「死ぬ覚悟が、できたのね」彩女と一騎の歪な夫妻関係...その過去がついに明らかに!:雪女と蟹を食う

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蝉の声が聞こえている。
彩女は新聞を読んでいる一騎にコーヒーを出しつつ、「近頃、蝉がずいぶん鳴くようになりましたね」と言う。

「そうだな」

「そろそろ、北海道旅行の予約を…」

「その件だが…悪いが、取材が入ってね」

「そう…。じゃあまた来年、ですね」

「すまない」

にっこり微笑む彩女、再び新聞に目を落とす一騎。

〜〜〜


現実の彩女は、暗い表情で入道雲を見つめている。すると北がやって来て、「どうぞ」と飲み物を手渡す。我に返り、それを受け取る彩女。

「行きますか」

水族館を出た2人はラブホテルへ。北は「参りましたね、シティホテルがどこも満室なんて」と言うが、彩女は「いいじゃないですか、たまにはこういうところも」と部屋を見渡す。

「なんだか、最初に入ったホテルを思い出しますね」

「最初に入ったホテルって…」

旅の初日のことを思い出す。それは自殺に失敗した直後で、北は絶望的な顔で「死のう…明日死のう…」とつぶやきながら眠ったのだった。

「あんまり思い出したくないかも…」

「?」

「俺、先にシャワー入ってきますね」

逃げるようにシャワールームに向かう。彩女がくすっと笑いながらそれを見送ると、スマホが鳴る。一騎の担当編集・巡健人(淵上泰史)からで、表情を消し、電話に出る彩女。

「もしもし」

「巡です。先生は今日、稚内に入られました」

「そう…」

とあるホテルの客室で、スピーカーモードで電話をしている巡。

「彩女さんも予定通り、稚内に向かわれているんですよね?」

巡の視線の先にいるのは…一騎だ。彩女はそれを知る由もなく「ええ」と答える。2人の会話を黙って聞いている一騎。

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するとシャワールームから北が顔を出して「彩女さんすみません、タオル!」と言い、彩女は慌てて電話を切る。電話の後、一騎に「信じていただけましたか? 私の話」と聞く巡。

「…彩女は、誰かと一緒なんだな」

「私がお会いした時はお一人でしたが」

「どんな男だ」

「分かりません。ただ、私と正反対の男だと」

「正反対か…」

苦笑する一騎

「彩女さんは『自分の物語を終わらせる』と私におっしゃいました。彩女さんの言う“自分の物語”とは『蝉時雨』のことじゃありませんか? だって彩女さんの現実は…」

「『蝉時雨』に出てくる小説家の妻そのもの。だから君は、あの物語の結末通りに彩女が私を殺すことで、全てを終わらせようとしていると?」

「飛躍しすぎかもしれません。でも…」

「いや、ありえる話だ。『自分の物語を終わらせる』…彩女が君にそう言ったのなら。私の作品の中で、いまだに最高傑作と言われる『蝉時雨』。あれは…彩女の日記をもとにして書いたものなんだ」

「!」

「私が彩女に出会ったのは、小説家としてデビューする前、高校の教師をしている頃だった。彼女はまだ高校生で…控えめに咲く、オダマキの花のような少女だった。やがて、若く美しい彼女の一途な愛に圧倒された私は、教師としての一線を越えた」

一騎は彩女との過去を回想する。

〜〜〜

小説一本で生計を立てるため、教師を辞めて東京に行くことを決意した一騎。彩女に別れを告げようとするが、彩女は「私を連れていってください。私、必ず先生のお役に立ちます」と一騎の胸に飛び込む。

結局抗えず、彩女と籍を入れて東京で暮らし始めた一騎。しかし何年経っても小説は売れず、出版社からも見放され、全く収入がなくなり、貯金も底を尽きかけていた。

質素な部屋で小説を書きながら、「…仕事を探すよ」と言う一騎。しかし彩女はハッキリとした口調で「ダメです。あなたは小説を書いてください」と言う。

「でも…」

「お金は、私がなんとかしますから」

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そう言って彩女は、一騎の前から姿を消した。そして1ヵ月後、帰って来た彩女の手には……衝撃的な2人の過去が、ついに明らかになる!


【第10話】

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北(重岡大毅)と彩女(入山法子)は、ついに“最期の地”と決めた稚内までたどり着く。ホテルのロビーで一編の詩に出会い「生」に想いを巡らせる北。北とは対照的に「死」への強い決意を感じさせる彩女。部屋に向かう途中、ふとブライダルサロンが目に入り、北は彩女が結婚式を挙げていないことを知る。彩女の表情からウエディングドレスへの憧れを感じた北は、なんとかして彩女にドレスを着させようとスタッフに掛け合うが…。

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