美術部渾身のダンボールハウスをお見逃しなく!|太田勇の5分で読めるテレビの裏側日記

テレビ東京配信ビジネスセンターの太田勇です。

 

 

今日は現在水曜深夜1時で放送中の「JKからやり直すシルバープラン」の撮影について、裏話などをさせて頂きます。

 

このドラマは簡単に言うと、「中年ホームレスになった主人公・小百合が、ワガママし放題だった高校時代にタイムリープして、高校時代から『シルバープラン』に則って人生をやり直す」というお話です。

 

僕がこれをドラマ化したいと思った理由は、王道のタイムリープものは「やらなかった過去をやり直したい」ということだと思うのですが、このお話は真逆で「やりすぎた過去を反省する」という新しさがあったからです。また、『シルバープラン』という女子高生と対極にあるものを学ぶというところも好きでした。

 

 

クランクインの1枚です。

残念ながら秋晴れとはいかず。今回も監督用モニターは簡易的な立ち見式。

 

 

 

 

一話冒頭、公園の片隅で主人公の小百合(47歳・ホームレス)が暮らしているというシーン。

 

 

 

美術部渾身のダンボールハウス。汚しもばっちり。まるで数年前からそこにあるような存在感。

 

 

もちろん元々ここには何もありませんでした。

ロケハンの時の写真です。

 

 

ここにした理由はもちろんロケーションとして素晴らしいというのもありますが、あとは撮影時間の融通が利きやすいこと、都内であることも大きいです。雨でも撮影できるというのも選んだ理由のひとつです

実際、この日は雨が降ったりやんだりでしたが、何の問題もなく撮影できました。

 

このシーンでの撮影は夜。朝から美術部が用意し、夜に撮影開始です。

一話の冒頭のシーンなのでめっちゃ大切です。ここで食いついてもらえなかったらこのドラマの先はありません。。。。

 

1クールのドラマの数が30以上あるドラマ戦国時代の今、第一話はとにかく重要です。

実際、皆さんも興味あるドラマの第一話を観て、面白そうなドラマだけ継続したりしていませんか?

 

顕著に現れるのが、TVerの再生回数。ほとんどのドラマの第二話の再生回数は第一話の半分になります(私見です)。一話が100万回観られた作品の二話は50万回に、50万回観られた作品の二話は25万回程度に。稀に大ヒットするドラマは減少率が安定している印象です。なので第一話は本当に重要です。

 

「ここはお金をかけて、時間をかけて撮影しましょう」と、事前に制作会社のプロデューサーとも話して決めました。

あとは主演の鈴木さんも女優兼モデルの見た目麗しい方なので、メイクさんに「とにかく汚く」とお願いし、鈴木さんにも粗野で野蛮ながさつな男のような振る舞いをお願いしました

 

 

 

 

実際の仕上がりはこんな感じに。

 

 

「おぉ…!」

驚きました。画面全体からどんよりとしたムード、鬱屈とした雰囲気が伝わってきます。酸いも甘いも経験して落ちぶれてしまった47歳のホームレス感が出ています…!

第一話のこのシーン、ParaviとTVerでも観られるので、ぜひご覧ください

撮影2日目。

今日はハウススタジオでの撮影。小百合は半端ないお金持ち(「おしゃ子」と同じ…笑)なので、これまた豪邸です。広尾駅から徒歩5分、普段は結婚式場として使われている通称「旧石丸邸」。

 

元々この家に住んでいた石丸さんという方は、とある銀行の支店長さんかなんかだったそうで、ちょうど100年前に建てられた家だそうです。今回は時代設定が1990年のため、ちょっと古めの豪邸を探していたのでピッタリです。しかも広尾にあるので、朝早くから撮影できます。

 

 

 

 

お金持ち設定なので、メイドさんが働いていて、そのメイドさん役にはこの女性。

 

 

 

『おしゃ家ソムリエおしゃ子!2』の撮影現場では、衛生班として入ってもらっていた葉山あかりさん

 

実は彼女はドルチェスターという事務所に所属する女優さん。彼女が女優さんだと知ったのが撮影の後半だったため、ちゃんと出演できるシーンを「おしゃ子」では作ってあげられませんでした。そのお詫びの意味も込めて、「おしゃ子」の撮影が終わって10日後、女優さんとして参加して頂きました

 

葉山さんは、衛生班として何が素晴らしかったかと言うと、勤勉さももちろんですが、自分で名札を作って現場に入ってきたことでした。実は元もと別の人が衛生班としてアサインされていたのですが、その方がクランクイン直前に発熱してしまい、急きょアサインされたのが彼女でした。

他の人たちより葉山さんは合流が遅れたため、早く名前を覚えてもらうための彼女なりの工夫だったんだと思います。しかもその気遣いを女優さんがするというのもまた良いですよね。自分が24歳の時に、そんな気遣いができたかと言えば……できてなかったと思います。

 

 

 

 

今回の現場での秘密兵器。それがスライダーです。簡易的なレールです。

 

 

僕もこの「スライダー」の存在は知りませんでした。僕の知ってる浅い知識ですと、カメラの撮影方法はざっくり3種類、三脚を立てて「フィックス」か、「手持ち」か、あるいは「レール」。

 

「レール」で撮影すると、カメラがゆっくりなめらかに動きます。

プライムタイムのドラマであればほとんど使っていると思います。ただこの「レール」はスタンバイするのに時間がかかるし、人手もかかります。なので時間のない深夜ドラマだと中々使えないんです。そうなると、「フィックス」か「手持ち」になるわけですが、「フィックス」だと単調になるし、「手持ち」だとどうしてもブレてしまう。

ちなみに手持ちにも何種類かあって、リアル手持ちと機材を使っての手持ちと色々あります。それでも「レール」のようにはいかないのです。

 

そんなストレスを抱えていたところに「スライダー」です。これだと、レールと同じ撮影効果があって、しかもスタンバイに時間がかからない。「レール」との違いは、距離が短いため動きが小さくなってしまう、です。けれども長いレールを敷いて撮るような1カット長回しのシーンは、テレビだと早々ありません。

というわけで「JK〜」では、めっちゃスライダーを多用してます。

 

 

 

 

さてこれはまた別の撮影日です。

 

 

ドラマをご覧になった方はご存知かと思いますが、このドラマはところどころ、「精神と時空の部屋」という空間で「シルバープラン」について学ぶシーンが入ってきます。このシーンを作った理由は2つ。

 

1、「シルバープラン」をわかりやすく説明するため

2、 予算削減のため

 

1つめの「シルバープラン」に関してはそのままです。

ただ面白いドラマにするよりも、「観て学びのある」ドラマにしたかったんです。ドラマ戦国時代の今、放送時間も深夜1時と深いし、キャストもフレッシュな2人、圧倒的に不利な状況です。そんな中、武器は「シルバープラン」しかないと思いました。

「テレ東=日経」のイメージもあるし、ちょっとアカデミックな要素を入れたらうまくいくかも、と……。

ちなみに「日経テレ東大学」ともコラボした動画もあるのでそちらもぜひ、観てください!

 

 

2つめの「予算削減」についても、もう何回も書いてるのでポイントだけ。

ここは東長崎にある「小劇場てあとるらぽう」という劇場です。劇場はやっぱり舞台になってるんで、撮影しやすいんですよね。普段はカメラ2台ですが、このシーンのみ4台で撮影です。その代わり、2.5日で台本80ページ撮影しないといけません。

 

本当はアメリカのTEDトークみたいな雰囲気をお金をかけて作りたかったんですけどね。こんな風な。

 

 

 

まあ、最初の話に戻りますが、どこにお金をかけるか、ということですね。今回は、第一話のホームレスのシーンが一番大切だと判断し、そこにお金と時間をかけました。

 

「JK〜」撮影裏話、まだまだ続きますので、次回に持ち越し。

 

 

 

 

最後に、とある日のお弁当です。「BATARD」のチキン南蛮弁当。

これはけっこう良いお値段します。

 

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
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