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ふざけることも救いになる?「坊主バンド」を結成したお坊さんに「僧侶の仕事」を聞いたら深すぎた

ライフ

テレ東プラス

2019.6.7

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お葬式でお経を唱えて、説法を聞かせてくれるお坊さん。悟りを開いた仙人のようなイメージもあるけれど、普段はなにをしているのか想像できない人は多いのでは?

人前に出ることなくストイックに生活しているのかと思いきや、都内には僧侶に接客してもらえる「VOWZ BAR(坊主バー)」なるお店が。しかも、彼らは「坊主バンド」で音楽活動をしており、ツイッターの人気者だというから、なにがなにやら......。

https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/gourmet/entry/2019/019599.html



今回は、そんな坊主バーを運営する藤岡さんに、僧侶のリアルなお仕事から、バンドをする理由までまとめて聞いてみました。

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僧侶のセミナーや専門学校も? 現役の僧侶のお仕事とは


――まずは僧侶の皆さんが普段、どんなお仕事をしているのか教えてください。

仕事の大半は、皆さんも知っている法事での読経と法話です。ただ、勉強に費やしている時間も長いですね。いろんな先生のお話を聞いたり、昔の経典を読んだり、セミナーに出るサラリーマンのように法話の勉強会にも参加します。自分の宗派に対する理解を深め、体現することは使命の一つですから。

――ふむふむ。特殊な職業というイメージの僧侶ですが、どうしたらなれるのでしょうか。

実は、僧侶になるまでの王道ルートみたいなものは割と整備されていて。多くの場合は、大学で広く仏教について勉強し、そこから修行に行くパターンが多いです。僧侶になるための専門学校もありますよ。中には全寮制の学校もあり、お寺での生活をしながら学べます。

――普通の就職活動と流れは大きく変わらないんですね。「一休さん」のイメージで、幼少期から住み込みで修行するのかと思っていました......。

それはかなり昔の話です(笑)。現代ではお寺に入れるのは、中卒以上の人だけに限られています。また、宗派によって修行への考え方が違うので一概には言えませんが、僧侶は食べ方から歩き方、経典の持ち方まで厳しく決まっていて、それを閉塞した環境で叩き込まれることもあります。日本では明治時代以降、僧侶も宗派を関係なく結婚するようになり、世襲制が主流になっていきました。自分の生まれたお寺の後継者になるケースも多いです。

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僧侶の役目は「色眼鏡を外すこと」


――坊主バーを開いたのは、一般の人に仏教を広めるためだと聞きました。現代人にとって、仏教の教えを知ることには、どんなメリットがありますか?

仏教の基本的な考え方は、真ん中の道と書いて「中道」。簡単に言うと、一つの物事に対して善悪や白黒を決めつけないことです。現代社会で生きていると、なにかを判断するときに「こうせねばならない」という色眼鏡を無意識のうちに作ってしまう。でも、ふと立ち止まって考えると、そうしなくても幸せになれることは数多くあります。私たちの役割は、その色眼鏡を外すこと。中道の考え方を身につけられると、生きるのがとても楽になります。

――確かに競争社会の中にいると、なにが大切なのか考える時間もない気がします。

上昇志向で前だけを見据えて頑張るのもいいですが、全員がそうしなきゃいけないわけではありません。一人ひとり目指すべきゴールは違います。なにかに惑わされて、自分にとって重要じゃない場所をゴールだと思い込んでいる可能性もあるわけです。自分のペースで、ゴールではなく毎日のプロセスを楽しむ生き方も幸せだと思いますよ。山登りも上頂上ばかり見ていたら辛いですが、景色を楽しんだり友達と会話したりしながら登ったら楽しいじゃないですか。

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人間には必ず、その人にしかできないなにかがあります。ネガティブな意味で捉えられることもある「唯我独尊」という言葉ですが、これは「あなたという人間は、誰とも変わることができない唯一無比の尊い存在。だからこそ自分にしかできない役目を探求することが大切で、他人と比べることは意味がない」という意味も含まれた、お釈迦さまの教えだと受け止めています。

時代は仏教を求めている? 「坊主バンド」結成の背景とツイッター人気のワケ


――皆さんは「坊主バンド」を結成されています。すごくカオスな試みだと思うんですが(笑)、なぜ始められたのでしょうか?

音楽がもともと好きで趣味でやっていたものを、坊さんとしてやり始めただけですね(笑)。でも、実は宗教と音楽って密接な関係があるんですよ。声明も音楽ですし、キリスト教もゴスペルや讃美歌のような教会音楽があります。音楽はたくさんの人の共通言語で、広がりやすいんです。なので、根っこにあるのは坊主バーと同じで、仏教の教えに触れてもらいたい思いです。

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――曲作りにおいて意識していることはありますか?

音楽は良いことにも悪いことにも使えてしまう危険なツールです。私たちは人を慰めたり導いたり癒したり、そんな音楽を届けたいと思っています。ただ、それを真面目にやっても説教くさくて誰もついてきませんから、基本的にはとにかく元気で楽しくやるだけです。アホになれたらいいですね(笑)。その中にもワンフレーズだけ真理を入れておいたりして、皆さんと一緒に楽しみながら、それがたまたま誰かの心を明るくできていればすごいことだと思います。

――いい意味で力を抜いて取り組まれているわけですね。

実は「お坊さんがバンドをやってふざけていること自体に救われた」なんて声もあるんですよ。私たちのほのぼのとした姿を見て、「あ、生きていていいんだ」みたいな(笑)。僧侶がみんな聖人君子だったら、きっと遠い世界に感じるし、ガチガチに生きなきゃいけないと思ってしまう。でも、意外と近い存在だとわかったら、「自分も救われるのかな?」「ちょっと話を聞いてみようかな?」と興味を持ってもらえるかもしれません。それが理想的ですよね。

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――皆さんはSNSにも力を入れている印象です。お店には8000人、坊主バンドには1万5000人ものフォロワーがついています。坊主バーを卒業された坊主(@bozu_108)さんに至っては、約100万人と桁違いのフォロワーが......。これだけのユーザーが僧侶の方をフォローする現象には、どんな理由があるのでしょうか。

今って価値観の転換期じゃないですか。一流大学に行って一流大学に入ったら安泰、という従来のセオリーが通用しなくなってきました。だから、自分の価値観をアップデートすることに悩んでいる人も多くて、昔から受け継がれてきた伝統的な考え方を無意識的に求めているんだと思います。「本当にちゃんとしたものって何だろう?」と。

また、現代はバブルや高度経済成長のような成長期ではなく後退期。登っていくことだけが全てじゃないと気づく人も増えています。五木寛之さんの本などにも書かれていますが、下り坂の時代なんですよ。前のめりで下り坂を降りていくと転んでしまうので、時に立ち止まり、"積極的に消却的な生き方"ができたらいいなと思います。

――さまざまな価値観が入り乱れている中で、伝統的なものに立ち返るのは一つの選択肢になりそうですね。最後に今後の展望を教えてください。

一つやってみたいのは、仏教漫画喫茶(笑)。現代の駆け込み寺ってある種、深夜の漫画喫茶だと思うんですよ。忙しくて終電を逃した人はもちろんのこと、家出少女やネカフェ難民など、多かれ少なかれ"ワケあり"の人の拠り所になっているじゃないですか。そこで救いになるような言葉に出会ってもらえたらいいなって。もちろん仏教にまつわる本や、瞑想のスペースも用意します。坊主バーにも共通して言えることですが、やはり悩める人のそばにいたい。これからも「救う」とか「教える」とかではなく、仏教を必要している人に少しでも教えをシェアできたら嬉しいですね。

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