💻10月ドラマ始動!|太田勇の5分で読めるテレビの裏側日記

7月のプロデューサー日誌です。

8月半ばから撮影があり、その準備で忙しいです。

 

 

写真はロケハン先で撮った写真です。

今回はいつもにも増してオシャレでいきたいので、こんな感じの色味の多い場所ばかりロケハンしてます。

 

と、ドラマの準備で忙しいなんて話をしながら関係のない話から。

 

 

●『Artistspoken』で音声コンテンツはじめました。

 

『Artistspoken』で、配信を始めました。

これは、クリエイターの人たちに特化した音声配信コンテンツで、後輩経由で誘っていただきました。

https://artistspoken.com/lp/

 

 最初、先方のプロデューサーの方に「何をしゃべりたいですか?」と聞かれた時、フリーズしました。

「何をしゃべりたい…?」

おそらく僕はそんなおしゃべりな方じゃありません。

僕はプロデューサーや演出には、ピッチャー型とキャッチャー型の2種類あると思ってます。

ピッチャー型は自分のやりたいことを言うタイプでおしゃべりです。(僕の中では、佐久間Pや伊藤Pはまさにそれです)。 

一方、キャッチャー型はみんなのやりたいことを聞きながらまとめるタイプです。

僕は後者です。

そのため、自分で話す時間より、人の話を聞く時間のほうが長い気がします。

 

そんな僕に話したいことなどあるのだろうか…?

ただせっかくお話を頂いたので、何か実現したい……。

そんな時に、久しぶりに、松竹の芸人の金子くんから連絡がきました。

金子くんは、元々はうしろシティというコンビを組んでいて、去年解散しました。 

https://www.shochikugeino.co.jp/talents/kaneko/

 

金子くんとは15年くらいの付き合いで、元々、友人経由で知り合ったんで、仕事仲間というより年下の友人に近い感覚です。

家も近かったので、お茶をすることにしました。

「今後も芸人続けていくの?」と僕が聞くと、

「う〜ん、悩んでます。ただ正直、また誰かとコンビを組んで、という気持ちはないんですよね」と言いました。

 

そりゃそうだよな……。

うしろシティといえば、『キングオブコント』の決勝の常連。(調べたら3回も出てました)。

日本でもっとも面白い10組の芸人に、3回選ばれているわけです。

「放送作家になる気はないの?」

別の質問をしました。

芸人を辞めて放送作家になるというのはよくあるセカンドキャリアです。

「それもプロの放送作家の方に失礼だなって。芸人辞めたから放送作家になるって、放送作家を下にみている感じもするじゃないですか。実際、放送作家になるなんて甘くないだろうし……」

マジメです。というか、至極真っ当です。

「でもさ、試しにテレビの企画考えてみたら?あんだけ面白いコントを書けるんだから、面白い企画も思いつくと思うよ」

僕がそう言うと、

「いや、考えたことないっすもん。コント作る頭と絶対違いますって」

「そうかあ……たしかに、僕もコントは書ける気しないもんなぁ……」

沈黙。

そこで思いつきました。

――僕が金子くんからコントの作り方を学び、逆に、金子くんが僕からテレビ企画の考え方を学ぶ、そんな音声コンテンツはどうだろう?

僕は、金子くんにArtistspokenの話をし、快諾をもらいました。

 

 

●『Artistspoken』収録。 「うしろシティのコントの作り方」

 

そんなわけで、テレビ東京・太田のArtistspokenが始まりました。

内容は、『テレビ番組の考え方』と『コントの作り方』。

初回は、お互いがどのようにテレビ番組を考え、コントを考えているかを話しました。

それをヒントに次回以降、それぞれ持ち寄ってプレゼンするという流れです。

 

面白かったのは、金子くんのコントの考え方です。

基本、彼はキャラから入るそうです。

キャラは、普段の生活で「変わっているな」という人を見つけたら、その人をつぶさに観察するそうです。

例えば、喫茶店って必ず変わった常連客っていますよね。

その常連客は、そのお店だから許されている振る舞いをしがちで、絶対変わり者です。

次に、その変わったお客さんがどんな場所にいたら面白いかを考えるそうです。つまり、

「変わった人」x「変わった場所」の掛け算です。

だからうしろシティのコントで、設定から考えたものはないそうです。

 

僕のほうは、テレビ番組の考え方を話しました。

僕が昔1クールだけ放送した『要博士の異常な映画愛』という番組があるのですが、その企画を思いついた話をしました。

 

その番組は『著作権の切れた昔の映画の一部を切り取って、全然違うセリフをアテレコする、映像の大喜利番組』でした。

テレビ番組を作っていると、コピーライトという問題にすぐ直面をするのですが、そんな時に「コピーレフト」という概念を知り、そこから思いついたという話をしています。

もしこれにご興味を抱いた方がいらっしゃったら、ぜひ本編を聞いて頂けたらと思います。

 

毎週、更新していきます。

テレビの番組企画の考え方とコント作りにご興味のある方、そして、元うしろシティのファンの方もぜひ、ご拝聴ください!

僕も毎週、本気でコントの設定案を考えてます。

難しいけど、楽しいです。

●ドラマの準備とは……色んな「気持ち」を勉強中 

 

10月クール放送のドラマの準備中です。

バブル女子とZ世代女子が主人公のお話です。

そんなわけでバブル世代とZ世代について、勉強中です。

僕は46歳なので、バブル世代の気持ちは、薄くわかります。 

 

ここで、テレビ局で感じた「バブル」の話をしたいと思います。

僕が21年前に入社した2002年、一番バブルだったのは音楽業界です。

とにかく派手でした。

当時はまだCD全盛時代だったので、サンプルCDを配りにいろんなレコード会社の人が制作フロアに来ていました。

音楽業界の人たちは格好も派手で、華やかでした。

「サンプルCDを配って、このまま六本木に飲みに行くんですよ」と顔に書いてあるような人たちばかりでした。

 

サンプルCDをもらえるのは音楽班の人か、あとは部長以上の偉い人たちだけです。

僕は入社1年目、音楽班だったので、サンプルCDをもらうことができました。

正直、優越感を感じます。

ただもらえるサンプルCDも、新人アーティストから人気アーティストまで様々です。

人気アーティストのサンプルCDは、新入社員には配ってもらえません。

たとえば、サザンオールスターズのサンプルCDなんて僕はもらえたことありませんでした。

もらえるのは部長以上だけです。

それをうらやましく見ていました。

 

あと、嬉しかったのは販促グッズでした。

その販促グッズの豪華なこと、豪華なこと。

缶バッジ、キャップ、トートバッグなんかは当たり前で、一度、これからデビューするという新人アーティストのために、バンド名が入ったトレーナーを全員に配っているのを見たこともあります。

「これくらいお金かければ売れるんですよ」

と、レコード会社の人は自信満々に言っていました。

そのバンドが気になったのでデビューに注目していましたが、初登場はオリコン99位でした。

それが良いのか悪いのかわからず、そのレコード会社の人に聞いてみると「大失敗ですね……」と言っていました。

今思うと、にわかに信じがたいですよね。

書いてる僕ですら、幻だったんじゃないかと思うほどです……。

ちなみにそのバンドは、その99位が最高順位のまま、3年後に解散したみたいです。

 

続いて「Z世代」の話。

一般的に1997年から2012年に生まれた世代を指すそうです。

今回、Z世代の主人公がいるので、この世代の勉強をしなければなりません。

その勉強に一番役立ったのは、竹田ダニエルさんの本『世界と私のAtoZ』と、彼女の出演していたラジオです。

僕は「●●世代」と一括りにする表現はあまり好きではないのですが、彼女の分析や表現にはふむふむとうなずける部分がたくさんあります。

特にZ世代がデジタルネイティブで、物心ついた時からSNSのある環境で育ってきた感覚を言語化してくれているので、そこは勉強になります。

たとえば、それに関しての記述を一部、書かせて頂きます。

 

Z世代の知っている世界は、古い価値観を持った親や学校の先生、わかりやすさを重視したあまり軽薄になってしまったテレビの情報に制限されることがないのだ。TikTokを開けば、歴史の授業で学んだことが事実とは異なり、白人至上主義を植え付けるためのプロパガンダであることを説明している動画が目に飛び込んでくる。Twitterを開けば、何万もの抗議活動の署名を集めたり、長いスレッドで複雑な社会問題について「今すぐ学んでほしい」というメッセージとともに拡散することができる。

 

なるほど……46歳の自分には想像つかない世界です。

あとは、セルフケア・セルフラブの考え方がミレニアル世代と変化してきたという話も面白いです。

「高いお金を払ってケアするのが幸せとは限らないと気づいたのがZ世代」みたいな感じですかね。

これも深くうなずくポイントです。

 

上に書きましたバブル時代の音楽業界の話にも通じますよね。

だって今の時代、サンプルCDを配りにテレビ局に来る音楽業界の人なんて(当たり前ですけど)いないです。

20年前までは、サンプルCDに販促グッズまで作ることが「当たり前」だったわけです。

物質まみれです。今はすっかりデジタルです。

 

少し飛躍しますけど、 今人気急上昇中の歌手のimaseくんなんかを見ていると本当にそう思います。

imase くんはTikTokでサビだけできた曲をどんどんアップしていってブレイクした歌手です。(もちろん売れた理由はそれだけじゃないですが)

「サビだけできた曲」というのは、言い換えると、「サビしかない未完成の曲」ということです。

けれどそれを堂々とパブリックに発信できちゃうんです。

一昔前のアーティストだったら、「未完成の曲なんて人に聞かせられるわけないだろ!」とか言ってそうです。

それは、発信するためにはCDにしなければいけないのでコストがかかったからということもあるでしょう。

けどimaseくんのように自分の家で作った音楽をTikTokで気軽に発信すればお金はかからないです。

精度より鮮度重視です。

もちろん彼だってCD化されれば嬉しいでしょうけど、それだけじゃないんだろうなと思います。

ちなみにimaseくんの新曲「Nagisa」がとても素敵です。

夏に何度でも聴きたくなる名曲です。

 

 

 

●ドラマの撮影準備 ロケハンが始まりました

 

ドラマの撮影準備が始まりました。

今までは脚本打ちとキャスティングがメインでしたが、いよいよロケハン開始です。

基本的に、監督のイメージに合った場所かどうか、がポイントになってきますが、実は他にもいろんなチェックポイントがあります。

いくつか、補足と共に説明します。

 

・移動時間

「都内からどれくらいかかるか?」です。

当たり前ですけど、遠くに行けば行くほど、イメージに近い物件が出てくる可能性は高まりますが、撮影時間は減ります。

たとえば、埼玉県にある物件で往復3時間かかります。

その場合、都内で撮影するより撮影時間が3時間も減ります。

これは大きいです。

なのでわかりやすく言うと、70点の物件で100点の撮影をするか?

あるいは100点の物件で70点の撮影をするか?みたいな選択肢を迫られるわけです。。。笑

 

・広さ

広さは重要です。

撮影って思った以上にスペースがいるんですよね。

スタッフも多いですし、機材も大きいです。

特にここ数年はコロナのこともあるので、十分に距離を取れる空間が必要です。

となると、都内よりも地方に行きがちです。。。

しかし広すぎると、エキストラの数も増やさなければいけないので、深夜ドラマでは限界があります。

つまり、撮影には広いほうがいいですが、予算に見合った広さの限界があるわけです。

 

・使用料

これは気にしない監督もいるんでしょうけど、僕はプロデューサーも兼任なので気にします。

イメージにばっちり合うけど1時間10万円の物件か、イメージ的には80点だけど1時間3万円の物件か、だったら予算規模にもよりますが、僕は後者を選ぶ気がします。。。

結局、予算に見合わないことをすると、どこかにしわ寄せがきます。

細かいことだと弁当の値段が1ランク下がったり、大きいことだと撮影日数が1日減ったり。

撮影日数が1日減ると、1日の撮影時間を10時間だとしたら、5日間毎日2時間増えるわけです。

残業で考えたら、けっこう大変ですよね。。。

 

ただ、使用料に密接に関わる問題に、「美術をどれくらい飾りこむ必要があるか?」というのがあります。

置いてある家具などをそのまんま使える物件か、それとも家具を全部入れ込まないといけない物件か、ということです。

だからたまに、使用料が安いからとそこで決めたのに、美術費がかかってしまい、結果、使用料の高い(よりイメージに近い)物件のほうが安上がりだった、という事があります。

 

・その他

あと大切なのは、搬入のしやすさと、ロケ先の協力体制です。

搬入のしやすさは、

そもそもエレベーターがあるか?

そのエレベーターは機材を載せられるか?

そのエレベーターから撮影場所までの距離はどれくらいか?

そのエレベーターは、搬入する時間、空いているか?

そして、協力体制も重要です。

たまに、撮影オッケーだけど、物は一切動かしちゃいけない物件とか、あとは、普通に近くで人が働いている物件とかもあります。

こういう問題は事前に、制作部さんがケアしてくれるんですが、やっぱりトラブルは起こります。

たとえばオフィスでの撮影であれば、会議がその日に急に決まったり、突然、来客があったり、会社サイドは普通に営業してますからね。

となると、やっぱり広い地方に行きがちになるんですが、最初の「移動時間」問題にぶつかります。。。

永遠のループですよね。。。

 

さあ、今日も今から、ロケハンです。。。

今日はオフィスを見に行きます。

 

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
x
x