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「日本に住む」ことを選んだ外国人にスポットをあてる「ワタシが日本に住む理由」(毎週月曜夜9時~)。伝統文化や伝統工芸、四季折々の光景、和食の味、日本人の性格など、日本人が気づかないニッポンの魅力を、彼らの生活ぶりとあわせて紹介します。
7月23日(月)の放送に登場したのはアッスィ・アルガザリさん(26歳)。彼は命の危険を顧みず、内戦真っ只中の母国シリアから日本へやって来ました。
19歳で内戦が勃発...家族は離れ離れに
1992年生まれのアッスィさんは、子どもの頃「一休さん」など日本のアニメに触れていたとか。しかし、故郷のシリア・ダルアー圏は内戦で相当な被害を受けた場所で、家のすぐ近くでは爆弾の音が鳴り響き、生家の壁には銃弾が撃ち込まれることも。厳しい環境をくぐり抜けてきた家族たちは、現在世界中でバラバラになって暮らしていると話します。シリアにも父母と2人の兄が残っていますが、アッスィさんが帰国すると拘束される可能性があるそう。
シリアで内戦が勃発したのはアッスィさんが19歳だった2011年。テシュリーン大学で土木工学を専攻していたアッスィさんですが、政府当局から不当な拘束を受けるなど、内戦によって生活が一変。2014年には家族でサウジアラビアへ移住することになります。
戦火から逃れることはできたものの、ビザの問題があってサウジアラビアでは働き口が見つからず、その当時は「どうにもならない状態」だったとアッスィさんは振り返ります。
そんな中、後に妻となる夏江さんとインターネットを通じて出会い、アッスィさんは夏江さんの協力を得て2015年に初来日。北海道で夏江さんと暮らし始めました。
妻とともに困難を乗り越えて初来日
現在アッスィさんは、札幌で外国人向けゲストハウスのマネージャーとして働いています。札幌大通公園では焼きトウモロコシにかぶりつき、日本酒やイクラの味わいの虜になるなど、札幌での生活を満喫しているアッスィさん。
しかし、アッスィさんにとって日本に来ることは「家族と二度と会えないかもしれない」という大きな決断でもあったのです。観光ビザで日本へ渡ったとしても、滞在期間が過ぎてしまうとシリアへの強制送還という可能性が。また、サウジアラビアに戻る時は再入国するためのビザが必要ですが、そのビザが発給される保証はありません。シリアへ強制送還された場合は兵役に就くことになり、命を危険にさらすことになるのは明らかでした。夏江さんは数ヶ月間悩んだ末、結婚を前提にアッスィさんを日本へ呼ぼうと決意。アッスィさんもサウジアラビアの家族のもとを離れて日本で暮らすことを決断したのです。
番組の終盤でアッスィさんが「日本の好きな風景」として紹介してくれたのは、札幌市内を流れる豊平川。「僕の名前はシリアにある川の名前(アッスィ=意志の強い川)と同じ」と明かした彼は、豊平川を眺めながら祖国に思いをはせているようにも見えました。