山口祥行が語る、相棒・本宮泰風との絆、俳優人生…作品への尽きない愛

【シリーズ「役者魂」VOL.2】

日本▲水ドラ25「日本統一 東京編」より

水ドラ25「日本統一 東京編」(毎週水曜深夜1時)で、主人公の一人、田村悠人を演じている山口祥行。現場では「みんなのビタミンC」と呼ばれるムードメーカー。長年の相棒・本宮泰風とは学生時代からの付き合いで、その深い信頼関係は作品にも表れている。
俳優の道は「なりゆきで始まった」と語る山口だが、多くの出会いを経て、一生の仕事と意識するように。作品への愛と本宮への揺るぎない信頼が、役者としての原動力になっている。

【動画】水ドラ25「日本統一 東京編」最新回 

ムードメーカーの素顔と相棒・本宮泰風への熱い信頼


「日本統一」シリーズでは、主演と総合プロデュースを兼務している本宮とともに、チームを引っ張ってきた。山口は持ち前の明るさを発揮し、撮影現場を盛り立てている。

「僕は『日本統一』の現場では、”太陽”とか”みんなのビタミンC”とか言われています(笑)。ゲストの俳優さんが来た時も、『こういう作品だから結構ダークな雰囲気でピリついているのかなと思ったら真逆だった』とビックリされることが多いですね。
泰風はカリスマ性があってビシッとしているでしょ? だから若いヤツらが泰風に何か聞きたいことがある時は、聞く前に俺に一回クッション挟むんです。つまり俺は“若いヤツらになめられている”ってことなんですよ(笑)」

豪快に笑う山口は、オープンマインドで若い俳優から慕われているのだろう。情に厚く、本宮演じる氷室蓮司のためなら命を惜しまない田村。その姿は、本宮に絶大な信頼を置く山口自身と重なる部分も。

「田村の人間性は、自分自身に似ているところもあり、役作りし過ぎる必要がないんです。泰風と僕に『日本統一』のオファーが来た時からそうでした。今は泰風が俺の性格に基づいて作ってくれています。極道の人たちは四六時中怖いわけではなく、普通の生活を送る時間もありますしね」

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本宮とは学生時代に知り合い、山口にとってはかけがえのない相棒だ。総合プロデューサーとしての彼の苦労に思いを馳せることもある。

「泰風はシリーズの早い段階から脚本に携わっていて、『日本統一』の流れを一番理解しています。『日本統一』にも紆余曲折あって、続けていくためには、“やっぱり、泰風が先頭に立ってやった方がいいだろう”ということでプロデューサーになりました。
いろいろと大変なこともあるだろうし、“泰風が気合入れすぎて疲れなきゃいいな”という気持ちが強いかな。ちょっと心配だから、たまには休んでほしいと思う時はありますね」

“なりゆき”から始まった俳優人生と運命的な出会い


山口はジャパンアクションクラブ(JAC)出身で、「宇宙刑事ギャバン」に憧れて入ったJACの養成所を経て、俳優に。“ヒーローの中の人(スーツアクター)”になるつもりが「“俳優のオーディションを受けろ”と言われて行ってみたら、受かっちゃった(笑)」そうで、16歳の時、“なりゆき”で映画初出演を果たす。

「初めて芝居した作品で、小沢仁志さんと一緒だったのは大きかったですね。映画『クレイジーボーイズ』(1988年)のアクションシーンでした。『ビー・バップ・ハイスクール』を観ていたから、“ヘビ次(『ビー・バップ-』の小沢の役)に会える!”って、撮影前からテンションが上がって、地元の友達に言いまくったんですよ。撮影から帰ってきて『ヘビ次どうだった?』『めっちゃ怖ぇよ』と話した記憶が(笑)。
その時は、石橋蓮司さん、小沢さん、加藤雅也さん、坂上忍さんも一緒でした。芝居を続けられたのは、その時の先輩方や監督が楽しい人たちだったから。最初の経験が良かったのかな」

当時10代だった山口、「俳優として生きていく」という思いはなかったという。

「10代の頃は、バイトより金がいいからやっているような感覚でしたね(笑)。ガキだったし、遊びたいこともあるじゃないですか。地に足がついてなかったです。
ドラマに出させてもらったけれど、今考えると、それも仕事というより青春の一部でした。
仕事として意識するようになったのは、20代中盤ぐらいかな。アメリカに留学…というか”遊学”していた時期もあったし、何も考えていなかった気がします(笑)。
バイトはたくさんやりました。肉体労働が多かったです。役者の仕事がなかったこともあるし、日当が良かったんですよ。アルバイト先で知り合った人たちとは今も連絡を取っていて、飲みに行くこともあります。30歳になってもバイトをしていて、その頃を思い返すと…たまに途方に暮れていましたね」

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やがてVシネマを中心に出演作を重ね、俳優としての足場を固める。20代半ばになり、「俳優としてやっていく」と意識するようになったきっかけは何だったのか。

「出会いじゃないですかね。先輩や友達…その頃、大切な出会いが多かった。その前に出会っていた小沢さんや竹内力さんも…役者同士のつながりって深いんですよね。
泰風も僕も、Vシネマの作品にたくさん出演していますが、Vシネマの世界に行こうと思ったわけではなく、結果的に多くなったというだけなんです」

人との出会いが山口の背中を押してきた。もちろん、本宮もその一人だ。折に触れて、山口の口から本宮の話が語られ、深くて固い2人の絆を伺わせる。

「もし泰風に何かあったら、矢面に立ちますよ。僕が困った時、泰風はそばにいてくれましたから」

現場で創る芝居、「日本統一」への尽きぬ愛情


デビューから30年以上、さまざまな人物を演じてきた。そんな山口が、役を演じる上で大切にしていることは何なのか。

「緊張もしないし…何だろう? あまり作り込んでいかないことかな。『これだけ作ってきました! 俺、頑張ってます』って見せるのは、ダサいと思っているから。現場の空気を感じて作っていく感じですね」

“なりゆき”から始まった俳優業、今は“一生の仕事になった”と言えるのだろうか。

「もう肉体労働もできないし、コミュニケーション能力がある方ではないから、役者しかできないんじゃないですか。泰風と『撮影の夕飯時間に弁当食って、食べ終わったらちょっと寝ちゃおうかみたいな感じで、そのまま死ねたらいいよね』なんて話したことがあるんですよ。
舞台やっている俳優さんは『ステージの上で死ねたら本望』と言ったりしますよね。みんなには迷惑かけちゃうけど、俺らは現場でのんきに飯食って、腹いっぱいで寝て、気づいたら死んじゃった、みたいなのもいいかなって。役者に限らず、50代になったら、自分はどう死ぬかとか、自然と話すじゃないですか。そういう会話が増えましたね」

信頼する仲間と作品を創る現場は、山口にとって大切な場所。現場愛が原動力になっているようだ。

「どんな作品にも愛情を持って携わりたいし、現場は好きです。でも、”いい芝居をした!”という達成感みたいなものは、ほとんどないですね。それは見た人が感じることだし、100点満点はないと思う。“あのシーン、こうすれば良かった”のような反省は何かしらありますけど。
芝居論や役者はこうあるべきだ、みたいな話は仲間ともしないですよ。みんな俺には、そういう話をしてもしょうがないと思っているんでしょう(笑)」

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人懐っこい笑顔に繊細さが垣間見える。プライベートでの息抜きは、愛犬とのひととき。愛犬の話になると表情が緩み、いっそう優しくなる。

「今、うちにいるのは3匹。ピットブルのスミスを散歩させるのが日課で、あとの2匹は小さいので、天気のいい日に日向ぼっこさせる程度で外に出しています。
泊まりのロケで犬たちと離れていると寂しくなるし、早く会いたくなる。いつも一緒に寝ているので、服に犬の毛がつくことすら愛おしく感じます。周りの人に『毛だらけじゃん』と言われても、“それがいいんだよ”って思います」

今後のことを訪ねると、自身のことだけでなく、次世代への期待と大切に育ててきた「日本統一」への思いを語ってくれた。

「もうベテランと言われる年になってきているので、味のある役者になれればいいかな。『日本統一』のことで言えば、若いヤツらがバンバン育ってほしいという願いはあります。シリーズとしてこれからも成長していく中で、泰風と僕がいなくなっても引っ張ってくれる存在になってもらえたら、うれしいです」

【山口祥行 プロフィール】
1971年8月6日生まれ。東京都出身。
「ジャパンアクションクラブ(JAC)」(※現在はJAE=ジャパンアクションエンタープライズ)出身。1986年、「十五少年漂流記〜忘れられない夏休み」(主演)でドラマデビュー。2017年、ジャパンアクションアワード ベストアクション男優・最優秀賞受賞。
近年の主な出演作に映画「罪の声」、映画「ぴっぱらん!!」、ドラマ「駐在刑事」シリーズ、ドラマ「ファーストペンギン」、ドラマ「闇バイト家族」、NHK大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」など、多数出演。
主演映画「田村悠人」も公開中。

(取材・文/伊沢晶子)

【「日本統一 東京編」第3話】
松田(深澤大河)が、事務所から行方不明になったことを受け、氷室(本宮泰風)は桜井(前田航基)に対して着信先の電話に出るよう指示する。声の主は松田、桜井と一緒に強盗を働いた宅間(ひょうろく)だった。
宅間は金を持ち逃げされたと中岡(森岡龍)らに嘘をつき、松田を拉致していたことが発覚。氷室は松田を取り戻すため、トクリュウから取り戻したお金を餌に一か八かの取引を持ち掛けるが――。
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