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疲れた人、集まれ。”私語厳禁”のカフェ「アール座読書館」で癒されてきた

グルメ

テレ東プラス

2019.3.15

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皆さんは「喫茶店」と聞いてどんな場所を想像するだろう。おしゃれなラテを飲みながら会話に花を咲かせる場所、なんてイメージがよぎった人もいるかもしれない。だが、それを覆す"私語厳禁"の喫茶店が、東京・高円寺にあるという。

昭和の名残を感じる商店街を、一本外れて脇道へ。年季の入った建物の階段を上ると、目当てのお店へとたどり着いた。名前は「アール座読書館」。

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扉を開けて驚いた。そこに広がるのは、お伽話の世界に紛れ込んだかのような異空間。店内はおしゃべり禁止であるのに加え、スタッフもお客に囁くようなウィスパーボイスで接しており、静けさが漂う。

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「アール座読書館のコンセプトは、自分の時間と向き合うこと。多忙な現代社会には、心をリセットできる時間はなかなかありません。でも、ここに来たら日常から距離を置いて、ホッと一息ついてほしい。お店に入る前とまったく別の世界を感じていただけたらと思っています」

そう語るのは、店主の渡邊太紀さん。今回は、都会の喧騒に疲れた人のオアシス「アール座読書館」を紹介しよう。

"拾いもの"の調度品に、水槽つきの席。トリップできる独自の空間


渡邊さんの言葉通り、見渡す限りの別世界。私語厳禁というルールもさることながら、アール座読書館の大きな魅力はその空間にある。椅子やテーブル、雑貨に至るまで、一点もののアンティーク品がずらりと並ぶ。

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「洋館をイメージして店内をデザインした」という渡邊さん。レトロな雰囲気を放つ調度品たちは、骨董品屋で出会ったものもあれば、粗大ゴミに出ていたものを譲ってもらったケースもあるとか。

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目に飛び込んできたのは、こうした水槽つきの席。椅子と向き合って配置されているけれど、どんな意図があるのだろう?

「私自身、水槽をぼーっと眺めるのが好きなんです。それだけであっという間に1時間くらい経ってしまう。何が良いかというと、熱帯魚ではなく水を見ています。水中って、現実とはまるで違う別世界じゃないですか。そこに吸い込まれる時間は、疲れた心を癒してくれると思うんです」

水槽も"トリップ"のための仕掛けなのだ。確かにじっと見つめていると、心がどこかに誘われるような気持ちになる。

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さらに歩いていると、腕に木の葉が当たる。店内の植物は、森をありのまま再現したかのように枝葉が自由に伸びている。自然を感じられるのは、このお店の特徴かもしれない。

「普通のお店なら、通路にせり出している枝葉はカットしますよね。けれど植物でしか癒せない部分が絶対にあると思うんです。だから、私たちは木々をありのままの状態にして、ふとした瞬間、お店を歩いているお客さまと触れ合うようにしています」

まるでファンタジー小説の図書館。心を揺らす1冊に出会える「本棚」


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そして、アール座読書館で圧倒的に目を惹くのが、この本棚だ。

ファンタジー映画を彷彿させる、古書を詰め込んだ大きな本棚。蔵書は約1000冊に及び、小説やエッセイ、絵本に画集、詩集、学術書などジャンルは問わない。

渡邊さんのおすすめの図書は?

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真っ先に手に取ったのは、まど・みちおの全詩集。「命や宇宙の大切さを感じさせてくれる随一の作家ですよ」と渡邊さん。

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続いては、幻の漫画家・岡田史子さんの「赤い蔓草」。ムンクをモデルにしたと言われる怪作で、絶版となった現在も根強いファンがいる。

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19世紀の哲学者・アランによる自己啓発本「幸福論」。哲学書ではない。もっと身近な幸福を感じる基準について、現代人もハッとさせられるような本質を突いている。

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極めつけはなんと、縄文土器の写真集。造形美を感じる弥生土器とはまた違う、荒々しくもエネルギッシュな縄文人の生き様が透けて見えるという。「人間は知らないものには興味を示すけど、一度学んだものはなかなか振り返りません。誰もが授業で教わったことのある縄文土器だけど、その魅力をもっと知ってもらえたら」と渡邊さん。

こだわったのは「五感を目覚めさせる味」。現実を忘れさせる一杯を


ここまでは空間に注目していたが、アール座読書館の哲学はメニューにもばっちり反映されている。

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こちらが、レトロな雰囲気を醸し出すメニュー表。

中を見てみると、レアな銘柄のコーヒーや、香りづけを重視した紅茶など、こだわりが感じられる。さらには中国茶など、あまり馴染みのない飲み物もある。

「どこのお店にもある定番のメニューはあまり置いていません。メニューを選ぶときも、迷ってしまうくらいがいい。大切にしているのは、飲んだ瞬間に五感が目覚めるようなメニューを用意すること。そこでも現実を忘れるようなサプライズを感じていただけたらと思っています」

ちなみに、フードはほとんど用意していない。オーダーできるのはクッキーの盛り合わせなど、ちょっとした茶菓子だけ。これも静かな空間を守るための配慮だ。

アール座読書館は「原点に立ち戻れる場所」


やがて取材も終わりの時間。30年前に拾ったという古時計が、開店の13時半を指した。そのまま一休みしようと、コーヒーとクッキーを注文して席に着く。

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テーブルにそっと置かれたコーヒーをすする。ブラジル・ブルボン(680円)という銘柄だ。バランスの良い苦味と酸味に、上品で奥ゆかしいアフターテイスト。ポットに淹れて提供されるため、マイペースに少しずつ飲めるのが嬉しい。

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コーヒーのお供にはクッキーの詰め合わせ(320円)を。

コーヒーとクッキーを、交互に少しずつ口に運ぶ。静寂によって鋭くなった味覚が、風味を感じ取る。美味しい。そうだった、贅沢ってこういうものだった。

アール座読書館では仕事に追われることもなければ、無理に背筋を伸ばすこともない。無心になることを許されたその場所は、多忙な現代人にとってオアシスになるはずだ。

【取材協力】
アール座読書館
住所:東京都杉並区高円寺南3-57-6 2F
営業時間:平日13:30~22:30(L.O 22:00)、土日祝12:00~22:30(L.O 22:00)
定休日:月曜定休(祝日の場合は営業。翌火曜休み)
http://r-books.jugem.jp/

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