懐かしの海外ロケ仲間と|太田勇の5分で読めるテレビの裏側日記
今月のP日誌です。3月はショートドラマの撮影が2本ありましたが、連ドラの忙しさに比べると時間に余裕はあります。ここ数年、仕事と子育てできなかったことを色々しています。
たとえば…最近、久しぶりに夜、出かけました。

●懐かしの同窓会

真ん中にいるのは僕で、左右にいるイケメン2人は誰でしょう? 右側は、日本一のイケメンラーメン店主『支那そば田中』の田中さんで、左側は、上田竜也くんです。 僕ら3人は、2017年に海外ロケに3週間、一緒に行きました。ヨーロッパです。『爆走!ガチンコラーメン屋台』という特番でした。
https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/entertainment/entry/2017/014852.html
テレ東のお家芸のガチロケの番組でした。コンセプトは、
「ラーメンの売上だけでヨーロッパを旅する。売れなかったら野宿もする」
「え?大丈夫?」「海外ロケで野宿?」って感じですよね。
でも本当にそうなんです。実はこの特番自体は第3弾で、第1弾は南米、第2弾はアフリカでロケをしたんですが、第2弾のアフリカロケではラーメンが売れなくて、野宿しました……。

ナミブ砂漠にテントを建てて二晩過ごしました。砂漠の夜は寒くて、昼は30度あるのに夜は氷点下でした……。
まあ、上田くんとのロケでは野宿はなかったんですが、色々なトラブルが起きました。そんな3週間を一緒に乗り切った盟友です。帰国してからもたまに会っていたのですが、コロナもあってずっと会っていませんでした。ただKAT-TUNが解散するというニュースを聞いて、久しぶりに連絡をとり、ご飯に行くことにしました。
良い話、いっぱい聞けました。一番うれしかったのは、ニュースにもなっていた小説デビュー。早く読んでみたいです。そして、映像化のお手伝いができたら最高だなと思います。
●台本の作り方、アレコレ
最近、「アドトラックみたよ」という連絡をいただくことがあります。これです。

テレ東で放送するドラマではないので、ここでは番組名は載せないのですが、自分の名前が載ってるアドトラックを見るのは生まれて初めて。嬉しさと恥ずかしさと。アドトラックって、「バーニラバニラバニラ」の歌が流れるお水系のバイト募集か、ホストやキャバ嬢の「1億オーバー 職業イケメン」「歌舞伎町人気No.1アケミ」とか宣伝トラックのイメージがあるからですかね。
せっかくなので、このショートドラマの話もさせてください。オリジナルドラマで、とある芸人さんと一緒に台本を作りました。自分ひとりだったら絶対にしない作り方をしてます。
あらすじを言うと……
待機所からホテルへ、ホテルから待機所へ、 仕事終わりの風俗嬢たちを家まで送る送迎車。
その運転手と風俗嬢の間には 一般では想像し難い“様々な出来事”が起こる。
そんな風俗嬢送迎車の運転手となった主人公の実の目的は、 風俗嬢の妹を自殺に追いやった相手を見つけ復讐するためだった…!
いわゆるリベンジものです。全50話です。妹を自殺に追いやった犯人は、本当に最後までわかりません。
絶対わかりません。
そう言い切れるのには理由があります。
台本を作った僕らも、犯人がわからないまま台本を作り始めたからです。
こういう犯人がいるタイプの作品で犯人を決めずに台本を作るというのは珍しい気がします。自分ひとりだったら、絶対、このアプローチはしてなかったです。
●僕が教わった脚本作りのコツ
これは、一緒に組んだ芸人さんの考えでした。彼は名前を出してないので、芸人Kさんとしましょう。
「まず、どういう女の子たちを登場させるか考えましょう。全員のキャラクターシートを作りましょう」
Kさんは、普段、コントを考える時も、ネタを考えるのではなく、まずキャラクターを考えるそうです。
例えば、“喫茶店に変なおじさんがいて変なことをする”というコントを考える時に、そのおじさんが「お盆を割ったら面白いだろうか?」「コーヒー豆を急に食べだしたら面白いだろうか?」みたいに、「行動」を考えるのではなく、まず変なおじさんの「性格」や「背景」を先に考えるわけです。
「このおじさんは、60代半ばで、定年退職をして今は無職。10年以上、1日も欠かさずこの喫茶店に通ってる。500円のコーヒー代の元をとるために、ここに置いてある4つの新聞紙をくまなく読み尽くす。話し相手がいないから、暇そうな客がいたら話しかける。話しかける割に、自分の話しかしないし、例え話の99%が野球。しかも90年代のパ・リーグの選手を例え話に使うから、誰もわからない……」
みたいな感じです。
性格・背景が決まると、このおじさんが取りそうな変な行動が浮かんできます。たとえば、ドケチだから計算機をカバンに入れているとか、野球好きだから金属バットを持って喫茶店に来るとか、「変」が決まってきます。
一見、この作業、遠回りにも見えますよね。ただ、このアプローチのほうが絶対良いとKさんはいいます。
なぜだと思いますか…?
「変な行動」だけで考えると、変な行動大喜利みたいになってしまい、その一つ一つの大喜利が面白いかどうか、で判断されてしまいます。
一方、「変なおじさん」というキャラクターがわかると、そのおじさんの行動全部が笑いやすくなってきます。たとえば、そのおじさんが、コーヒーを飲んでいる途中で、ソフトバンクの野球帽から、南海ホークスの野球帽に突然、被り直したとします。(ソフトバンクは、昔、南海ホークスというチームでした)。 この行動自体は大喜利としては全く面白くないですが、もし「90年代の日本のプロ野球のパ・リーグが好きなおじさん」というキャラクターがわかっていれば、この行動が理解できます。 たとえばその後、おじさんが門田選手のモノマネをはじめたとします。 門田選手は、南海ホークスを代表するホームランバッターですが、知らない人がほとんどだと思います。 ただ、「90年代の名選手のモノマネをしている」と理解できれば、門田選手を知らない人もなんとなく笑えてきます。 あとは、何かに置き換えることもできます。ここのポイントは、「”昔流行ったけど、今は誰も知らない人のモノマネをする面白さ」です。門田選手を知らなくてもいいわけです。
というわけで、この作品も、まずは登場人物の女子たちのキャラクターを考えました。ホストにハマってる女の子、学費のために働く女子大生、シングルマザー、アイドルになりたかった女の子……。
ホストにハマってる女の子は、どこのホストクラブなのか?六本木?歌舞伎町?川口? 大学生はどこ大学?慶応?早稲田?MARCHのどっか?美大?シングルマザーはなんでシングルになったの? とかとか……。
キャラクターが決まると、車内での行動も決まってきます。ホストにハマってる女の子は、車内でホストに連絡をとるだろうし、女子大生は勉強をするだろうし、シングルマザーは託児所に行くために地味な格好に着替えるかもしれません。そんな風に行動が決まると、女子同士の会話や、運転手の対応も決まってきます。
そうすると、「全50話のショートドラマの脚本」という先の長い道のりが、一歩一歩積み上がっていきます。5話、10話、20話、30話過ぎるくらいまでは、女子たちを勝手に動かして物語を作り、キャラが深まっていきます。
「ホスト好きの女の子、お金に困ってはいるけど、悪いやつではなさそうだ」
「この女子大生、マジメだけど、身勝手だよね」
「シンママは、そこまで子ども好きじゃないかも」
とかとか。
「じゃあ、この中だったら、誰が、犯人になるんでしょうね?」
「…まあ、こいつが一番怪しいね」
みたいな感じで犯人が決まりました。そして最終話まで書き上げて、見返して、矛盾のある行動は削り、伏線を足したりしました。
だから、観ている人たちも犯人はわからないと思います。最後まで楽しめると思うので、課金もあるドラマなのですが、ミステリー好きの人はぜひ、見てみてください。
●4/29『チェイサーゲームW2』イベント
https://www.tv-tokyo.co.jp/chasergamew2/event/
いよいよ明日、待ちに待ったイベントです!実は、自分はドラマの監督なので、このイベントに関しては完全に部外者です 笑。何をやるのかも、知らないんです。でも、その分ワクワク感がすごいんです!当日、みんなと一緒に楽しむ気満々なので、見どころはお楽しみということで…。
SNSを見ていると、皆さんがどれだけ楽しみにしているかが伝わってきます。中には、「冬雨の家でオフ会開きます」なんて声も!あのハウススタジオ、まさかこんな使われ方をするとは!ドラマ作ってきて初めての経験に、私もビックリしつつ、心の中で「ありがとう、ありがとう!」と叫んでいます。もう、感動して涙が出そうです。
そして、このイベントが次の大きな一歩に繋がることを本気で願っています。今、日本のドラマ界では、BLドラマは市民権を得てきていますが、GLはまだまだ未知の領域。それを広げるためには、私たち制作側の努力も必要ですが、それと同じくらいファンの皆さん、一人一人の力が必要です。ちょっとした感想をSNSで書くだけで、それが次のステップに繋がるんです!あなたの一言が、未来を切り開くカギになるかも……。
もちろん、現地に来られない方のために配信もありますので、オンラインでも盛り上がっていきましょう!世界中どこからでも、みんなの声は聞こえます。小さな声でも何か発していただければ、次の未来につながります。さぁ、みんなで思いっきり楽しんで、この熱を次に繋げましょう!
●今週のエンタメ 『恋人たちの予感』
仕事の関係で観ました。1989年の映画。ラブコメの女王、メグ・ライアン出演作です。正直、誰の人生ベスト1にもなるような映画ではないけど、マクドナルドとか吉牛とかみたいに、いつ食べても安定の美味しさを楽しめる作品で、この世からなくなったら悲しむ人がいっぱいるような、そんな名作でした。
以下、ちょっとだけネタバレありますが、それでも見る価値あります。
「男女の友情は成立するのか?」
という王道中の王道の問いを最初に持ってきて、「成立しない。男は女とやりたいだけなのさ」と言う最低男(ハリー)と呆れる女(サリー←メグ・ライアン)。そこから5年後に偶然再開し、また5年後に偶然再会。ニューヨークでそんなに偶然再会しないでしょとかのツッコミはなしです。その10年の間にハリーは離婚を経験し、サリーは長年付き合った恋人と破局。
そこからはなんでも言い合える親友みたいな感じで2人の関係は進んでいき、お互いの親友も付き合いだして、サリーとハリーは一緒に新年を過ごしたり、ハリーの元奥さんと偶然会っちゃったり、もう付き合っちゃえばいいじゃん、みたいになるのに、交際には発展しないんです。なんせ、恋人同士なら言いづらい話をしちゃっているんで。けど、もうこんなん全部、付き合うためのフラグにしか見えません。そしてある日、サリーが元恋人の結婚を聞いて、落ち込むのです。その理由もベタ。
「元彼は、結婚しないって言っていたのに結婚するの。ということは、私と結婚したくなかったってことなのね」
ど真ん中のストレート。並の俳優なら白けてしまいますが、メグです、ライアンです。彼女の本気のストレートは160kmあるんで、ど真ん中でも打てません。ど真ん中の直球を、ハリーは受け止めて、落ち込んだサリーを慰めるために2人は一晩を過ごしてしまうんです。
そして翌朝。
気まずい。
なんせ、ハリーは今まで散々、女性と初めて夜を過ごした朝ほど憂鬱なものはないみたいなことをサリーに言っていたからです。逃げるようにハリーは家を出て、そのあとはお互いが、お互いの親友に電話をします。親友同士も同棲しているので、同じベッドでそれぞれの電話を受けます。4人が同時に電話をするとこは最高です。ラブコメ・オブ・ラブコメです。やっぱりこういうラブコメはアメリカが世界一ですね…。
最後は予想通りの展開ですけど、ダチョウ倶楽部の「押すな 押すな」と同じです。最後まで観たくなるんです。面白いです。
やっぱり30年以上前の映画なので、男女の描き方がややステレオタイプではあります。けど、メグ・ライアンのキュートさがいろんなものを帳消しにしてくれます。
今月も僕の拙い文章を最後まで読んでくださってありがとうございます。