某事務所をクビになっているかもしれないし、なっていないかもしれない芸人「ぼく脳」

2018.09.07

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「ぼく脳」という芸人を一言で表すのはとても難しい。不条理ながらも納得できてしまう摩訶不思議な世界観の漫画。もしくはクスッと笑ってしまうような奇怪なパフォーマンス。着ること自体が表現あるいはメッセージとなるような強烈なプリントTシャツ(ファッション雑誌にも取り上げられている!)。たびたびSNS上を席巻してきた彼の作品は、内容からフォーマットまで多種多様であり、そのどれもが一筋縄ではいかないものばかり。そもそも「芸人」という肩書きとして正しいのかどうかも怪しいところだが、なんでも彼はもともと某芸人事務所に所属していたれっきとした芸人らしい。ここではそんなぼく脳のバラエティー豊かな作品群とともに、そのヒントとして彼自身の発言をお届けしたい。


クリエイタープロフィール:
ぼく脳/芸人
[instagram] @bokunou
[Twitter] @_bokunou



某芸人事務所での経歴を生かした、独創的パフォーマンスの数々


ぼく脳本人もお気に入りだという「足つぼマットに乗りながらマクドナルドのセットを食べて、下半身が健康、上半身が不健康のケンタウロス(健タウロス)」というパフォーマンス。


――当初は某芸能事務所で芸人をしていたとのことですが、作品を作るために辞めたのでしょうか?


いや、実際はまだ辞めてないっていうか、辞めてないかどうかもわからないんです。


――え?


学校の先輩に「お笑いやろう」って誘われて、18歳で高校を卒業してお笑いの学校に入りました。でも、入学式に行ったら先輩がいないんですよ。先輩は芸人で成功しなかったときのために鍼師の免許を取りに行って、それから2年後に入ってきたんです。裏切られましたね。


――(笑)


でも本当にルミネとかの舞台に立っていたんですよ。


ビートたけしの独特なアクションに着目し、その動きでぶどうを揉みしだきワインを作るというパフォーマンス「たけしワイン」。芸人による合いの手も魅力なのでぜひ音声ありで視聴してほしい。


――で、辞めたのかどうかも分からないというのは?


その頃の某事務所ってコンプライアンスが厳しくなっていた時期だったんです。警察のえらい人による、援助交際とか暴力団との付き合いはダメとかいう内容の教習を受けないと、どんな大物芸人でもクビになるっていう話だったんです。


――なるほど。


その教習の日程が所属芸人みんなにメールされるんですけど、自分は社会に出たことなかったので目上の人にどんなテンションで「メールアドレス変えました」と連絡すればいいか分からず、放置していたんです。そしたらその日程のメールが届かなくて、教習を受けそびれて「クビだなこりゃ」と思ってやめました。だから実際にクビだと言われたわけじゃなくて、もしかしたら今某事務所に行ったら普通に行けるかもしれないんですけど「まあ別にいいや」と思って。


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芸人でできないことをできるかと思った漫画。しかし...


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おそらく最初にぼく脳の名前が知れ渡ったきっかけは、Twitter上で漫画作品が話題を集めたことではないだろうか。Webの画面上でもぶっ飛んだ表現だったその漫画だが、たびたび画面やコマを飛び出しての表現も見せていた。


――芸人を辞めてから漫画作品を発表するようになったぼく脳さんですが、なぜ漫画だったのでしょうか?


2011年に地震に関する情報を得ようとTwitterを始めたんですけど、そのうち「ネット大喜利」というアングラな競技にハマって、そこから「お笑いではできなかったネタも漫画ならできるのでは?」と思って描き始めたんです。それまで漫画を描いたことがないどころか『クレヨンしんちゃん』と『ワンピース』しか読んだことなかったんですけどね。当時はまだ漫画を描いてる人はあんまりいなくて簡単にフォロワー増えましたが、今だったら全然増えないと思いますね。


DJのように空間の匂いをコントロールする「SJ(スメルジョッキー)」のパフォーマンス動画。最近はこうしたパフォーマンスが多い印象のぼく脳だが、実は漫画に関するモチベーションが下がってきているのだという。


――最近は漫画以外の活動が多いようですが、漫画の外に領域を広げているところなのでしょうか?


単純に漫画に飽きたというのがありますね。絵が好きだったら上手くなると思うんですけど、本当に上手くなってないんですよ。それで「俺の漫画って絵がいらないな」と気付いて。


――絵である必要がない、と。


うん。単純に向いてなかったと思います。飽き性だから長い漫画を描けなくて、2コマ目で違う漫画描き始めちゃったり。だから俺の漫画って3コマがめちゃくちゃ多いんですよね。「起承転結」じゃなく「結転結」みたいなのが好きというのもありますが。



「シュールレアリズムっぽい」芸風は、「ウケたくて過剰に説明した」結果


――ぼく脳さんの作風や芸風として「不条理なシュールレアリズムっぽい状況を全て説明する」というものがあると思いますが...


意識はしてないんですけどね。そもそも美術とかあまり分かっていないし。ずっとバスケ部だったので。でも題名で全部説明してからボケるっていう芸風はありますね。答え合わせっていうか。


バスケのドリブル音と布団叩きの音をミックスした「布団バスケ」。バスケ経験者だけあるやたらとキレのある動きも魅力だ。


――その作風はどこから?


ウケたいがための行動ですね。せっかくウケを狙って考えたのに、察してもらえなかったら嫌じゃないですか。だから「全部説明しよう」って。美術展とかに出ても、自分の作品はありえない文字の多さなんですよね。普通みんな説明しないんですけど。


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安心してカレーうどんを食べられる白いTシャツ「カレーうどん射的」。


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「Suicaの料金が足りないかもしれません!! オレから離れろ!!」Tシャツ。


――どれも一見するとぶっ飛んだ世界のようでいて、しっかりと説明している。そんな作風はぼく脳さん本人のキャラクターにも通じている印象です。


めちゃくちゃ考えて作ってますからね。でも、自分で自分のことを「かなりまともな方の人間」だと最近まで思ってたんですけど、Tシャツを売り始めるようになってから、購入希望のお客さんからメールのやりとりで怒られたりして、ちょっとヤバいかもしれないと思うようになりました。


――(笑)


「常識もあるし育ちもいいのに、あえてこういう作風を考えて作っている」というスタンスだったんです。でもそれが崩れてきて不安ですね。この作風で本当にヤバいやつだったら絶対に売れないので(笑)本来は請求書を書いたりしたくないからこういうことをやっていたはずなのに、なんかTシャツ売り始めてから大変になってきているし。困ってますよ。


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そんなぼく脳だが、この夏から新たな活動の一歩としてアーティストビジネス・カンパニーであるlute株式会社とエージェント契約を締結。luteによるIGTV撮り下ろしバラエティ番組『 ぼく脳 I am brain. 』をスタートさせている。


よりポップなフィールドへ向かう足がかりとなるか? これまでにない活動を見せ始めたぼく脳の今後に注目したい。

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