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下北沢「BOOK SHOP TRAVELLER」店長・和氣正幸が選ぶ”読書を通して旅できる”4冊

エンタメ

テレ東プラス

2018.10.19

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「本が好き。でも何より本屋が大好き」。そんな思いが高じて全国津々浦々の本屋を巡り、それをまとめた本を既に3冊出版。最近では下北沢に「Bookshop Traveler」という書店をオープンさせた和氣正幸さん。そんな本屋巡りのプロである和気さんに、オススメの本屋の巡り方や、読書を通じて旅する気分が味わえる本を教えてもらいました。


プロフィール:

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(写真/今井駿介)


和氣正幸さん/BOOKSHOP LOVER。1985年生まれ、早稲田大学文学部卒。サラリーマンを続ける傍ら、2010年より小さな本屋の魅力を伝える活動「BOOKSHOP LOVER」をはじめる。現在は独立。WEBや雑誌などを中心に、本屋と本に関する活動を多岐にわたり行う。著書に「東京 わざわざ行きたい街の本屋さん」(GB)がある。


――本屋を歩く上でのコツがあれば教えてください。


まずはどんな本が売られているのかを知るために店内をぐるっと一周してみましょう。気になった本棚や本があってもすぐに立ち止まってはいけません。最初に本屋を一周することで、その書店がどんなものを売っているのか全体像を頭に入れることができるからです。そして、一周した後に気になった本棚の背表紙をじっくり眺めて、そこからさらに気になる本を手に取るようにしてみるのが良いと思います。最後にZINEコーナーを見るというのでいかがでしょう。地方には濃ゆいZINEがたくさん売られていることもしばしば。そこでしか買えないような一点ものも少なくないので、ぜひチェックしてもらいたいですね。


――本屋巡りをしている際にご自身で決めているルールがあれば教えてください。


取材した個人書店では必ず思い入れのある一冊をお伺いするようにしています。それを読むことで取材した本屋についてより深く知ることができるように思うからです。あとそれとは別に気になった本を必ず1冊買うんです。すると読むたびにその土地のことを思い出すことができるので、旅の情緒とあいまって記念になること請け合いです。これから紹介する本は大学を卒業して「BOOKSHOP LOVER」を立ち上げて以降、全国の書店員を訪れる中で購入した本からセレクトした本になります。



静かなのに高揚感を感じる稀有な作品


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『旅のラゴス』/ 筒井康隆 著


ひと口に"旅"と言ってもいろいろな形があると思います。本書はその中でも成長譚の形を取る物語です。著者の筒井康隆さんはSF作家として有名ですが、こちらの作品は個人的に私が筒井さんの本を読んだ中で最も読了感が爽やかだったと記憶しています。こちらは文明が滅んだ後に人間が文明が残っている場所を求めて旅する物語。語り口は静かですが、淡々としているというよりはむしろ熱を感じます。旅の道中に読むと、自分が旅しているときに感じる高揚感と主人公の高揚感が一致して不思議な感覚になれます。主人公が旅をして成長していくのですが、旅の目的を達成した主人公が最後にした選択に痺れます。



上手くいくこともあるし、駄目になることもある。それでも勝手に生きてみたいなら


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『就職しないで生きるには』/ レイモンド・マンゴー 著


有名なこの本の語り手はなんと僕と同じ本屋です。1960年代に「モンタナ・ブックス」をはじめた著者レイモンド・マンゴーが、全米各地のスモールビジネスを立ち上げた人々に話を聞きに旅したものとなっており、個人的に共感するところが多数。今でこそ有名なビルケンシュトックの初期のエピソードが出てくるのも個人的に発見がありました。要するに、うまくいくこともあれば、駄目になることもある。何はともあれ人生は続いてくし、続けてくことが大事なんだとこの本から学びました。60年代の話ではありますが、今にも通じるものが多数あります。自分勝手に生きてみたい、そんな人にとって背中を押してくれる一冊になっていると思います。正直言って、読みやすいという作品とは言い難いですが、全国津々浦々訪れた書店のオーナーが何人も人生のオススメの一冊に挙げていました。それだけ心に刺さる部分があるんですね。



「星の王子さま」の背後にある飛行士としてのサン=テグジュペリの哲学


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「人間の大地」/ サン=テグジュペリ 著


「星の王子様」の著者で知られるサン=テグジュペリ。そのサン=テグジュペリが実は飛行士を生業としていたことを知らない人も少なくないのではないでしょうか? これはその「星の王子様」以前の物語。彼が飛行士として日々、生死が隣り合わせのところにいたときに手がけた自伝的エッセイです。場所も時間も作品の中で移り変わるのですが、その目まぐるしい移動距離に自分も旅した気分を味わえます。彼の文章はゴツゴツと無骨で淡々としているのですが、そこから溢れ出る精緻な感情にいつしか惹かれていってしましました。様々なところを移動する描写の視点が鮮やかで詩的で情景が目に浮かびます。砂漠に遭難し、乾きのなか飢えと戦った経験が、あの「星の王子様」につながっているのだと思いました。



あらゆる書店に個性は宿っている。その実態に迫る本


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『日本の小さな本屋さん』/ 和氣正幸 著


最後に恥ずかしながら宣伝を。本書は関東より西の23の本屋さんを取り上げた本です。一店一店のお店がこんなにも違ってこんなにも面白いのかとあらためて感じた取材の日々でした。ちなみに本屋さんに「美味しいお店」を聴くと間違いないので、現地の情報の仕入先としてもお勧めですよ。


BOOKSHOP TRAVELER
住所:東京都世田谷区北沢2丁目26−7アパートメントストア1F
営業時間:木~日 12:00~20:00
[Facebook]https://www.facebook.com/BookshopTraveller/
[Twitter]https://twitter.com/Bst_BSL

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