「チェイサーゲームW」映画化決定🎉|太田勇の5分で読めるテレビの裏側日記

 

今月のP日誌です。

 

●「チェイサーゲームW」映画化決定!

https://chasergamew-movie.jp/

 

『チェイサーゲームW』映画化について

ついに、映画化の発表ができました。ありがとうございます!!感謝、感激、感無量、奇跡、始動、いよいよこれから!!

深夜2時30分。2年前、ひっそりと始まったレズビアンカップルのドラマが、まさかパート2を経て映画になる日が来るなんて——これはもう、奇跡だと思っています。

僕自身が監督として向き合ってきた作品で、その奇跡を起こしてくれたのは間違いなく、この作品を見つけ育ててくださったファンの皆さまです。放送時間も、テーマも、難しい状況の中で、声を上げ、語り、広め、支えてくださった。
本当に、本当にありがとうございます。

 

映画の公開は 5月15日。内容については、まだ詳しくお話しできませんが、大きく言うと、樹と冬雨が、娘の月ちゃんと一緒に暮らし始めた、その“先”の物語です。「一緒に暮らす」ということは、つまり、もう夢物語だけではいられないということでもあります。漫画なら「たくさんの困難を乗り越えて、2人は結ばれました」で終われます。でも、現実はそうはいきません。

家を飛び出して結婚すれば、貧しい暮らしが始まるかもしれない。シンデレラストーリーの続きは生活費との戦いかもしれない。価値観の相違や、日々の暮らしから生まれるストレスかもしれない。それでも——本当の愛があれば、愛は“形を変えながら”育っていく。そうです。この映画は「幸せになった、その後」を描く物語です。

 

中身については、今日はここまでにしておきます。詳しい話はまた改めて。ただ一つだけ、どうしてこの物語をいま“映画”として描こうと思ったのか。そのことだけは少し伝えておきたいです。

今回の映画は、これまで『チェイサーゲームW』をずっと追いかけてくださった皆さんはもちろん、これが“初めての出会い”になる方にも、ちゃんと届く物語にしたいと思って作っています。

この映画の目標は、興行収入1億円です。チケット代を2000円とすると、約5万人の方に劇場へ足を運んでいただく必要があります。それは決して簡単な数字ではありません。だからこそ、この作品を愛してくださっている皆さんの存在が、何よりも大きな力になっています。

同時に、この映画はもっと多くの人に届いてほしいとも思っています。そして、新しいファンとも出会いたい。だから今回は、ドラマを知らなくても楽しめる内容にしています。ドラマを知っていれば、より深く、より豊かに味わえる作品にもなっています。

 

ここで、もうひとつだけ少し踏み込んだ話をさせてください。テレビ東京は、他局に比べると「ドラマから映画へ」という文化が、決して盛んな局ではありません。

これまでを振り返っても、ドラマから映画化までたどり着いた作品は、本当に限られています。たとえば『モテキ』、『きのう何食べた?』、そして最近で言えば『孤独のグルメ』。いずれも社会現象と呼ばれるほどの支持を集めた、超王道のヒットドラマです。

正直に言えば、『チェイサーゲームW』はその文脈とは少し違います。テーマ的にも決して万人向けとは言えない。王道ど真ん中ではない。

だからこそ、映画化に関して「向かい風」の空気があったのも事実です。それでも、それでもなお、映画化に踏み切ったのはなぜか。それは、今の時代だからこそこのテーマを劇場で描く意味があると僕たちが信じたからです。

静かに、確実に「必要としている人に届いている」という手応えがあった。そして、その声の積み重ねがここまで連れてきてくれました。

 

この映画は、「特別な誰かの物語」ではありません。誰かと一緒に生きること。家族になること。夢の続きを、現実の中でどう生きていくか。それは、立場や属性を超えて多くの人が向き合うテーマだと思っています。だからこそ、この作品を限られたファンだけのものにしたくありません。

映画は、作品であると同時にどうしてもビジネスでもあります。続けていくためには、「好き」だけではなく、「届く」ことが必要です。だからこそ、この映画を“成功”させたいと思っています。

今後、続報や情報を少しずつ発表していきます。もし「いいな」「気になるな」と思っていただけたら、ぜひ広めてください。語ってください。連れてきてください。この映画を、もう一度皆さんと一緒に育てていきたい。どうか、お力を貸してください。5月15日、劇場でお会いできることを、心から願っています。

●ストロークいるのか?いらないか問題

ここから話を変えます。

最近の悩みのひとつ。物語に、文章に、ドラマに、ストロークっているの?いらないの?番組だったら「こんばんは。●●です。今日も寒いですね…」みたいな本題に行く前のウォーミングアップのトーク。会議でもいきなり本題から入る人もいれば、関係ない話からはいる人もいますよね。

TikTokとかみんな1秒でスワイプするかどうか判断しているって言いますよね。てことは、ストロークなんてあったら、その間にスワイプされちゃうからダメ。去年ショートドラマを数本やったんですが、ショートドラマは完全にこっちの文法なんです。たとえば最近やったショートドラマでは、主人公が清掃員となって会社に潜入して、社内の悪を暴いていくというのがあらすじなんですが、なぜかいろんな社員がその清掃員のことをいじめるんです。初対面の清掃員にいきなり水をかけたりするんです。けど、なんでみんな清掃員のことを嫌っているかの説明はないんです。

普通のドラマだったら、その理由は短くても入れますよね。「イケメンだから」でも「金持ちそうだから」でも、こじつけだっていい。けど、「ショートドラマを見る視聴者はそこは気にしない。それより現象(いじめているシーン)を見せてほしい」と言われて、台本からカットしたんです。それってショートドラマだけの話じゃなくて、世の中全体そうですよね。だって最近って、オチまでわかって「面白い」がわかった作品のことを確認するために見たりするんですよね、しかも倍速で。ちょっと前なら考えられないドラマの視聴の仕方ですよね。

だから、今次回作品の脚本打ちをしてるんですけど、混乱中、というわけです。えっと、これは地上波のドラマだからストロークはいるよな?とか、いや、今の時代、意外といらないのか?とか

今回、サスペンスの要素もあるんで、ホラー映画の作り方とかも参考に見てるんですけど、ホラー映画の作り方でよく言われていることって「ホラーは、そのものが怖いのではなく、見えない部分が怖い」つまりジェイソン自体よりも、ジェイソンがいつ、どこから、どう出てくるのかとドキドキしているストロークが怖い、と。それが人間の本能なんだ、と。

うん、そうだよな。だから、ストロークはあっていんだ、と思ってます。ただそのストロークの長さはどれくらいがいいのかが要検討です。

しかし、ストロークは必要だと自分の中で結論づいた後、また迷う出来事に遭遇しました。Podcastを聴いていると、エッセイストの岸田奈美さんが、“読まれるエッセイ”について話してました。

「私が好きなのはジャスミンティーです、さて、今日はジャスミンティーについて書きたいと思います。みたいなきれいな文章なんて誰も読まないです。一行目から、自分の内臓見せてくるような、わけわからないものがいいんです」なるほど……。となると、やっぱりストロークはいらないのか……と。結局、混乱中です。

あと、岸田奈美さんが仰っていたことで印象的だったのは、今の時代は、「何を言うか」ではなく、「誰が言うか」の時代だと。「焼き芋を食べた」と書いても面白くないけど、例えば歌手のAdoさんが「焼き芋を食べた」と書いたらその一文に価値が出る、という例えをしてました。たしかに!

そんなワケで、今年は僕も「テレビ東京のプロデューサー」より、もうひとつ深く掘り下げた「テレビ東京の太田勇」という人間をどんどん出していきたいと思います。

そんなわけでこちら。

 

 

 

恵比寿にある陸橋です。ドラマなどでもよく出てくるんで、場所を知ってる人もいるかと思います。恵比寿駅から山手線の線路沿いを渋谷に進んで7分くらいのとこにあります。けっこうな都心です。そんな都会の真ん中で、なんでピクニックシートを敷いてるかと言うと、山手線を見ながら朝ごはんを家族で食べていたんです。

これは2年前。この頃、子どもが保育園に行くのをいやがっていて、「保育園に行く」というと家を出てくれなかったんで「朝、電車見ながらピクニックしよう」と家を連れ出していたんです。朝ごはんを食べた帰りに、保育園の前を通り「せっかくだから行こうか」と言うと、納得して行ってくれたんです。そんな生活が1か月くらい続きました。

そんな子どもももうすぐ卒園です。「登園中の思い出をひとつお願いします」と保育園から連絡がきたんで、このことを思い出してました。

保育園に行きたがらなかった彼も今はお兄さんになり、弟をのせたベビーカーを押してくれてます。今は毎朝、家族4人で長男を保育園に送りがてら散歩です。そんな日々を送っている自分が担当する次回のドラマ、「家族」と「子ども」がテーマになります。こういう人間が、こういうテーマのドラマをします、というアプローチで書いてみました。

 

 

●今月のオススメエンタメ『ばけばけ』

現在放送中のNHKの朝ドラです。物語は、小泉八雲と、その妻の話。小泉八雲といえば、「日本の怪談を世界に広めたアメリカ人」

——ざっくり言うと、そんなイメージを持っている方も多いと思います。

この朝ドラ、最高です。今まで、『虎に翼』が史上最高の朝ドラだと思っていました。でも、『ばけばけ』は、それを超えてくるかもしれない。それくらいの勢いがあります。魅力は本当にたくさんあるのですが、高石あかりさんが素晴らしい、という話はもう各所で語り尽くされているので、ここではそれ以外の魅力を挙げたいと思います。

① 半径5メートル以内の話

とにかく、話が小さい。ヘブン先生(のちの小泉八雲)にスキップを教えてもらって、それをみんなが真似する。

——その出来事に、5話くらい使います。

また、吉沢亮さん演じるヘブン先生の通訳が登場するのですが、アメリカから来たヘブン先生の友人に、「友だち」として紹介してもらえなかったことにショックを受け、ひたすらウジウジする話を、延々とやります。事件は起きない。世界も変わらない。でも、その感情は、誰にでも置き換えられる。だからこそ、ついつい引き込まれてしまう。この「半径5メートル以内」の感情を信じ切っている脚本と演出が、とても誠実だなと思います。

② 照明がきれい

朝ドラはセット撮影が多いせいか、照明が少し“嘘っぽく”見えてしまうこともあります。でも、『ばけばけ』は違います。光が、やわらかい。ふわっとしていて、きれい。作り物っぽさがなく、まるでこの作品のテーマそのものを照明で体現しているように感じます。

③ 主題歌がすばらしい

主題歌は、ハンバート ハンバートの「笑ったり 転んだり」。朝ドラ史上、最高傑作のひとつだと思います。ドラマとのフィット感で言えば、ここ10年で一番かもしれません。

正直、主題歌はスキップしてしまうことも多いのですが、この曲は違います。この歌は、ドラマの世界へ入っていくためのスイッチです。だから、スキップせずに観る。歌詞も本当に素晴らしい。特に大好きなのが、この2行。

「夕日がとても綺麗だね

野垂れ死ぬかもしれないね」

やさしさと、諦観と、ユーモアがすべて同時に存在している。1番を流す日と、2番を流す日があるのですが、きっと制作サイドもこの主題歌があまりに素晴らしいので2パターン作らずにはいられなかったんだと思います。その気持ち、よくわかります。

『ばけばけ』もしまだ観ていない方がいたら、ぜひ。 NHKとテレビ東京は1ミリも関係ないんですが、日本のドラマが盛り上がるのは良いことなので、書かせて頂きました。韓流ドラマも面白いけど、日本のドラマも面白いですよ!

 

今月も自分の拙い文章を最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
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