💻あのシーンの演出秘話|太田勇の5分で読めるテレビの裏側日記

 

●『チェイサーゲームW2』放送中ですが…

 

放送する度、色々な意見がSNSで出ていまして、厳しい意見もたくさん頂いてます。

皆さんの正直な意見は愛のムチです。逃げることなく、受け続ける覚悟です。

好きの反対は嫌いではなく無関心ですから。

だからドラマに対しての厳しい意見というのは、愛があるからこそ、です。 

 

日本語、英語、中国語、韓国語、いろんな言語でお言葉を頂いています。

具体的な分析をしてくださった方もいらっしゃいます。

自分が意図したことが伝わってないなと思うこともありますが、それは作り手の責任です。

受け手がそう思ったのであれば、作り手の努力不足、能力不足でしかないのです。

せっかく楽しみに見てくださった方たちの期待を裏切ってしまい、この反省から学び改善していきたいと思います。

 

メイルゲイズで物語が描かれているという感想も多く見られました。

監修や第三者の意見なども聞き、気をつけていたつもりではありましたが、今後はもっと意識的になり、その視点を忘れずに制作をしていきたいと思っています。

 

昔、僕が『YOUは何しに日本へ?』というYOU(外国人)に密着する番組のディレクターをやっていた時に、箸の使い方を一生懸命覚えようとしているYOUがいました。

僕は彼に、「僕も日本人だけど箸の持ち方、変だから大丈夫だよ」と励ましのつもりで言ったのですが、その時に彼にこう言われました。

「君は日本人だからいいよ。けど、僕は外国人だから箸の持ち方が変だと「やっぱり外人だから」って言われてしまう。それがイヤなんだ」

『チェイサーゲームW』という作品をやるにあたって、僕はその時のことを思い出しました。

 

皆さまの意見やSNSの声は読ませていただいておりますし、感謝もしていますし、凹んでますし、逆もあります。

そう思わせてしまったことを反省し、また次があるのであれば、そう言われない、そう言わせない作品を作りたいと思ってます。

 

作品を作る限り、100%の人が満足する作品というのは不可能です。

作品によって何かしらのポジティブな影響を受けた人の割合が、最低51%であればその作品を作った意味はあると思います。

もちろんそこで満足するのではなく100%を目指していきます。

 

一つだけ申し上げたいのは、性別や年齢はその人を形成する大きな要素のひとつではありますが、全てではありません。

例にあげるのもおこがましいですが、たとえばサッカーの三浦知良選手は57歳ですが、現役選手であろうと努力をし続けています。

僕が先日お仕事をした監督は70歳ですが、撮影に入る前に独り言で「緊張するなぁ」とボソッと仰ってました。

俳優の宮崎美子さんも芸能歴50年近いベテランですが、未だに新しいドラマの撮影前日は眠れないと仰ってましたし、自分のセリフを手書きでノートに写して暗記していらっしゃいました。

 

成長することが絶対的な正義とは思いませんが、成長をやめてしまった人は、他者からの批判に耳を閉ざす傾向にあると思います。

僕は、テレビマン歴は23年ですが、バラエティ番組のディレクターを13年経験し、ドラマとバラエティ番組を兼任する期間が5年、本格的にドラマ1本になってから5年です。

なので、自分はドラマに関してはまだまだ勉強中で、実力不足であることは認識しています。

だから他者の意見は、それがどんなに辛辣な言葉だとしてもとても有り難いです。

ここからは気持ちを切り替えていきたいと思います。

●SNSで見つけた嬉しい声

 

とっても細かいとこまで見てくれる『チェイサーゲームW』のファンの方たち。

自分がこだわったポイントで、視聴者の方も気づいてくれた嬉しかったシーンをいくつかお話させてください。

 

 

まずは1話の冒頭の、トイレから洗面所に行く樹の猫背。このシーンを褒めてくださる方が何人かいらっしゃいました。

これは、5テイクくらいしました。元々の菅井友香さんのカメリハの時の演技は、起きたからにはシャキッと動こう、みたいな感じだったので、「もっと猫背でお願いします」とか「もっと元気なさそうにお願いします」とかお願いしました。

けど、まだシャキ感が残っていたので、「まだ眠ってる気持ちでお願いします。アイドル時代じゃ考えられないくらいの猫背でお願いします」と言って、この温度感に落ち着きました。

 

なんでこだわったのかというと…やっぱりこの時の樹は”絶望”なんですよね。

もう中国に戻ってしまった最愛の人、しかももう二度と会えない、けれども二人で通ったカフェの店長をしているわけです。何一つ整理できていないんです。

主人が死んだ後も毎日迎えに行っていた忠犬ハチ公より辛いです。言うなら、主人が死んだことを知っているのに毎日迎えに行ってる忠犬ハチ公です。 

そして、そんな不幸な状況というのは、遠くから見ると少しだけおかしく見えます。 

チャップリンの言葉でいう「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。」です。

 

 

次に、2話の冬雨が閉所恐怖症と気づいたシーンです。

シチュエーションは、リアル脱出ゲームのような遊びに女子5人できて、そこで狭い部屋に閉じ込められます。そこで樹は冬雨の閉所恐怖症に気づきます。

時期は、大学1年のゴールデンウィーク。知り合ってまだ1ヶ月ちょっと。

樹はすでに冬雨のことが好きなので、冬雨の一挙手一投足をくまなく見ているのですぐに気づきます。

本当は肩をさすってあげたいけど、変な人と思われたくない……だから樹の手はモジモジしているのです。

 

ここもカメリハの時は、いくつかパターンを試しました。

肩をさすっているパターンもありました。友だちとして自然な行動でもありますからね。

いくつか試して、この芝居に落ち着きました。

 

ここもこだわりました。樹が冬雨を好きな気持ちと、もどかしい気持ちを表現したかったんです。

樹は冬雨に一目惚れでした。樹が冬雨を好きな気持ちは理屈ではないんです。直感なんです。

感覚的に好きになり、時間を過ごせば過ごすほど「運命の人だ!」って思ったんです。けど、彼女も自分と同じ同性愛者かどうかわからない。

だからブレーキも強いです。傷つくのが怖いですからね。

 

この樹の気持ちの強さが、カフェで働くことにつながります。カフェで働く樹は覚悟を決めています。

樹はそこまで具体的に想像はしてないでしょうが、感覚としては、冬雨がおばあちゃんになって、月が大人になって、浩宇もおじいちゃんになって先に逝って、独り身になった時にカフェに来るかもしれない。いや、来ないかもしれない。けど、万が一来た時に、このカフェがなくなっていたら冬雨が悲しんでしまう、だから自分が働いてこのカフェを守っておこう、という気持ちです。

あとは、もう二度と誰かを好きになるつもりはないから、冬雨との思い出と共に生きていこう、という覚悟です。 

『チェイサーゲームW2』、放送はまだまだ続きますので、引き続きよろしくお願い致します。

 

 

●『チェイサーゲームW2』のサムネイルについて

 

今回、僕が大好きなのはサムネイルです。自分で考えていません。

サムネイルを作っているのは、コンテンツプロデューサーの岡さん。入社1年目の女性社員です。

とても良いですよね。サムネイルに選ぶ画像もですけど、やっぱりキャッチコピー(?)がとても素敵ですよね……。

ここまで6話放送して、ベスト3を選びました。

 

 

3位

1話 「これはダメ?」

理由:TVerのサムネイルに書かれている文章って、客観的な視点が多いのですが、これは完全な樹視点の口語で、彼女がささやいている姿が目に浮かびますよね。この言葉があることで、画像よりもさらに距離感が近くなる感じがしていいですよね。

 

 

2位

6話 「「好き」 気づかないで、気づいて」

理由:これも樹視点の口語ですね。TVerのサムネイルって、ビジュアルとして強い画像を選び、インパクトのある言葉を選ぶのが定石です。そのため意外と、画像とキャッチコピーがリンクしていないものも多いのですが、これは画像とキャッチコピーが完全にマッチしているところが素敵ですよね。これはこの場面の映像が浮かびますよね。ドライヤーのウィーンという音も聞こえてきます。

 

 

1位

5話 「つめたくて、あつい」

理由:このコピーを見た時、岡さんのことを糸井重里の再来かと思いました。(糸井重里さんは天才的なキャッチコピーをたくさん考えたコピーライターさんです。今の若い人は、「ほぼ日」の編集長として認識してそうですね)。糸井重里さんもそうなのですが、難しい言葉を使っていないというところが素晴らしいです。小学生でもわかる簡単な言葉を2つ並べて、この瞬間の気持ちを最大限に表現していますよね。脚本の教科書に「「好き」と言わずに、どう好きと伝えるかが大切」と書かれていますが、そのお手本ですよね。プールの水は冷たいけど、あついんですよね。

 

あと、各話のサブタイトルもとても良いです。これを考えているのはプロデューサーの吉川くんです。

僕の一番のお気に入りは1話の「最愛と再愛」です。彼の考えるサブタイトルもどれも素敵で、彼は眞木準の再来ですね。(眞木準さんも有名なコピーライターです。「でっかいどお。北海道。」とか「恋を何年、休んでますか。」とかが有名です)

 

今回『チェイサーゲームW2』は、なんと、1話から8話まで、全部据え置きでTVerで観られるそうなので、ぜひ二度三度と観てください!

 

本当に、今のテレ東の若手社員は優秀です。20年以上前に僕がテレビ東京に入社した時なんて、まだ東京ローカル局扱いでした。

キー局(日テレ・テレ朝・TBS・フジテレビ)に落ちた人が、仕方なしに受けるテレビ局でした。

それが今では、他局の内定ももらえたのに、あえてテレ東を選んだという社員もいるくらいです。

僕ら世代からしたら、相当な変わり者に見えますが、今の20代の社員はそう考えていないみたいです。

 

 

●健康って、本当に大事です…

 

最後に、9月は体調を崩してしまいました。

9月3日から微熱が始まり、ずっと熱は下がらないまま咳が出るようになり、2週間後に39度5分まで発熱しました。

それから数日して、朝は熱が37度は切るのですが、午後になると熱が上がり、夜寝るころには38度を超える、という日々が続きました。

お医者さんにも何度か行ったのですが、「朝、熱が下がっているということが回復に向かっている証拠なのでお気になさらず」とのことでした。

 

ただあまりに熱が下がらないので、発熱して3週間後に血液検査をしたところ、血液中のCRPの値に異常がみられました。

CRPで身体の中の炎症がわかるらしく、平常が0.2で、一般的な風邪が1〜2、肺炎の人が10以上と言われているそうで、僕の値は9.7でした…! 

ただし白血球の値は正常値だったので、もう病気としては治りかけている、つまり、それまでの僕はCPRの値が余裕で10以上あり、ずっと肺炎だったことがわかりました。

 

正直、もっと早く血液検査のことを教えてほしかったです。

高熱が出続けたことも辛かったですが、一番辛かったのは、熱の原因がわからなかったことです。

不安になって、毎晩「高熱 病気?」で検索していました。

原因がわからないってこんなに人を不安にさせるんだな、と思いました。 

 

「朝平熱で、夜になると発熱するというのはよくある症状なんでご心配なく」と、お医者さんは言ってましたが、いやあ、もっと早く血液検査のことを知りたかったです。

原因を知っていればもっと違ったのに、と思いました。

みなさんも体調が怪しいなと思ったら無理せず、お医者さんには早めに行って、あとは原因を調べる方法があるなら絶対探ったほうがいいです。

原因がわかるかわからないかで全然、違います…。

 

今月も僕の稚拙な文章を最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。引き続きよろしくお願い致します。

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
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