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タワーマンションは水に弱い? 物件ごとの”防災能力”の違いを住宅診断のプロに聞いてみた

ライフ

テレ東プラス

2019.11.25

jutaku_20191125_00.jpg画像素材:PIXTA

東日本に記録的な被害をもたらした台風19号。武蔵小杉では一部のタワーマンションで停電が起きたことから、その防災力に注目が集まりました。

マンションの防災力には、建物ごとに違いがあるのでしょうか?今回は管理力を軸に厳選された中古マンションを紹介する「BORDER5」を運営し、さまざまな物件の住宅診断を手掛けてきた「さくら事務所」にお邪魔して、代表取締役社長の大西倫加さん、マンション管理組合のコンサルティング業務などを手掛ける土屋輝之さんに話を伺いました。

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防火管理者の存在に見るマンション住民の自衛能力


マンションの防災力を知るうえで、土屋さんがまず注目すべきと話していたのが、防火管理者の存在です。マンションにおける防火管理者は、消防計画を作成するほか、防災訓練や消防設備の点検などにおいて、住民の中から選出された責任者となる存在。一定規模以上のマンションでは、消防法によって選出が義務付けられているのですが、その存在が有名無実化されているところも多いのだとか。

「例えば、避難訓練で防火管理者はリーダーシップをとるべき存在ですが、そうした役割を果たしていないどころか、訓練自体を行っていないマンションも少なくありません。住人の方の多くが『誰が防火管理者か?』を把握していませんし、ひどいケースでは防火管理者に選出された方が、引っ越していなくなっているケースもありました」(土屋さん)

jutaku_20191125_02.jpg画像素材:PIXTA

防火管理者が機能していないマンションでは、消火設備をきちんと活用できるか危ぶまれるといいます。消火栓一つとっても、場所が把握できていない恐れがあるほか、その種類によって使い方も異なるのだとか。とぐろを巻くようにホースが収納されているものは一人でも操作ができるものの、折り畳んで収納されているものは二人で操作する必要がある。こうしたことを知って、きちんと訓練しておかなければ、もしもの時に素早い対応ができるかどうか疑わしいそうです。

「災害は起きる日時を選べないので、もしもの時に防火管理者がいないケースも考えられます。誰かに責任を預けっぱなしにするのではなく、消火活動ができる人を増やしておくことが大事です」(大西さん)

タワーマンションは「水に弱い」??


免震構造を採用しているようなマンションは、液状化現象のような被害を防ぐことはできないものの、建物自体は地震に強い。その一方で水には弱いと大西さんは話しています。では、なぜマンションは水に弱いのか?その理由として土屋さんは、多くのマンションに共通している地下構造を指摘していました。

洪水は堤防の決壊などによる外水氾濫と、都市の雨水処理能力を超えたことでマンホールなどからあふれ出す内水氾濫の2つに大きく分けられます。このうち、土屋さんが注目しているのが内水氾濫です。多くのマンションでは敷地内に降った雨を、地下に備えられたれた雨水貯留槽に一度貯めてから、ポンプで徐々に下水管へと排出しています。しかし、内水氾濫が起きたような場合には、下水管から雨水貯留槽へ、さらにメンテナンス用のマンホールなどから建物の地下へと、下水が逆流する恐れがあるというのです。

「マンションの地下には電気室、駐車場、トランクルームなどがありますが、内水氾濫が起きた場合、これらの施設がダメージを受けるおそれがあります。ハザードマップで水災の危険がある地域にあるマンションでは、水災を補償する車両保険のある自動車保険に入る、本当に大事なものはトランクルームに預けないなど、対策を検討しておくべきでしょう」(土屋さん)

jutaku_20191125_03.jpg画像素材:PIXTA

地下にある施設はマンションによって異なるので、それぞれのマンションに応じた対策が必要とのこと。電気室も必ずしも地下にあるわけではないので、防災センターなどで確認しておくと良いかもしれません。

なお、内水氾濫による下水の逆流は、川への排水門につながる下水管の経路のうち、川に近いところが被害にあいやすい傾向があります。この下水管のルートについては、「下水道台帳」などで公開されているため、個人でも調べることは可能とのこと。また、行政によっては内水氾濫のリスクの目安になる内水ハザードマップを作成しているところもありますが、下水工事などによって雨水管などが交換され、排水条件が変わることによって更新されることもあるので、常に最新のものをチェックしておきたいところです。

台風19号ではタワーマンションの被害が注目されました。しかし、雨水貯留槽などの構造は比較的規模の小さなマンションでも変わらないため、リスクはどのマンションにもあると大西さんは話しています。

「むしろ、小規模なマンションでは管理人が常駐しておらず、何かあったときに即対応できない可能性があります。管理会社を呼べば来てくれるというイメージがあるかもしれませんが、より被害の大きいマンションが優先されたり、管理会社そのものが被災している恐れもあります。まずは災害時に自衛できる状況を作っておくことが大切です」(大西さん)

被災時に"部屋にこもる"ことが必ずしも安心ではない


jutaku_20191125_04.jpg画像素材:PIXTA

何かの自然災害があったときにも、マンションでは避難をせずに、そのまま部屋にとどまる安全というのが通説です。防災力の高いマンションは、言ってみれば要塞のようなもの。ただ、逆に言えば災害時に部屋にとどまっている人の安否は、外からは分かりにくいともいえます。

「例えば、地震で家具に押しつぶされているようなときも、防音性の高いマンションでは、助けを呼んでも外に聞こえません。安否確認のルールを決めていたり、管理組合が住人の在宅時間や要介護者の居場所などを把握しているケースもありますが、そのようなマンションはまだまだ少ないといえるでしょう」(土屋さん)

近年では過去に経験したことがない大雨や強風などの自然災害が相次ぐようになりました。管理組合や管理会社任せにするのではなく、これからは災害の備えを自ら検討する必要がありそうです。

【取材協力】
株式会社さくら事務所
業界初の個人向け総合不動産コンサルティングサービスを展開。住宅診断(ホームインスペクション)やマンション管理組合向けコンサルティング、不動産購入に関する様々なアドバイスなどを手掛けている。今年6月には管理良好マンション情報を紹介するポータルサイト「BORDER5」を開設。

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