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命懸けのギャンブル!空師の日常に迫る:運命の日~ニッポンの挑戦者たち~

ライフ

BSテレ東

2018.2.22

スポーツや芸術、ビジネスなど、様々な世界で新しいステージへ挑戦し続ける人たちがいる。
彼らは卓越した才能と努力で、自身の運命を切り開くことができるのか?
その"運命の日"までに密着取材した心が熱くなるドキュメンタリー「運命の日~ニッポンの挑戦者たち~」。
ナビゲーターを小泉孝太郎が務める。


●様々な危険が待ち受ける場所で木を伐採!


今回の主人公は、あまり一般には知られていない「空師」という職業の熊倉純一(44)。全国でわずか30人ほどしかいないと言われる空師の中でもトップクラスの腕を持つ熊倉は、今日も命を預ける道具である昇柱器と胴綱で仕事に臨む。昇柱器とは靴に取り付けるとがった爪のようなもの。胴綱とは腰につけるロープのことだ。


これらを身に付け、熊倉が行うのは木の伐採。それも、一般の伐採業者には依頼できない建物が近くにある困難な木の伐採だ。


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空師の発祥は江戸時代にさかのぼる。高い建物がない時代に、一番空に近い場所で作業を行っていたことがその名の由来だそう。


熊倉が依頼されるのは、線路脇やお寺など、一歩大木の倒し方を間違えば様々な危険が待ち受ける場所での作業だ。日本各地の巨木を伐採し、市場に卸して生計を立てている。かつては一本2,000万円の巨木を切り出したこともある。
今回熊倉は久しぶりに大物を見つけた。樹齢300年の大ケヤキだ。古い木なので間違いなく材質は良い。しかしどんな立派な木でも切ってみないと傷や腐りなどの影響でその価値が分からないという大博打でもある。


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今回はいったいいくらになるのか...一世一代の勝負が始まる。


大ケヤキに挑む前にまずは普段の熊倉の仕事を紹介しよう。仕事の依頼を受けて向かったのは、山深い埼玉県ときがわ町。家の裏の急斜面に杉の木が家を覆うように並んでいる。


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雨で地盤がゆるみ、木が家に倒れてくる危険もある。ミスが許されない仕事だ。
依頼主は地元で林業を営む松村至さん。長年木を扱っているプロもお手上げの今回の現場を熊倉に依頼してきた。


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熊倉が現場を見てすぐにその作業の難しさに気付く。本来なら斜面を山側に木が倒れるよう伐倒すれば良いのだが、今回山側には道路が通っており、電線もあるので、それはできない。倒すとしたら横方向に倒すしかないのだ。ところが木の枝は全て下側、つまり家のある側にだけ伸びている。木は枝が伸びている方向に行きたがっており、「それを横に倒すのは難しい」と熊倉は語る。


昇柱器と胴綱であっという間に地上15mまで登ると、取り出したのはチェーンソーではなく、ワイヤーロープ。
これこそが熊倉の秘策だった。


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ワイヤ-で伐採する木を斜面の切り株にくくりつけ、家側に滑り落ちることを防ぐのだ。


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果たして計画通りうまくいくのだろうか。慎重にチェーンソーを使い、経験を頼りに木を切っていく熊倉。
そして、木は狙い通り横に倒れた。まずは順調な滑り出しだった。


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ところが次の木にチェーンソーを入れた途端、熊倉はある異変に気が付いた。
木の内部が腐敗していたため、中で亀裂が生じたのだ。


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熊倉は撮影スタッフに逃げるよう指示。その鬼気迫る声からスタッフも急いで退避した。そしてその時、突然木は熊倉の方へ倒れてきたのだ!


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間一髪で頭への直撃は免れたものの、非常に危険な状態であったことに変わりない。
空師とは日々このような命の危険にさらされている仕事なのだ。しかし今まで幸いにも大きな事故に遭ったことはないという。それはもしかしたら、いつも持ち歩いている各地の37個ものお守りのお蔭なのかもしれない。


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今回熊倉が木を横に倒したのには理由があった。もちろん家を守るためもあるが、木を傷つけないためでもあったのだ。傷が少ないほど木材としての商品価値が上がる。


いかに傷つけずに木を切るか、というのも空師の腕の見せ所だ。2日で15本の杉の木を伐採した熊倉。売れると思った木は依頼主から買い取り、材木市場に出すこともある。「木に食べさせてもらっている」と話す熊倉はいつも心の中で「今までお疲れ様でした、大事に使わせていただきます」と木に感謝している。


●札付きの不良から空師に転身!


1973年荒川区生まれ。中学生の頃には地元では知らぬ者がいないほどの札付きの不良に。たまたま友人に連れられて行ったアルバイト先で出会ったのが、全国で指折りの実力を持つ空師・菊池政雄だった。
空師とは依頼主から木を買い取り、うまく切りだして、材木屋や市場に売る仕事だと説明される。
木一本が70~80万円で売れると聞き、一獲千金を夢見て、熊倉は菊池さんに弟子入りすることを決めたのだった。初めて一人で現場を任されたのは18歳の頃。前の晩は怖くて眠れなかったという。そんな熊倉には忘れられない師匠の言葉がある。「できるかどうかなんて知らねえよ。やるしかねえんだよ。仕事を受けたんだからやるしかねえだろ」その言葉に覚悟を決めた熊倉は、任された初仕事をやり切った。仕事を終えた熊倉に依頼主は温かい声をかけ、その仕事ぶりをほめてくれたそうだ。


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28歳まで修業を積み、独立。独立から16年、今では日本屈指の空師となった。今も休みの日には道具の手入れを欠かさない。自分の命を預ける道具は自分で管理する、それが熊倉の哲学だ。弟子を持つようになった熊倉だが、初心を忘れないために、遺品のチェーンソーを使用。残念ながら、12年前に師匠の菊池は他界してしまったが、遺品のチェーンソーを使うことで親方の力も受け継ぐことができ、見守ってくれているようだと、熊倉は話す。


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大木の情報をいつも追っている熊倉のもとに新たな依頼が届いた。樹齢150年の大ケヤキの伐採だ。かつて防風林として植えられたが、今では落ち葉も多く、周りの駐車場に枝が落ちては危険なので切ることになった。6mのサイズで売ることができれば、相当な金額を手にすることができる。


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しかし木が生えているのは狭い裏庭。どうやって6mの木を傷つけずに切り出せるというのか。熊倉には空師ならではの秘策があった。使うのはクレーン車。通常は下から伐採するが、今回のように住宅が近くにある場合は上から順に切っていき、クレーン車で吊り上げてから降ろすという手法があるのだ。地上25mからワイヤーを木にくくり、伐採開始。


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上部の枝を全てはらった後はいよいよ仕上げの根元の伐採だ。材木の長さを出すために地面すれすれのところで、水平に切れるかが空師の腕の見せどころ。しかし切り終わると、仕事にはミスのなかった熊倉はどこか浮かない顔をしている。一体どうしたのだろうか。

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実は立派に見えるが、内部が一部腐り始めていたのだ。持ち主から50万円で買い取ったが、市場では75万円の値しかつかなかった。予想を大幅に下回る儲けにしかならなかったのだ。見込んだ木も、切ってみるまでは本当の価値はわからない...正にギャンブルだ。


次回はいよいよ熊倉運命の日! 念願だった樹齢300年の巨木と出会い、100万円で買い取った熊倉。果たしていくらの値がつくのか? 勝負師熊倉、今回の勝負には勝てるのか?!


気になる結果は2/25(日)の「運命の日~ニッポンの挑戦者たち」でチェック!


番組名:「運命の日~ニッポンの挑戦者たち」
BSジャパン
放送日時:毎週日曜 夜10時
ナビゲーター:小泉孝太郎
放送局:BSジャパン(BS 7ch)
番組ホームページ:https://www.bs-tvtokyo.co.jp/official/unmeinohi

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