真木よう子、40代の出産で心境に変化「まずは自分が幸せに」

ホラー漫画界の鬼才・伊藤潤二の傑作をオムニバス形式で実写化した、ドラマ24「ストレンジ -伊藤潤二の夜も眠れぬ奇妙な話-」(毎週金曜 深夜24時12分)。

【動画】SNSで話題沸騰!真木よう子主演「いじめっ娘」

「テレ東プラス」では、第2話「いじめっ娘」主演の真木よう子にインタビュー。
本作への出演を決めた理由と役へのアプローチ、40代でたどり着いた自由な生き方まで、まっすぐな言葉で語ってくれた。

「自分が『面白い』と思った直感を信じよう」


――伊藤潤二さんが描く、どこかリアルで奇妙な世界観。その中にある“恐怖”について、どう感じましたか?

「実は私、そこまで深く考えていなかったというか(笑)。とにかく結末が衝撃的すぎたんです。栗子のラストシーンを原作で読んだ時、『これは面白い!』と一人で腹を抱えて笑ってしまって。

元々グロテスクな作品は苦手なんですが、今回は質の違うホラーだったので、ぜひやらせていただきたいと思いました。いろいろな意見は出るかもしれないけど、自分が『面白い』と思った直感を信じようと……それだけでした」

――「あの結末を演じたい」という思いで快諾されたんですね。

「そうです。もうあのラストシーンをやるためだけに(笑)。そこまでは真面目に、真摯にお芝居をしようと。そのギャップがあるからこそ、最後のシーンが生きるのではないかと思い、頑張りました」

真木よう子
――栗子が抱える“痛み”を演じる上で、大切にしたことを教えてください。

「回想部分は、子役の照井野々花さんが演じてくれたので、私は想像するしかありませんでした。ただ、栗子の背景に奥行きを出しすぎてしまうと、より悲しい物語になってしまうと思ったので、そこはあえてフラットにしたいなと考えていました。
すべて忘れて大人になって、目の前に突然、(過去にいじめていた)直くん(宮澤佑)が現れて、自分がどんどん崩壊していく……そんな感覚で演じました」

――想像を絶する結末に、誰もが驚かされると思います。

「誰も想像できない展開ですよね。『復讐劇かな?』とは予想できても、その方法が意外すぎて(笑)。だからこそ、二つ返事で『やらせてください』とお受けしました。
実は、キャスティングの段階で漫画の1コマが送られてきて、『真木さん、すみません。この格好になってもらうことは可能ですか?』と確認されたんです。でも私は『いや、むしろこのシーンがないとこの物語は成立しない。これがあるからやりたいんです!』と。『あの姿での撮影はマストでお願いします!』とやる気満々でした」

――撮影をやり切った後、どんな気持ちになりましたか?

「自らデジタルタトゥーを刻みに行ってしまった……という若干の後悔というか、我に返る瞬間はありましたね。私は『好き』『面白い』と思うと、リスクを後回しにしてすぐ飛びついてしまうところがあって。
たまたま友人とデジタルタトゥーの話になった時、『あれヤバいじゃん!』とハッとしたんです。『スクショが拡散されたら、とんでもないことになるぞ』と、一睡もできない夜を過ごしました(笑)」

――真木さんは、SNSを中心とした世間の声との向き合い方について、どんな考えをお持ちですか?

「昔に比べると、ネット界隈も少しお行儀がよくなってきたというか、誹謗中傷を書き込めないシステムなど、だいぶ発達しましたよね。匿名だからといって何でも書いていいわけではないので、そういう対策はどんどん進めばいいなと思います。

どれだけきれい事を言っても、やっぱり他者の評価を完全に遮断して『私は100%平気』と言い切ることは難しい。でも、年齢を重ねて少しずつ攻略法が見えてきたので、いちいち長時間落ち込むようなことはなくなりました。

私はInstagramをやっていますが、フォローしている人以外はコメントできないように設定しています。それを『ずるい』とか『逃げ』と言う人がいるかもしれませんが、自分で自分を守る手段を持つべきだと思うんです。使える機能やツールは賢く駆使して、なるべく傷つかないように、健やかに生きていこうと思っています」

真木よう子

「愛する人のために、まずは自分が幸せでいたい」


――ドラマの公式リリースにあった「人生の折り返し地点、逡巡している時間も惜しい」という言葉が印象的です。真木さんの中で、「迷うより突き進む」というモードに入るきっかけは何だったのでしょうか。

「元々の性格もありますが、そういう生き方が許される年齢になってきたのかな、と感じています。10~30代の頃は、事務所という大きな後ろ盾があり、組織が自分のブランドを作って守ってくれるありがたい環境の中にいました。でも、本当にやりたい作品をイチから自由に選べるという意味では、独立した今の方が圧倒的に自由度が高いんですよね。

それに加えて、40歳を過ぎて2人目の子どもを産んだことによる変化も大きいです。
『これからは娘たちと愛犬のために生きていこう』と思っていますが、それは自分軸をなくすということではなくて。愛している人、守りたいもののために、『まずは自分が幸せでいたい』という気持ちがより強くなりました。これまでいろいろな経験をしてきたからこそ、“自分で選んだ道を進んでいる背中”を子どもに見せたいと思うようになったんです」

――お子さんの存在が、何よりも大きいと。

「本当に大きいですね。次女を産んで、私はこういう人間なんだなと改めて実感しました。世の中にはいろいろな考え方の人がいると思いますが、私の場合、自分よりも圧倒的に弱くて、守らなければならない命がないと、逆に自分が生きられないんだろうな、と。この前、ふとベランダでそんなことを考えました」

――仕事と育児の両立は本当に大変だと思います。その中で「これだけは守りたい」と決めていることはありますか?

「仕事も大切ですが、最終的に一番大切なのは娘たちの命であり、彼女たちの存在です。娘たちが幸せに暮らしていける環境を作ることが、そのまま私の幸せに直結しています。だからといって、私が無理をしてボロボロになるのは絶対に違うな、とも思っています。
娘たちが安心して帰ってこられる家、安心していられる場所を確保しながら、納得のいくお仕事をバランスよく続けていく。それが私の理想であり、そこだけは守りたいと思っています」

――年の離れたお子さんの育児は、また違った愛おしさがあるのではないでしょうか。

「本当に可愛いです! 高齢出産はリスクも伴いますし、私自身も糖尿病になったので安易にお勧めはできないのですが……。それでもお勧めしたくなってしまうくらい、もう孫のように可愛くて(笑)。家の中ではずっと『尊い、尊い』と言っています。
長女が次女を抱っこしている姿を見るだけで、愛おしくてすぐに写真を撮ってしまいますね。『推しが推しを抱っこしている~!』って(笑)」

――今後、俳優として大切にしていきたいことは?

「役者は、年齢を重ねて刻まれる年輪が自分の味方になっていく、とても面白い仕事です。ただ、俳優を続けていれば誰でも美しい年輪や存在感を出せるわけではなく、その人がどう生きてきたのか、今どう生きているのか、どんな選択をしてきたのか、という生き様のすべてが表れると思うんです。

20代の頃、後ろ姿を撮るだけのカットなのに、圧倒的なお芝居をする先輩の姿を目の当たりにしました。『私もいつかあんな風になれるのかな』と憧れと希望を抱きましたし、そんなカットが撮れる役者になることが、私の目標です」

―― 生き様が役者としての深みになるというお話でしたが、これからはどのようにして人生を豊かにしていきたいですか?

「役者以外の活動でも、自分がこれまで学んできたことや感じてきたことを、若い人たちに伝えていけたらいいなと思っています。文章を書くことが好きなので、最近はnoteで自分の思いをつづっています。そういう時間を忘れて没頭できるような趣味も、これからもっと大切にしていきたいですね」

真木よう子
【真木よう子 プロフィール】
1982年10月15日生まれ、千葉県出身。
2001年、映画「DRUG」でデビュー。2006年、「ベロニカは死ぬことにした」で映画初主演。2014年、第37回日本アカデミー賞において「さよなら渓谷」で最優秀主演女優賞、「そして父になる」で最優秀助演女優賞をダブル受賞。主な出演作にNHK大河ドラマ「龍馬伝」、ドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」「最高の離婚」(ともにフジテレビ系)「MOZU」(TBS系)、「ボイス 110緊急指令室」(日本テレビ系)、映画「孤狼の血」「アンダーカレント」などがある。

【第2話「いじめっ娘」をTVerで配信中!】
夫と平穏な生活を送る栗子(真木よう子)の前に、かつて子供時代に自分がいじめていた少年が現れる。再会をきっかけに、眠っていた過去の記憶と歪んだ加虐心が蘇り――。
結婚5年目、夫と平穏な生活を送る栗子(真木よう子)の前に、かつて子供時代に自分がいじめていた少年・直哉(宮澤佑)が現れる。思いがけない再会をきっかけに、栗子の中に眠っていた過去の記憶と歪んだ加虐心が蘇っていく。そして大人になった直哉から長年胸に秘めていた想いを告げられたことで、栗子の心は大きく揺らぎ始める。二人の関係は予想もしない方向へと変化していく――。

(取材・文/nakamura omame)
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