお会いしたんです。僕が『自分で作った借金ではないという気楽さが、どこかになかったですか?』とお聞きしたら『そういう思いはまったくなくて、一生懸命働いている社員と、その彼ら彼女らの向こうにいる家族にとって悪い方向にならないようにしたいという思いが自分を頑張らせた』とおっしゃっていたんですよ。そこで目からウロコが落ちたというか。樫村という人物を演じていると、確かに、自分の名誉のためではなく、自分以外の誰か、誰かの家族の生活や人生のために頑張る方が、より力が出るものなんだという感覚がでてきたんです」
――記者会見でも、キャストの皆さんが樫村の人物像をべた褒めしていましたよね。ズバリ、役の魅力はどこにあると思いますか?
「樫村はすごくポジティブで、人の失敗を責めず、仲間内での嘘が好きではない人です。原作と台本を読んで最初の頃、この人はきっと体育会系の人だろうと思いました。野球の試合に例えるなら、0対10で負けていても『9回裏で11点取れる可能性もゼロじゃない』という考え方をする人。最後まであきらめない姿勢は、体育会のような環境で培われた精神なんじゃないかなと。そういうところが、組織のリーダーとして魅力的だと思います」
――樫村が仕事をする上で大事にしているものとは何なのでしょう?
「シンプルに言えば、"人"でしょうね。樫村は、人を傷つけたり苦しめたりすることがつらい、なるべくならそういうことをせずに前に進みたいと考えている。僕自身にも、ちょっとそういう部分があるんですけど。樫村は順風満帆で銀行員としての日々を送っていたはずが、大きな銀行との吸収合併で突然、自分の居場所がなくなり、少しの間にせよ失業者になって、家族も不安にさせてしまいます。自分が経験した苦労を人にさせたくないという恐れを感じていて、その思いが樫村の仕事の原動力になっている。それは、人を大切にしているからこその思いでもあるのでしょう」
【もう10年、15年頑張りましょう! そんなエールを送るドラマになっています】
――樫村が占い師(ミッキー・カーチス)に言われる「人生の七味(うらみ、つらみ、ねたみ、そねみ、いやみ、ひがみ、やっかみ)を浴びることで味のある人生になる」という言葉が印象的ですが、仲村さんご自身として、この言葉をどう感じましたか?
「その通りだと思います。つらいことを積極的に引き受けたいとは思わないですけど(笑)。アスリートの世界では『敗北からより多くのことを学ぶ』と言われたりしますし、つらい経験からより多くのことが人間として蓄積されるのではないでしょうか。僕自身も、振り返ると、負けた悔しさが前に進む力になったり、失敗した反省やそこで学習したものの方が深く自分の中に残っているような気がします」
――豪華なキャスト陣による、見応えあるお芝居も楽しみです。共演者の方々の印象をお聞かせください。
「体育会系の気質を持った方が多かったですね。このところ自分が最年長になる現場もありますが、今回は現場の平均年齢が高かったので、気楽さはありました(笑)。(椎名)桔平さんは僕より一つ上で、勝村(政信)さんは2つ上。僕は、この辺りの世代"Around1964"というか、1964年の東京オリンピック前後、日本が活気づいていた頃に生まれた人間には何となく共通点があるような気がしていて...。桔平さんとは時間的に長くお芝居をするという共演が今までなかったんですけど、最初にご一緒したドラマの打ち上げで『この人とは合うな』と思っていました。勝村さんとは、2年前ぐらいに初めて共演して、その時は小劇場の歴史を聞かせていただいたのを覚えています。勝村さんはとても博識で、今回も演劇のみならず映画やサッカーのことをお聞きしたり、楽しませていただきました」
――タイトルにちなんで、仲村さんご自身がこれまでの人生の中で"ラストチャンス"と思ったことはありますか?
「多分、二十代後半からずっとそういうことを考えています。二十代後半にやろうとしていた役ができなくなったことがあって。こういうことがあるんだ...と、かなり落ち込みました。それ以来、どこの現場に行ってもどの役をやっても、これで最後かもしれないという危機感のようなものは持っています。現場に入ればそういうことは考えませんが、撮影が始まる前や舞台の稽古が始まる前は『こういう役ができるのはこれが最後かもしれない』『この監督と仕事できるのは最後かもしれない』と、ほぼずっと"ラストチャンス"と思って仕事をしているような気がします。僕自身には、ネガティブな部分がすごくあって、どんな役、作品でも『俺ならできる!』と思ったことが一度もないんですよ。でも、これが最後にならないように頑張ろう、と自分を奮い立たせることが今につながっていると感じますし、俳優という仕事をする以上、こういう気持ちは常に持っておいた方がいいのかなと思います」
――「ドラマBiz」では、働く人々を応援する作品を放送しています。最後に、このドラマを楽しみにしている、働く皆さんへメッセージをお願いします。
「二十代の頃、会社員になった友人たちから何度かお説教されたことを覚えています。僕もまだ俳優としてのキャリアがない時で、軽くいい気になっていた時期かなと思いますけど、話の流れで人がやっている仕事について『俺はああいう仕事はしたくない』と言ったことがあって...。その時、サラリーマンの友人に『仕事というのはやりたいとかやりたくないとかじゃないんだよ。やらなきゃいけないことなんだよ』と言われたんです。僕と同世代の方ですと、かれこれ30年ぐらい"(会社員として)やらなきゃいけないこと"を続けていらっしゃるわけですよね。そんな皆さんに、『もう10年、15年頑張りましょう!』というエールを送るドラマになっていますし、楽しんでいただけたらと思います」
【第1話】ストーリー
樫村(仲村トオル)は順調な人生を送ってきたが、勤務先の銀行が吸収合併されて、運命が一転。同期の宮内(椎名桔平)ら行員たちは次々と辞めていく。そんな中、樫村は占い師(ミッキー・カーチス)から「七味とうがらしをきかせた、味に深みのある人生になる」と予言される。やがて樫村も銀行を辞め、職探しをする中、投資会社社長の山本(大谷亮平)から飲食フランチャイズ会社の再建の仕事を持ち掛けられて...。