• #
  • トップ
  • グルメ
  • 彼女が女将になった理由(ワケ)。新橋サラリーマンの聖母「かず...

グルメ

テレ東プラス

2019.1.17

彼女が女将になった理由(ワケ)。新橋サラリーマンの聖母「かずみんや」のあったかおでん

kazuminya_20190117_00.jpg
サラリーマンの聖地・新橋。とりわけ、立ち飲み店が密集する「新橋駅前ビル」は飲ん兵衛にとって外せないエリアだ。そんな新橋駅前ビルに、小さいながらも客の耐えない人気店があると耳にした。人気の理由は、女将の笑顔。女将特製のおいしい料理に舌鼓を打ちながら、彼女が店を開いた理由を聞いてきた。

立ち飲みの聖地・新橋駅前ビルで見つけた人気店「かずみんや」

「新橋駅前ビル」。
立ち飲み好きでこの場所を知らないなら、もぐりと言われても仕方ない。新橋駅直通、北側の1号館と南側の2号館からなるこのビルには、店舗面積2~3坪の小さな酒屋がひしめき合っている。新橋で働くサラリーマンはもとより、乗り換えの途中に、はたまたここのためだけに訪れる人も。都会で働く大人たちの、止まり木的な存在なのだ。

kazuminya_20190117_01.jpg

kazuminya_20190117_02.jpg
ほとんどの会社が就業時間中のはずなのに、不思議なことに16時を過ぎると次々と店ののれんが上がり、ビル全体が活気づいてくる。2号館のドアを入ってそのまま真っすぐ進むと、小料理屋「かずみんや」の看板に突き当たった。
ドア越しに覗き込むや否や、女将の明るい笑顔と目が合う。口開けから間もないというのに、店の中は1杯も2杯もひっかけたサラリーマンたちで賑わっていた。

kazuminya_20190117_03.jpg
「どうも、いらっしゃい!」と、久しぶりに会う親戚のお姉さんのような親しさで招き入れてくれたのは、店主のかずみさんだ。右手には、ぐびりと飲んだ跡の伺えるビールジョッキ。「働いていると、喉が乾くでしょう」とまた笑顔。

kazuminya_20190117_04.jpg
じゃあこちらも、まずはビールと――手書きのメニュー表を眺めていると、常連客と思しき紳士が横からアシストを入れてくれる。
「この店はね、なに食べてもウマいんだ。全部女将の手作りだからね。なにが特別ってワケじゃないんだろうけど、味付けがいいんだよ、味が」
肉じゃが、ナポリタン、カレー、麻婆豆腐......なるほど、「家庭の人気者」勢揃いといったラインナップだ。聞けば、無化調、無添加にこだわっているというのだから、体にも優しそうだ。

kazuminya_20190117_05.jpg
カウンターではくつくつと、いい感じにおでんが染みている。これを見たらもらわないわけにはいかないだろう。

kazuminya_20190117_06.jpg
▲冬場のいちおしメニュー。「おでん盛り合わせ」500円

飴色になった大根は、だしの効いたしっかり味で酒のアテにもってこい。食べながら、やわらかく煮えた昆布が実は一番好きなネタかも、なんてことにはじめて気づく。

退職、そして離婚。OLから飲み屋の女将へ転身した理由

2017年4月にオープンして以来、客足は途絶えることなく常に賑わいに満ちている「かずみんや」。飲み会前の0次会として開店直後に来て、閉店前にふたたび来店して今度は3次会......なんて客も多いとか。そんな人気店を切り盛りするかずみさんだが、意外にも数年前までは飲食とはまったく関係のない仕事をしていたそうだ。

kazuminya_20190117_07.jpg
「物心ついたときからずーっと、自分のお店を持ちたいと思っていたんです」と、かずみさん。中学の弁論大会でもその夢を語っていたのだというのだから、筋金入りだ。就職、結婚、出産、そして離婚と人生を駆け抜けたが、「50歳までに店を持とう!」と決意を新たにし、職場を退職。目標の50歳を目前にした48歳にして、何もかも「リスタート」となったわけだ。

kazuminya_20190117_08.jpg
▲さっと出る1品もツウ好み。「いぶりがっこのクリームチーズ和え」450円

退職後は、新橋の人気とんかつ店「まるや」に入店し、1年半の修行の後、独立。まるやのオーナーのあと押しもあり、新橋で開店するに至ったそうだ。
「そもそも店を持ちたいと思ったのは、母がきっかけ。いつか一緒にお店をやろうねって、子供の頃に言われたんです。それが刷り込みになってずーっと思い続けて......時間はかかったけど、50歳にして夢が叶いました。母は介護が必要になってしまったのでお店には立てていませんが、その分色んな方の力を借りてここまで来られました」
そう話すかずみさんを横切って、常連の男性がカウンターの中へ。「ママ、忙しそうだから。自分のジョッキを洗おうかなって」と腕まくり。店と客との垣根が低いのも、この店の魅力のようだ。

kazuminya_20190117_09.jpg
▲客が自ら厨房に入って洗い物をする姿も珍しくないそう

「出会いが私の原動力」

女将の1日は忙しい。朝の9時には家を出て仕入れと仕込み。16時に店をオープンしたら閉店の22時半まで働き通しだ。決して楽とはいえないスケジュールだが、それでも毎日毎晩、はじける笑顔で店に立ち続ける元気はどこから来るのだろう。

kazuminya_20190117_10.jpg
▲支払いはキャッシュオンスタイル。カウンターには常連用の名前入りクリップがずらり

「出会いが私の原動力なんです」と話すかずみさん。毎日訪れる客との出会い、そして客同士の出会いを見ていると、どんなに疲れていてもやる気が沸いてくるそうだ。
この日隣り合って飲んでいた男性客は、もともと知り合いではなく、かずみんやで出会った2人。「待ち合わせなんかしなくても、会いたくなったらこの店にフラリと来ればいいんです」と笑っていた。

「お客さん同士が仲良くなると、私も嬉しいんです。漠然と店を持ちたいって思ってきましたが、私がやりたかったのはこういうことなんだなって思います。みんなが出会って、いつでも集まれる、パイプ的な存在。もちろん、喋るのが好きじゃない人や、人見知りするお客さんだっています。でもそういう人も、みんなの笑い声を聞きながら一人で気持ちよく酔える、人の温かみに浸れるお店でいられたら嬉しいですね」

kazuminya_20190117_11.jpg
すべてを捨てて、飛び込んだ新しい世界。扉を開けるごとに新しい出会いが待っていたと目を輝かせるかずみさん。酒場とは酒と肴だけでなく、人をつなげる役割もあると彼女は話す。
新しい出会いを求めるならば、新橋駅前ビルのドアを開けて、「かずみんや」に足を踏み入れてみてはいかがだろう。女将の笑顔と、味の染みたおでんが、冷え切った心を温めてくれるはずだ。


【店舗情報】
かずみんや
東京都港区新橋2丁目21−1 新橋駅前ビル2号館B106-1
電話番号:050-3554-1790
営業時間:16:00~22:30
定休日:土曜日・日曜日・祝日
URL:http://www.kazuminya.com/index.html

この記事を共有する

関連記事

関連タグ

カテゴリ一覧