興収50億円突破!映画「Michael/マイケル」爆発的ヒットの理由はマイケル・ジャクソンの“おいしい”とこ詰め
“キング・オブ・ポップ”こと、マイケル・ジャクソンの半生を初めて映像化した映画「Michael/マイケル」が大ヒット公開中だ。
1960年代に「ジャクソン5」のメンバーとして活動をスタート。ソロアーティストとしても、あまたの名曲を世に送り出してきたマイケルは、いかにして世界的アイコンとなったのか? その圧倒的な歌唱力と革新的なダンスパフォーマンスで、没後17年が経った今でも人々を魅了し続ける理由とは?
![みのミュージックインタビュー MJ論【前編】]()
登録者数約55万人のYouTubeチャンネル「みのミュージック」を主戦場に、音楽をはじめとしたカルチャー情報を発信する人気クリエーターの“みの”が、「映画を観る前でも、観た後でも楽しめるマイケルの魅力と功績」を分かりやすく解説!
【動画】LDH新星、キンタロー。らがマイケルダンス完コピ!「スリラー」「Beat it」からアンチグラビティも
――6月12日(金)の公開以来、映画「Michael/マイケル」がヒット街道をばく進中です。みのさんは、香取慎吾さん、ちゃんみなさん、ケント・モリさん、小林武史さんらとともに公開前のジャパンプレミアにも登壇されましたが、本作をどのように見ていますか?
「『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)の公開される少し前くらいから、配給的にある程度計算できる題材であるミュージシャンのバイオピック(伝記映画)が流行し始めまして。今回の『Michael/マイケル』も“次は誰にする?”なんて、会議室で話し合いが行われきた結果のマイケル・ジャクソンだったのかなと勝手に推測するんですけど(笑)、それはさて置き。
アーティストのバリュー的にもストリーミングの再生数的にも映画の内容に期待する熱狂的なファンがたくさんいる中、まずは今年4月にアメリカで公開されて。実際に期待にたがわぬ内容で数字的にも大ヒットを記録して、やがて日本をはじめ、世界中で同じような現象が起こった。さすがはスーパースター、“真打ち登場!”といったところですね」
映画「Michael/マイケル」大ヒット上映中
配給:キノフィルムズ
(R), TM & (C) 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
――世界興行収入は、全世界累計10億ドル(約1600億円)突破も間近に迫り、映画「ボヘミアン・ラプソディ」(9億4600万ドル)も、映画「オッペンハイマー」(9億5000万ドル)も超え伝記映画として歴代世界興収1位のメガヒット。また、日本の興行収入も50億円を突破しました。何がそんなに観客を引き寄せているのでしょう。
「マイケルは“MTV(Music Television/1981年に米国のケーブルテレビで開局した24時間放送の音楽専門チャンネル)時代の寵児”と呼ばれるアーティストですので、歌はもちろん、何より映像映えすること。さらに誰もが観たい、聴きたいマイケルの歌、ダンス、振り付けを大スクリーン、大音量で堪能できること。
そうしたシンプルな喜び加えて、1966年、マイケルを含む兄弟5人で結成したジャクソン5の時代から1987年の『バッド・ワールド・ツアー』までザッと20年ぶん、マイケルの半生を時系列順に追いかけられる、お得な作りであること。“おいしい”ところだけが詰まったバイオピックであることも、ヒットの要因かなと思います」
――あえて「ボヘミアン・ラプソディ」と比較すると?
「『ボヘミアン・ラプソディ』が最後のライブ・エイドに向かって駆け上がっていく映画だとすれば、『Michael/マイケル』は常にクライマックスが続く感じですかね。一応ジャクソン5の成功への道のりと、ソロになったマイケルがスーパースターの地位に上り詰めるまで――という前後半には分かれますが、どこを切り取っても面白いですし、名曲、ヒット曲のオンパレードとなっています」
1960年代に「ジャクソン5」のメンバーとして活動をスタート。ソロアーティストとしても、あまたの名曲を世に送り出してきたマイケルは、いかにして世界的アイコンとなったのか? その圧倒的な歌唱力と革新的なダンスパフォーマンスで、没後17年が経った今でも人々を魅了し続ける理由とは?
登録者数約55万人のYouTubeチャンネル「みのミュージック」を主戦場に、音楽をはじめとしたカルチャー情報を発信する人気クリエーターの“みの”が、「映画を観る前でも、観た後でも楽しめるマイケルの魅力と功績」を分かりやすく解説!
【動画】LDH新星、キンタロー。らがマイケルダンス完コピ!「スリラー」「Beat it」からアンチグラビティも
“おいしい”ところだけが詰まったバイオピック
――6月12日(金)の公開以来、映画「Michael/マイケル」がヒット街道をばく進中です。みのさんは、香取慎吾さん、ちゃんみなさん、ケント・モリさん、小林武史さんらとともに公開前のジャパンプレミアにも登壇されましたが、本作をどのように見ていますか?
「『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)の公開される少し前くらいから、配給的にある程度計算できる題材であるミュージシャンのバイオピック(伝記映画)が流行し始めまして。今回の『Michael/マイケル』も“次は誰にする?”なんて、会議室で話し合いが行われきた結果のマイケル・ジャクソンだったのかなと勝手に推測するんですけど(笑)、それはさて置き。
アーティストのバリュー的にもストリーミングの再生数的にも映画の内容に期待する熱狂的なファンがたくさんいる中、まずは今年4月にアメリカで公開されて。実際に期待にたがわぬ内容で数字的にも大ヒットを記録して、やがて日本をはじめ、世界中で同じような現象が起こった。さすがはスーパースター、“真打ち登場!”といったところですね」
映画「Michael/マイケル」大ヒット上映中配給:キノフィルムズ
(R), TM & (C) 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
――世界興行収入は、全世界累計10億ドル(約1600億円)突破も間近に迫り、映画「ボヘミアン・ラプソディ」(9億4600万ドル)も、映画「オッペンハイマー」(9億5000万ドル)も超え伝記映画として歴代世界興収1位のメガヒット。また、日本の興行収入も50億円を突破しました。何がそんなに観客を引き寄せているのでしょう。
「マイケルは“MTV(Music Television/1981年に米国のケーブルテレビで開局した24時間放送の音楽専門チャンネル)時代の寵児”と呼ばれるアーティストですので、歌はもちろん、何より映像映えすること。さらに誰もが観たい、聴きたいマイケルの歌、ダンス、振り付けを大スクリーン、大音量で堪能できること。
そうしたシンプルな喜び加えて、1966年、マイケルを含む兄弟5人で結成したジャクソン5の時代から1987年の『バッド・ワールド・ツアー』までザッと20年ぶん、マイケルの半生を時系列順に追いかけられる、お得な作りであること。“おいしい”ところだけが詰まったバイオピックであることも、ヒットの要因かなと思います」
――あえて「ボヘミアン・ラプソディ」と比較すると?
「『ボヘミアン・ラプソディ』が最後のライブ・エイドに向かって駆け上がっていく映画だとすれば、『Michael/マイケル』は常にクライマックスが続く感じですかね。一応ジャクソン5の成功への道のりと、ソロになったマイケルがスーパースターの地位に上り詰めるまで――という前後半には分かれますが、どこを切り取っても面白いですし、名曲、ヒット曲のオンパレードとなっています」
――映画は、父・ジョセフの厳格な支配と自身の音楽ビジョンの狭間で葛藤しながら数々の名曲を生み出した若き日のマイケルの苦悩と栄光への軌跡が2時間08分の尺に凝縮され、主演にはマイケルの実の甥であるジャファー・ジャクソンが抜てきされました。
「主役を演じたジャファーの配役が効いているんですよ。ジャクソン5のメンバーで、マイケルの兄であるジャーメイン・ジャクソンの息子が演技、歌、ダンスのほとんどを実際にやっているからこその納得感。これまで世界中でモノマネし倒されてきたマイケルですが、ジャファーが演じることによって単なるコスプレでは終わらない説得力もありました。
映画の後半は特に見どころが多くて、『ビリー・ジーン』、『ビート・イット』、『スリラー』といった名曲、ヒット曲が続くわけですが、どれも再現度が素晴らしい。マイケルが初めてムーンウォークを披露するシーンでのジャファーの頑張り具合は目を見張ります」
――「スリラー」のMV撮影シーンも、実際にマイケルが使用したストリートで行われたとか。
「そのシーンになると、やっぱり“キタ、キタ、キタ~っ!”ってテンションが上がるんですよ。映画館全体の高揚感が本当にすごい。何度も言いますが、素晴らしい再現度です。
あまりの素晴らしさに、実はこの間、早くも2回目を観に行ったくらいよかったですね。日比谷のTOHOシネマズさんには消灯もせず、音も小さめで上映する、赤ちゃん連れでも気兼ねなく楽しめる上映回(ベイビークラブシアター)があるので、娘を連れて行ってきて。マイケルの曲が流れるたびに小さいお子さんたちが手を叩いたりしている様子を見て、マイケルってすごいなと改めて思わされました」
YouTubeチャンネル「みのミュージック」――ご自身が運営するYouTubeチャンネル「みのミュージック」で公開中の【映画『マイケル』ネタバレ&解説レビュー】では、音楽・伝記映画としては攻め切れていないんじゃないかと、いち音楽ファン、映画ファンとしての注文も。
「マイケル・ジャクソンという光と陰の両面を持つスーパースターの音楽・伝記映画としては、ちょっと物足りない気がしたんですよ。もともとは『Michael/マイケル』は3時間半超えの超大作になるはずだったところ、諸般の事情でガッツリ削られたそうで。完全版を観れば陰の部分も描かれていたかもしれませんが、それにしても光の部分が強すぎるかなと思って。
というのも、僕がミュージシャンのバイオピックを語る上で比較しちゃうのが『アマデウス』(1984年)なんですね。(ヴォルフガング・アマデウス・)モーツァルトと(アントニオ・)サリエリ。映画の内容は史実とは違うものの、神に愛された天才と、その輝きを誰よりも深く理解できたがゆえに狂ってしまった秀才よる嫉妬の物語へと昇華したところがシネマ的というか、映画ならではの面白さで。実際にアメリカの有名レビューサイト上のスコアを見ても、オーディエンスの評価が95で批評家が39と、評価が乖離する映画ではあるんですけど、それも分からなくもないなと」
――法的な制約が発覚したことで、4時間にも及ぶと言われているファーストカット(初期編集版)から再編集・追加撮影を余儀なくされたようです。
「すでに続編の話題も聞こえていますから、僕が物足りなく思った部分は次の映画で描かれることを期待するとしまして――とはいえ、公開してわずか2ヵ月ほどで『ボヘミアン・ラプソディ』を抜き去るくらい世界的に大ヒットしているんだから、それでいいじゃない。もはや批評家の評価なんてどうでもいいじゃんって話ですよね。
とにかく、マイケル・ジャクソンをリアルタイムで追いかけていた世代には懐かしく、マイケルを知らない若い世代には“マイケル、ヤバくね?”って新鮮に思ってもらえる、最高に面白い映画。“『スリラー』のMVのマイケルよろしく、ポップコーン片手に気軽に楽しく観てください”と言いたいです。こうしたミュージシャンのバイオピックを観て、アーティストの新しいファンが増えてくれるといいですし、それまで知らなかった昔の楽曲を発見するきっかけになればいいと思います」
――今回は描かれていない、熱狂的なマイケルファンじゃなくとも気になるエピソードが山ほどある。
「ヴァン・ヘイレンとの共演とか、ポール・マッカートニーとの共演は、ロック好きの人も気になるでしょうし。キャプテンEOとか、ディズニー好きの人とも接点がある。ゲーム好きな人は(マイケルの主演映画『マイケル・ジャクソンズ ムーンウォーカー』とコラボした)セガサターンのゲームとか(笑)。
ほかにも、あらゆる角度でエピソードが満載なんですが、存在が巨大すぎるがゆえに取りこぼしが出てくるのは仕方がないところ。改めて、今後もう現れないであろう唯一無二のスーパースターだったんだなと思います。また、そういう映画では描かれない舞台裏やなんかを深掘りするっていうのも、音楽の一つの楽しみ方ですから、どんどん“掘って”ってほしいです」
――ファッションをはじめ、若い世代を中心に1990年代のリバイバルブームが続きます。映画「Michael/マイケル」で描かれた1987年以降のマイケル・ジャクソンの楽曲も彼らに響くのでは?
「めちゃくちゃ刺さるんじゃないですか。マイケルが、いわゆるニュージャックスウィングに傾倒していた(1991年に発売されたアルバム)『デンジャラス』とか、わりと最近の音楽にも通じますし。New Jeansなどを聴いている若い人たちにも耳馴染みのあるサウンドだと思いますね。映画をきっかけに、マイケルに限らず昔の音楽を掘っていただくと面白いんじゃないかなと」
明日公開のインタビュー【後編】では、みの自身のバックボーンや、今後の音楽界の展望などを聞く。
【プロフィール】
みの
動画クリエイター/音楽評論家/ミュージシャン/音楽プロデューサーと多岐にわたって活動。邦楽・洋楽を自在に横断する深い知識と独自の切り口で発信するYouTubeチャンネル「みのミュージック」は登録者約55万人を突破。難解になりがちな音楽評論を平易な語り口で紐解き、"音楽の楽しみ方そのもの"をアップデートするスタイルが支持され、テレビ・ラジオ出演、雑誌寄稿、音楽プロデュースまで活躍の場を広げている。Apple music 「Tokyo Highway Radio」ではDJを担当。2025年には三冊目となる著書「みののミュージック」(ビターズ)を刊行。動画クリエイターとしての映像表現力と評論家としての分析眼を掛け合わせ、 オンライン/オフラインを問わず多角的に音楽文化を発信中。2026年9月19日(土)・20日(日)岐阜で開催されるロックフェス「中津川 WILD WOOD 2026」に2年連続でMCとして出演。
YouTube「みのミュージック」
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