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来れば誰でも安全に「火だるま」になれる!? 美女とイケメンのいるスタントマン養成所に潜入

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テレ東プラス

2019.12.10

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ドラマや映画のド派手なアクションシーンで活躍するスタントマン。どう見ても危険なシーンでも、無事に演技を行っている彼らは、普段どのような訓練をしているのでしょうか?

今回はスタント・アクションスペシャリスト集団「ワイルドスタント」に潜入。その練習風景をレポートしたいと思います。

1年間で100回以上車に轢かれるスタントマン!?


stuntman_20191210_01.jpg▲柴原孝典さん

「ワイルドスタント」を擁するスタントマン事務所は、数々の戦隊ヒーローのスーツアクションを演じてきた柴原孝典さんが立ち上げたもの。北海道や中国地方にも拠点があり、神奈川にある本拠地では30~40人のメンバーが稼働。映画、TVドラマ、舞台におけるアクションシーンについて、演出やアクション監督などの総合的なコーディネートを行っています。バラエティ番組における出演者の安全確認も手掛けているのだとか。

その練習ですが、怪我予防のための準備運動が終わると、まずはマットを使ったトレーニングがスタート。さすがの軽快な身のこなしで、バク転や前方宙返りなどを次々と決めていきます。

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「ドラマや映画で階段を転がり落ちるシーンを見たことがあると思いますが、ああいうスタントは普段の練習でやりません。その代わりに器械体操でマットを転がったり、ジャンプしながら空中における身体の使い方をマスターしていきます」(柴原さん)

そんな中、次々と回転技を決めるイケメンのスタントマンが!


キレキレの回転技を披露していたのは、スタント歴10年の近藤知行さん(30)。1~2年で辞めてしまう人が多いスタントマン業界において、20歳から経験を積んできた近藤さんはベテランの域に入るそうです。

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子供の頃にジャッキーチェンの映画に憧れて、スタントマンを志した近藤さん。学校などで行われる交通安全教室にもスタントで参加し、車に轢かれること実に年間100回以上! イケメンなので、「アクション俳優を目指さないのか?」と気になりましたが、役者としての道には興味がないそうです。

「火だるま、飛び降り、車に跳ねられるといったことがやりたかったので、そういう仕事が来ると、この業界に入って良かったなと感じますね」(近藤さん)

クレイジーな回答に、さぞかし常人離れしたメンタルがあるのかと思いきや、現場では普通に怖さを感じているそうです。というのも、怖さがないと安全対策が疎かになるので、スタントを行う上で危ないのだとか。

「怖さはスタントマンにとって絶対に必要なことです。慎重に自分の安全を確保することが、撮影現場のスムーズな進行にもつながります。本番前に『怖くて出来ません』と言われたら困っちゃいますけどね(笑)」(柴原さん)

15歳からスタントマン、初めてのアクションは「火だるま」!?




続いて行われたのが立ち回り練習。その中に、キレキレのアクションを披露する美人スタントマンがいました。

この沙季華さん(28)、実は柴原さんの娘さんだそうです。スタントを始めたのは中学3年生のとき。15歳で最初に経験したスタントは、なんと「火だるま」だったとか。

「火だるまは危険で難しいと思われがちですが、しっかり安全対策をすれば誰でも出来ます。撮影で必要になるのは20秒ぐらいの映像なので、耐熱スーツとジェルを使えば少し暖かいぐらいの感覚ですね。ただ、私にとって最初のスタントが『火だるま』だったので、緊張もあってかなり焦りました。呼吸が出来なかったのが辛かったです」(沙季華さん)

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「練習では寸止めなので痛さを想像することが大事なんですけど、実際の現場では俳優さんが演技しやすいように、『本当に当ててください』と言うこともあります。その方が映像的に迫力が出るので......。ただ、それがみぞおちなどの急所に入ったりすると、本当につらくて(苦笑)。現場では『大丈夫です!』と笑顔で答えますが、控え室でしばらく呻いています」(沙季華さん)

CGの進化で、ワイヤーアクションが過激に!?


立ち回りの後は、ワイヤーアクションの練習。CG技術の進化でワイヤーを容易に消せるため、需要がどんどん増えているそうです。

練習は室内で行われるため高さを出せませんが、実際の現場ではクレーンを使って6~7メートルの高さまで飛ばすことが多いのだとか。


ワイヤーアクションを成功させるためには、サポートメンバーがワイヤーをどんな風に引くのかも重要です。優しく落とすのか、勢いよく引っ張るのか。そのスピードやタイミングを、演技する役者やスタントマンに合わせなければいけません。

「引き手も現場に連れて行くので、これはスタントの練習であると同時に、引き手の練習でもあります。それに最近では、役者さんが高いところでお芝居をするときに、ワイヤーを使ってサポートすることもありますね。その際にもワイヤーを支える引き手が重要になってきます」(柴原さん)


ワイヤーアクションでスタントマンが活躍するときは、空中での演技も求められます。この時は、近藤さんがワイヤーを体に巻いて、回転数を細かく調整しながらアクションを行っていました。どの場所にどんな体勢で着地するのか、空中での動きをコントロールしながらの演技になるため、高度な技術が必要です。

ジャッキーチェンに憧れる新人スタントマン


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休憩中に新人のスタントマンに話を聴くことができました。

入社してまだ5回目の練習という松浦鮎実さん(26)は、近藤さんと同じくジャッキーチェンに憧れを抱き、小さい頃からずっとアクションがしたかったそうです。しかし、故郷の大分県ではその夢がかなわず、酪農について学ぶ大学を卒業すると、大型牧場に就職。2,000頭以上の豚や牛などの飼育と搾乳で、忙しい日々を送っていました。

転機になったのは、家畜の調教で乗っていた馬から落ちて、首を骨折したこと。運良く下半身不随にはならなかったものの、死に直面する中で、病院のベッドで今後の人生について考えを巡らせたそうです。

「今までにないほど『死』を身近に感じて、『本当にやりたいことをやらなきゃ!』と思うようになりました。そこで思い出したのが、ジャッキーチェンのアクションです。この怪我が、自分にとってアクションをやるチャンスなのかなと閃いて、すぐにスタントマンの会社を調べました」(松浦さん)

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両親の大反対もあり職場に復帰して半年ほど働いたものの、やはりスタントへの挑戦を諦めきれずにワイルドスタントへ電話。次の日には退職を願い出たそうです。

「社長の柴原さんには、『スタントをやりたんです!』といきなり伝えましたが、最初は26歳なので時期的に遅いと言われました。でも、それでも諦めきれなくて。器械体操をしていたことなどを必死にアピールして、何とか入れてもらえました」(松浦さん)

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松浦さんはこの日、初めてワイヤーアクションに挑戦。身体の使い方のコツが掴めずに苦戦していましたが、「上がった瞬間に回ってごらん」という柴原さんのアドバイスを聞くと、見事に成功させました。

「難しくて出来ないこともあるけど、とにかく毎日が楽しいです。アクション映画を見て、『自分もこうなりたい』と思ったり。練習内容をメモしているノートを見返して、『また同じところ注意されてる』と落ち込むこともあるけれど、毎日がすごく充実しています」(松浦さん)

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スタントマンの魅力とは何か? 彼女に聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。

「例えば、財布を拾って警察に届けるときに、普通は名前を言わないじゃないですか。その感覚と似ているかもしれません。エンドロールに名前が出なくても、実はこの作品を陰ながら支えているというのが、すごく格好良いと思います」(松浦さん)

スタントマンは現場の安全を舞台裏でサポートする「影のヒーロー」。今後もワイルドスタントのバックアップで、数多くの迫力あるアクションが生み出されていくことでしょう。

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【取材協力】
WILD STUNTS(株式会社オフィスワイルド)
住所:神奈川県川崎市多摩区三田1-26-28 ニュ-ウエルテラス生田103
電話番号:044-911-0971

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