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毎日約76名が「孤独死」...。その現場で何が起きているのか――遺品整理人の女性が見たもの

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テレ東プラス

2019.10.3

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年間で約2万8千件にも及ぶという(※)、日本の"孤独死"。この数字は1日に換算すると、全国で約76名という驚くような数だ。

※民間の調査機関「ニッセイ基礎研究所」が算出したもの。「自宅で死亡し、死後2日以上経過」した状態を孤独死と定義している。

このような現場に日々赴き、遺品整理などを手掛けているのが、東京板橋区にある「遺品整理クリーンサービス」。その社員の一人、小島美羽さんが少しでも多くの人に知ってもらいたいと、現場の様子を再現したミニチュアがツイッターなどSNSで話題になっている。

今回は彼女に孤独死の現場で何が起きているか、話を聞いてみた。

遺体からの体液が染みついた布団


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小島さんが遺品整理に駆けつける現場は、すでに故人が移送された状態であるため、遺体に遭遇することはほぼない。しかし、「ここでお亡くなりになった」という痕跡は、しっかり残っている。

孤独死のケースとして多いのは50~60代の男性で、死後3ヶ月~6ヶ月が経過した頃のこと。害虫の増加や異臭により気づくのだという。

死後に時間が経過すると、遺体からは体液が漏れ出る。暑い夏の時期だと、腐敗はさらに進むとのこと。発見が遅れれば、体液は布団から床にまで浸透し、木造住宅では半年も経過すると、階下の天井にまで染み出てしまうこともあるようだ。

周辺には生きようとしていた痕跡が生々しく


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多くの中高年男性による孤独死で共通しているのは、何らかの持病を抱え、布団の上中心の生活を送っていること。布団の周辺――つまり手の届く範囲には、生活用品が散らばっていることが多い。

このミニチュアで再現されているのは、食べかけのコンビニ弁当、カップ酒、はずれ馬券、週刊誌など。生きようとしていた生前が忍ばれる。また、周囲とのコミュニティを断ち、独り身の寂しさを慰めるため、大量のエロ本が散乱していることも多いという。

風呂場での死は腐敗が進み、湯が茶褐色に


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このミニチュアで再現されているのは、これからお風呂に入ってリラックスしようと思っていた住人が、風呂場で亡くなった現場だ。いわゆる「ヒートショック」による死。真冬だったにもかかわらず、湯温42度であったため、死後一週間でこのような事態となった。

依頼人は娘さんで、母親に何度電話してもつながらなかったことを不信に思い、様子を見に来たところ、写真のような現場に遭遇したのだという。

壁に「ゴメン」。自殺の現場の特徴はすっきりと


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孤独死の原因には、自殺が占める割合が多いという。このミニチュア作品は、小島さんが体験したいくつかの現場の特長からコラージュして制作したもの。壁にビニールテープのようなもので貼られた「ゴメン」の文字が、何とも強烈な印象を放つ。

「自殺を考えている方の部屋は、本当に物がなくきれいに整頓されているという印象です。恐らく死を意識して、身辺を整理しているからなのだと思います。この作品では『ゴメン』という文字にさまざまな思いを巡らせてしまいますが、それ以外の場合にも、小さなSOSは出ているのではないかと思います。周辺の人たちとのコミュニケーションが何より大切であると痛感させられます」(小島さん)

死後、自分の体液で部屋を汚さないためだろうか。ロープで首を吊るその下に、ブルーシートが敷かれている。これから死にゆくというのに、その配慮が痛々しい。

初書籍『時が止まった部屋』が早くも話題に


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8月に発売された小島美羽さんの著書『時が止まった部屋』(原書房)は、8月20日~22日に開催された「第5回エンディング産業展」(東京ビッグサイト)でも販売され、多くの人が手に取っていた。

孤独死とは、生活弱者や自殺志願者が迎える特別な最期なのではない。住宅事情などから一人で暮らす人が多い時代。豊かに、幸せに暮らしている人の身にも起こり得る社会問題だ。このミニチュアが語りかける現状から、何かを学び、行動を起こすきっかけにしたい。

【プロフィール】
小島美羽
1992年埼玉県生まれ。2014年より遺品整理クリーンサービス(株式会社ToDo-Company)
に勤務し、遺品整理やゴミ屋敷の清掃、孤独死の特殊清掃に従事。孤独死の現場を再現したミニチュアを2016年から独学で制作し、メディアやSNSで話題に。2019年8月には、初書籍となる『時が止まった部屋』(原書房/1400円)が発売された。

【取材協力】
遺品整理クリーンサービス(株式会社ToDo-Company)
株式会社 原書房

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