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「結婚=ゴール」じゃない? 女性の幸せの本質を描く「ロマンス小説」の世界

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テレ東プラス

2019.12.6

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ロマンス小説という本のジャンルがあることをご存じでしょうか。恋愛がテーマの小説で、主に海外で出版されたものを翻訳した本のことを指します。ただ、一方では「官能シーンのある小説でしょ?」とか「恋愛に興味ない」と思われることも。

そんななか、ロマンス小説を紹介するwebサイト「ロマンスヒルズ」編集長の吉咲志音さんは「ロマンス小説で描かれていることは、女性の自立です」と語ります。「#Me Too」運動が起こるなど女性の在り方が問われるまさに今、読むべきロマンス小説。いったいどんな世界なのかを吉咲さんのインタビューで解き明かしていきます。

男女だけでなく同性同士の恋愛も描くダイバーシティであるロマンス小説


romance_20191206_01.jpg▲吉咲志音さん「照れ屋なので顔は隠してください!」

──そもそもロマンス小説とはどういった本になるのでしょうか? 改めて教えてください。

「ロマンス小説は広義では恋愛小説全般のことですが、海外とくに欧米豪の作家が書いた恋愛作品の翻訳版を指すことが多いです。作家も女性の方が多いですね。基本はハッピーエンドの物語で、海外では英語圏を中心に大人気。特にアメリカでは出版業界のドル箱ジャンルです。日本で売っている本は、海外の出版元から版権を買い取り、翻訳したものになります」

──基本的には男女の恋愛を描くということですか?

「男女が多いのですが、なかには同性間の恋愛もあり、『恋愛=男女間で起こるもの』という定義ではないんです。様々なジャンルがあり、異人種同士や階級差を乗り越えたロマンスも展開されるなど、多様な恋愛が描かれています」

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──ロマンスのダイバーシティですね。

「そうなんです。内容もバラエティに富んでいます。ロマンス小説は恋愛しか描いていないから苦手と言われることもあるんですが、それは食わず嫌い! SFやサスペンス、史実に基づいた歴史ストーリー、ファンタジーなど複数のジャンルが楽しめる奥深い世界が広がっているんです」

──具体的にどんなジャンルがあるのでしょうか?

「一番人気は歴史ものの『ヒストリカル』。そのなかでも英国(イングランド)の摂政時代を舞台にした作品は根強い人気を誇ります。その理由は英国文学の最高峰と言われるジェーン・オースティンの『高慢と偏見』がこの時代を舞台にしているから。ロマンスの原点と言われている古典的な作品です。また、スコットランド人のヒーロー(ハイランダー)が主人公の物語や、中世ヨーロッパ、アメリカの南北戦争時代を舞台にしたものなど、幾多の種類が枝分かれしていることも特徴といえます」

romance_20191206_03.jpg▲パラノーマル作品の「深紅の刻印」(MIRA文庫、出版元:ハーパーコリンズ・ジャパン、著者:イローナ アンドルーズ、翻訳:仁嶋いずる)

──そのほかにはどんなジャンルが?

「ヴァンパイアや人狼、超能力者が主人公のファンタジー『パラノーマル』は、日本のラノベのような感覚で読みやすい作品が多いですね。現代を舞台にした『コンテンポラリー』はサスペンスや社長×秘書のオフィスラブなど。他にも官能シーンがふんだんに盛り込まれた『エロティカ』、少年少女向けの『ヤングアダルト』などたくさんのジャンルがあります」

ロマンス小説のヒロインたちは自分で幸せを掴もうとしている


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──吉咲さん自身、ロマンス小説にハマったきかっけは何だったんでしょうか?

「ロマンス小説って、愛し合う2人が苦難を乗り越えて最後はハッピーになる。この読後の多幸感がクセになって、気付いたら次々と読んでいたんです。クタクタになるまで働いた後に読むと清缶剤にもなる。人間、生きていたら辛い思いをするじゃないですか。この世知辛い現実世界で、せめて物語の世界だけでもハッピーな気分に浸りたい!」

──ただロマンス小説は「中身が恋愛だけなので、ストーリーがご都合主義」と言って、嫌厭される方もいます。

「固定概念を持たれることもあります。金持ちのオレ様傲慢ヒーローに愛されたいんでしょ、とか。でもそれはロマンス小説をしっかり読んでなくてイメージで言ってるんじゃないかなあと。最近のロマンス小説は『女性は自由を得るべき。経済的にも精神的にも自立すべき。自分を尊重してくれるパートナーを選ぶべき』というプロパガンダです。例えば、こんなストーリーがあります。自分本位で愛を知らない貴族男性と、不幸な境遇の女性が恋に落ちる。男性は傲慢で、彼女を変えようとする。でも彼女はそんな彼と別れ自立します。彼は自分の愚かさを悟り改心。二人は再会し、お互いを認め合う。愛する者同士が共に困難を乗り越え次のステージにいくというストーリーの中で、女性は男性に頼るだけではなく、自立することで自由を得ていくのです」

romance_20191206_05.jpg▲吉咲さんの描いた恋愛小説「月の帝王と暁の聖花」(ハニー文庫、出版:二見書房、イラスト:ウエハラ蜂)。日本には、大人の女性向けの恋愛小説として『ティーンズラブ小説』というジャンルがある。

──日本の女性たちの中には、経済力のある男性と結婚することをステータスだと思っている方がいますよね。つまり付き合う男性によって幸せが左右されると考えている風潮があります。

「ありますね。もちろん現実的に考えると、まだまだ女性は結婚相手の経済力によって生活が大きく変化することが多いですし、パートナー選びは慎重になってあたりまえだと思います。シンデレラストーリーへの憧れもある。玉の輿で幸せになる設定のロマンス小説も人気です。ただ、ロマンス小説のヒロインたちは男性に救いを求めているわけではなく、幸せとは何か、自分で答えを見つけます。その過程で自分を無条件に愛し、人格を尊重してくれるヒーローと出会い愛を育む。結婚は重要なイベントですが、ゴールというわけでもない。彼に経済力がなければ自分が出世して稼げばいいじゃない!と奮闘するヒロインもいるんです。ロマンス小説を読むと、様々な価値観に触れることができて楽しいですね」

──吉咲さんはロマンス小説からなにを学びましたか?

「女性は自由であっていいということ。他人の目を気にする必要はなく、どう生きたいか自分で選択できるということ。ロマンス小説のヒロインたちは自分で幸せを掴もうとしています。その過程には苦難もあるけれど、自らの力で乗り越えていく彼女たちは美しいですよね。幸せとは他人から与えられるものではないということを教えてくれました」

【プロフィール】
吉咲志音
ロマンス小説の情報を集めたwebサイト「ロマンスヒルズ」編集長。優れたロマンス小説を選定する「勝手にロマンス大賞」を主催するなどロマンス小説普及に努める。「月の帝王と暁の聖花」「女騎士は放蕩王子の愛に戸惑う~仮面舞踏会の蜜夜~」などの恋愛小説を執筆する小説家としての一面も。

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