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「やりたいことが見つかるまで働かなくていいかと思っていた」予約必須、メニューのない一軒家そば「ら すとらあだ」店主が”天職”と出会えた理由

グルメ

テレ東プラス

2019.9.2

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新宿からほど近い中野坂上は、山手通りと青梅街道が交差し、大型のビルが建ち並びます。しかし、1本通りを入れば、そこには閑静な住宅街が。今回紹介する「ら すとらあだ」は、そんな住宅街にあるお店です。

「ら すとらあだ」は、そば通のみならず、おいしいもの好きが通う名店です。今回は、予約困難と言われる同店にお邪魔して、そのこだわりを探ってみたいと思います!

住宅街の1軒家に、そば通たちが通うワケ


soba_20190902_02.jpg▲普通の民家に見えるが、ここが「ら すとらあだ」

今回は住所を頼りに店に向かいました。その場所にたどり着くと、目の前にあったのはごく普通の一軒家。看板は出ておらず、シャッターもしまっています。唯一、そこが「ら すとらあだ」であることを示すのは、てんとう虫が描かれた小さな明かりのみ。明かりの下にはごく普通のドアがあり、ここから店内に入ります。

soba_20190902_03.jpg▲店主の日比谷吉弘さん。プロの料理人にも日比谷さんのファンは多い

この店を切り盛りするのは、日比谷吉弘さん。そば教室に通ったことをきっかけに、27歳でそばの道に入り、いくつかの店で働いた後、ここを構えて8年目。ずっと、石臼で手挽きしたそば粉で、手打ちのそばをふるまい続けています。

メニューはなく、その日限りのおまかせのみという、ちょっと変わったそば屋。亀有「吟八亭 やざ和」、芝「案山子」、神田「眠庵」など、数々のそばの名店で経験を積んできた日比谷さんですが、そのスタイルはどの店とも違うのだそう。

「働かせていただいた店はどこも、私が今でも客として行きたいお店なんです。その店と同じものを作りたい、何かを真似したいというのではなくて、単純にアルバイトでお金を稼ぎに行っていた感じ。でも、働いて仕事を見させていただいて、自分がやるべきこと、やらなくていいことを見極めることができました」

数々の名店で働きながらも、真似をするのではなく、独自の解釈でそばを追求する日比谷さん。そばを食べ歩いている人が、ここにしかないそばを求めて通いつめる理由が見えてきましたね。

soba_20190902_04.jpg▲毎日、そばの仕込みだけで3時間〜4時間はかかるという。

日比谷さんが作る「ら すとらあだ」のおまかせでは、旬の料理を8皿ほど楽しんだ後、5〜7種類のそばが出てきます。その日の仕入れの状況や天候によって、料理やそばの内容は違いますが、後半にそばが出てくるところは同じ。なぜ、そのような形なのでしょうか。

「本音を言うと、先にそばを出したい気持ちもあります。ですが、お客様がくる時間はバラバラなことがあり、その都度、そばを用意すると時間がかかって、スムーズに出せないんです。後半なら、お客様もだいたい揃っていますし、一斉にいい状態でそばが出せますから」

石臼による手挽き、手打ちのそばは時間がかかり、数を用意するには相当な労力が必要になります。そのわりに満足の行く数は出せず、採算も取れない。そこで試行錯誤していくうちに、今のスタイルに辿り着いたのだそうです。

soba_20190902_05.jpg▲野菜を使った、シンプルな味わいの料理が多い

日本の文化を伝えたい、そう思い続けた店主が見つけた「天職」


soba_20190902_06.jpg▲おしぼりとして出される手ぬぐいは、日本酒の空きカップに

「日本文化を伝える仕事がずっとやりたかった」と話す日比谷さんは、そば屋が「天職」だと臆面もなく言いました。自分の職業が天職だと言い切れる人が、今の日本に何人いるでしょう。しかし、なぜそこまでハッキリと「天職」だと思うのでしょうか?

「日本文化を伝える仕事をやりたいとは、ずっと思っていたんです。だけど、漠然としすぎていたので、明日もその先もずっと続けられるくらい、集中してやりたいものが見つかるまでは、特にきちんと働かなくてもいいかなと思っていました。そんな時、そばに興味を持って、手打ちそばって面白そうだなと初めてみたら、すごく性に合っていたんです」

日比谷さんが働いていたそばの名店では、店主がより良い食材を求めて全国各地に行っていたそう。そんなところも、そば屋を仕事にしようと思った理由のひとつなのだとか。

soba_20190902_07.jpg▲全国各地のそばの実を、その特徴に合わせ手打ちそばに。塩で食べるのも乙

「食材探しに全国各地に行くことで、日本各地のことを知ることができる。それって一石二鳥だなと。こんなにやりたいことを好きにやって、食べていけるなんて天職だなと思っています。飲食業はあれこれ大変だという話を聞いていますが、こんなに自由にやらせてもらって、本当にいいのかなぁって(笑)」

soba_20190902_08.jpg▲日本酒が好きだという日比谷さん。店では日本酒も豊富に揃っている

店が休みの日には、全国各地の生産者や酒蔵を尋ねたり、フランス料理やイタリア料理などを食べ歩いたりすることもあるという日比谷さん。その全てが、店を続けていく刺激になっているのだそう。

今後は日本各地の料理人や生産者に加え、海外でも天ぷら、寿司、そば職人とコラボレーションをしていく予定もあるとか。さまざまな交流を通して、日本の文化を国内外に広めていきたいと、日比谷さんは力強く話していました。

soba_20190902_09.jpg▲料理人や生産者、日本酒の蔵元など、縁がある人から仕入れをするという

「海外に行くと、自分の国を愛している人にたくさん会いました。そこで、愛国心というか、自分が日本文化を愛していることに気づかされた気がします。海外の方が知らない、日本の素晴らしい文化はまだまだある。それを伝えられたらいいなと思いますね」

「ら すとらあだ」は、イタリア語で「La Strada」(道)。日比谷さんが切り拓く道は、どこへ続いて行くのか? 今後の展開が読めないそば屋です。自分の道を追求し続ける日比谷さんのそばを、一度体験してみてはいかがでしょうか。

【取材協力】
ら すとらあだ
住所:東京都中野区本町2-41-2
電話番号:03-6276-8364
定休日:日・月・火
※要予約。

※この情報は、2019年8月時点のものです。最新情報をご確認の上、お出かけください。

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