• #
  • トップ
  • ライフ
  • 『ざんねんないきもの事典』の監修者が動物園を徹底ガイド! 知...

『ざんねんないきもの事典』の監修者が動物園を徹底ガイド! 知っておきたい動物の面白ポイント

ライフ

テレ東プラス

2019.7.28

zannennaikimono_20190728_00.jpg
シリーズ累計300万部突破の『ざんねんないきもの事典』。小学生の人気投票(「小学生がえらぶ!"こどもの本"総選挙」)で第1位を獲得したほか、数多くのテレビ番組で取り上げられたり、アニメ化されるなど、幅広い世代から人気を集めている。その待望の最新作『おもしろい! 進化のふしぎ もっとざんねんないきもの事典 』が発売された。

本作の監修をつとめた動物学者の今泉忠明さんは、フィールドワークの経験が豊富で、上野動物園で最初の動物解説員を務めた経験を持つ。そこで今回は、動物園で動物たちをどのように観察すれば楽しめるのか、詳しく伺ってきた。

動物園は保育園のようなもの!? 子育てを見るのがオススメ


zannennaikimono_20190728_01.jpg画像素材:PIXTA

――今泉先生は44歳から4年間、上野動物園で第1号の動物解説員を務めていらっしゃいます。まず、動物園に行くときにオススメの時間帯を教えてください。

「エサやりの時間に行くと良いと思います。それ以外の時間帯は、退屈して寝ている動物が多いです。人間の相手が面倒で寝たフリをしているのもいますが(笑)。そんな動物たちでも、エサを食べるときは活発に動きます。施設によって違いますが、お客さんへのサービスも兼ねて午後2時ごろにエサやりをしていることが多いですね。ただ、動物の種類によって時間帯が違うので、事前に調べてまわるルートを検討するとよいのではないでしょうか」

――動物園をより楽しめる季節はありますか?

「季節としては春がいいと思います。子どもが生まれるところが多いので、子育てや親子の触れ合いを見ることができますよ。通常は新たに産まれた子どもの体調などを考慮して、生後2ヶ月ぐらい経って安定してから展示に出します」

――春に子どもがよく産まれるのは、なぜなのでしょうか?

「野生動物の習性として、そのようにインプットされているからです。気温が暖かく、食べ物が豊富な春に出産するわけですね。厳しい環境では子どもが生き残れません。交尾期は出産から逆算した秋や冬で、普通は飼育員が働きかけなくても、自然とその時期に交尾を行います」

zannennaikimono_20190728_02.jpg画像素材:PIXTA

――じっくり見ていて楽しい動物がいたら教えてください。

「人間に似ているオランウータンやニホンザルが良いと思います。やることが人間の子どもそっくりなので、見ていて飽きません。高いところに登ろうとしたり、ボロ切れを頭からかぶってずっと遊んでいたり。特に保育園と同じような感覚で、子どもを見ていると楽しいのがニホンザルですね」

――野生のニホンザルと、動物園のニホンザルに違いはあるのでしょうか?

「野生のニホンザルにはボスザルがいません。1日に1kmぐらい移動するので、威張っていると置いて行かれてしまうんです。動物園は住んでいる環境が狭く、塀で囲まれていてみんな逃げようがないから、強い奴が威張ります。でも、野生の場合は、威張っているヤツがいたとしても、みんな『フン』とどこかに行ってしまうんです。一応群れとして行動していますが、親子や兄弟の単位で別々に暮らしています」

zannennaikimono_20190728_03.jpg画像素材:PIXTA

――移動するときにはリーダーがいるのでしょうか?

「記憶力があり、経験豊富なおばあちゃんがリーダーです。オスは呑気というか、威張ってばかりなので、リーダーには向いてないですね。その点、メスは今の季節にどこに行けばいいのかを記憶しているので、『このおばあちゃんについて行けば、きっと美味しいものがある』と思われています。だから、自然とリーダーになるんです。動物園のボスザルはちょっと馬鹿にされているところもあって、寝ているときにメスやカラスから尻を突かれたりしていますよ(笑)」

パンダは寝相で楽しむ!? 母ネコに教わる子育て術とは?


zannennaikimono_20190728_04.jpg画像素材:PIXTA

――動物園で人気のある動物を教えてください。

「ライオン、トラ、オオカミなどが人気です。みんな強い動物に憧れますが、動物の強さや弱さを見るためには5~6頭ぐらいの群れで見た方がいいと思います。例えばオオカミを群れで展示しているのは、関東圏では多摩動物園だけです。ただ、何も知らないで行くと『犬がいるな』という印象で終わってしまうので、事前に本で勉強したり、解説員の人に教えてもらったりした方がいいと思います。特に、オオカミの場合は重心の移動や耳の動きなど、ちょっとした仕草が個体間の強さをあらわしていたりするので、本を読んでも分からないことも多く、ガイドしてもらった方が楽しめますね」

――かわいい動物のことも教えてください。例えば、パンダは?

「いつも寝ているので寝相を見てください(笑)。『起きていればラッキー』ぐらいに思っておいて、基本はどんな寝方をしているのかを見て楽しむことをオススメします。仰向け、うつ伏せ、足を壁に上げているとか、10種類ぐらい色々な寝方がありますから」

zannennaikimono_20190728_05.jpg画像素材:PIXTA

――よくペンギンが園内を歩いている動物園がありますが、どんなところを見ればいいのでしょうか?

「泳ぎ方を見ると良いかもしれませんね。後ろ足は使わずに翼で泳いでいるのがユニークです。それと、エサやりのタイミングがあったら、ぜひ口の中を覗いてください。口の中がトゲだらけでびっくりすると思いますよ」

――口の中のトゲにはどんな役割があるのですか?

「水中で口の中に入れた魚を逃さないためです。あとは、羽毛が生えかわる換羽の時期になると、羽がゴミのようにボロボロになっているので、ちょっとビックリするかもしれません。これはペンギンの羽毛が持つ防寒効果と防水効果を維持するためです。時期的には8月末くらいが多く、この時期にはペンギンは泳ぎません。全く泳いでいないペンギンがいたら、もしかすると羽が生えかわっているかもしれませんよ」

zannennaikimono_20190728_06.jpg画像素材:PIXTA

――ゾウも子どもたちに人気がありますよね。どこに注目するとよいのでしょうか?

「姉妹などの関係性が面白いので、2頭以上を飼っている動物園に行った方が良いと思います。ゾウは母系の社会なので、あまりオスは必要とされておらず、お母さんとお姉ちゃんと妹といった組み合わせが多いですね。小さい子を世話しながら、体を鼻でなでたりする姿が見られますよ。あとは、面白いところでは放尿シーンでしょうか。実は、飼育係は毎日ゾウのオシッコを集めて、尿中のホルモンを計っているんです。繁殖に適しているかどうかを見ているのですが、バケツをサッと入れると、その途端にゾウは(オシッコを)止めてしまいます。ああ見えて神経質なんですね。午前中にやっていることが多いので、見られたら面白いと思います」

zannennaikimono_20190728_07.jpg画像素材:PIXTA

――キリンはどんなところを見ればいいのでしょうか?

「歩き方に注目してください。キリンは右側の足を2本同時に前に出し、その後で左側の足を2本同時に前に出します。これは側対歩という歩き方で、犬や馬などとは異なります。その違いをぜひ実物で確認してほしいですね。ただ、キリンは神経質なため、常にお客さんの方を見張っていて、足や首が長いので怒らせると怪我をしやすいです。これは、ほかの動物にも言えますが、出来るだけ静かに見た方がいいと思います」

zannennaikimono_20190728_08.jpg画像素材:PIXTA

――今泉先生は「ねこの博物館」の館長も務めていらっしゃいますが、ネコの優れているところはどんなところですか?

「ネコが優れているのは子育てと教育です。というのも、ネコは自分の子どもにあれこれ言わないんです。最初に『これは食べ物だよ』ということと、獲物の仕留め方は教えますが、あとは見て学ばせます。子どもが自分を見ているだろうなと、何となく気にしているのが分かりますよ。その点、人間のお母さんはどうしても『勉強しなさい』とうるさく言ってしまいがちです。ネコの子育てを見習うのもいいのではないでしょうか(笑)」

本当は怖くないツキノワグマ


zannennaikimono_20190728_09.jpg
――今泉先生の動物学者としてのフィールドワークについて教えてください。

「月に2回ぐらい、隔週で富士山と奥多摩へ行っています。期間は1泊2日~2泊3日ぐらいですね。以前は西表島に3年ぐらい行っていたこともあって、ずーっと行きっぱなしだったので、『もしかして死んでいるのでは?』と心配されたこともありました(笑)」

――現地ではどんなことをしているのですか?

「動物たちがどの範囲で動いていて、何をどんな風に食べているのかを見たり、食べた植物を専門の先生に教えてもらったりしながら生態を調べています。基本的に春から秋にかけて行いますが、奥多摩には泊まるところがあるので冬場も行きます。冬は冬で楽しいんですよ。雪があるから動物の足跡が残るので、それをたどっていけば、必ず動物を見つけられます。また、ときには動物の親子の再会に遭遇することもあります。相手の匂いを嗅いだり、自分の匂いを嗅がせたりして、お互いを知ろうとしていますね。感動の再会だけではなく、ときには帰ってきたのに突き飛ばされて、群れを追い出されることもありますよ」

zannennaikimono_20190728_10.jpg画像素材:PIXTA

――話を伺っていると、なかなかのハードワークのようですが。

「大変ですよ。中でもキツかったのはカワウソの調査ですかね。カワウソは普段、川に住んでいるのですが、絶滅しそうになると海に出てきます。何が大変かというと、四国の海岸段丘が調査現場だったので、道路から海辺まで50mくらい(ビルの高さで15階〜20階)の高さがあるんですね。しかも、入り江がいくつもあるので、海岸に下りて調査したら、次の入り江に行くためにまた上にあがる。そしてまた下りる......ということをひたすら繰り返していました。体力的にかなり辛かったですね」

zannennaikimono_20190728_11.jpg画像素材:PIXTA

――現在もっとも気になっている動物についてお教えください。

「富士山や奥多摩に生息しているツキノワグマですね。人に見つかると撃たれてしまうので、コソコソ生きています。熊も大変ですよね。彼らは住む森がなくなったから人里に出てくるわけですが、みんなが見つけるとパニックになるので、撃たざるを得ない事情も分かります。ただ、本来はそんなに危険な動物ではないので、怖さが過剰に伝えられすぎているような感がありますね。例えば、アメリカではその辺に熊がいて、テントを張っていたらよく遭遇します。人間を襲わないし、人間が熊に害を与えることもありません。みんな熊は怖いという先入観があるから、山で熊に出会って叫んでしまいます。そうするとイタズラ心で近付いてきたり、熊の方もびっくりするんでしょうね」

【プロフィール】
今泉忠明
1944年東京都生まれ。東京水産大学(現 東京海洋大学)卒業。国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。文部省(現 文部科学省)の国際生物学事業計画(IBP)調査、環境庁(現 環境省)のイリオモテヤマネコの生態調査などに参加する。トウホクノウサギやニホンカワウソの生態、富士山の動物相、トガリネズミをはじめとする小形哺乳類の生態、行動などを調査している。上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長。

zannennaikimono_20190728_12.jpg
【取材協力】
株式会社 高橋書店
住所:東京都文京区音羽1-26-1
電話番号:03-3943-4525(代表)
https://www.takahashishoten.co.jp/

一緒に読まれています!

この記事を共有する

人気の記事POPULAR ARTICLE

    カテゴリ一覧