「まさか、先生を殺す気じゃないですよね?」夫の不倫により死に執着する妻は...
北はマリアの部屋で目を覚まし、「昨日は本当にありがと! コタローは私のヒーローだよ。帰ったらこれからの未来のこと話したい!」と書き置きの手紙が置いてあるのに気づく。テーブルの上には、朝食のおにぎりが。それを見た北は、マリアと子どもと幸せに食卓を囲む自分を想像する。
「……」
スマホの着信音がし、我に返る。出てみると、マリアからの電話だった。
「今日の昼、店始まる前なんだけど、ちょっと付き合ってくんない?」
「?」
マリアに指定された店に来てみると、ニュークラブのホステス・涼香(橋本萌花)と美弥妃(ほのかりん)、そして店長の柴田(木村知貴)がラムを焼いていた。北が来ると、「待ってました!」と盛り上がる3人。
「あれ…?」
「ああ、マリア? 遅れて来るって。何飲む?」
勧められるままにラムを頬張る北。
「うまい。何ですか? この会」
「何ですかっていうか…まぁ、お祝い?」
「?」
「あの子さ、お水の世界じゃ珍しくないけど、家出少女でね。だから捨て熊のコタローちゃんに、自分を重ねたのかなと思ってたの。ごめんね」
「え? いや…」
「優しいところに惹かれたんだね。お姐さんたち安心しました!」
「……」
「で? マリアのことどう思ってんの?」
「あんた愚問だね~! どうもこうももうしっかりおっぱじまっちゃってんだから~ねぇ?」
「えっ…」
笑い合う一同を見て呆気にとられるが、次第に笑顔になっていく。
「いーい? コタロー。その代わりマリア泣かせたら、絶対に許さないからね」
「!」
そこへ柴田のスマホにメッセージが。送信主はマリアで、クラブからもう少しで出るところだが、荷物が重いという連絡のようだ。
「えー、誰か迎え行った方がよくないですか?」
みんなの視線が一斉に北に集まる。
「……」
クラブでは、マリアが鞄の中から「斜陽」を取り出し、見つめていた。それは教会で彩女から受け取ったもので、その時のことを回想する。
〜〜〜
「これ知ってるかしら?」
「斜陽? 知らないな…太宰治の本なんですね」
「その本には、実は題材があるの。太田静子という一人の女性の日記」
「日記?」
「静子は一度子どもを失ったけど、その後、太宰と出会い、激しい恋に落ちて、太宰の子を産んだ。そして立派に育て上げた」
「強い女性なんですね。私も読んでみたい」
「私はもう何度も読んだから、差し上げるわ」
「え、いいんですか? 恥ずかしいけど、私、あんまり本を読んでこなくて…だから嬉しいです。あ、宮沢賢治は好きで、いくつか読んでましたけど」
思わず微笑み、マリアの髪を撫でる彩女。
「あなたは可愛い人ね」
「えっ」
「あなたも静子のように、新しい出会いを大切にしてね」
〜〜〜
「あの人は、やっぱり気づいてたのかな…」
本を鞄にしまったマリアは、テーブルクロスを敷き、その上にフルーツ盛りなどを準備する。
しばらくすると北がやって来た。誰もいない店内で、美しくドレスアップしたマリアが迎える。状況が飲み込めない北。
「ようこそお越しくださいました。ニュークラブ・マリアへ」
「えっ?」
「さあ入って」
北をソファに座らせ、高価なワインを開けるマリア。不思議そうにする北に、「だって命の恩人ですから」と微笑む。
「ねぇ、盛り上がった? ランチ」
「盛り上がってはいた…かな」
「良かった~! みんなさ、賑やかで楽しくていい人たちでしょ?」
「…うん」
「じゃあ、やっぱここで一緒に働かない?」
「えっ…」
まっすぐな想いを告げ、北を引き止めようとするマリア。果たして、北の決断とは…。
【第9話】
マリア(久保田紗友)から彩女(入山法子)の居場所を聞き、一心不乱に彩女の元を目指す北(重岡大毅)。再会した二人は小樽まで車を走らせる。海鮮丼を食べ、街を散策し、旅を楽しむ二人だが、北は、離れていた時間のことを一切尋ねてこない彩女に『蝉時雨』に出てくる妻を重ねていた。一方、一騎(勝村政信)は巡(淵上泰史)から彩女が男と北海道にいると聞かされ…。彩女と一騎の歪な夫妻関係。その過去が遂に明らかに…!




