• #
  • トップ
  • ライフ
  • カニが高いのには理由があった!? カニ選びのポイントを解説

カニが高いのには理由があった!? カニ選びのポイントを解説

ライフ

テレ東プラス

2020.2.26

kani_20200226_00.jpg画像素材:PIXTA

「ズワイガニ」と「ベニズワイガニ」はちがう!


冬に食べたい食材として挙がるのがカニです。ネットでカニ専門店を覗いてみると「タラバガニ」「毛ガニ」「ズワイガニ」「ベニズワイガニ」...と、いろんなカニの名前がワンサカ。お値段を比べてみると、全体的にリーズナブルでお得な感じがするのはベニズワイガニ。

kani_20200226_01.jpg▲右が「ズワイガニ」、左が「ベニズワイガニ」 画像素材:PIXTA

ズワイガニといえば、タラバや毛ガニと並ぶ冬の味覚の三大王者。なら、ベニズワイガニでもいいのかな?

「おっと、待ってください! 彼らはよく似ていますが、暮らしている環境も、味も、まったくちがうカニたちです。水深150〜450mの海底にいるズワイガニに比べて、ベニズワイガニがいるのはそれより深く、水深2500mくらいまでの深海なんですよ」

そう教えてくれたのは、国立科学博物館の"カニ博士"、武田正倫先生です。

kani_20200226_02.jpg▲武田正倫先生

「深海に暮らす生物には"深海適応"といって、共通した特徴があります。暗黒の深海で生きていくために水深2000mを超えると目が機能しなくなり、体色は白、赤、茶色などに変わります」(武田先生)

kani_20200226_03.jpg▲市場に水揚げされたベニズワイガニは茹でる前から真っ赤! これが「ベニ」の名前の由来です。 画像素材:PIXTA

「"深海適応"では、体液が水っぽく、しょっぱくなります。つまり、海の一部になるのです。さらに、深海は低温の世界だから、脂肪をたっぷりと蓄えます。そのため、身がギトギトと脂っぽくなりがちで、水っぽい、つまり味が薄い生物が多いのです」(武田先生)

その代表的な生物というのが深海魚。あるいはタカアシガニです。タカアシガニが市場に出回らないのはおいしくないと思う人が多いから。深海の生き物は、陸では水分が出て、筋肉が縮んでしまうんだとか。これはベニズワイガニでも同様で、これまではズワイガニの代替品としてしぶしぶ食べられてきたようです。

しかし時代は変わり、最近では「ズワイガニより価格が手頃」「身離れがいいし、食べやすい」「身が甘いし、好き!」と密かに人気上昇中。両方を食べ比べてみるのも楽しそうですね。

kani_20200226_04.jpg▲ケガニ 画像素材:PIXTA

ちなみに、人気ランキングトップの常連といえば「ケガニ」。ケガニは、タラバガニ(水深150m内外)、ズワイガニ(150〜450m)、ベニズワイガニ(450〜2500m)などに比べて浅い海底、水深100m内外の砂泥底にすんでいます。

水深の深いところにいるカニほど水っぽくなることを思えば、浅いところにいるカニほどプリプリに身が詰まって「おいしい」と感じやすいのかもしれません。

装うカニと裸んぼのカニ...冬の味覚の王者たちは堂々たる裸一貫!


kani_20200226_05.jpg画像素材:PIXTA

ところで先生、カニたちの中にはハサミを上手に使って、ホヤや海綿、ウニなどをかぶったり、藻を全身にまとったりして、ファッショナブルに"装う"カニたちがいるそうですね。タラバガニやズワイガニといった王者たちは装わないのでしょうですか?

「装うカニは小さいものが多く、魚やタコに食べられないために装っているんです。でも、ズワイガニやタラバガニは、カニにしてはサイズが大きくて天敵が少ないんですよ。生まれた時は食べられてしまいますから、小さい時だけファッショナブルな姿になっているものもいます。例えば、深海に住むタカアシガニ。体長が5cmくらいの頃は毛むくじゃらなのですが、甲羅が10cmくらいになると堂々と歩き始め、毛が失われていくのです」(武田先生)

海の中は天敵だらけ。私たちが食卓で出会うカニは、運と体力に恵まれて過酷な環境を生き抜いた戦士たちだったんですね。

どうしてカニはこんなに高いの? そこにはホラーな理由があった


kani_20200226_06.jpg画像素材:PIXTA

武田先生、カニって庶民には高嶺の...いや、"高値"の花です。どうしてこんなに値が張るのでしょう?
調べてみたところ以下のような相場でした。

・毛ガニの相場 4,000円~7,000円
・ズワイガニの相場 3,000円~6,000円
・タラバガニの相場 3,000円~5,000円

「カニは養殖できないからです。飼うことはできますが、大量に飼うとカニは自分のハサミを使って、周りにいるカニをどんどん食べてしまうのです。つまりは共食い。怖いでしょう? わざわざ獲りに行くのは大変ですが、広い海で育ってもらうのが一番なんですよ」(武田先生)

kani_20200226_07.jpg
「また、カニは成長が遅いため、私たちが目にするカニの大きさになるまで大変な時間がかかっているのです。エビは1年で大きくなって食べごろになりますが、例えばズワイガニは10年、毛ガニは7年以上かかります。気が遠くなるような歳月でしょう? その上、毛ガニは2年に1回しか繁殖しません。私たちは非常に希少な生き物をいただいているんですね」(武田先生)

海中で長い歳月を生き抜き、がっしりと大きく育ったカニはまさに海の長老さま。まさに"有難い"レアなごちそう、命に感謝していただきましょう♪

【取材協力】
武田 正倫(まさつね)先生
1942年、東京都生まれ。国立科学博物館名誉館員、名誉研究員。磯やサンゴ礁から深海までにすむさまざまな海産無脊椎動物の分類、生態、発生に精通。『カニは横に歩くとは限らない』(PHP研究所)、『世界で一番美しい海のいきもの図鑑』(創元社)など著書多数。

一緒に読まれています!

この記事を共有する

人気の記事POPULAR ARTICLE

    カテゴリ一覧