「ここで終わりか…」鈴鹿央士が明かす苦悩と転機 難役挑戦の裏にある“デビュー作の教え”

凸凹弁護士チームが難案件をスカッと解決する、ドラマ9「リーガルビート-逆転の法廷-」。(毎週金曜 夜9時)。

本作は、吃音がある新米弁護士・泰地空(鈴鹿央士)が、得意のラップを武器に、勝率100%の偏屈な先輩弁護士・星秀幸(稲垣吾郎)や、なぜか法廷に立たない謎多き所長弁護士・雪村明日実(小雪)とともに、依頼人の“心の声“を引き出し、難案件をスカッと解決する痛快逆転リーガルドラマ。

【動画】鈴鹿央士がラップに挑戦!「リーガルビート」最新回

鈴鹿
「テレ東プラス」は、主演の鈴鹿央士にインタビュー。難役に挑む覚悟や共演者との交流、彼ならではの真摯な役作りについて語ってくれた。

初の弁護士役「ラップは分からなすぎて…(笑)」


――今回鈴鹿さんが演じる泰地は、ラップで言いたいことを伝えて依頼人を弁護するという異色の弁護士。本作は完全オリジナル脚本ですが、最初に企画を聞いた時の感想を教えてください。

「今の時代、人が発する声、インターネットの中にある文字、いろいろな言葉がありますが、このドラマには、その“言葉の力”を感じる場面があり、面白そうだなと思いました。ただ、僕はラップをやったことがないし、どうしようかなとは思いました(笑)。

泰地は、依頼人が飲み込んだ言葉や声を上げられない人の思いを、引き出してすくいあげようとします。現代社会の問題や未来への課題をテーマに、泰地と雪村法律事務所のメンバーが温かく寄り添う姿が描かれます。その寄り添い方が正解だと押し付けるのではなく、“そういう寄り添い方もありますよね”と思える……すごく優しい脚本です」

――初の弁護士役。難役でもありますが、どのように役作りをしていますか?

「クランクイン前には吃音当事者の集まりにも参加させていただき、泰地のイメージを少しずつつかんでいきました。ただ、自分のイメージだけで演じるわけにはいかないので、撮影に入ってからも監修の方と相談しながら、シーンごとの状態や感情に合わせて吃音の出方を調整するなど、日々模索しながら役作りに向き合っています」

――ラップで伝えることの魅力をどう感じていますか?

「撮影に入った当初は、目の前にスタッフさんたちがたくさんいらっしゃる中でちょっと恥ずかしい気持ちもありましたが(笑)、やっているうちに集中してきて、相手に“伝えなきゃ”という思いが自然と湧いてくるんですよね。台本に書かれている言葉をそのまま言うより、ラップに乗せて届ける方が、よりまっすぐ伝わるような気がします」

鈴鹿
――共演する稲垣吾郎さん、小雪さんの印象は?

「初めて法律事務所で集まるシーンを撮った時、稲垣さんと小雪さんが『18年ぶりだね』とお話しされていて。以前、弁護士夫婦の役で共演されたそうなのですが、言葉を交わさなくてもお2人の空気感やテンポがすぐに出来上がっていたので、『やっぱりすごいなぁ』と感動しました」


――現場では、どんな話をしていますか?

「稲垣さんからは、たまに衣装のことでイジられます(笑)。泰地のイメージカラーが黄色なのでスーツの下に黄色いシャツを着ているんですけど、ちょっと丈が長くて動くと裾が出てきちゃうんですよ。そういう時に『出てるよ、出てるよ』と教えてくださったり(笑)。トロピカルな衣装を着た時は、冗談で『それ、私服ですか?』と言われたこともありました。でも実は、その衣装に合わせるリュックを選ぶ時、稲垣さんが一緒に選んでくださったんです」

鈴鹿
――ステキなエピソードですね。現場の和やかなムードが伝わってきます。
今回鈴鹿さんは、先輩の皆さんに見守られる中、座長を務めます。プレッシャーはありましたか?

「プレッシャーはどんな作品でも感じますし、立場にかかわらず、良い作品にしたい、良い現場にしたいという思いは変わりません。ゲストの俳優さんもすごい方ばかりで、台本を開いてお名前を見る度に、“すごい! ありがたい!”と思っています。
そして、皆さんが気持ちよくお芝居していただける現場に……と、日々勉強中です。
稲垣さん、小雪さん、ゲストの皆さんの佇まいから、どんどん吸収したいです」

「自分はもうここで終わりか……」と思う時も


――今回の泰地役をはじめ、これまでもさまざまな難役に挑戦されていますが、迷ったり壁にぶつかったりした時に思い出す言葉や、励みにしていることはありますか?

「お芝居する上で、“どうしたらいいんだろう”と思うことは多々あります。今回も、どうすれば泰地の視点で主観的にフィルターを通さずに向き合えるかを考えた時期がありました。ソファで横になりながら、“大丈夫かな”と3時間ぐらい天井と会話をして(笑)。

でも、そういう時に必ず思い出すのは、デビュー作『蜜蜂と遠雷』での経験です。
石川慶監督と1対1で本読みをした際、『分からなくてもいいから、一つだけ自分の中で正解を作ってください』というアドバイスをいただきました。その時は“正解って何だろう?”と思いましたが、今考えると、それぞれのシーンを成立させるための正解もあれば、そのキャラとしてどうしたいのかという正解、いろいろなケースの正解があって。その中でどれか一つ、自分の中で“これが正解”と決めてお芝居をするという意味だったんですよね。それ以来、自分なりの正解が出てくるまで粘って考えるようになりました」

――それは、奥が深くなかなか大変な作業ですね。

「いくら考えても分からない、何も浮かばない時はつらいし、自分はここで終わりか……と思うこともあります。
でも、それと同時に、行き詰まったら誰かに見てもらうことも大事だと思っていて。今回で言うと、吃音監修の方がいらっしゃるので、その人たちの前でお芝居をした時に認めてもらえると、その一言で迷いが軽くなります」

――役について考えを深める時、どんなことを手掛かりにしますか?

「本を読むことが多いです。ドラマ『ドラゴン桜』でいじめっ子のようなキャラクターを演じましたが、彼の背景を考えた時、“愛ってなんだろう?”と考えるようになって……。そこから、哲学者エーリッヒ・フロムの『愛するということ』という本に出会いました」

――役について考えを深めることで、それまで知らなかった思考に触れる……俳優という仕事の醍醐味の一つとも言えそうです。

「そうですね。作品には、たくさんのスタッフの皆さんの考えが詰まっています。
以前、『どれだけ脚本がうまく書けたとしても、携わった人たちが伝えたい100%を脚本に落とし込むことはできない。俳優が脚本を解釈した上で、100%以上のものにして伝えられたらいいよね』と言われたことがありました。そうするには、自分もしっかり考えて演じなければいけないと思ったんです。
感覚で演じてそれができる方もいますが、僕はそうじゃなくて。役についていろいろ考えていくうちに、知らなかった考えに出会えることは、すごく楽しいです」

鈴鹿
【第2話】
放火犯は中学生!?同級生の自宅に放火した少女を弁護!正反対な二人の生徒の間で起きたトラブルとは…。優等生の裏の顔!?完璧な家族に隠された秘密が暴かれていく。
中学生の響(大沢一菜)が同級生のお嬢様・初音(竹下優名)の自宅の庭を放火した。ボヤで済んだものの大事な木を燃やされた母・江梨子(乙葉)は激高。高額の損害賠償を請求された響の父・英二(YOUNG DAIS)は、泰地(鈴鹿央士)に減額して欲しいと泣きつく。なぜ、響は初音の自宅を放火したのか?接点のない二人の間にあったトラブルとは?完璧な幸せ家族の秘密が暴かれていく。

【鈴鹿央士 プロフィール】
2000年1月11日、岡山県出身。 2018年、「MEN'S NON-NO」の専属モデルとして活動し、2019年の映画「蜜蜂と遠雷」で俳優デビュー。同作で「第43回日本アカデミー賞」新人賞を受賞。
主な出演作に、ドラマ「ドラゴン桜」「六本木クラス」「silent」「ゆりあ先生の赤い糸」「嘘解きレトリック」、Netflixシリーズ「喧嘩独学」、映画「PLAY!〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜」、「花まんま」など。話題作に多数出演している。
待機作に、主演映画「藁にもすがる獣たち」(2026年9月25日公開予定)。

(取材・文/伊沢晶子)
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