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テレ東

2019.1.20

「豊かな人生はこころの中にある...」私財を投じ、ザンビアで人々を救う日本人医師

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世界で活躍する知られざる日本人を取材し、ナゼそこで働くのか、ナゼそこに住み続けるのかという理由を波瀾万丈な人生ドラマと共に紐解いていく「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」(毎週月曜夜9時)。海外での日本人の活躍に共感し、日本人であることに誇りが持てるドキュメントバラエティだ。

「テレ東プラス」では、毎回放送した感動ストーリーを紹介していく。今回注目するのは、ザンビアで活躍する日本人女性医師だ。

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ザンビアの国土は面積75万km2と日本の約2倍あるにも関わらず、人口は約1,600万人と東京都の人口より少し多いくらい。国民の7割が1日約100円で生活する貧困層で、彼らの多くが首都から離れた地方の農村などで暮らしている。果たしてそんなザンビアで私財を投げうってまで貧しい人たちの命を救う日本人女性医師とはどんな人物なのか?

彼女は首都から離れた秘境の地・ルアノ地区にいるという。しかしそこは、ザンビア人でも驚く程のへき地。首都から悪路を進む事5時間。ついに到着したのは昔ながらの集落だった。主に牧畜・農業を生業とする2,000人程の人が暮らす。そのほとんどが貧困層と呼ばれる人たちで、1日の生活費はほぼ0円、つまり自給自足に近い生活を送っている。

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そんな中、「日本人女性がいる」という場所に向かうと、たくさんの人だかりが...。その数ざっと100人! いったいこの建物では何が行われているのか?

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恐る恐る中に入ってみると、日本人女性らしき人物がいた。そう! この人こそザンビアのへき地で貧しい人々の命を救う日本人医師・山元香代子さん(取材時58歳)。

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しかしどう見ても、病院のような建物は見えない。ここで山元さんが行っているのは"巡回診療"。巡回診療とは、病院がない地域に医師自らが足を運び、医療活動を行うこと。首都から遠く離れたこのルアノ地区には病院が1軒もなく、最寄りの病院までは35kmも離れている。徒歩でおよそ6時間もかかるのだ。車を持っている人がいない中で、彼らにとって病院に通うことは不可能なこと。ルアノのために働く彼女に現地の人々は心から感謝し、「どんなに具合が悪くても、彼女に診てもらえば必ず良くなる」と語る。

山元さんを支えるのは10人の現地スタッフ。彼らにはほとんど医療経験がないが、山元さんの活動に感銘を受け、協力している。

そして彼女の診療にはある秘密があった。なんと、患者さんたちは診察代・薬代など、すべて無料で診察を受けているのだ! 山元さんの巡回診療も無給で行われていた。果たしてその運営は、どのように行われているのだろうか?

山元さんに話を聞いてみると、寄付金を集めてそれを資金にしているとのこと。しかも山元さん自身も毎年500万円もの寄付を行っているのだった。巡回診療の活動費は、年間約600~700万円。その内100~200万円は昔の知人などからの寄付、そして残りの500万円は山元さんの持ち出しで運営していたのだ。

しかし山元さんはどのようにしてそのお金を稼いでいるのだろうか? 実は山元さんは、1年の半分は日本の病院で働き、半分はザンビアで巡回診療を行うという生活をしていた。
ナゼ山元さんは、ザンビアで巡回診療を行うようになったのだろうか...。彼女の診察に密着してみると、そこには日本では考えられない症状の患者たちがいた。

戦後は日本でも大流行し、年間2万人近くが亡くなっていた赤痢。最近は、ほとんど感染することはないが、水道が通っていないこの地区では、生活用水は井戸水が中心。しかし、濁った井戸水には赤痢菌が多く、大人は免疫があって感染しないものの、子どもたちは抵抗力が弱く、赤痢にかかってしまうことが多いとのこと。

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そしてルアノ地区で最も感染率が高いのが、マラリア。マラリアとは、主にアフリカや東南アジアに生息する特別な蚊に刺されることによって発症する病気。高熱が出て、最悪は死に至る。山元さんいわく、最も多かった時は115人診察した内の78人がマラリアに感染していたという。

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長い一日が終わり、山元さんがザンビアの自宅に戻ると、そこにはテレビもなく、必要最低限の物のみが揃えられた質素な生活があった。そしてそこで山元さんは、お財布の中から彼女の活動の原動力となっている今は亡き大切な人からの手紙を見せてくれた。

山元さんは宮崎県生まれ。3人兄妹の真ん中で、小さい頃はよく風邪を引いていた。そんな時、いつも来てくれるのは往診のお医者さんだった。病気を治し、命を救うお医者さんの頼もしい姿に、いつしか山元さんは「自分も医者になりたい」と思うようになっていた。

しかし医学部の学費は高い。難関だが、卒業後9年間医師不足の場所で働けば学費が無料になるという自治医科大学を志望し、見事入学を果たした。卒業後は、16年間で4か所の国内のへき地で働いた。そして「田舎で大変な思いをしているけど皆さん一生懸命で、こうやって一生懸命生きている人が皆幸せになれるような世の中したい」と思うようになったという。

人生の大きな転機となったのは39歳の時。大学の恩師から「世界保健機関(WHO)で働いてみないか」との誘いを受けた時だった。山元さんは日本だけでなく、世界のへき地で人々を救っていくことを決意。そして自分が医師として働くのではなく、現地の医師や看護師を育てればさらに多くの命が救える、と考え、助言する医務官として世界各地を回るようになった。

そんな中、山元さんは、44歳の時にウガンダの小さな病院を訪れ、衝撃的な医療事故を目撃する。そこにはたった一人の医療スタッフ、衰弱して虫の息になっていた男の子とその母親がいた。聞けば数日前から下痢をしていて、昨晩病院に運び込まれたという。症状からして点滴治療が必須だったにも関わらず、点滴の針が刺さっておらず、ただぶら下げてあっただけだった。

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山元さんはすぐさま点滴を始めたものの、30分後にその男の子は脱水症状で亡くなってしまった。悲しむ母親をよそに、病院のスタッフは冗談を言ってケラケラ笑っていたという。
病院に医師や看護師が1人しかおらず、適切な医療処置がなされない...これがアフリカの医療現場の現実だった。

山元さんは「この子の死を決して無駄にはしない」と決意し、患者さんが安心できる病院を作ろうと決めたのだった。

次に派遣されたのが、現在山元さんが巡回診療を行っているザンビアだった。故郷の母は「(山元さんに)早く結婚してほしい!」そう願っていたが、父は「香代子が幸せだったらお父さんも幸せだよ」と母を説得し、背中を押してくれた。

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だが、ザンビアでの活動を始めるべく準備に奔走している山元さんに突然不幸が襲いかかる。自分を応援してくれている父が末期がんだとの知らせが入ったのだ。そんな状況にも関わらず、病床の父が自分にかけてくれた言葉を山元さんは涙ながらに振り返る。

亡くなる数時間前、父と話すことができた山元さんは、「香代子は日本一の医者だ」と言われ、それが恥ずかしくてたまらなかったという。「もしも日本一の医者だったら、もっと早くがんを発見していたのに...」そんな後悔の念が堪えないのだった。

山元さんは、最愛の父の言葉を実現させるべく、日本で必死に働き、暗礁に乗り上げていたザンビアでの医療活動の資金を捻出した。そして父の死から6年...55歳の時に、ようやくザンビアでの巡回診療を開始したのだ。

山元さんは、62歳になった今もなお巡回診療を続けている。そしてようやく、巡回診療の成果が見え始めてきたのだ。2011年には55%だったマラリアの陽性率が、2017年にはわずか14%にまで下がった。5歳未満の子どもに限れば62%から11%にまで減らすことができたのだ。

山元さんに「辞めたいと思ったことはなかったのか」たずねてみると、先程の手紙を見せながら、「そういう時はこの手紙を出して読んで、父がいつも近くで見てくれているだろうなと思うようにしている」と話してくれた。そこには「皆さんに愛され、皆さんを好きになって日々をお過ごしください、豊かな人生は自分自身のこころの中にあります。父より」と綴られていた。

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「たしかに物は持っていないし、困ることもありますけど、ありがたい人生を生きさせてもらっているなと本当に感謝しています」と山元さん。医師として、人としてどう生きていくかを示してくれた父の言葉を胸に、山元さんは地位・名誉・損得抜きでザンビア人と向き合い続けている。過酷な秘境で人生を捧げ、命を救い続ける日本人医師がここにいる。

※初回は、2014年2月10日(月)に放送。

そして今晩9時放送の「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」では、【知られざる日本人偉人伝説&ナゼか秘境で自給自足2HSP】をお届け。

約500万人が餓死...55年前、未曽有の大飢饉に見舞われたインドで全財産を投げ打って人々の命を救い、ガンジー以来の偉人と尊敬される"タツマル"の正体とは? 彼が成し遂げたある歴史的偉業に迫る。

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さらに、南米パラグアイの秘境で愛する家族と離れ一人で仙人のような自給自足生活を送るワケあり男性を発見! 上半身は常に裸の77歳。お金によって人生を狂わされた壮絶人生とは...?

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世界で活躍する知られざる日本人を紹介する新番組。ナゼ海外で働くのか?日本から遠く離れた土地で働く理由を波欄万丈な人生ドラマをまじえて紐解いていく!

放送日時:テレビ東京系列 毎週月曜 夜9時放送

出演者

【MC】ユースケ・サンタマリア、新井恵理那 【ゲスト】石黒賢、真木よう子、東貴博、渡部陽一、大場美奈(SKE48)

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