恋人の”不倫”により傷ついたクラブホステス...彼女が熱心に教会に通う理由とは?
一方の彩女は教会にやって来ていた。中には一人の男が座っていて、彩女の気配に気付き、ベンチから立つ。
「お待ちしてました、彩女さん」
「早かったのね」
「ええ、まさかこんなに近いと思わず。こんな所で会ってるなんて、先生も思わないでしょうね」
男の名前は巡健人(淵上泰史)。一騎の担当編集者だ。
そこへ扉が開き、マリアがやって来た。以前ここで、偶然にも彩女と遭遇していたマリア。彩女の姿を見かけると、「この前はどうも」とうれしそうに近づいてくる。
「お姉さんも会えたんですね。よかった~」
「?…あぁ」
彩女は北海道に来た目的を「人を待っている」と説明していた。その相手を巡だと勘違いしているのだ。
「お兄さん、もうこんな美人、待たせちゃダメですよ? お姉さんずっと待ってたんだから」
「……」
「ふふ、ありがとう。じゃあ私たち、用があるから」
「はい、また!」
彩女は微笑みながらマリアと別れる。
マリアが帰宅すると、北が起きていた。するとクラブの店長からスマホに着信が。スピーカーで応答するマリア。
「マリアちゃん、今日は出勤できそう?」
「はい、もう復活! お騒がせしました」
「良かった! それと実は、コタローちゃんに相談があってさ」
「え?」
「新人バイトがバックレちゃって。今日だけ飛び入りでホール頼めないかな?」
「…だって」
北に目配せするマリアだが、間髪入れずに「嫌です」と断る北。
「は?」
「働くの嫌です」
「なに堂々と…ゴメン店長、いったん掛け直す!」
電話を切ったマリアは、「見損ったわ。あんた熊は熊でも、黄色い熊か」とムッとする。
「なんとでもどうぞ。俺、プー太郎で上等だから」
「なんで? 人が困ってんだから助けてやんなよ。それが嫌なら、貯まってるツケ、今すぐ返せ」
「!…店に迎えに行ったし、部屋も片付けた」
「じゃあ、メシとスマホ代はチャラにしたげる。で、今日の夕飯は?」
「我慢する」
「はぁ? なにふざけて」
「どうせ俺、死ぬから!」
言い切る北に、マリアの顔色が変わる。
「…コタロー。冗談でも、私の前で死ぬとか言うな」
「……」
マリアは店長に電話をかけ直し、「ゴメン、やっぱ別の人当たって」と言う。複雑な表情でそれを聞いている北。
◆
彩女と巡は、気品高い和食レストランで前菜を食べていた。

「それで、あの人の様子は?」
「彩女さんが仰った通り、先生はいつもの若い愛人と一緒でした。今日は、札幌市資料館へ行くとか」
「そう…明日以降は?」
「聞き出せたのは…明日、札幌から稚内へ向かうこと」
「稚内…」
そこへ、店員がメニューを持ってやって来る。
「終盤にお出しするメインのお料理ですが、海鮮コースか和牛コース、おすすめの蟹コースかでお選びいただけますが、いかがでしょう?」
「あぁ、蟹…」
一瞬反応する彩女。
「私は和牛で。蟹ダメなんです、甲殻アレルギーで」と言う巡に微笑む。
「そう…じゃ、私は海鮮を」
「かしこまりました」
メニューを手に去っていく店員。
「良かったんですか? せっかくの蟹、食べなくて」
「ええ」
「…では、そろそろ教えてください。なぜこんな地へ…お2人で?」
「2人…?」
「違うんですか? さっきの教会で待ってたという…誰かと」
「…さすが編集者ね」
「どなたとご一緒だったんです?」
顔色を変えず、食事を続ける彩女。
「隠す必要のある相手ですか、興味深いな…」
「あなたとは合わないと思うわ。正反対の人よ」
「私はね、彩女さん。あなたが興味を惹かれるものに、無性に興味があるんですよ…」
果たして、巡の思惑とは? そしてマリアにある危機が迫る…!
【第8話】
ニュークラブで客の妻に襲われたところを北(重岡大毅)に助けられたマリア(久保田紗友)。北と一夜を共にした翌日、教会で彩女(入山法子)と再会する。そこで彩女の“待ち人”について聞いたマリアは、あまりにも「コタロー」に似ていることに驚き…。
そんな中、店に呼び出された北。マリアは命を救ってもらったお礼として一人で北をもてなすことに。まっすぐに想いを告げる彼女に対し、北は自身の過去と犯した罪を打ち明ける。



