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1989年(昭和64年・平成元年)、ユーキャンが主宰する新語・流行語大賞の新語部門の金賞に「セクシャルハラスメント」(セクハラ)が選ばれて来年で30年になる。「もう」と感じるのか「まだ」なのかは人それぞれだろうが、平成が終わりとなる今年、スポーツ界を中心に、セクハラをはじめとするさまざまな「○○ハラスメント」が大きな注目を集めたことに、時代の変化や多様化を感じずにはいられない。
そして女性の社会進出とともに、セクハラも男性が行うものではなくなってきているというから驚く。社会保険労務士で産業カウンセラーを務める栗原深雪さん(みゆき社会保険労務士事務所代表)によれば、「女性によるセクハラや、上司・先輩という立場を利用したパワハラ(パワーハラスメント)の相談も増えている」とのことで、「近年は、男性が女性からのハラスメント被害に遭っている場合も多い」そうだ。
「女性がついやってしまいがちなハラスメントとして、職場の男性に下ネタを話す。『筋肉があるね』などと若い後輩男性の体を触る。彼女はいるのか執拗に聞いたり、『最近、仕事に気合が入っているね。彼女でもできたの?』と聞く。目のやり場に困るような服装をするなどのセクハラがあります」(栗原さん 以下同)
逆に、部下が上司の比較をする、上司に食事をねだる、出張の土産やバレンタインデーのあと、その見返りを強要するのもセクハラなのだとか。
「男なんだからと重い荷物を持たせる。『男だから飲みニケーションが必要』などと言って無理やり飲みに誘うのはパワハラ。家庭では、夫を孤立させてコントロールする、『どうしてこんな簡単なことができないの? ダメな人ね』と夫を責めるのはモラハラ(モラルハラスメント)にあたります。女性同士でも、女性部下にだけ厳しく指導したり、子育て中の女性社員に対して厳しい言葉を使うなどのパワハラが見受けられます」
1986年4月に施行された男女雇用機会均等法以前の昭和の世であれば、「女のくせに」は男の常套句。それ以降'80年代後半~'90年代のドラマの再放送などを見ていても、女性は相変わらず上司にお茶を接ぎ、酒席では酌をしている。ボディタッチも「彼氏でもできたのか?」とからかうのも、男性の上司・先輩が女性の部下・後輩にやるものだったはずだが...。
ハラスメントの簡単な実録と対策法
あれから30年余り......。栗原さんが受けた相談には、女性上司に関するこんな事例が。
「女性の上司が接待の場所で部下や後輩にお酌を強要したり、苦手なのにアルコールを飲ませようとする。断ると『私が若い頃は当たり前だったのに今の若者は......』と言われる。ほかにも、妊娠して育児休業を取得する予定の社員に対して『あなたのせいでこっちは残業になってしまう』と責め立てられる。専門職の女性先輩が新人社員に厳しく仕事を教えるといったパワハラに関する相談が多いです」
ちなみに、そんなパワハラの対策法はというと......
「酒席での強要であれば、①自社の相談窓口や他の上司に相談。②はっきりと不快であることを伝え、相手に気づいてもらう。③外部機関に相談する。育児休業に対するパワハラには、①負担をかけることは自覚し、自分ができることはなるべくやるようにする。②自社の相談窓口や他の上司に相談。③外部機関に相談する。そして連日の残業など、場合によっては命に関わる危険性もある過度の新人教育には、①厳しく指導する理由を聞く。②自社の相談窓口や他の上司に相談。③外部機関に相談する」など。
「女性同士の場合、とりわけ出産・子育てに関しては厳しいように思います。自分が経験したからこそ、『私の時代は......』となりがちなのではないでしょうか。パワハラに限らずセクハラ、モラハラ。悩んでいる方がいらっしゃれば、一人で抱え込まず、まずは誰かに相談するようにしてください」
職場で女性がハラスメントをしないための心得
では、職場や家庭で"女性がハラスメントをしないための心得"はあるのだろうか?
「感情的にならない。人格の否定や性格の非難をしない。相手の立場に立ってみるというのは、女性も男性も同じですが、女性ならではの視点としては"男性はタフだと思いこまない"こと。草食系などと言われる昨今、昭和から平成の30年間で男性像も大きく変わってきています。男性は誰でも下ネタが好きとは限りませんし、ボディタッチをしてほしいと思っているとは限らないということです。大声で下ネタを話したり、露出の多い服装をしないなど、女性側も普段から注意したいところです」
女性像も大きく変わってきた。聞けば「せんべろ(千円でベロンベロンに酔っぱらう)」ブームにより、おじさんたちの憩いの場である酒場にも女性たちが進出。かつては男性が若い女性にちょっかいを出していたが、今はその逆も。独り酒を飲むおじさんたちが赤面したり、目のやり場に困る場面もあるのだとか。ハラスメント=男性と言えない世の中、女性側にも注意や配慮が必要なのかもしれない。
※本記事のハラスメントにまつわる内容はすべて「テレ東プラス」としての見解です。
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テレビ東京開局55周年特別企画 ドラマBiz「ハラスメントゲーム」
10月15日(月)夜10時放送スタート!
唐沢寿明主演、原作・脚本 井上由美子でお送りする! 7年前、スーパーの店長として地方に左遷された男が、コンプライアンス室長として様々なハラスメント問題に挑む痛快ヒューマンエンターテインメント。
【第1話】
業界大手の「マルオースーパー」練馬店に、1円玉がメロンパンに混入していたとのクレームが入る。コンプライアンス室の高村真琴(広瀬アリス)曰く、売場主任・佐々部(尾上寛之)が昨夜不審な電話を受けたといい、その内容から女性社員によるパワハラ絡みの犯行を疑う。だが、新店舗への影響を恐れた社長・丸尾(滝藤賢一)は、警察に届けることを拒む。