2つのドラマが情報解禁|太田勇の5分で読めるテレビの裏側日記

おはようございます!

テレビ東京の太田です。

 

あっという間に9月です。

 

2歳になったばかりの息子がもうすぐ3歳になります。

誰に似たのか電車クレイジーボーイで、全ての色を電車の色でたとえます。

緑をみたら「やまのてせん」、オレンジをみたら「ちゅうおうせん」、水色をみたら「けいひんとうほくせん」、昨日はひまわりを見て「そうぶせん」と言っていました……。

 

リアル我が子の話はさておき、自分のもうひとりの我が子であるドラマについて今月も書かせていただきます。

 

 

●情報解禁されました!

 

8月9日に『チェイサーゲーム』というドラマの、10日に『自転車屋さんの高橋くん』というドラマの情報解禁がされました。

 

チェイサーゲーム:https://www.tv-tokyo.co.jp/chasergame/

 

自転車屋さんの高橋くん:https://www.tv-tokyo.co.jp/takahashikun/

 

今までこのP日誌でも、自分のSNSでも中身に関して言えなかったので、良かったです。

情報解禁というのは読んで字のごとしです。

情報解禁日までは、プロデューサー、監督、出演者はもちろん、エキストラの方まで「○○という作品の撮影しました」とは絶対、絶っ対、絶っ対!…言ってはいけません。

 

「ちょっとずつ小出しにしていったほうが盛り上がるんじゃないの。今どき情報統制なんて無理でしょ」 と突っ込みたい人の気持ち、わかります。

しかし一方で、一気に情報を出したほうが瞬間的な爆発力は強く、結果、より多くの人に知ってもらえるという可能性もあります。

 

今はやはりSNSがあるので、とにかく漏えいがしやすいです。

そもそも撮影自体は、情報解禁日よりずっと前からしているわけです。

では、どうやって情報漏えいを防いでいるのか?

 

つい最近まで、とある超人気原作漫画のドラマを撮影していたスタッフに聞いたところ、徹底していました。

台本には作品名を入れず、イニシャルだけ。

台本だけではありません、公式の資料全てイニシャルのみで、地方ロケでホテルを予約する時も作品名は言わず、お弁当の発注の時も作品名は言わず。

『日々スケジュール』と呼ばれるその日のスケジュール表のように毎日捨てるものは回収ボックスを用意してそこに捨てるという慣習にしたそうです。

徹底してますよね。

 

ちなみに『自転車屋さんの高橋くん』の台本はこちらです。

漫画での人気のシーンを表紙に。

やっぱりこっちのほうがテンションあがりますよね。

これがイニシャルだけで『J』とか書いてある表紙だと味気ないだろうなとは思います。

 

 

と『自転車屋さんの高橋くん』のことを書く雰囲気だしてますが今日は、その前に放送する『チェイサーゲーム』について書きます。

鈴木伸之くんファン、だーりおファン、チャリ橋くんファンはお待ち下さい…!

●画作りの個性について

 

僕は撮影に入る前に、参考になりそうな作品をいくつか観ます。

やっぱりドラマの撮影スタイルに正解はないですし、普通に撮れば良くも悪くも普通に撮れちゃうんです。

 

ただ自分がやるからには個性を出したいです。

 

ただしやりすぎは注意です。

「セリフを言っている俳優さんの顔を撮影したらつまらないから僕は足元だけ撮影します」としたら、個性的ですが、それは悪い個性です。ワケわからないですよね。

もしもどうしても足元を撮影したいのなら、足元を撮影する必然性を作る必要があります。

 

ちなみにテレ東で1月クールに放送した『シジュウカラ』というドラマでは、足元を上手に映していました。

 

シジュウカラ:https://www.tv-tokyo.co.jp/shijukara/

 

22歳の男性漫画アシスタントの千秋(板垣季光人さん)が、40歳の既婚女性の漫画家の忍(山口紗弥加さん)と初めて一緒にお酒を飲むシーンで、普通なら2人の顔にゆっくりズームインするところ、なぜか2人の足にカメラがゆっくり近づいていくんです。

 

一瞬、なんかの間違いかな、と思うくらい違和感があるんですが、徐々に、千秋が自分の足を忍の足に絡め始めるんです。

ドキッとします。

「そういうことか…!」 と驚きました。

 

これをもし普通に顔を撮影して、足のヨリの画をカットインで入れても普通のカット割りになってしまうんで、そんな印象に残らなかったと思います。

 

ちなみに『シジュウカラ』には素敵な演出がたくさん散りばめられています。

監督は大九明子さんという方で、他の作品も素晴らしいです。

テレ東だと『捨ててよ、安達さん。』も面白かったですし、映画の『勝手にふるえてろ』は超名作です。

尊敬する監督の一人です。

 

 

 

●『チェイサーゲーム』の撮影について

 

では本題、『チェイサーゲーム』の画のルックなどについて説明します。

 

1,RPG風追っかけ

今回は、ゲーム業界が舞台なのでRPG風のカメラワークを入れることにしました。

主人公の龍也(渡邊圭祐くん)がシニアとして成長していく様をRPGゲームとして考えるという意図です。

 

RPGゲームを完コピしたYouTuberの動画と映画『ブラックスワン』を参考にしました。

YouTuberさんの動画は画角を参考にしました。

『ブラックスワン』は、追っかけの映像が多いんですよね。

普通ならここカット割るでしょう、という所で追っかけカットで押していたので、参考にしました。

 

こんな感じです。 

 

 

 

 

2,『プロミシングヤングウーマン』風な画角

『プロミシングヤングウーマン』は、めちゃパワフルな女性が主人公の映画で、僕の大好きな洋画です。

この映画は画作りがストイックでカッコいいんです。

 

被写体のど正面にカメラを置いて、奥行きを作る。

今回はオフィスが舞台で、普通に撮ると魅力的な画になりづらいので、この映画を参考にしました。

 

面接のシーンですが、こんな感じです。

 

 

 

 

面接をする龍也たち、そして学生、お互いの抜けにたくさんのDVDがあってエンタメ業界のオフィスっぽいですよね。

奥行きがあるんで緊張感も出ます。

 

ロケで撮影する場合、場所に制限が出てくることが多いのでど正面って入りづらいことが多いんですよね。

今回、カメラマンのふじもとさんとは「1日1プロミシング」を合言葉に、1日1回は『プロミシングヤングウーマン』っぽい画作りを心がけました。

 

 

3,群像劇感

今回は、主人公は龍也ですが、彼ひとりの話というよりは、彼とその周りの人達の話です。

そこで群像劇感を出すことに。

 

そのアイデアがこちらです。

 

 

 

「なにこれ?」 と思われた方も多いでしょう。

 

他の人の目線カメラです。

主人公が明確な場合、こういった主人公以外の目線カメラは視聴者を混乱させてしまうので使わないのですが、今回は随所で使っています。

 

これに関しては正直、効果はわかりませんが、「群像劇感を出すため」という意図はきっちり説明できます。

意図が説明できる、というのは演出において大切です。

 

元テレ東の佐久間さんから「コントセットの小道具ひとつまで、理由をちゃんと出演者に説明できるようにしとけ。なんで普通の箸じゃなくて割り箸なのか、なんで皿の色は白じゃなくて青色なのか、説明できるように準備しておけ」と教わったからです。

佐久間さん良いこと言うな、と思いましたが、そういう佐久間さんも『めちゃイケ』の総合演出の片岡飛鳥さんの受け売りでした。。。笑

 

画作りに関しての説明はこれくらいにして、次は他に見どころについて書いていきます。

 

 

 

●主演・渡邊圭祐くんについて

 

渡邊圭祐くんとは今回2回目です。

前にご一緒した『直ちゃんは小学三年生』での印象は「とにかく普通」の若者

 

直ちゃんは小学三年生:https://www.tv-tokyo.co.jp/naochan/

 

今回はお仕事モノなので、普通の若者の感覚を持っていることは大事です。

 

芸能界は特殊です。

だって20歳になるかならないかの若者にマネージャーがいるんですよ。想像できますか?

スケジュールの管理はもちろん、事務所によっては車で送り迎えしたり、プライベートの雑用もしてくれたり…

 

金銭感覚だってそうです。自分で稼いだお金とはいえ、20歳そこらの若者が家賃ン十万円のセレブマンションに住むわけです。

そんな人が年収390万円、入社9年目にしてようやく管理職になった人の気持ちを理解するって難しくないですか…?

そもそも会社勤めもしたことないんです。

想像で埋めなければいけない部分がたくさんあります。

ただ、圭祐くんはそれができると思いました。

 

あと圭祐くんのもう1つの印象は「受けの芝居が上手な人」でした。

 

受けの芝居というのは、相手のセリフを言われた後の演技で、セリフだけでなくて表情とか所作も含めてです。

他の方はわからないのですが、僕は「眉間にシワを寄せる」みたいに俳優さんの表情まで決めつけるような台本のト書きは苦手です。

僕だったら「不快な表情をする」と書きます。

『直ちゃん』の時に圭祐くんが見せた受けの芝居は僕は好きでした。

 

今回、巻き込まれ型の主人公なんで、圭祐くんだったら全部受け止めて演技してくれると思い、オファーをしました。

 

 

 

●劇伴・imaseくん

 

『チェイサーゲーム』の見どころのひとつは、劇伴音楽です。

劇伴音楽とはドラマ内でかかる音楽のことです。

 

今回、劇伴を作るにあたり「ゲーム業界の話だから、ピコピコの電子音っぽいのにしよう」というステレオタイプな発想はやめようと決めていました。

 

では、どういった線で考えるか…?

 

僕はアニメ『オッドタクシー』の音楽がすごい好きでした。

単純にカッコいいし、強い世界観が好きでした。

調べると、PUNPEEさんが劇伴とOPテーマを手掛けていました。

これは僕にはコロンブスの卵でした。

 

ざっくり言うと、ドラマの音楽は3種類あります。

OPテーマ、ENDテーマ、劇伴です。

 

アニメも一緒だと思います。

それぞれを違う人に発注して作ります。

三者三様の個性が合わさって、世界観が出来上がります。

ただもし劇伴とテーマ曲を同じ人が作れば、その人の色が濃く出て世界観はより明確になります。

 

「この発想は頂きだ」と思い、今回は、同じ人に劇伴とテーマ曲を作ってもらおうと、テレビ東京ミュージックに相談したところ、挙がった名前が imaseくんでした。

 

imaseくんのサウンドは、僕が避けたいと思っていた電子音とは真逆のシティポップ(?)サウンドでした。

ゲーム業界のドラマと聞いて、想像しない種類の音楽です。

けれども今っぽく涼しげで渡邊圭祐初主演ドラマにはピッタリだと思いました。

 

imaseくんは、岐阜在住の21歳の若者で、打ち合わせはオンラインでしました。

劇伴を作るのは初めてだそうですが「がんばりまーす」と飄々とした受け答えが好印象でした。

 

 

 

●トランスジェンダー役・若林佑真さんの出演

 

最後に見どころをもうひとつ。

今回、トランスジェンダーのインターン生役で渡邊凛という若者が登場します。

 

これはドラマオリジナルのキャラで、脚本家のアサダアツシさんのアイデアでした。

アサダアツシさんとは Twitter のDMで10年以上前に知り合いました。

以来、時々お茶を飲んでは面白かった映画の話から、くだらない芸能ゴシップから、マジメな企画の話までするような間柄です。

 

『チェイサーゲーム』の脚本打ちでアサダさんは 「性的マイノリティの方たちが当たり前に働ける社会になるべきですが、まだそこには至ってないのが現状で、であればその現状を描きたい」と言いました。

 

彼らが対峙する問題も、恋愛とか家族ではなくもっと日常生活に密接した問題がいいといろいろ調べてくださいました。

どの問題を取り上げたかはドラマを観てのお楽しみで。

 

アサダさんがもうひとつこだわったのは、配役でした。

アサダさんは「渡邊凛は実際にトランスジェンダーの人に演じてもらいましょう。見つからなければこの役はオミット(なしにする)しましょう」とまで主張しました。

僕はそこまでこだわることなのかと最初は思っていましたが、知り合いのツテをたどり、若林佑真さんにたどり着きました。

 

渡邊凛がメインとなるのは第3話です。

アサダさんと一緒に作った台本を若林さんに読んで頂き、何回か意見交換をして台本を改定しました。

 

アサダさんの考えは正しかったです。

若林さんから頂いたアドバイスで「全く知らなかった」ということはありませんでしたが「なるほど」と気づくことは多かったです。

 

たとえるなら、僕は料理は素人で肉じゃがを作ったことはないですが「肉じゃがを作って」とお願いされたら、なんとなく作れると思います。

「お肉とじゃがいもとたまねぎが材料で、しょうゆとみりんを入れるのかな」くらいのことはわかります。

ただ、そうやってレシピを見ずに適当に作った肉じゃがと、ネットで一番評判の良いレシピを見ながら作る肉じゃがは、似て非なるものになるでしょう。

そんな感覚でした。

 

などなど、たくさん書かせて頂きましたが、最後はオフショット。 

 

 

昼休み中。

誰が飲み物を買いに行くか、じゃんけん大会をした所、圭祐くんとやべきょうすけさんが最後の2人に。。。 

 

 

じゃんけんに負けたのは、圭祐くんでした。。。笑

 

 

中華ドレスの可愛い景井ひなちゃん。

ポイントは、、、、 

 

 

髪飾り。

衣装部和田さんの手作りです。 

 

 

そして、imaseくん、景井ひなちゃん、今井隆文さんの3ショット。

第3話に要注目です。 

 

 

ダブルけいすけです。

東啓介くんは高校時代に30センチ伸びたそうで、現在の身長は190センチ。

実は彼の身長がキャスティングポイントのひとつでもありました。

彼が演じる魚川は天才タイプで、龍也と衝突するシーンがあるんですが、その時に龍也を見おろせる身長の人がいいな、と思っていたんです。

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
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