気になる肝臓の再生力! 1か月禁酒したら...肝臓はどうなる?:主治医の小部屋

「主治医が見つかる診療所」(毎週木曜夜7時58分)は、第一線で活躍する医師たちが、皆さんが知りたい医療の疑問に優しく答える、知的エンターテイメントバラエティ。毎回、病院の選び方のコツや今すぐできる健康法などを、最新情報を交えて発信しています!
今回は、同番組のレギュラー医師・秋津壽男先生に、運動や飲酒に関連して現れる不調のサインについてお聞きしました。これが健康を見直すきっかけになるかも!?
Q:40代の会社員です。ジョギングを習慣にしていますが、いつもと変わらぬ運動量でも、急に呼吸が苦しく、胸に違和感を感じることがあります。また私の友人は、何もしていないのに、時折胸がちくちくとひきつるような痛みを感じるといいます。私も友人もしばらくすると治まるのですが、これらは何かの病気のサインでしょうか。
―― 呼吸が苦しくなったり、胸に違和感やチクチクした痛みを感じたりする場合は、すべて危険なサインと考えたほうがよいのでしょうか。
「まず、胸の痛みは再現性があるかどうかが重要になります。いつもは5km走っても平気なのに、ある日突然2kmくらいで急に痛くなり、ちょっと休んだり数日経つと症状が治まるのか...。あるいは不摂生が続いていて、ジョギングの後半になると苦しくなるのがパターン化してきたのか。それによって考え方が違ってきます。前者はあまりよくないサインです」
―― この相談者はどんな病気を心配しているのでしょう?
「恐らくは狭心症や心筋梗塞ですね。狭心症というのは全身に血液を送る血管とは別に、心臓そのものに栄養を送る血管が詰まったり細くなったりすることで心臓が苦しくなる病気です。例えば、上腕をぎゅっと締め付けたままにすると、手の先(末梢)のほうがだるく痛くなってきますよね。それと同じことが心臓そのものに起こるわけです。腕ならしばらく休めば元に戻りますが、心臓は休ませるわけにはいきません。結局全身に血液が行かなくなり、発作として倒れてしまうのが心筋梗塞です」
―― 相談者の場合も病気が疑われるのでしょうか。
「表現の仕方から考えると、その可能性は低いと思います。もちろん例外はありますが、全般的なイメージとしてチクチクとした痛みは狭心症らしくありません。狭心症などの場合は、"胸の全体がぐーっと締めつけられるような感じ"が典型的な訴え。"ここがキリキリする"というようなピンポイントな痛みの訴え方は、心臓以外の肺・肋骨・神経などに問題がある可能性が高くなります。
ただ、だからと言ってそのまま放置すべきではありません。今後もジョギングを続けるのであればなおさらです。この機会を天啓(天の知らせ)だと考え、一度しっかりと検査をしておきましょう。心臓そのものに余力があるのか、それとも危険な状態なのかを調べ、大丈夫なことがわかればさらに負荷をかけてトレーニングすればよいですし、異常が見つかれば、倒れる前に治せばよいのです」
―― 狭心症や心筋梗塞であれば、もっと胸が痛かったりするのですか。
「そう言いたいところですが、症状が軽い=生命に関わる病気ではないとは言い切れないんですね。軽い症状でも検査すると倒れる寸前だったり、痛みが強くても心臓の病気ではないということもあります。
参考までに、痛みが出るタイミングにも違いがあります。心臓の場合はジョギングのように心臓に負担がかかるときに痛くなることが多く、肺の場合は深呼吸すると痛みが増します。骨が原因の場合には姿勢を変えると痛みが出ます。自己判断せずに、まずは検査を受けましょう」
Q:会社の同僚が、アルコール性肝炎と診断されて入院しました。このようなアルコールを原因とした肝障害は、飲酒をやめれば完治するのでしょうか。早期に症状を自覚することは可能ですか?また最近ニュースなどでよく「劇症肝炎(肝細胞が急激に大量に壊れることによって、機能が低下する病気)」という病名を耳にしますが、アルコールが原因でもなるのでしょうか。
―― アルコールは肝機能への影響が大きいのですね。
「アルコールが肝臓にダメージを与えることはよく知られていますね。その状態を反映するのがGOT(AST)、GPT(ALT)、γ-GTPなどの検査値です。特にγ-GTPはアルコール摂取量と深い関係があります。あくまで目安ですが、ちょっと飲み過ぎで肝臓の数値が怪しい人(健康診断で肝機能要注意と指摘される人)でγ-GTPは80~90くらい。これがさらに高くなって100を超えるとアルコール性肝障害の可能性があるという言われ方をします。さすがに3桁はダメージが強く、肝臓が疲れてきているという数値なんですね。
一概には言えませんが、アルコール性肝炎はγ-GTPが300を超えたあたりからなり、禁酒が必要な状態になります。100はギリギリのラインだと思っておくといいですね。200や300ならばアルコールで肝臓はボロボロの状態。接待などで飲まざるをえない人も、少なくとも100を超えないように自制しましょう」
―― 肝臓の数値はアルコール以外でも上がるのでしょうか。
「GOT、GPT、γ-GTPは肝逸脱酵素といって、肝臓の新陳代謝(古い細胞を壊してつくり替えること)によって出たゴミの型を示しています。どんなに健康な人でパーフェクトな生活をしている人でも0になることはありません。これらの肝逸脱酵素はアルコール以外に、インフルエンザで2日ほど高熱が出た後や、ボクシングでボディーブローを受けた後の検査でも高くなります。ともに肝臓が壊れ、そのゴミが血液中にどんどん流れ出ていることに関係しています」
―― お酒をやめたら数値は元に戻りますか?
「実は、肝臓は身体の中で1、2を争うくらい再生力のある臓器なんです。例えば、高校生が事故にあって肝臓が半分潰れしまったとしましょう。肝機能は正常時の半分になるわけですが、若くて健康な人であれば、数年で元の大きさまで再生します。それくらい肝臓は再生力が強い。
そんな強い肝臓が壊れている状態で、お酒をやめて十分間に合うのが、先ほど話した100のライン。元気な肝臓なら2週間、多少数値が高くても余力がある人ならおよそ1か月で元に戻ります。心配な人はまず1か月断酒してみてください。その後の血液検査の結果から肝臓に余力があるか、チェックしておくとよいでしょう」
――「劇症肝炎」になることもありますか。
「アルコールがもとで劇症肝炎になることはまずありません。アルコール性肝障害は、アルコール性肝炎、肝硬変、肝臓がんというように悪化します。劇症肝炎の原因のほとんどはウイルス(B型肝炎)で、次に多いのが薬の副作用でなる薬剤性のものです。肝臓と相性が悪い薬を使い、肝機能が急激に悪くなると数値が3000とか1万に跳ね上がり、生死をさまよう状態になります。アルコールも薬もサプリメントも、処理しているのはすべて肝臓なのです。
不思議なことに、普通に安全に使われている薬でも、その人には合わないということがあります。そのとき原因究明の重要な手がかりになるのがお薬手帳。どんな処方薬をいつから飲み始めたのかのがわかる記録は、とても大切なものだということを合わせて知っておきましょう」
―― 秋津先生、ありがとうございました。
今回お話を伺った秋津先生も出演する「主治医が見つかる相談所」。明日11月8日(木)の放送は、「腸内細菌の世界的権威が石垣島で長寿の秘密を徹底調査!」「健康にいい間食食材No.1を決定!」そして「若返りプロジェクト」の3本立てでお届け。
腸内細菌の世界的権威が、石垣島・小浜島でご長寿さんを徹底調査。判明した3つの「ご"腸"寿食材」とは? また、ひと昔前はダイエットの敵・不健康の象徴と言われた「間食」が、今では体に良いことが明らかに。そこで、最新の栄養学を知るスペシャリスト達が「間食食材」1位を決定する。
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