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テレ東プラス

2018.10.26

気鋭のクリエイターは今、畑仕事に夢中!?被写体をシュールに切り取る写真家「南阿沙美」の頭の中

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美しい海で躍動する1人の女性のポートレート。迫力とシュールさを持ち合わせたこの1枚を美術館の展示で見たとき、感動すると同時に思わず笑ってしまった。「写真はアートか?」という高尚な問いを軽々と打ち砕くような、パワー溢れるこの写真を撮影したのは、写真家の南阿沙美さんだ。代表作「MATSUOKA!」で写真新世紀入賞。以降、雑誌を中心に様々なメディアへと活躍の場を広げるクリエイターだ。彼女が捉えるポートレートはなぜ人々を魅了するのだろうか? 果たして彼女の写真のパワーの源にあるものとは?


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プロフィール:
南阿沙美
写真家。2014年キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。代表作は「MATSUOKA!」。高級感のあるファニーな写真と評され、ミュージシャンの撮影や雑誌等で活躍中。
[Twitter]@minamiasami
[HP] www.minamiasami.com



被写体の魅力は引き出すものではない。すでにあるもの。


――「MATSUOKA!」拝見しました。圧倒的なパワーがある作品ですね。作り込まずありのままを撮ったようにも見えますが、同時にフィクションでもあるような不思議な印象を受けました。


モデルの彼女とは元々知り合いなんですけど、その魅力を捉えようとしたらこういう表現になった、という感じです。彼女をそのまま撮っているというのではなく、ちょっと演出が入っています。


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――作品のモデルはどうやって探しているんですか?


もともと友達だったり知っている人と一緒に過ごしている中で、その相手の魅力があることに気づいて撮影していくことが多いですね。


――「美術手帖」「クイックジャパン」「CUT」といった雑誌で多くのクリエイターやミュージシャン、俳優を撮影されてますよね。仕事と作品とで写真の撮り方に違いはありますか?


あんまりないですね。依頼された仕事でも、自分が進めているプロジェクトでも撮っている一瞬は同じです。


――被写体の魅力を引き出すという点では同じだと。


いや、「被写体の魅力を引き出す」なんて表現はおこがましくて。「すでにある魅力」をそのまま撮っています。仕事の撮影では初対面の方がほとんどで時間も限られていることが多いので、ちょっとスポーツにも近くて。スピードと美しさ、フィギュアスケートみたいですね。それに対して自分の作品は締め切りもないので......なんだろ? 農業?ですかね(笑)



野菜づくりから学んだ土や天気との関わり、生活に直結するもののおもしろさ


――そういえば、今日手に持ってらっしゃる荷物は......。


あ、これは野菜育てるのに使う支柱です。最近野菜を育てていて。実は、今日も収穫してきました。


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取材場所にあらわれた南さん。カバンの中には今日取れた枝豆が株ごと入っている。


野菜によって育て方は違いますし、取れたものは食べて、からだの中に入って循環する。人にあげることもできるし、農業を通して学ぶものは多いです 。


――今まで育てた野菜は?


なす、空芯菜、モロヘイヤ、パクチー、枝豆、バジル、ほうれんそう、人参、トマト......


――結構作ってるんですね(笑)。


最近は枝豆を育てていたんですけど、ある程度成長するまではポットで育てます。鳥に見つからない場所に置いて。そうしないと鳥がマメを食べに来ちゃうんですよ。これ、成長記録の写真なんですけど。この割れたところから、こんな感じで成長していくんですよ。もうちょっと大きくなってから土に移します。


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枝豆の成長記録。


この割れたところから、こんな感じで成長していくんですよ。もうちょっと大きくなってから土に移します。他の野菜はそんなことないんですけど、豆類はとにかく鳥に気をつけないといけないんで。


――ほかに育てるのがおもしろい野菜はありました?


空芯菜は切ったところから葉っぱがまた育つのでいいですね。わりと丈夫ですし、初心者向きです。農薬を使わずに育てているので今年は結構虫に食べられちゃいましたけど、まあいいかなって。虫は何も悪くないですし。虫の食べ残しを人間が食べるぐらいでいいんですよ(笑) 。


あと感動したのはパクチーです。芽が出てすぐにちゃんとパクチーの匂いがするんですよ。生命の強さ、植物の強さを感じました。


――失敗したことは?


失敗じゃないですけど、根菜は抜いてみるまでわかんないから見る楽しみは少ないですよね。なんか、やたら寡黙な人みたいな感じ。そろそろ話しかけてもいいのかな?みたいな(笑)。収穫時期だと思って抜いたら早かったー、ってこともありました。...あ、こんなに野菜の話ばっかりしてて大丈夫ですか?



写真は自分を救ってくれるわけではない。自己実現とは関係ないところにある。


――写真の話に戻しましょうか(笑)。作品作りや写真の仕事を通じて自己実現、みたいなことは考えないのですか?


「自己実現」と写真はわたしは関係ないです。写真は自分を救うものではないなあ、と思ったんです。自分を重ねすぎても疲弊してしまいますし。もちろん、そういうやり方で素晴らしいものを生み出す人もいますが、私はだめみたいですね。自己実現は、畑の方がいいんですよ。反応がダイレクトですし。


それと似ている理由で洗濯が好きです。濡れたものが乾いていくのを眺めてるのが好きですし、服を買う時も「干した時どんな感じかな?」って考えちゃう。着て、洗って、乾いて、また着る。回っているのを感じるのが好きなんです


――これからやっていきたいことってありますか?


土の勉強をしたいですね。野菜は土なんです! だから肥料から作りたいですね。次に何を撮りたいっていうよりは、この野菜作りたいなーとか、そういうことを考えることの方が多いです。すいませんまた野菜の話ですが(笑)ただ、こういう生活に直結するものの方が具体的に想像できますね。......やっぱり、実感があるから


――写真では実感みたいなものは感じないのでしょうか?


写真も実感はあるんですけど、撮影している瞬間は夢遊病状態に近いかもしれません。もちろん自分の撮りたいように撮ってはいるんですけど。その時何に反応してシャッターを切っているのかというと、そのときにしかわからない感覚的な部分ですね。なので、後から自分の撮った写真を見て自分で驚くことや、感動することもあります。


――それはイメージしていた写真と違うものが映っているということ?


気付いて選んだ瞬間のことを、一旦忘れるんですよね。だから出来あがったものに出会い直すと新鮮に感じるんです。もちろんまったく覚えていないってことはないんですけど、改めて驚きがあったりとか。それは写真が何回も再生できるメディアだからだと思うんです。一度わあ、と感動したものに、写真を見ることでまた出会い直せてしまう。


あと自分が写真をやれるのは、よそ見すれば撮影できるから。ちょっと気持ちがしょんぼりしているときでも、「よそ見」をしたらいい瞬間があって、それを撮ったのが良かったりするんです。それは写真を撮るのが一瞬だからできるのかもしれないですね。時間が流れ続けている動画ではそうもいかないと思います。


――今後撮りたいものってあるんですか?


石とか、花とか、鳩とかですね(笑)。最近は鳩を撮ってるんですよ。鳩には鳩の国があるように思えて。目の前にいる鳩は同じ時間、同じ場所にいるのに、違う国にいるように見えるんです。


――鳩の社会、ではなく「国」なんですね。


国ですね。写真集を出す時は『ハトの国』ってタイトルかもしれないですね。鳥は好きだけど鳩はちょっと気持ち悪いなって思ってたんですよ。でも気になってしまって、撮ってたらだんだん好きになってきて。


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――おもしろいですね。


ハトの生態がどうなっているのかは、本を読んだりググったりすればわかるのかもしれないでけど、どこで寝てるのかな~とか想像するのが好きなだけで答えが知りたいわけではないので詳しくは調べていないです。


それとは別で、並行して進めている作品で、「島根のOL」というシリーズがあります。こちらは来年に写真集の形で出版することを目指して制作を進めています。


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島根のOL


――『ハトの国』『島根のOL』、どちらも写真集が出版されるのを楽しみにしてます。


南阿沙美さんが西武新宿線新井薬師前のギャラリー「スタジオ35分」主催のグループ展に出展いたします。出展作家は写真家の加瀬健太郎さん、沼田学さん。開催期間は2018 12/5(水)~12/22(土)
詳細はギャラリーの公式ウェブサイトにて近日公開予定です。

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