主治医が見つかる診療所レギュラー医師に健康相談!~脳神経外科・上山博康先生〜

10年以上愛されて続けてきた知的エンターテイメントバラエティ「主治医が見つかる診療所」。この番組では、毎回現役で活躍中の医師たちが出演し、医療に関するさまざまな情報を分かりやすく解説してくださいます。
「読むテレ東」では、番組レギュラー医師陣に、読者から寄せられた健康相談をするコーナー「主治医の小部屋」がスタート。
今回は、脳神経外科医の上山博康先生に、読者からの健康のお悩みについて質問しました。
ということで......、上山先生、教えてください!

Q:先日、仕事関係者が突然倒れるという「てんかん」の発作をはじめて見て驚きました。発作が落ち着き、本人は何事もなかったかのように、自分が倒れた記憶がないといいます。大事な取引先の方なので、これを機にてんかんについて学びたいと考えています。てんかんとは、どんなものなのでしょうか?
上山先生:てんかんというのは、初発が思春期の場合が多いのですが、先天性の脳の病気です。脳梗塞や脳腫瘍によって痙攣が起こる場合、これらの病名は脳梗塞や脳腫瘍となり、症状としててんかんの発作が起こります。そうではなく、脳の病気が見つからなくて起こる痙攣発作をてんかんといいます。
残念ながら治療法は今のところ、発作を予防する薬を服用することしかありません。ひと言で説明できるような簡単な病気ではないんですよ。てんかんの人は医師の許可がなければ運転することができません。就業時にも制約が出てしまいます。それではどうすればいいか......。突破口なんて見つからないよね。きれいごとではない世界なんです。僕はこれまで、てんかんに限らず、先天性の障がいを持つ患者さんをたくさん診てきました。だから、規則でぎゅうぎゅうに締め付けるような今の社会の在り方に、どうしてもやるせなさや疑問を感じてしまうんですよね......。
Q:数年前から気がつけば、現在60代の母の顔が震えています。はじめはあまり気にならなかったのですが、最近とても気になるようになりました。これは、何の病気なのでしょうか?
上山先生:これは「本態性振戦」というもので、加齢によってなるものです。パーキンソン病といわれるものも同じですが、手足を動かす神経である脳の錐体路の障がいです。例えるならば、ブレーキとアクセルがありますよね。ブレーキがダメになって、アクセルだけが表に出ると、そういう不具合が体に出てくるようになります。
現在はオートマチック車が主ですが、マニュアル車の場合、クラッチとアクセルをつなぐとき、うまくできないとガクガクガクってなるでしょ? それと同じです。年をとると、動きが円滑にできなくなるというだけで、特別異常なものではありません。本態性振戦は脳の障がいだといいましたが、老眼だって、いわば目の障がいなんですよ。ほかにも、年をとると味覚障害が出て、味の濃いものを食べたくなる場合がありますよね。高齢者のほうが熱中症になりやすくなることも同様に、年をとることで熱を感じるセンサーが鈍くなるから起こるのです。

―― 本態性振戦は女性に多いのでしょうか?
上山先生:確かに昔は女性に多いといわれていたけれど、それはおそらく女性の方が長生きするからではないかと思います。ただし最近は、女性も社会に出て仕事を持ったり、飲酒や喫煙をしたりするようになりましたから、この先は分かりませんよね。これまでの時代は、飲酒や喫煙をする率が高い男性は、加齢が進む前に肺がんや肝臓がんなどの疾患で亡くなるケースが多かったんですね。ですから、単純に本態性振戦の症状が出る年まで、男性は長く生きることができなかったということなのかもしれません。
Q:最後に、上山先生が思う「名医」とはどんな存在なのでしょうか?
上山先生: 昔、学校で勉強ができない人は残されたし、学習塾に行っていたでしょ。今は進学塾もあると思うけれど。だから僕は、病院は「健康できそこない」のための塾だと思っているんです。その塾が、できの悪い人を看ないって言ったら、病院の役割は果たせません。みんながみんな、この番組の南雲先生や秋津先生みたいに健康管理できているのであれば、医者なんて必要ないでしょ。
病気の原因の3分の2は生活習慣です。だけど、そうじゃない部分もある。残りは運です。だからね、そこに「名医」と呼ばれる人の存在があるんです。
近年もっとも増えている大腸がんを例に話しましょう。がんにはステージがありますが、ステージ1の5年生存率は90%、ステージ4の生存率は10%です。つまり、生存率が高いはずのステージ1でも1割が助からず、生存率が低いステージ4でも、1割が助かっているのです。ここに、名医の存在があるんですよ。
だから、患者を助けられるような名医となれるように、医者は命がけで努力しないといけない。もともと才能のある人が、夜も寝ずに命がけでやっているのに、そもそも才能のない人が、夜にダラダラ飲んで遊んでいたら、命がけでやっている人の域に達するわけがないのです。あ、話が逸れちゃいましたね(笑)。病気のことになると、どうしてもシリアスな回答になってしまうんですよ。

上山先生流のユーモアを挟みながら、病気のことだけでなく、それにまつわる社会の在り方や、医師や病院の役割など、深く熱いお話を聞くことができました。上山先生ありがとうございました!
今回お話を聞いた上山先生も出演する「主治医が見つかる診療所」は、毎週木曜夜7時58分から放送中です。今後も、番組レギュラー医師への健康相談コーナー「主治医の小部屋」はまだまだ続きます。次回放送をお楽しみに!

番組名:「主治医が見つかる診療所」
放送日時:テレビ東京系 毎週木曜夜7時58分〜
司会:草野仁、東野幸治
アシスタント:森本智子(テレビ東京アナウンサー)
番組主治医:秋津壽男(循環器内科)、岡部正(内分泌科)、上山博康(脳神経外科)、丁宗鐵(漢方)、中山久德(内科・リウマチ科)、南雲吉則(乳腺外科・形成外科)、姫野友美(心療内科)、森一博(消化器内科)
番組ホームページ:http://www.tv-tokyo.co.jp/shujii/
