映画『チェイサーゲームW 水魚の交わり』菅井友香さん・中村ゆりかさんらと振り返るイベントの舞台裏&息子の夏休み事件も明かす|太田勇の5分で読めるテレビの裏側日記

こんにちは、テレ東の太田です。今月も書かせていただきます。

●映画『チェイサーゲームW 水魚の交わり』イベント
“いつ×ふゆ”と夏祭り2026 inユナイテッド・シネマ アクアシティお台場

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8月1日、映画のイベントに登壇させていただきました。3月末の映画化記念イベントから始まり、横浜国際映画祭でのトークイベント、公開初日舞台挨拶、公開中イベント、そして今回まで。気づけば5回以上、人前で作品についてお話しする機会をいただきました。
最初は当然緊張もありましたが、回を重ねるごとに、お客様との距離が少しずつ近づいていくのを感じました。今では、舞台に立つと「また会えましたね」というホームのような空気すら感じます。これもひとえに、作品を温かく受け止め、応援してくださる皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

個人的に一番印象に残ったのは、菅井友香さん、中村ゆりかさん、 原作者の松山洋さんと一緒に行ったコメンタリー上映会でした。お客様と同じ映画を観ながら、僕たちはマイクを持って撮影時の裏話や思い出を話していくというイベントです。
「もう、この作品については話し尽くしたかな」と思っていたのですが、いざ映像が流れ始めると、不思議なくらい記憶が蘇ってくるんです。「この日の撮影、実はこんなことがあった」「このカット、最後まで悩んだんだよな」など、その場でしか思い出せない話が次々と出てきました。そして、「菅井さんに、このセリフの言い方、話しましたよね?」と聞いたら「そうでしたっけ?」と菅井さんは忘れていることもありました。

監督という仕事は、完成した作品を届けたら一区切りだと思っていました。でも、お客様と一緒に作品を観ることで、自分自身も新しい発見があり、作品がもう一度育っていくような感覚がありました。こんな経験は初めてで、本当に楽しい時間でした。またいつか皆さんと一緒に映画を観ながら、作品について語れる機会があれば嬉しいです。

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●今撮影中の新ドラマについて
今、絶賛ドラマ撮影中です。まだ情報解禁前なので詳しくは書けませんが、今回の作品は「食」も大きなテーマのひとつです。
実は僕、グルメ系の作品って少し苦手なんです。というのも料理の撮影って、本当に大変なんです。
料理の物撮りって、とにかく時間がかかります。照明を整え、料理をスタンバイし、一番おいしそうに見える瞬間を待つ。湯気が立つ料理なんて、本当に大変です。ラーメンのような麺料理なら、撮り直しのたびに作り直し。電子レンジで温めればいい、という世界ではありません。麺が少し伸びただけで画面越しにも分かってしまうんです。
さらに「箸上げ」と呼ばれる、お箸で料理を持ち上げるカット。これも定番ですが、意外と難しい。僕は左利きなので、AD時代には「右手でも箸を使えるようになったほうがいいよ」と先輩に言われたこともありました。実際、それを本気で練習していたスタッフも見たことがあります。
しかも撮るのは完成した料理だけではありません。
料理全体を撮り、アップも撮ります。次に、特徴的な食材、調理工程……あとで編集すると「あ、このカットが必要だった」とならないように、とにかく細かく撮っていきます。
気づけば、一品に一時間かかることなんて珍しくありません。
バラエティ時代から、料理の物撮りは正直大の苦手でした。旅番組を避けていた理由のひとつが、それだったくらいです(笑)
でも今回は、その料理が作品の大切な魅力のひとつ。
「どう撮れば、一番おいしそうに見えるか」
現場のみんなで試行錯誤しながら、一皿一皿大切に撮っています。本当はその料理をお見せしたいところなんですが、まだ情報解禁前なので、代わりに現場のお弁当を少しだけ載せておきます。

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●子どもと夏休み
 僕には2人子どもがいます。長男、6歳、小学1年生。次男、0歳、保育園ひよこ組。

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長男と、事件が起きました。
いや、正確には、僕が起こしました。
見れば分かると思いますが、壊れたテレビのリモコン。壊したのは僕です。リモコンって、叩きつけると割れるんですね。大前提として、めちゃくちゃ反省しています。
で、何があったかというと。
小学1年生になった長男、初めての夏休みです。しかし、親は毎日仕事。
なので、基本的には学童へ通う日々です。
それだけではあまりに夏休み感がないと思い、最近、昆虫や森に興味を持ち始めた息子にいろいろなイベントのパンフレットを見せました。
すると、渓流を歩いたり、生き物を観察したりする「実体験型の科学教室」に興味を示しました。
「ひとりで行ける?」
「うん」
というわけで申し込みました。
参加費、3万円。高い。でも、せっかくの夏休みです。
渓流を歩くので、mont-bellへ行き、帽子から靴まで一式そろえました。リュックも買いました。奥さんは朝早く起きて、お弁当を作ることになりました。
そして、いよいよ当日。
朝7時。7時30分までには家を出ないと間に合いません。
1週間前から、「この日だけは、絶対に7時30分までに家を出るからね」と、口を酸っぱくして伝えていました。
ところが、起きない。
7時5分。起きない。
7時10分。まだ起きない。
7時15分。ようやく起きた息子が、布団の中で言いました。
「行きたくない」
え?ちょっと待って。3万円だよ?
しかも、君が行きたいと言ったんだよね?
なんで当日の朝に言うの?
せめて昨日言ってくれれば、キャンセル料が半分で済んだのに。
こちらの口調が強くなるほど、子どもは頑固になります。
「絶対に行かない!」
そう言って、寝室から枕とブランケットを持ってきて、リビングの床に寝転びました。
本気だ。
僕と奥さんで、ここに書いた量の10倍くらい説得しました。
しかし、答えはずっと、
「行かない」
時計は7時40分。もう間に合いません。
諦めて電話しました。
「すみません、子どもが……体調が悪いのか、行きたくないと言っていて……」
目の前には、奥さんが張り切って作ったお弁当。
あーあ。
そんな前振りがあっての、午後です。
その日は息子がいない予定だったので、僕も奥さんも仕事を入れていました。オンライン会議もありました。
息子はずっとテレビを見ています。
一応、約束では1日1時間。もちろん守るはずもありません。
オンライン会議を終えてリビングへ行くと、最近お気に入りのアニメ『最強王』を、U-NEXTで延々と見続けています。
さすがに叱りました。
しかし、見るのをやめない。
「おかしいでしょ! 科学教室にも行かないで、ずっとテレビ見てるって!」
言い争いになり、息子はテレビを消すと……、リモコンをポイッと僕に投げました。
実は1週間前にも、同じようなことがありました。その時は奥さんの膝に当たっています。
「絶対に人へ物を投げたらダメ」と、かなり強く教えたばかりでした。
2回目。
そこで僕の何かが切れました。
投げられたリモコンを拾い、「こんなものがあるからダメになるんだ!」と、手で割りました。
バキッ。
……意外と割れるもんですね。
もちろん息子にとっても想定外です。
6歳の子どもの目の前で、パパがリモコンを真っ二つにする。
息子は驚いて、泣き出しました。
「テレビは?」
「もう見られないよ。リモコン壊れたから」
すると息子も負けていません。
「リモコンこわすなんてダメ!」
「はんざいだ!」
「パパ、たいほされる!」
しかし、その時の僕は「悪いのはそっちだ」と思っているので、謝りませんでした。
息子は泣き疲れて、そのまま眠ってしまいました。
珍しいことです。体力のある子で、保育園の高学年になってからは、ほとんど昼寝もしなくなっていました。
ところが、子どもが寝ると、こちらは急に冷静になります。
びっくりさせすぎたかな。トラウマになったらどうしよう。
物を壊す父親として記憶されたらどうしよう。
不安になり、AIに相談しました。
「リモコンを壊す 子どもへの悪影響」
「目の前で物を壊された トラウマ」
「親が怒って物を壊した どう謝る」
AIからも「慎重に対応してください」的なことを言われました。
これは起きたら、ちゃんと謝ろう。そう心に決めた、約2時間後。
息子が起きました。
「ねえ、さっきはごめんね」
と言うか言わないかのタイミングで、息子が立ち上がりました。
「あ、いいこと思いついた」
僕のiPadを取りに行き、戻ってくると、そのまま僕の膝の上に座りました。
「テレビがダメなら、iPadで見ればいいんじゃない?」
ニコニコしています。
僕のパスワードも知っているので、自分で解除し、U-NEXTを開いてまた『最強王』を見始めました。
「ねえ、パパも一緒に見よう」
と言うので、膝に乗せたまま、一緒に見ることにしました。
そして息子が、冷静に総括しました。
「リモコンこわすまでは、ぼくとパパ、60対40でぼくのほうが悪かったけど」
「うん」
「リモコンこわしたあとは、20対80でパパのほうが悪いね」
……たしかに。
子どもは案外、よく見ています。
そして、立ち直るのも親よりずっと早いです。

●今月のオススメエンタメ
今クールのドラマは超豊作ですね。正直、今クールのドラマを担当していなくてよかったと思ったくらい良作ぞろいです。『VIVANT』続編に『GTO』、GACKTさん初主演ドラマ、内田有紀さんと寺西拓人さん(timelesz)のラブストーリー、脚本家の生方美久さん初TBSなど、本当にバラエティ豊かな作品が並んでいます。
そんな中、僕が選んだ今期のトップ3です。

『マイ・フィクション』
このドラマ、本当にすごいです。
こういうルールでストーリーを考えましょう、という枠の外側で生まれた作品みたいな印象です。
主人公だけが記憶喪失になる話でも、タイムリープものでもありません。事故から目覚めると、自分だけが周囲から忘れ去られ、さらに他人が自分として生きているという、とんでもない設定から始まります。そこに、森川葵さん演じる女性の亡き夫が主人公と瓜二つだったという新たな謎が加わり、さらに宮澤エマさん演じる妻の正体まで揺らぎ始める。物語が進むたびに「え、それも?」「まだあるの?」というくらい新しい謎が増えていくんです。
普通なら、これだけ謎を積み重ねると、どこかで破綻しそうなのに、不思議と破綻しない。むしろ、一つひとつの謎が、町全体に漂う不気味な空気ときれいにつながっている。事件件数ゼロが千日以上続く「平和すぎる町」という舞台設定も絶妙で、どこか箱庭のような人工的な違和感がずっと漂っています。セットや色味まで含めて、「この町自体が何かおかしい」と感じさせる演出が見事です。
ここまで次々と謎を提示しながら、それでも「続きが観たい」が勝ち続ける作品は、なかなかありません。

『告白―25年目の秘密―』
これも本当にすごいドラマです。
この作品の何がすごいかというと、「どういう発想から、この物語が生まれたのか」が全く想像できないところです。
「初恋を25年間こじらせたら?」だったのか、「ストーカーが、実はただ一途に思い続けていただけだったら?」だったのか、それとも「殺人事件の犯人を、とことん魅力的に描くには?」という逆算だったのか。入口が全然読めない。でも、その結果として、今まで見たことのない作品になっています。
そして松村北斗さん演じる雪村爽太が絶妙です。爽太は、ときどき「ずっと見ていました」みたいな、普通なら一発で正体がバレそうな発言をしてしまう。そのたびに岡崎紗絵さん演じる麻里子も「あれ?」という表情をする。でも、結局そこから疑いには発展しない。
これがドラマの都合で気づかないのではなく、爽太の誠実さや人柄があるから、不思議と成立してしまう。このバランスは脚本も演出も本当に見事です。「そんなの不自然じゃない?」という意見は脚本会議で絶対に出たと思うんですが、それを信じて貫いたことも、この作品の唯一無二の魅力になっています。
4話まで観ましたが、いまだにラブストーリーなのか、サスペンスなのか、ラブサスペンスなのか分からない。というか、そのどれでもない気がしています。

『Tシャツが乾くまで』
これも素晴らしいです。おしゃれな洋画を1本観ているような感覚になります。
上の2作品に比べると、物語自体は比較的わかりやすいですし、「こういう作品を目指したんだろうな」という出発点も見えます。でも、その中でベスト・オブ・ベストな印象です。海外映画の空気感を持ちながら、日本人らしい繊細さや余白をちゃんと残している。日本人の良さが出た洋菓子、という表現が一番しっくりきます。
驚くシーンもたくさんありますが、個人的に一番グッときたのは、高橋文哉さん演じる矢野が、どうやら夏帆さん演じるあずさのことを好きなんだろうな、と匂わせるシーンです。
気になる伏線もたくさんありますし、生方さんの脚本なので、一言たりとも聞き逃せません。「このセリフ、あとで効いてくるんじゃないか」と思わせる緊張感がずっと続いています。

以上3作品、どれも本当におすすめです。他にも山田涼介さん主演の『一次元の挿し木』も『君の好きは無敵』も『さよならノワール』も面白いです。あ、もちろん、テレ東作品は全部おすすめです(笑)

今月も、自分の拙い文章を最後まで読んでくださってありがとうございました!

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
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