• #
  • トップ
  • ライフ
  • 優しくできない自分が嫌...否定はNG!親の介護との正しい向...

優しくできない自分が嫌...否定はNG!親の介護との正しい向き合い方:主治医の小部屋

ライフ

テレ東

2019.6.13 主治医が見つかる診療所

shujii_kobeya_20190612_thum.jpg
「主治医が見つかる診療所」(毎週木曜夜7時58分から)は、医師や病院の選び方のコツや、無理なくできる健康法など、医療に関するさまざまな疑問に第一線で活躍する医師たちが答える知的エンターテイメントバラエティ。

WEBオリジナル企画「主治医の小部屋」に寄せられたのは、認知症になった家族との関わり方と、新生活開始で現れた体の変調についてのお悩みです。早速、同番組のレギュラー・姫野友美医師に相談してみましょう!

栄養状態を整えれば、認知機能が改善することも


Q:40代の主婦です。2年ほど前から70代後半の母に認知症の症状が出始めました。まだ身の回りのことは自分でできるのですが、食事や掃除などは近くに住む私が毎日様子を見に行っています。最近はこちらの都合に関係なく呼び出されたり、何度も同じことを聞かれたりでイライラが募り、母に怒鳴ってしまうことが増えました。その度に "なぜもっと優しくできないのだろう" と自己嫌悪に陥ります。母との上手な接し方、介護のストレス解消法など教えてください。

―― 認知症の症状があると、介護する側も大変なことが多くなりますね。

「認知症が疑われるときは身体的なケアをきちんとすることがとても大切。例えば、記憶力の低下や、無気力や無用心、抑うつ症状が見られるときは、その背後に甲状腺機能低下症や、貧血や鉄欠乏が潜んでいるケースもあります。

甲状腺機能低下症はホルモンの分泌不足が原因で起こりますが、ボーッとして受け答えが悪くなるといった症状が出ることも。また、鉄や亜鉛などのミネラル不足や、ビタミンB12や葉酸が欠乏すると脳の機能落ちることもあります。

さらに、蛋白質が不足すると記憶力が低下することも知られています。認知症を治療する医師の中には、まずはこうした身体的ケアをきちんとすることを前面に出している方も多いですね」

―― 栄養状態は、どれくらい認知機能に影響するのでしょうか。

「栄養状態を整えるだけで、認知機能が改善する高齢者は想像以上に多いですね。高齢になると噛む能力が落ちたり、唾液の分泌が低下してしまい、口が乾いて物が飲み込みにくくなります。さらに、胃酸の分泌が減って消化できない、腸の粘膜が弱ると、腸内環境も悪くなり栄養を吸収しにくい、という状態になります。本人はきちんと食事をしているつもりでも、消化・吸収する機能が落ちていて、しっかりと栄養がとれていないこともあります。

最近では、オーラルフレイルといって、口内環境が悪くなると身体的・精神的フレイル(加齢によって心や体が弱くなった状態)になりやすいことがわかってきました。面倒になって歯磨きをしなくなると、歯周病や虫歯になり、それが脳の機能を低下させることになります。ですから栄養だけでなく、口の中や入れ歯などのケアはとても大事なのです」

―― 高齢者は栄養バランスをより重視したほうがよいのでしょうか。

「そうですね。高齢になればなるほど、栄養が必要になります。若いときは菓子パン1つで勉強や運動ができますが、年を重ねるほど食べないと体の機能が保てなくなります。ですから、高齢者はしっかりと栄養素が入った食事を取ったほうがいいですね。

特に今は、カロリーは十分に取れているのに栄養素が足りていない高齢者の新型栄養失調が話題になっています。そこで、バランスよく栄養を摂取できているか...チェックシートを作って確認している医師もいます。私の患者さんの中にも、アミノ酸を処方しただけで頭がクリアになったり、貧血の治療をしたら受け答えがスムーズになった方が実際にいました」

―― 何度も同じことを聞かれることについてはどう対応すればいいでしょうか。

「同じことを何度も聞いたり話したりするのは加齢とともに起こることなので、『そうだよね』と相槌を打ちましょう。『その話、何回目だよ』『さっきも聞いたよ』というのは、"あなたは物忘れをしていますよ!"と指摘しているようなもの。高齢者もプライドがありますから、傷つけられたと思えばそれが怒りに変わり、手がつけられなくなることもあります。自分が非難されたことで気分を害し、深く傷つくことでますます退行しやすくなるので注意したほうがいいですね」

―― 相談者は親に優しくできない自分が嫌になっているようです。

「イライラしてしまうのは当然だと思いますよ。元気ではつらつとしていた親が、なぜこんな風になってしまったのか......という失望感と、身内だからこそ優しくしなければいけないという気持ちが交差して、そうできない自分に自責感を持ってしまう。仕事でする介護と家族の介護は、全く違いますから。

それでも、ある程度は客観的に仕事として割り切るくらいのスタンスを持ったほうがいいと思います。そして、何より一人で抱え込みすぎないこと。これはとても大切なことです。公的な制度もありますから、そういったものをフル活用し、たまには人に任せて、外出して好きな時間を持ち、リラックスしたりストレスを発散して戻ってくればいいのです。

拘束されているという感覚、親の介護のために『自分の人生はどうなってしまうのだろう...』という不安もあると思いますが、自分の人生とのバランスをとることは大切だと思います。そのためにも、いろいろな人の力を借りるようにしましょう」

https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/lifestyle/entry/2018/017215.html


shujii_kobeya_20190612_01.jpg

長期休暇はエネルギーを蓄える絶好のチャンス


Q:4月から新社会人として働き始めました。地方の営業所への配属、初めての一人暮らしなど環境の変化はありましたが、職場の雰囲気もよく、仕事にも慣れてきました。しかしゴールデンウィークに長期の休みを過ごして仕事に戻ると、急に気分がふさぎこみ、仕事に行く前になると心臓がバクバクしたり、緊張すると震えそうになることも......。これって5月病? それともうつ? 今の自分のメンタルはどんな状態なのでしょう?

―― ゴールデンウィークなどの長期休暇明けにこういった症状は起きやすいのでしょうか。

「人はとてもストレスフルになっているときは症状が出ません。交感神経をフルに緊張させて、自分の中に蓄えてきたいろいろな栄養素をエネルギーにすることで頑張れるからです。ところが、休みに入って"もう大丈夫"と安心した途端に症状が現れ始めます。この時、すでに自分の中のエネルギーは使い果たしていて、空っぽの状態。再びスタートするには、しっかりと休んで再びエネルギーを蓄えることが重要です。

特に相談者の場合は、初めての一人暮らしで食事のバランスも悪くなっているかもしれません。最初は張り切っていて、食生活にあまり気を配らなくても仕事を頑張れたと思うので、余計エネルギーダウンしている可能性があります。

実はゴールデンウィークなどの長期休暇はとてもラッキーな休みなんですよ。新生活で失った栄養素を補充し、エネルギーを蓄え直すことができる絶好のタイミング。これは社会人に限らず、学生、幼稚園に入った子どもも同じです。休みに遊び過ぎてさらにエネルギーを使ってしまうともったいないですね」

―― 相談者は職場に馴染めていて、特にストレスは感じていないようです。それでもエネルギーを使っているのでしょうか。

「例え馴染めていたとしても、もちろんエネルギーは使っています。人は全く違う環境に行った時は、その場に馴染もうと努力しますよね。ですから、ストレスを感じているかどうかは関係なく、環境に馴染むためにエネルギーを使っていると意識したほうがよいかもしれません。その分、エネルギーチャージをしなければなりません。栄養はもちろん、睡眠、リラクゼーション、あるいは好きなことをして楽しむなど、自分の中のエネルギーを蓄えることが大事です」

―― 心臓がバクバクするという症状も現れているようですが、いい対処法はありますか?

「副交感神経から交感神経への切り替わりがうまくいかず、過緊張になっているようですね。休暇で副交感神経が優位な状態から過剰に交感神経が優位になったことが原因かもしれません。無理せず、間に休みを入れたりしながら、徐々に慣らしていったほうがいいですね。睡眠をしっかりと取ることが重要なので、もしも睡眠の質が悪いようであれば、薬をもらって眠るのも一つの方法です。しっかり眠って規則正しい生活を心がけましょう。

休みの間に夜更かしたり、生活リズムが崩れるような生活を続けていると、出勤などで朝早く起きたとき、交感神経が急激に緊張しやすくなります。ゴールデンウィークのような長い休みは、前半は好きなように過ごしてもいいですが、後半は日常のリズムに合わせて生活を戻していくことが必要。旅行なども1日前には帰ってくるといった調整をすると、切り替えがスムーズにできます」

―― 姫野先生、ありがとうございました!


【姫野先生おすすめの一冊】
『認知症の取扱説明書 』平松類著(SBクリエイティブ 税抜き840円)
累計14万部突破の「医師が教える、老いた親など高齢者との上手な付き合い方」シリーズ最新刊。今回のテーマは認知症。本書でも、高齢者の困った行動に対して、『周囲はどうすればいいのか』『高齢者本人は何をすればいいのか』を優しく解説。どれも簡単で、すぐに実行に移せる方法です。

【姫野友美医師 プロフィール】
1954年 静岡県生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。
九州大学医学部付属病院心療内科、Mayo clinic Emergency Room (U.S.A)Visiting Clinician、都立広尾病院、東邦大学大橋病院麻酔科、木原病院、テーオーシービル診療所などを経て、2005年ひめのともみクリニック開設、2006年日本薬科大学漢方薬学科教授就任。著書に「女の取扱説明書」(SBクリエイティブ)、「心療内科に行く前に食事を変えなさい」(青春出版社)など。

※この記事は姫野友美医師の見解に基づいて作成したものです。

shujii_kobeya_20190612_02.jpg
今回お話を伺った姫野先生も出演する「主治医が見つかる診療所」。明日6月13日(木)の放送は、健康診断では見つからない危険な病気をテーマに、その発見法や予防法をご紹介! 血液検査で正常値でも、実は重大な問題が隠れている事も...。注目すべき3つの隠れ病、「隠れコレステロール」「隠れ肝臓病」「隠れ血糖異常」を特集します。

テレ東プラスでは、今後も健康にまつわるさまざまなお役立ち情報をお届けします!

関連タグ

一緒に読まれています!

この記事を共有する

番組情報INFORMATION

主治医が見つかる診療所

主治医が見つかる診療所

医者や病院の選び方、病気に応じた治療方法…医療に関する様々な疑問に、スタジオに集結した現役医師たちが一挙お答えします。新しいスタイルの“医者を選べる”知的エンターテイメントバラエティ番組です。

放送日時:テレビ東京系列 毎週木曜 夜7時58分

出演者

【司会】草野仁、東野幸治  【アシスタント】森本智子(テレビ東京アナウンサー) 

人気の記事POPULAR ARTICLE

    カテゴリ一覧