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売り切れ続出の”人生最高のチーズケーキ”、最高とは何かを「Mr. CHEESECAKE」田村さんに聞く

グルメ

テレ東プラス

2020.3.2

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「世界一じゃなく、あなたの人生最高に」。ネット限定で販売を行うMr. CHEESECAKEの「トーキョーチーズケーキ」が、「幻のチーズケーキ」と呼ばれるほどの人気となっている。

Mr. CHEESECAKEをプロデュースするのは、ミシュランガイドに名を連ねる名店でキャリアを重ね、美食エキスパートが薦めるグルメガイド『ゴ・エ・ミヨ ジャポン2018』で期待の若手シェフ賞を受賞している田村浩二さんだ。

3段階に変化する味わいと、新しくも懐かしい香り


Mr. CHEESECAKEは幼い頃から好きだったという"母のチーズケーキの記憶"をたどり、田村さんのシェフとしてのこだわりを徹底的に追求した至高のスイーツだ。

ネット注文したケーキは冷凍した状態で発送。冷凍、半冷凍、完全解凍と、温度によってその味わいは変化していく。これによってバニラ、レモン、トンカ豆の3つの香りが生み出す、懐かしくも新しい香りをじっくりと楽しめるというわけだ。さらに小麦粉を使わず、湯煎焼きをしたことによる独特の食感も、チーズケーキファンの間で好評だ。上はしっかりとベイク、下はレアチーズケーキの様な滑らかさを表現している。

この幻のチーズケーキはどのように生まれ、今後どのような展開を考えているのか。今回、田村さんに直接会って、話を聞くことができた。

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グルメガイドが認める"期待のシェフ"が、チーズケーキで勝負した理由


──幻と言われるほど人気となっているチーズケーキですが、なぜこのケーキが生まれたのかを教えてください。

田村:Mr. CHEESECAKEを始めたきっかけは、単純に僕自身がすごくチーズケーキが好きだったからです。子供の頃から誕生日のケーキといえば、僕の中ではチーズケーキでした。でも、大人になってから市販のケーキを食べても、自分の好みにハマるものがなかったんです。

だから、自分が食べたいケーキを作ってみた。それが凄く美味しくできたので、Instagramに載せたところ、「食べてみたい」という方が現れたんです。じゃあ、これを売ってみるかと始めたのが、Mr. CHEESECAKEの出発点ですね。その頃は保冷バッグに詰めて渡すというローカルなものでしたが、口コミでオーダーがどんどん増えたので、BASEというサイトで販売を始めました。

──サイトではチーズケーキのおいしい食べ方について紹介されていましたが。

田村:チーズケーキは冷凍に近いほど酸味を感じやすいため、すっきりした酸味が好きな人には、冷凍に近い状態か半解凍で食べていただくのがオススメです。逆に酸味が苦手な人は、完全解凍した状態で食べると甘みが感じやすくなります。

ひとつのチーズケーキに3つの味わい方があると、食べた人が別の人に伝えたくなる情報が増えます。それを食べた人に楽しんでいただけると、新たなコミュニケーションが生まれるので、作り手としてはそういうことも大切にしています。

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──グルメガイドで「期待のシェフ」として認められていた田村さんですが、なぜMr. CHEESECAKEを事業にしようと思われたのですか?

田村:レストランで働いていた頃、僕はシェフとして生きていくことに疑問を感じていたんです。シェフには基本的に休みが少なく、1日の労働時間も長いといわれています。当時はまだ独身でしたが、これから結婚して子供ができた時に、「今のライフスタイルが、自分にとって本当に幸せなのか?」と疑問を感じていたんです。

父がサラリーマン、母は専業主婦という家庭で育ったので、土日を家族で過ごすというのは、僕にとっては当たり前のこと。自分もそういう家庭で子供を育てたいと思うと、レストランというビジネスモデルは、自分のライフスタイルにマッチしていなかった。そこで、チーズケーキのビジネスが動き出したときに、先のことはわからないけど、これ一本に絞って挑戦することを決断しました。

──現場では長時間労働などの問題の改善に向けて、取り組みを行われているとお聞きしていますが。

田村:自分が昔やっていたような働き方はスタッフにはさせたくはないですし、決められた時間の中で働くというスタイルに、今後は業界も変わっていくと思います。その中で効率よく生産数を増やし、売り上げを伸ばしていくことを考えながら、ブランドを運営しているわけです。

また、長時間労働だけでなく、フードロスも業界としては問題です。コンビニ、スーパー、ほかの洋菓子店などもそうですが、僕はあんなに多く商品を展開する必要はないと思っています。商品ラインナップを厚くすると、売れ残ってしまうものが出てくる。「廃棄してしまうなら、何のために長い時間働いているんだ?」という疑問がでてきます。

賞味期限がある以上、廃棄が出るのは仕方のないことですが、一番美味しいという商品がひとつあれば、ロスを減らすことができます。もちろん季節限定の商品を用意したりすることもありますが、いつでも美味しいと思ってもらえるスタンダードなものを生み出すことが、何よりも大事だと考えています。

"世界一"に明確な定義がなく、曖昧なもの


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──レストランというビジネスモデルと、Mr. CHEESECAKEというビジネスモデルでは、どこが一番大きな違いでしたか?

田村:ただ美味しいチーズケーキを作るだけでなく、多くの人に知ってもらうために伝えることが重要です。InstagramやTwitterを使って、自ら情報を発信する。メディアに出るたびに、チーズケーキの魅力をしっかり伝える。そうして1年くらいが経つと、Mr. CHEESECAKEを取り巻く世界は大きく変わりました。

でも、僕にはマーケティングの知識がなかったので、その時々で自分ができることを、ひとつひとつ積み重ねていっただけなんです。結果として多くの人にMr. CHEESECAKEのことを知ってもらえたので、これはひとつのモデルケースになると思っています。

──昨年立ち上げた公式サイトは、Mr. CHEESECAKEの世界観がダイレクトに伝わってくる内容になっていると思います。

田村:最初にBASEで販売していた頃は、知り合いに撮影してもらった写真がトップページに1枚あるだけの簡素なものでした。一方で今のホームページは、見てくれた人にブランドイメージが伝わるような世界観を意識しています。

僕は無駄なものは省きたいと思うタイプなので、いわゆるインスタ映えのような華美なものより、シンプルかつミニマルでありつつも角が立っている、凛としたオーラがある世界観にしたかったんです。Mr. CHEESECAKEに対する想いを言語化し、デザイナーさんに伝え、完成するまでにはディスカッションを何度も重ねました。

Mr. CHEESECAKEはケーキを食べてもらうことのみをゴールにしていません。料理人は美味しい料理を作ることを目的にしがちですが、美味しい料理とはあくまで手段でしかなく、それを食べたお客さんが美味しいと思ってくれたり、幸せを感じてくれたり、料理を食べることで心が揺さぶられるような体験をしていただくことが、本来の目的だと僕は考えています。

それは料理からお菓子に変わっても同じで、感動で人生を変えられるくらいの"食の体験"が作りたくて、毎日チーズケーキを作っています。

──サイトには、「世界一じゃなく、あなたの人生最高に」というキャッチフレーズがありました。

田村:材料やこだわりの調理方法をアピールしているサイトを見かけますが、それだけではブランドの世界観を説明するには不十分だと考えています。もちろんそういった情報も必要なことですが、ブランドとしてどうなりたいのかを伝えていくことも、同じぐらい大切だと思うんです。

料理人は自分の料理に自信があり、自分の料理が世界一だと考える人も少なく無いと思います。でも、世界一には明確な定義がなく、曖昧なものだと僕は考えています。

だから僕は、「世界一じゃなく、あなたの人生最高に」という思いを大切にしています。うちのサイトは取り扱い説明書というよりは短編小説。Mr. CHEESECAKEの世界観を分かってもらうための場所なんです。

世界から「トーキョーチーズケーキ」と呼ばれる存在に


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──Mr. CHEESECAKEは、長く愛される「トーキョーチーズケーキ」を目指しているわけですが、その理想形とはどのようなものなのでしょうか?

田村:「トーキョーチーズケーキ」とは何か?というよりは、そういった概念を作っていきたいという感じですね。バスクチーズケーキがまさにそんな感じで、現地ではバスクにあるチーズケーキを「バスクチーズケーキ」とは呼びません。日本でバスク風のチーズケーキのことを「バスクチーズケーキ」と呼ぶのと同じように、海外の人から「Mr. CHEESECAKEは、トーキョーチーズケーキというカテゴリーだよ」と言われるようになりたいですね。

最初にチーズケーキを梱包する箱を作った時から、「トーキョーチーズケーキ」とネームを入れているのは、世界を目指しているという想いがあったからです。なので、今現在は「トーキョーチーズケーキとは?」と聞かれると、Mr. CHEESECAKEと答えることになるんですけどね(笑)。バスク地方のローカルな名物料理が、日本で市民権を得たのと同じように、世界中の人が「トーキョーチーズケーキ」を知っている。それってすごいことだと思うんです。

──今後、業界はどのように変わっていくとお考えでしょうか?

田村:食というものは人間が生きる上で不可欠なものですが、それを時代にあわせて残していくことは本当に難しくなってきました。リアルの場でしか体験できないこと、みんなが同じように体験できることにニーズが二極化していく中で、体験という価値のどこに重きを置くかが論点になっています。

レストランも色々な問題から利用者が減っています。ただ、例えば宿泊施設として美味しい料理が食べられる場所があれば、旅好きな人が集まってくれるかもしれません。従来のビジネスモデルにひとつカテゴリーが増えると、そこに関わってくる人も増えていきます。ひとつのことのみで完結するのではなく、いくつかの要素がひとつの場所として成立する。複合的な施設として、そこで何ができるかの提案が必要になってくると思います。

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食の可能性を世界に広げていくという意味を込めて、Food Expanderという肩書きを名乗る田村さん。「世界一じゃなく、あなたの人生最高に」という思いとともに、これからも人生がポジティヴに変わるきっかけを、Mr. CHEESECAKEを通して提供していく。

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