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循環器内科医・秋津壽男先生が語る!「スーパーインフルエンザはいつ来てもおかしくない」~「主治医が見つかる診療所」レギュラー医師に健康相談!~

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テレ東

2018.3.2 主治医が見つかる診療所

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医師や病院の選び方のコツ、無理なくできる健康法など、医療に関するさまざまな疑問に答える、知的エンターテイメントバラエティ「主治医が見つかる診療所」。現役で活躍中の医師たちによるわかりやすい解説が人気となり、長年愛されてきました。


ということで、同番組のレギュラー医師に、読者から寄せられた健康情報についてお聞きする今回の「主治医の小部屋」では、循環器内科医の秋津壽男先生に質問をぶつけてみました!


Q:今年は「インフルエンザの患者数が過去最多」というニュースをよく耳にしました。やはりワクチン接種が大事なのでしょうか? こんなに流行ると新型インフルエンザも気になります。


「今期は早くからインフルエンザの患者数が増え始め、何週かにわたり過去最多を更新していましたね。流行した背景にはさまざまな要因が考えられますが、ここでは患者数が増えた理由を3つ挙げてみましょう。


まず1つ目は、ワクチンの供給量の問題。ワクチンは毎年4月から7〜8月頃にかけて製造され、厚生労働省のチェックを受けて供給されるのですが、今年度は製造途中でワクチンに使うウイルス株を変更したことなどで、約3分の1のワクチンが使用できなくなりました。全体流通量が3分の2になったわけですが、現場の感覚としてはもっと少なくて、例年の3分の1程度という印象ですね。昨年末に在庫がなくて接種の時期が遅れたのもその影響です。


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2つ目は、インフルエンザウイルスは本来、毎年変わるということ。人が感染するインフルエンザウイルスのうち、変異が少ないB型に対し、A型はマイナーチェンジを繰り返すバリエーション豊富なウイルスです。はしかのように一度発症すると一生免疫が持続する感染症とは違い、翌年もかかることがあるのはそのためなのです。


しかも、あるときそれまでとはまったく異なるメジャー級の変化が起こることがあります。これまでにも、ソ連かぜ、香港かぜ、スペインかぜなど、A型のインフルエンザが世界的に大流行しましたが、こうした大変異が大体10~20年周期でやってくる。これがいわゆる新型インフルエンザというものです。2009年に発生した新型インフルエンザが記憶に新しいですが、スーパーインフルエンザはいつ起きてもおかしくない時期といってもいいかもしれません。


今期のインフルエンザはそこまで変異したものではありませんが、昨年とちょっと違うタイプのウイルスがマイナーチェンジしたことと、ワクチン不足とが相まって、流行に繋がりました。


3つ目は、あまり指摘されていませんが、インフルエンザの診断が検査キットを使って迅速に行なえるようになったことでしょう。以前は、突然、高熱を伴う全身症状が現れる風邪をインフルエンザとしていた頃もあったのですが、インフルエンザ治療薬のタミフルができたことで、インフルエンザかどうかの判断をする必要が生じたわけです。


今年の場合は、感染を大々的に扱った健康情報によって受診する人が増えたのも一因だと思いますよ。言い換えれば、それまでグレーゾーンにいた患者さんをあぶり出したともいえますね(笑)」(秋津先生、以下同)


―― ワクチン接種はどのくらい有効なのですか?


「ワクチンはそのシーズンの流行を予測して、A型株2種類(Aソ連型とA香港型)とB型株2種類(山形系統株とビクトリア系統株)のそれぞれを培養してつくられます。ワクチンの有効性は個人差があって、免疫ができるのが1回の接種で6〜8割、2回の接種で8〜9割。予防接種をすれば絶対にかからないというわけではありませんが、高齢者、体力のない人、基礎疾患(慢性心疾患、慢性呼吸器疾患、糖尿病など)がある人は、インフルエンザにかかると重篤化や肺炎などの合併症が現れることがあって、それを防ぐためにもワクチン接種は大切なんですね」


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―― インフルエンザにかかってしまったら?


「基本は"休んで、食べて、よく寝る"こと。インフルエンザも風邪と同じで、二次性の合併症がなければおよそ1週間で治る病気です。違いはインフルエンザが急な高熱、悪寒、関節痛などの全身症状を伴う急性疾患(流行性感冒)なのに対して、風邪は咳、喉の痛み、鼻水など上気道を中心とした炎症症状が徐々に現れる感染症だということ。また、インフルエンザには特効薬(タミフルなど)がありますが、風邪は対症療法が主になります。かかってしまったら、いずれも上気道の症状に注意して、加湿やマスクで鼻や喉を守ることが大切です。


それと、抗生物質(抗菌薬)は細菌感染の治療には欠かせませんが、ウイルス性の風邪には効きません。日本人は清潔好きで無菌神話があるため、患者さんから処方を求められることも多いのですが、抗生物質の誤った使い方は耐性菌を増やす(薬が効かなくなる)一因になります。厚労省でも風邪には投与しないことを推奨していて、このことは4月の診療報酬改定にも盛り込まれています。医療費の抑制にもつながりますので、正しい使い方を知っておきましょう」


Q:近年、糖質制限がブームになっていますが、過度な制限は心臓病や脳卒中のリスクを高めると聞きます。上手な糖質制限の方法はありますか?


「まず、糖質を制限すること自体は誤りではありません。日本人はもともと炭水化物を摂りすぎで、理想的な栄養素バランス(タンパク質・脂質・炭水化物)に対して、9割の人が必要以上に食べているというデータがあります。糖質制限は、"ちょっと太めの健康な人"にはおすすめですね。


ただし、ゼロにしようとするのはやりすぎです。炭水化物は筋肉や脳の活動のエネルギー源であるだけでなく、傷ついた血管を修復する大事な物質にも関係しているので、極端な制限は動脈硬化による血管性疾患(脳出血、心筋梗塞、大動脈瘤など)のリスクを高めます。実際に、激しいダイエットで糖質制限をした人をMRI検査すると、隠れ脳梗塞が発見される......なんていうことは珍しくないですね。目安としては、炭水化物を1日3食のうち1食を抜く、あるいは毎食30%少なくする程度の制限が適切です。それ以上に行なう場合には、トレーナーなどの指導を受けましょう。


では、断食はどうなのかというと、腸のリセットや味覚のリセットには有効ですが、断食後の回復期にかえって食べすぎてしまう危険があります。週に2〜3回1食だけ抜く、丸1日食べない日を作るくらいなら、断食後に味覚が敏感になり、少量でも食べ物の甘味やうま味が感じられるようになりますよ。スープやジュースなどで水分をしっかりと補うことも忘れずに」


身近にあふれる健康情報にも、正しい知識が必要なのだと痛感した「テレ東プラス」編集部でした。秋津先生、ありがとうございました。


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今回お話を伺った秋津先生も出演する「主治医が見つかる相談所」は、毎週木曜夜7時58分から放送中。健康にまつわるお役立ち情報が満載の次回もお楽しみに!

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主治医が見つかる診療所

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医者や病院の選び方、病気に応じた治療方法…医療に関する様々な疑問に、スタジオに集結した現役医師たちが一挙お答えします。新しいスタイルの“医者を選べる”知的エンターテイメントバラエティ番組です。

放送日時:テレビ東京系列 毎週木曜 夜7時58分~

出演者

司会:草野仁、東野幸治 アシスタント:森本智子(テレビ東京アナウンサー)

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