宇垣美里が語る「植え付けられた幸せの形」への違和感 ドラマ「できても、できなくても」に込めた同世代へのエール

不妊症をテーマに、自分にとっての“本当の幸せ”をみつけるために、もがき奮闘する女性の姿を描く大人のラブストーリー、木ドラ24「できても、できなくても」(毎週木曜深夜24時30分)。

【動画】「できても、できなくても」ティザー

主人公・桃生翠(宇垣美里)は、ブライダルチェックで不妊症が発覚したことを機に彼氏に振られ、さらにはその噂が会社で広まり、退職することに。心身ともにボロボロの中、ナンパ男から助けてくれた年下イケメン男子・月留真央(山中柔太朗)と出会う――。
本作で主人公・翠を演じ、連続テレビドラマ単独初主演となる宇垣美里に、作品の魅力や役作り、プライベートまで話を聞いた。

宇垣

「生きたいように生きていい」主人公・翠への強い共感


――宇垣さんが演じる主人公・桃生翠は、不妊症が発覚したことで失意のどん底に陥ります。とてもセンシティブな題材ですが、翠というキャラクターをどのように捉えていますか。

「翠とは同世代ですし、私も未婚で出産を経験していません。そして私も、ただそれだけで、時折、責められているような気持ちになってしまうことがあります。
本来そんなことを感じる必要もないのですが、“植え付けられた幸せの形”があり、そこからはみ出してしまった自分は普通じゃないかも…と思ってしまう翠の気持ちは、痛いほど理解できます。
本当はそんなことにとらわれず、生きたいように生きていいし、“できても、できなくても”どっちでもいいと私は思います。翠がそう思えるように、一緒に走っていきたい。彼女が“自分らしく生きることが幸せなんだ”と思えるようになることで、私も見ている方もすごく勇気づけられるのではないかと。

翠は、人に甘えることや頼ることが苦手な長女タイプ。私も長女なので、考え方や行動に“分かる!”と共感して感情移入するポイントがたくさんありました。
私は、割と自己肯定感が高いタイプなので(笑)、同じ状況になったとしても翠ほど落ちないかもしれませんが、働く女性として共感することが多いですし、見ている方もきっと同じだと思います。翠が魅力的な女性に映るよう、しっかり演じたいです」


――失意のどん底にいた翠は、年下のイケメン・真央と出会い、少しずつ立ち直っていきます。ご自身は、誰かの存在によって救われた経験はありますか? また、翠と真央のような“運命的な出会い”を信じますか?

「私は、妹に助けられることが多いです。妹は、私の傍若無人ぶりを知っていながら、『みーちゃんが一番かわいい! みーちゃんすごい!』と全肯定してくれるので(笑)、それが励みになります。
また高校時代からの友人も、すごく仲が良くて、私らしさを分かってくれます。例えば、つらいことや人から誤解を受けるようなことがあっても、“私には分かってくれる人がいるから大丈夫!”と思える。おかげで、ここまで伸び伸びと生きてこられました(笑)。

基本的に人との出会いは全部ご縁であり、運だと思っています。友人たちに出会えたことも運命だと思いますし、さらに運命を感じているのは愛犬です。5年一緒に暮らしていますが、性格やちょっとした仕草が日に日に私に似てきて、これぞ運命だと感じています(笑)」

「情念強め」の役が好き!オタク気質と効率主義


――宇垣さんは多方面で活躍していますが、中でも俳優業の魅力、醍醐味をどのように感じていますか。

「エンターテインメントが好きなので、自分自身がものづくりの中にいられることに、毎回幸せを感じています。“セットってこんなにつくりこんでいるんだ、照明ってこんなにすごいんだ”など、作品に参加するまではあまり分かっていなかったので、裏側の部分を知ったことで、他のものを見る眼差しも解像度が高くなったような気がします。

私はオタクなのですが、漫画やアニメを見ながら“このキャラクターって実はこうなんじゃないか? 何部だったんだろう? どんな香水を使っているんだろう”など、二次創作というか、自分の中で勝手に背景や構成を考えるのが好きなんです。自分がいただいた役に対してはもっといろいろ考えるので、その作業が楽しくて…。結果、そのキャラクターの一番の理解者になれているんじゃないかなと思います。“この子のことを一番好きなのは私!”という状況で現場に行きたいので。俳優というお仕事を、毎回楽しんでいます」

――過去に演じた悪女役もインパクトがありましたが、それでも好きに?

「むしろ、情念強めの役の方が好きかもしれません(笑)。最初に“お芝居って面白い”と感じたのが、レンタル彼女の役でした。整形にズブズブとハマってしまう役で、一筋縄では理解できないキャラクター。通じるところが全くないので、逆に演じるのが面白かったんです。
今回演じる翠は、情念ではないけど、心の揺らぎが強すぎないのが魅力だなと思っています。彼女なりの強さがあるので、そういう部分も楽しんで演じたいです」

宇垣
――宇垣さんが、お芝居に興味を持ったきっかけはあるのでしょうか。

「元々、映画やドラマを見るのが好きでしたが、まさか自分が演じる側になるとは思っていませんでした。最初にお声掛けいただいた時は本当にびっくりしましたが、基本、人に勧められたことには臆せずチャレンジすることにしているんです。客観的に見ている人が“私に向いている”と思ったのなら、それは本当にそうなのかもしれないと。
そんな思いで一回演じてみたらとにかく楽しくて、次もオファーが来たらうれしいなと思いましたし、自分からマネージャーさんに頼んだこともありました」

――こうして話を聞いていると、宇垣さんは自分のやりたいことがはっきりとしていて、それを口に出して、一つ一つ実現させていく…ポジティブなパワーを感じます。

「ポジティブですね。ネガティブであることに意味はないと思っています。
例えば、1日考えて、朝起きてまだ悩んでいたら“これだけ考えても答えがでないなら、考えても仕方がない。仕方がないなら考えるだけ無駄。じゃあもういいか!”と(笑)。
ポジティブで効率的といえば聞こえはいいですが、実は面倒くさいだけなのかもしれません。“無駄なことはやりたくない!”という気持ちになってしまうのです」

――俳優として、現場で大切にしていることはありますか?

「“上機嫌でいること”を心がけています。現場で誰かが不機嫌だったりイライラしていたりすると、それだけで空気が悪くなりますから。演者である時点で現場での影響力は大きく、しかも私は年齢も重ねてきている。できるだけ朗らかに上機嫌でいるように…その上で、言わなければいけないことは言い方や伝え方に気をつけて、みんながハッピーでやりやすく『楽しかった』と言ってもらえるような現場にすることが大切だと思っています。そうした空気づくりは、常に気にしているポイントです。

特にドラマの撮影は密になりますし、拘束時間も長いので、空気づくりは大切です。例えば、朝の生放送の場合は瞬発力が必要で、多少言い方がきつくても伝わることの方が大事ということもあります。現場のジャンルによって優先順位は変わりますが、その現場に合った気づかいは重要だと思います」

――俳優として、宇垣さんの目標があれば教えてください。

「これからもいろいろな役を演じられたらいいなと思います。以前街で『宇垣さんが出ているドラマのシーンを3回は見ました。すごく良かったです!」とお声がけいただけたことがあり、それがものすごくうれしくて、救われました。『あの役、めっちゃ笑いました!』でも何でもいいのですが、今後も誰かの記憶に残るような役に巡り合うことができたら…すごく幸せです」

「自分の機嫌は自分で取る」宇垣流 幸せ術とは?


――ご自身のことについても教えてください。キャリアや年齢を重ねてきて“ここが昔の自分と変わったな”と感じるところはありますか。

「徹夜ができなくなりました(笑)。これまでずっと『4時間寝たら動ける!』と言ってきましたが、“もう少し寝た方がパフォーマンスがいいな”と思うようになりました。
性格もだいぶ丸くなったと思います。ある種の諦めでもありますが“怒ったって仕方がない”と思うようになりました。
以前は“伝えないと! だって間違っているんだから!”という感覚で向き合っていましたが、最近は“そういう人もいるよね”と、許容範囲が広がりました。そうなるとイライラすることも減って、自分も楽になることに気づいたんです。年齢を重ねたからこその成長かなと思います」

――楽しく、幸せな毎日を送るために、日々心がけていることはありますか。

「自分の機嫌は自分で取る! これに尽きます。常においしいクッキーやお気に入りのグミをマネージャーさんに預けておいて、何かが起こったとしても、それを食べて気持ちを落ち着かせます(笑)。食べ物以外でも、その一文を読んだだけで幸せになる本、好きな香水やネイルオイル、家に帰って犬と遊ぶとか、自分が幸せになるためのトリガーをたくさん準備しておくことが大切かなと思います」

【宇垣美里(うがき・みさと)プロフィール】
1991年4月16日生まれ。兵庫県出身。2014年、TBSアナウンサーとして活躍後、現在は俳優業や執筆業など幅広く活動。近年の主な出演作は、ドラマ「シンデレラ・コンプレックス」(TBS系)、「財閥復讐~兄嫁になった元嫁へ~」(テレ東系)など。ニッポン放送Podcast番組「宇垣美里のスタートアップニッポン powered by オールナイトニッポン」パーソナリティ、TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」水曜パートナーを担当中。2026年放送&発売予定のイザナギゲームズ×日テレ×AX-ONによるオリジナルゲーム&TVドラマ『AKIBA LOST』にも出演。

Instagram:@ugakimisato.mg

(取材・文/伏見香織)

【第1話】

宇垣
建設会社で働く桃生翠(宇垣美里)は、付き合って7年になる日向井聡(渋谷謙人)との婚約を聡の親に認めてもらうため、ブライダルチェックを受ける。
しかし、不妊症が発覚したことで聡に振られ、職場も退職することに…同僚や後輩からの心ない言葉に深く傷つき、心身ともにボロボロの翠。送別会の帰り道、男にナンパされているところを月留真央(山中柔太朗)に助けられる。自暴自棄になった翠は真央にある提案をする…!

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